本コンテンツは、医薬品の医師主導治験を主体に作成していますので、ご留意ください。 はじめて医師主導治験に関わる すべてのスタッフの方へ *本研究は、厚生労働科学研究〈医療技術実用化総合研究事業(治験推進研究)〉研究事業として実施しました。 平成23年度 医師主導治験における治験調整事務局の標準化・効率化に関する研究「笠井班」 更新 : 2014 年 3 月 31 日
1 医師主導治験とは? 医師が自ら企画し、実施する「治験」 – 2002年の薬事法改正により実施が可能となった – GCP省令(Good Clinical Practice)の規制下 対象:医療上の必要性が高い 医薬品や医療機器 – 欧米で標準使用されながらも国内未承認・適用外 – 医療の現場で一般的に「適用外使用」 – 患者数が少ない、薬価が安いなど開発の採算があわず、企業に 開発意志がないもの
2 医師主導治験の資金提供者は? 公的研究費(=国の予算から支出) 厚生労働省(厚生労働科学研究事業)、 文部科学省(文部科学省橋渡し研究支援推進プログラム)、 JSTなどの競争的研究費 日本医師会治験促進センターが行う治験推進研究事業 その他の研究費 委託契約に基づく治験薬の製造販売企業により 研究グループへ資金提供 …など
3 2002年の薬事法改正前後の比較 薬事法改正前 改正後 臨床試験臨床試験 GCP 適用外 GCP 適用 範囲 GCP 適用外 GCP 適用 範囲 医師主導の 臨床試験 臨床試験臨床試験 企業治験 薬事法上の承認申請を目指した臨床試験(=治験)を、医師が自ら実施できるようになった 医師主導 治験
4 医師主導治験において、 →企業から未承認・適応外の医薬品・医療機器の提供を 受ける ことが可能となった。 →未承認・適応外の医薬品・医療機器と保険診療の併用 が 認められた。(保険外併用療養費制度の適用) 企業による開発が進まない品目で、医師が自ら承認 取得を目的とした治験を実施できるようになった。 ※ ただし、最終的に承認申請を行うのは開発企業 薬事法改正によるメリット
5 医師主導治験における「ゴール」 日本国内で、未承認薬の承認または追加の効能・効果 に対する承認を取得し、健康保険の適用下で患者さん に使用できるようになること ※ 諸外国では、医薬品の承認審査と保険適用は分離されており、 エビデンスレベルの高い臨床試験の結果があれば保険償還が認められる場合が多い。
6 薬物の医師主導治験の件数 厚生労働省医薬食品局 審査管理課 H24年10月 「治験及びGCPに関する最近の動向について」より引用 ★更新情報(平成25年度GCP研修会資料より): 24年度の医師主導治験の計画届出件数は31件とあった。ただし、治験届件数の 算出方法が上記グラフ作成時と異なる可能性がある。 厚生労働省の情報提供による
7 治験の準備から医薬品の承認まで … 医師主導治験で「自ら治験を実施する者」(または委託された者)が行う業務 … 企業治験/医師主導治験で実施医療機関(医師、CRC、IRB)が行う業務 … 医師主導治験で開発企業が行う業務 企業治験では経験していない業務が多数あり!! 治験開始前治験実施中治験終了後
8 治験責任医師の役割 ~企業治験~ 治験の実施 治験の準備、管理 治験のデータをまとめ、 当局へ承認申請 実施医療機関 開発企業 データマネジメント 統計解析 メディカルライティング 情報提供、 品質のチェック等 モニター/監査担当者 治験事務局/CRC 治験責任医師
9 治験責任医師の役割 ~医師主導治験~ モニター/監査担当者 実施医療機関 必要な情報 (治験薬概要書、安全性情報等)、 治験薬、治験機器を提供 開発企業 当局へ承認申請 治験事務局/CRC 治験責任医師 モニタリング/監査 データマネジメント 統計解析 メディカルライティング 治験の実施 自ら治験を実施する者 治験の準備、管理 総括報告書 業務委託 品質のチェック 医師が両方の 役割を担う! 注)同一人物です
10 医師主導治験と企業治験、役割の違い 業務内容医師主導治験企業治験 実施責任者 自ら治験を実施する者開発企業 治験薬概要書、 治験実施計画書、 標準業務手順書の作成など 自ら治験を実施する者開発企業 治験薬・治験機器の製造・輸入 治験薬・治験機器提供者 (開発企業) 開発企業 治験の実施 実施医療機関 治験中・治験終了後の当局対応 (治験届提出、安全性情報報告、 調査対応など) 自ら治験を実施する者開発企業 モニタリング、監査 自ら治験を実施する者 (に指名された者) 開発企業 治験データのまとめ (データマネジメント、統計解析、 総括報告書作成など) 自ら治験を実施する者開発企業 承認申請 開発企業
