学級崩壊を考える 学級の様子は変わったのか. ハンナ・アレント(続き) 人間の条件(公的生活) 自由(なコ ミュニケーション)で平等(多様性の容 認)が実現している場 学級は、アレントのいう「公的生活」が 実現されるべき場か、あるいは別のもの か.

Slides:



Advertisements
Similar presentations
いじめ問題 具体的な解決策を考える 異文化コミュニケーション論2回 神崎昇平. もくじ はじめに “ いじめ ” の発生件数 子どもの自殺数 現在の対策 考察 提言① 提言② 提言③ ( 研究者の意見 )
Advertisements

生活綴り方の生活指導 コミュニケーションの形成. 集団の意味(再) 個別教育(紳士教育)と集団教育は本質 的な違いがあるのか。 ハナ・アレントの「公的生活」の意味。
発達障害が疑われる不登校の実態 -福島県における調査 福島大学総合教育研究センター 中野 明德. 発達障害が疑われる不登校児童生徒の出現率 (福島県、 2007 ) 福島県の 291 の学 校を調査(小学 校 198 、中学校 69 、高校 24 ) これらの数字は 学校が確認した ものであり、実.
1.情報教育について 2 情報教育. 情報教育とは 児童生徒が自ら考え、 主体的に判断・表現・行動 児童生徒は主体的に学ぶ 「情報活用能力」を育成する教育.
1 このプレゼン資料について ● 校内(園内)研修での使用を目的に作成しました。 ● 「個別の教育支援計画」を理解し、作成する上で大切 な事柄を整理し、図やテキストで示しました。 ● 各スライドでは、ポイントとなる事柄を吹き出しや枠 囲みで示し、強調しています。 ● 各スライドのノートには、スライドの内容とポイント.
日本教育のゆくえ c 甲藤 瞳.  大学入学後、目標見失う  受験勉強で得た詰め込みの利用法 きっかけ.
言語教師としての 役割と認知 平成 21 年度教員免許状更新講習 3 共立女子大学 02/08/2009 笹島茂 1.
いじめを考える いじめは人間の本性か. アレントの理論 「人間の条件」 労働・仕事・活動 公的生活が成立することが人間の条件 – 自由な討論 – 多様性の承認 – 平等 私的生活は奪われること – コミュニケーションによって、相互に 情報の共有 – 差異性を認めた上で、自由に議論.
いじめを考える いじめは人間の本性か. 導入として考える ( 前回省略 ) 今の教育・教育制度は、ストレスを生む 要素を本質的にもっているのか、そうで ないのか。 学校は唯一の義務教育システムであるべ きか、別の形態があるのか。
いじめを考える いじめは人間の本性か. 人間関係の哲学 どのような人間関係をめざすのか(基礎 理論) – 未知の関係からの集団形成 – 平等と不平等の形成原理 ⇩ ハンナ・アレントの理論.
『特別支援教育と 就学までの流 れ』. 専門的な教育の場と 対象の児 童生徒 特別支援学校:障害の比較的重い児童生徒を対 象 特別支援学校:障害の比較的重い児童生徒を対 象 視覚、聴覚、知的、肢体、病弱の原則5障害 「訪問教育」:教員を家庭に派遣して指導す る 「訪問教育」:教員を家庭に派遣して指導す.
特別支援教育につい て. 「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」 ( 文 部科学省 答申) <特別支援教育の在り方の基本的考え方> 特別支援教育とは、従来の特殊教育の対象の障害だ けでなく、LD、ADHD、高機能自閉症を含めて 障害のある児童生徒の自立や社会参加に向けて、そ.
Ⅰ 今後の特別支援教育のあり方 1 特殊教育と特別支援教育の違い 従来の特殊教育 障害の程度に応じ特別の場で指導する特殊教育体制であった
特別支援教育支援員の活用について.
研修のめあて 授業記録、授業評価等に役立てるためのICT活用について理解し、ディジタルカメラ又はビデオカメラのデータ整理の方法について研修します。 福岡県教育センター 教員のICT授業活用力向上研修システム.
シンポジウム 子どもの豊かな育ちを 支援する地域力
組織の経営学 第1章 ニモ・クルー・からあげ.
学力調査の結果概要 A区分問題(知識) B区分問題(活用) 小学校国語 小学校算数 中学校国語 中学校数学
いじめ防止全体指導計画 【対応1】 未然防止・早期発見 【対応2】 緊急対応・早期対応 いじめ発生 基本姿勢 雲仙市立千々石第一小学校
子どもが主役となる明るく元気な学級づくり
徳島の子どもの学力向上及び 生活習慣・学習習慣等の改善をめざして
