2014 年 9 月 22 日初級ミクロ経済学 1 初級ミクロ経済学 -需要・供給曲線- 2014 年 9 月 22 日 古川徹也
2014 年 9 月 22 日初級ミクロ経済学 2 経済学が要らない世界 経済学が不要となる世界とは,ど んな世界だろうか。 (1) あらゆる財が,無限に存在し,誰でもそれ らを自由に消費できる。 (2) 人々の使える時間に限りがない。
2014 年 9 月 22 日初級ミクロ経済学 3 経済学が考える問題 経済学は,社会や個人にとって限られた「資 源」(財,時間)を有効に生かすにはどのよ うにしたらよいかを考える学問である。 個人による「望ましさ」を追求する行動が, 社会全体から見て望ましいかどうかを考える。 「経済問題」が存在するならば,何らかの方 法(政策・制度)で,それが解決できないか どうかを考える。
2014 年 9 月 22 日初級ミクロ経済学 4 お金と機会費用 利用できる資源は限られている。=個人は 「選択」を迫られる。 「選択をする」=何かを得るには何かを失う 必要がある(機会費用) 失うモノを測る基準が「価格」であり,もっ ともわかりやすい費用が「お金」である。 お金とモノがからめば,そこには必ず経済問題がある。
2014 年 9 月 22 日初級ミクロ経済学 5 ミクロ経済学とマクロ経済学 ミクロ・・・「小さい」,マクロ・・・ 「大きい」 ミクロ経済学:個々の消費者や企業の行動 が,市場(しじょう)でどのような相互作 用を引き起こし,経済がどのような状態に なるのかを考える。 マクロ経済学:1国を単位として, GDP や インフレ率,失業率の動きを考える。 どちらも重要な経済を見るための「道具」。
2014 年 9 月 22 日初級ミクロ経済学 6 需要・供給曲線図
2014 年 9 月 22 日初級ミクロ経済学 7 需要・供給曲線図 価格 数量
2014 年 9 月 22 日初級ミクロ経済学 8 需要・供給曲線図 価格 数量
2014 年 9 月 22 日初級ミクロ経済学 9 需要・供給曲線図 価格 数量 供給曲線 需要曲線
2014 年 9 月 22 日初級ミクロ経済学 10 需要曲線とは何か 価格 数量 需要曲線 P1 P2 X2X1 需要=「買う」 を絶対に覚えておく
2014 年 9 月 22 日初級ミクロ経済学 11 需要曲線とは何か 価格 数量 需要曲線 P1 P2 X2X1 右下がり:「安いとたくさん 買うけど,高いとあまり買わ ない」
2014 年 9 月 22 日初級ミクロ経済学 12 供給曲線とは何か 価格 数量 供給曲線 P1 P2 X2X1 供給=「売る」 を絶対に覚えておく
2014 年 9 月 22 日初級ミクロ経済学 13 供給曲線とは何か 価格 数量 供給曲線 P1 P2 X2X1 右上がり:価格が高いとたくさん 販売されるが,安いとあまり販売 されない.
2014 年 9 月 22 日初級ミクロ経済学 14 価格 数量 供給曲線 需要曲線 ここをなんと言う か?
市場均衡 2014 年 9 月 22 日初級ミクロ経済学 15 価格 数量 供給曲線 需要曲線 市場均衡 市場均 衡価格 市場均衡数量
市場均衡 2014 年 9 月 22 日初級ミクロ経済学 16 価格 数量 供給曲線 需要曲線 市場均衡 市場均 衡価格 市場均衡数量
市場均衡 2014 年 9 月 22 日初級ミクロ経済学 17 価格 数量 供給曲線 需要曲線 市場均衡 市場均 衡価格 市場均衡数量
市場均衡の性質 市場均衡価格のもとでは,需要量と供 給量が等しくなっている. 市場均衡では,各主体(消費者や企 業)は自分にとって最適な量を売った り買ったりしている. 「最適」?:その価格のもとで,効用 や利潤を最大化している. 2014 年 9 月 22 日初級ミクロ経済学 18
市場均衡が重視される理由 市場価格が,常に市場均衡価格にある とは限らない(はずれることもある). 一定の条件のもとでは,市場価格を市 場均衡価格に向かわせる力が働く. → 市場メカニズム(価格メカニズム) 一定の条件のもとでは,市場均衡は望 ましい性質を持っている. 2014 年 9 月 22 日初級ミクロ経済学 19
超過供給・超過需要 2014 年 9 月 22 日初級ミクロ経済学 20 P X D P* X* S S D 超過供給 超過需要
次の文章を考えてみよう 価格が上がると,需要は減る. 需要が減ると,価格は下がる. 価格が下がると,需要は増える. 需要が増えると,価格は上がる. 価格が上がると,需要は減る. → 永遠に終わらない・・・本当? 2014 年 9 月 22 日初級ミクロ経済学 21
2つの意味が入っている 価格が上がると,需要は減る. 需要が減ると,価格は下がる. 価格が下がると,需要は増える. 需要が増えると,価格は上がる. 価格が上がると,需要は減る. 青字:需要曲線上の話 赤字:シフトの話(需要曲線自体が動く) 2014 年 9 月 22 日初級ミクロ経済学 22
需要曲線のシフト 2014 年 9 月 22 日初級ミクロ経済学 23 S S D D PP XX D’D’ D’D’ P↑X↑P↑X↑ P↓X↓P↓X↓
供給曲線のシフト 2014 年 9 月 22 日初級ミクロ経済学 24 S S D D PP XX S’S’ S’S’ P↓X↑P↓X↑ P↑X↓P↑X↓
2014 年 9 月 22 日初級ミクロ経済学 25 曲線がシフトする原因 需要曲線のシフト 替わりとなる財の価格変化 景気回復(悪化) 嗜好の変化 供給曲線のシフト 原材料価格の値上がり(値下がり) 技術進歩
「見えざる手」の働き 2014 年 9 月 22 日初級ミクロ経済学 26 X P E1 E2 E3 E4 S1 S2 D1 D2 D3 価格の働きによって,経済にとって不要なもの は作られなくなり,必要はものはたくさんつく られるようになる.
2014 年 9 月 22 日初級ミクロ経済学 27 「国富論」と現在のミクロ経済学 アダム・スミス( )による 『国 冨論』( 1776 ):価格調整メカニズムの働く 市場によって,消費者・生産者の私利私欲の 追求が,結局は経済全体を「望ましい」状態 へと導く。 「見えざる手」を現代のミクロ経済学流に表 現すると「厚生経済学の(第 1 )基本定理」 となる。 厚生経済学の基本定理を理解し,その限界に ついて研究することが,ミクロ経済学の最重 要課題。
厚生経済学の第 1 基本定理 いくつかの(かなり強い)条件のもと で,完全競争市場均衡はパレート効率 的となる. パレート効率的:ミクロ経済学の基準 では,望ましい経済状態(ムダがない 状態). 完全競争市場均衡:各主体が与えられ た価格のもとで自由に意思決定をした 結果. 2014 年 9 月 22 日初級ミクロ経済学 28