11 治験責任医師は、 ・自ら治験を実施する者 → 治験の準備・管理業務 (企業治験では開発会社が実施)の責任者 ・治験責任医師 → 治験の実施、被験者に対する医療の責任者 の2つの役割を担うことになる。 医師主導治験と企業治験の違い(まとめ)
12 医薬品医療機器総合機構 治験薬提供者との相談 研究費の確保 実施医療機関への打診 etc… 企業治験とは異なり、 IRBが終了してから 治験計画届を提出する。 提出 【医師主導治験】開始まで
13 医師主導治験で「自らさん」の担う職務は、 ・ 医師だけで対応できる業務量・内容ではない ・ 臨床開発全般の知識、マネジメント能力が必要 そこで、実際には以下のように業務を分担している。 ・ 専門的な業務はCROやAROへ委託 ・ 多施設共同試験の場合には、「治験調整医師」に一部の業務 を委嘱 ・ CRCや治験事務局員など、院内のスタッフの協力を得る CRO:Clinical Research Organization ARO:Academic Research Organization 業務に関する補足
14 業務依頼 委託業務先 実施医療機関 ・中央病理診断パネル ・効果判定委員会 ・効果安全性評価委員会 治験調整 ・症例登録業務 ・安全性情報取扱業務 ・モニタリング業務 ・監査業務 ・データマネジメント業務 ・統計解析業務 ・総括報告書作成業務 など 治験薬提供 安全性情報提供 一般的な医師主導治験の体制 (多施設共同試験) 治験調整医師 治験薬提供者 業務委託 各委員会
15 モニタリング、DM、解析 ライティング、治験薬輸送などの 協議、選定、業務委託 治験調整医師の役割 治験責任医師 治験調整医師 規制当局 これらは「自らさん」の業務であるが、 個々の自らさんによる実施は業務ロスが大きく 現実的でないため、治験調整医師が業務を 受諾し、実施する。 治験責任医師 治験薬提供者 CRO 【意見のとりまとめ、調整】 ・実施計画書レビュー ・副作用情報の通知 ・実施計画書解釈上の疑義 【情報の提供】 ・手順書、マニュアル等の作成 ・Q&Aの配信 【情報収集】 ・治験届出情報 ・総括報告書作成のための資料 治験届提出 副作用等報告 治験薬製造・提供、 治験薬概要書提供に係る 協議、契約
16 調整事務局が全面サポート!! 治験調整医師への委嘱業務(例) 各種標準業務手順書・治験実施計画 書に関する業務 治験薬概要書に関する業務 説明同意文書に関する業務 実施医療機関間の調整 治験中に生じた治験実施計画書上の 解釈に関する疑義および多施設間の 調整 厚生労働大臣への治験計画の届出等 に関する業務 副作用情報等の収集および規制当局 への報告の要否の判断・報告 開発業務受託機関への業務の委託に 関する業務 治験薬の管理に関する業務 治験薬の品質の確保に関する業務 効果安全性評価委員会の設置と運用 に関する業務 モニタリングに関する業務 監査に関する業務 治験の中止等に関する業務 総括報告書の作成に関する業務 記録の保存等に関する業務 その他当該治験に関する調整業務
17 (参考)関連法規 (委嘱の文書の作成) GCP第26条の4 自ら治験を実施する者は、第2条第16項に規定する調整す る業務を治験調整医師又は治験調整委員会に委嘱する場合 には、その業務の範囲、手順その他必要な事項を記載した 文書を作成しなければならない。
18 被験者への補償 (被験者に対する補償措置) GCP第15条の9 ガイダンス 注2) 治験に関連して被験者に健康被害が生じた場合の補償措 置については、必ずしも自ら治験を実施する者による保険 への加入に基づく金銭の支払いに限られるものではなく、 副作用の治療に対しては、医療の提供及びその体制の提供 という手段も考慮しうるものである。 多くの医師主導治験では、 「治験保険」+「医療の提供」でカバー