情報モラル.
大分県教育庁佐伯教育事務所 学校改革担当指導主事 有田千香
富山大学教育学部 附属教育実践総合センター 助教授 小川 亮
エンカレッジスクールとは? エンカレッジ(encourage)とは「励ます」「応援する」という意味です。
校内支援体制の構築と その運用 茨城県守谷市立松前台小学校
2012/12/15 福島県教員採用試験 1次選考・2次選考の報告 機械工学科 4年 栗田一平.
教職院 ナッキョン 奈良市高畑町 得意: 授業での「つかみ」
      特別支援学校 高等部学習指導要領 聴覚障害教育について.
学級崩壊を考える 学級の様子は変わったのか.
日本の高校における英語の授業は英語でがベストか?
教育費の負担 教育権の条件整備.
平成26年度 鶴ヶ島市立新町小学校グランドデザイン めざす学校像 一人ひとりが輝き、確かな学力が獲得できる学校
子どもたちが発達段階に応じて獲得することが望ましい事柄
大分県立宇佐支援学校 グランドデザイン (平成28年度版)
学級崩壊を考える 学級の様子は変わったのか.
裏面のFAX送付状で、7月31日(木)までにお申し込みください。
家庭教育論 親はだめになったのか.
いじめを考える いじめは人間の本性か.
塩竈市子ども・子育て支援事業計画 塩竈市子ども・子育て支援事業計画(案) のびのび塩竈っ子プラン ・・・削除 ・・・追加 資料 2
薩摩川内市小中一貫教育特区 (連携型) 平成18年4月~平成20年3月
知・徳・体・地域連携 伏見中学校 教育目標 心豊かに共に生きよう 生き生きした生徒が集う学校 特に今年度取り組んだ点は 知の部分
茨城県つくば市立茎崎第一小学校 校長 大塚 隆幸
授業の法則化運動 生徒を動かすことは可能か・妥当か.
<校訓> つよく・あかるく・たくましく 【目指す宇佐支援学校の児童生徒像】
アスッペンくん 奈良市立飛鳥中学校.
特別支援教育 障害のある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点に立ち,児童生徒一人一人の教育的二一ズを把握し,その持てる力を高め,生活や学習上の困難を改善又は克服するため,適切な指導や必要な支援を行うものである。 (「特別支援教育を推進するための制度の在り方について」平成17年12月8日.
子どもの育ちを支える教育 —発達にもとづき,発達を促すカリキュラムのあり方—
教育行政組織(1) 指導助言と監督命令.
不登校データ ・不登校人数(小学校・中学校・高等学校) ・不登校になったきっかけと考えられる状況 ・いじめられた児童生徒の相談の状況の推移
平成19年度地域教育フォーラムin京都   第5分科会 「学力向上アクションプラン」     ~洛西方式Ⅱ~  京都市立洛西中学校 2007,7,31.
日本教育の特質 国際教育論2.
主な人権課題から.
茨城県つくば市立茎崎第一小学校 校長 大塚 隆幸
中学校保健体育科 1 改訂の趣旨及び要点 新学習指導要領の趣旨を踏まえた授業づくり 改訂の基本的な考え方 目標の構成の改善 内容の構成の改善
平成29年度 埼玉県立熊谷特別支援学校グランドデザイン
教室案内 春日部市立武里中学校 <学校までの経路> <入級までの流れ> 春 日 部 市 発達障害・情緒障害 通級指導教室 (武里学級)
教育目標 重点目標 取組の柱 学習意欲・学力向上 人間関係作り 体づくり 特色ある取組の充実と発展 チーム安塚
平成23年度 大阪府学力・学習状況調査の結果概要 大阪府教育委員会
教育情報共有化促進モデル事業報告 中学校数学 平成16年1月31日 岐阜県 学習システム研究会「楽しく学ぶ数学部会」
臨床教育学 授業に関する説明.
特別支援教育2 全体利益から考える.
生活綴り方の生活指導 コミュニケーションの形成.
学校の教育活動を通じて 家庭で共に 保幼小中との連携 地域で育てる 忍耐力 意欲 やり抜く 自制心 社会性 協調性
基礎情報の収集・・・前年度の出欠席状況、配慮の必要性、長期欠席経験者への対応
2019年度 すべての教職員のための授業改善研修 本研修の背景とねらい
学級崩壊を考える 学級の様子は変わったのか.
・特別支援教育について ・発達障害等の特性 ・教育環境等の整備
Presentation transcript:

学級崩壊を考える 学級の様子は変わったのか

ハンナ・アレント(続き) 人間の条件(公的生活) 自由(なコ ミュニケーション)で平等(多様性の容 認)が実現している場 学級は、アレントのいう「公的生活」が 実現されるべき場か、あるいは別のもの か