19 なし 企業治験の保険 治験保険について 原因を特定 法律上の賠償責任の有無 医師賠償 責任保険 医師賠償 責任保険 治験薬提供者 のPL保険 治験薬提供者 のPL保険 治験業務が原因 (医療行為を除く) 治験業務が原因 (医療行為を除く) 治験保険で カバーできないため 加入を強く推奨 治験保険で カバーできないため 加入を強く推奨 ※補償部分は治験薬により対象外となる場合あり 注:医法研:被験者の健康被害補償に関するガイドライン あり 治験薬が原因 (実施医療機関搬入後 の管理不備等を除く) 治験薬が原因 (実施医療機関搬入後 の管理不備等を除く) 医療行為が 原因 治験に起因した被験者の健康被害の発生 医師主導治験のための保険 治験業務による 過失責任に基づく 法律上の賠償 損害を担保する保険 治験業務による 過失責任に基づく 法律上の賠償 損害を担保する保険 ガイドライン (注) を 前提とした 無過失責任の補償を 補填する保険 ガイドライン (注) を 前提とした 無過失責任の補償を 補填する保険
20 IRBへの提出資料① 共通項目 資料名 企業 治験 医師主導 治験 治験実施計画書○○ 治験薬概要書○○ 症例報告書の見本*○○ 説明文書・同意文書○○ 治験責任医師及び治験分担医師となるべき者の氏名を記載した 文書(履歴書、治験分担医師・協力者リスト等) ○○ 治験の費用の負担について説明した文書 (被験者への支払いに関する資料) ○○ 被験者の健康被害の補償について説明した文書○○ *治験実施計画書上で、症例報告書に記載すべき事項が十分に読み取れる場合は、提出不要
21 IRBへの提出資料② 相違のある項目 資料名企業治験 医師主導 治験 モニタリングに関する手順書-○ 監査に関する計画書及び業務に関する手順書-○ 治験薬の管理に関する事項を記載した文書-○ GCP省令の規定により自ら治験を実施する者及び実施医療機関に 従事する者が行う通知に関する事項を記載した文書 -○ 実施医療機関が自ら治験を実施する者の求めに応じて治験に関 する記録を閲覧に供する旨を記載した文書 -○ 実施医療機関がGCP省令又は治験実施計画書に違反することによ り適正な治験に支障を及ぼしたと認める場合(被験者の緊急の危 険を回避するための場合を除く)には、自ら治験を実施する者は 治験を中止することができる旨を記載した文書 -○ その他の必要な資料○ー その他治験が適正かつ円滑に行われることを確保するために必要 な事項を記載した文書 -○ 赤枠の内容は、あらかじめ実施医療機関の「自ら治験を実施する者」の手順書に 入れておけば、別途、文書を作成しなくてよい。
22 治験届出事項(共通事項) 治験成分記号 治験の種類 届出回数 治験薬提供者の名称及び所在地 成分及び分量 製造方法 予定される効能又は効果 予定される用法及び用量 治験計画の概要 治験届出者に関する情報 等
23 治験届出事項 (実施医療機関ごとの事項) 実施医療機関の名称及び所在地 治験責任医師の氏名及び職名 治験分担医師の氏名 治験薬の予定交付数量 予定被験者数 被験者数 治験の実施に係る業務の一部を実施医療機関から受託する者(治験 施設支援機関(SMO))の氏名、住所及び委託する業務の範囲 治験審査委員会の設置者の名称及び所在地 医療機関での確認が必要
24 治験届出の時期① 治験計画届 ・30日調査の対象となるもの(新規医薬品) 治験薬提供者からの治験薬入手予定日または 当該治験の実施予定日の少なくとも31日以上前 ・上記以外 治験薬提供者からの治験薬入手予定日または 当該治験の実施予定日の少なくとも2週間程度前 ※ 以下の場合は、新規の計画届が必要 ・ 届出代表者の変更 ・ 目的または対象疾患の変更 軽微な変更は変更届での対応が認められる場合がある。PMDAに個別相談のこと。
25 治験届出の時期② 治験変更届 治験計画届出ごとに、原則として変更前に変更届の提出が必要 ※IRB承認前でよい (例外)下記のような軽微な事項は、事後の届出でもよい ① 変更後6カ月を目安としてまとめて届け出ることでよい ・ 実施医療機関の名称・実施診療科及び所在地・代表電話番号の変更 ・ CRO、SMOの氏名・住所及び委託する業務範囲の変更並びに追加及び削除 ・ 治験責任医師の氏名および職名の変更 ② 変更後1年を目安としてまとめて届け出ることでよい ・ 治験分担医師の氏名変更、追加、削除 ③ 治験終了(中止)届で報告すればよい ・ 治験の実施に伴って生じた数量及び被験者数の変更 治験終了/中止届 治験が終了した時点で遅滞なく