学級とは 近代以前の学校には学級はなかった。( 個別指導が原則。Cf 習字塾) 近代・産業革命で生徒の増大(モニトリ アル・システムの登場 → 学力に応じたグ ループ化) 年齢別学級の形成(義務教育により設置 ) – 義務教育の年齢主義 – 能力差による困難(落第・飛び級) – 集団をどのように考えるか(個人主義・集団 主義)

日本的学級の特性 日本ヨーロッパ 主な授業形態一斉授業 班学習を多く取り入れ るが、一斉授業の補完的 役割が多い 個別授業 一斉授業も少なくない が、学習課題を個人別に たてて、個人・グループ 学習の形態を取り入れる ことも多い。 学級集団の価値価値的(学級づくり) 学級としてのまとまりを 重視し、学級対抗で運動 会・合唱祭などを実施 特別価値的と考えない 行事が競争的な学級対抗 で行なわれることは稀 集団特性ゲマインシャフト志向ゲゼルシャフト

スクールカースト? 鈴木翔の著作 – 教室内の生徒の人間関係に権力関係 – 権力関係は絶対的 – 地位の高低は主にコミュ力によって規定 – 地位の高低はクラス替えを通じても固定化 – 生徒は地位に応じた役割 ( キャラ ) を演じる – 教師は、積極的に肯定・利用 賛否両論ある

スクールカーストの論点 スクールカーストは本当にあるのか 本当に固定的か いじめが教室で起きる原因となっている とするが、本当か。欧米では学校でも異 年齢間のいじめが少なくない。 教師はスクールカーストを利用している か。

尾木直樹による定義 ・ キレる子やムカツク子の出現によって学級が荒れること。 ・ 表面的には、荒れていないのだが、無気力・無表情・無 感動の子が多くて、学級としてのまとまりや動きができ ない状況。 ・ 一部の非行の子と一緒になって、クラスが乱れること。 ・ 中学校の荒れが、小学校にまで下りてきて、それが高学 年 らついには、低学年にまで広がっていること。 ・ 小・中学校でクラスの荒れがひどく「授業崩壊」が起き ていること。

低学年と高学年の「学級 崩壊」 の違い (尾木直樹) 小学校低学年 ・ パニック現象 ・ 愛情不足 ・ セルフコントロール不全 ・ コミュニケーション不全・ 基本的生活 習慣の欠如 ・ “ 崩壊 ” よりも集団性の未形成状態 下(幼児期)からの新しい「津波」現象

低学年と高学年の「学級 崩壊」 の違い (尾木直樹)高学年・中学 ・ よい子ストレス 両者の重なり ・ 教師への不満・怒り ・ 差別、不公平への怒り ・学力不振 ・ 思春期ストレス(教師からの自立と不 安) ・ ピアプレッシャー ・ 私立中学受験勉強による心情不安 ・ 担任教師へのいじめの構造として 上(中学)からの伝統的な荒れの「雪 崩」現象

原因は何か(多面的に考える) 子どもの変化(利己的) 幼稚園教育の変化(自由保育) 親の変化(しつけのできない親) 子どもからのストレス社会(御受験・中 学受験) 過大学級 教師の力量低下

子どもの変化? 軽度発達障害の子どもが原因? 自由保育での就学前教育の影響? 塾の普及(教師への覚めた目) ストレスの増大(いじめ)

教師の変化 受験勝者の感覚で子どもを見る 親との学歴差の縮小あるいは逆転 変化への対応不足

親の変化? クレーマー的親の出現 教師への敬意の低下?

教師による解決重視 「学級集団アセスメント( QU )」 - 児童同士の 関わりを利用。 「非暴力的危機介入法」 - 学級崩壊というよりも、 問題行動の解決の態度。 「態度教育」 - 靴を揃える・椅子を引くといった ことから教育していく。原田隆史氏など。 「楽しい授業」 - 授業作りネットワークなど。 「 TOSS 型学級経営」 - 斉藤喜博・東井義雄・船 井幸雄などの影響を受けた教育技術を重視した 指導。自己啓発の要素も加味している。 (ウィ キペディア)

行政的対応重視 「ゼロトレランス」 - 児童生徒の小さな問題行動 にそれに応じた罰を与える。 「オンデマンド教育」 - 人格教育をやめ、他国の ように教科指導に特化。 「家庭・地域教育」 - 「心の東京革命」のように、 家庭・地域の教育力を復活させる。 出席停止・原級留置の有効的活用 医療機関・警察との連携(欧米ではスクールポ リスとして一般的である) 体罰の復活(腕立て、廊下に立たせるなど) なんらかの方法による教師の権威の復活。

討論課題 どんな教師で学級崩壊が起きやすいか どんな教師は学級崩壊させずに運営でき るか どんな教師が他の教師の学級崩壊状態を 改善できるか