26 治験薬製造 通常、治験薬提供者が製造 →自ら治験を実施する者に提供 治験薬GMP*に定められた内容に適合する製造所で製造されていな ければならない 作成または入手の必要がある記録 ・ 治験薬の製造に関する記録 ・ 治験薬の品質試験の記録 (治験薬GMP通知に定められた記録類を含む) 品質試験のためのロットサンプルを確保 →治験データ解析終了まで * GMP:Good Manufacturing Practice
27 治験薬の輸送 (治験薬の管理) GCP第26条の2第4項 自ら治験を実施する者は、輸送及び保存中の 汚染や劣化を防止するため必要な措置を講じてお かなければならない。 治験薬の品質管理の最終責任は、 自ら治験を実施する者にある
28 実施医療機関 治験薬提供者 医療機関の長 安全性情報の提供① 実施医療機関でSAEが発生した場 GCP第48条第3項 自ら治験を実施する者が治験を実施する場合にあっては、治験責任 医師は、治験薬の副作用によると疑われる死亡その他の重篤な有害事 象の発生を認めたときは、直ちに実施医療機関の長(一つの実施計画 書に基づき共同で複数の実施医療機関において治験を実施する場合に は他の実施医療機関の治験責任医師を含む。)に報告するとともに、 治験薬提供者に通知しなければならない。 SAE 報告義務 他の実施医療機関の 治験責任医師
29 規制当局への報告が必要な副作用 未知既知 死亡 7日7日15日 死亡のおそれ 7日7日15日 入院または入院期間の延長 15日不要 永続的または顕著な障害・機能不全 15日不要 先天異常 15日不要 その他上記に準じ、医学的に重要な事象 15日不要 未知・既知の判断は治験薬概要書の記載に基づく。
30 措置報告 (報告期限:15日) 外国で使用されているものであって被験薬と成分が同一性を有する と認められるものに係る製造、輸入又は販売の中止、回収、廃棄そ の他保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するための措置の実施 研究報告 (報告期限:15日) 当該被験薬等の副作用もしくはそれらの使用による感染症によるも のと疑われる疾病等若しくはそれらの使用によるものと疑われる感 染症の発生数、発生頻度、発生条件等の傾向が著しく変化したこと 又は当該被験薬等が治験の対象となる疾患に対して効能若しくは効 果を有しないことを示す研究報告 規制当局への報告が必要な安全性情報 これらの情報は、製薬企業がすでに報告/期限内に報告予定の場合、自らさんより 重複して報告をしなくてもよい。ただし、治験届に所定の記載をすることが必要。
31 規制当局への報告が必要な安全性情報 年次報告 被験薬に係る包括的な安全性情報を、1年ごとに規制当局に報告 国内では以下を提出 ・ 治験安全性最新報告概要 ・ 国内重篤副作用等症例の発現状況一覧 ・ 治験安全性最新報告(DSUR:Development Safety Update Report) ※国内の医師主導治験では、以下の場合、報告対象外となる。 ・治験薬が国内既承認の医薬品である場合 ・治験薬提供者が当該治験薬に対する治験を行っている場合 ・治験実施期間が1年未満の場合
32 安全性情報の提供② 当局報告が必要な場合 →報告書を作成、規制当局へ提出 一の実施計画書に基づき共同で複数の実施医療機関におい て治験を行っており、治験計画届を連名で届出た場合は、 連名で作成しても差し支えない。 → 責任医師全員の意見が一致していることが条件 (責任医師間で意見の確認が必要)
33 モニタリング・監査 自ら治験を実施する者は、これらの 手順書を作成する 担当者を指名する 手順書に従い、IRBの意見を踏まえて業務を実施させる モニターは、実施医療機関において当該治験に従事してはならない。 監査担当者は、実施医療機関において当該治験およびモニタリングに 従事してはならない。
34 モニタリングで確認すべき内容は同じだが… 企業治験のモニター特有の役割として 「治験依頼者⇔治験責任医師/実施医療機関/治験に係る その他の施設間の情報交換の主役を務める」ことがある 医師主導治験で情報交換の役割を担うのは? 実施医療機関内の情報伝達・共有、治験調整医師等に対 するものは、治験責任医師と支援スタッフ 多施設共同治験の場合、試験全体に係る事項は、 治験調整医師/事務局 モニターではなく、治験を実施する人たち自らが主体である モニターの役割の違い
35 実施医療機関 モニターは開発企業側のスタッフとして、 情報提供や実施医療機関の品質のチェック、改善要請を行う。 品質管理の最終責任は開発企業にある。 モニターの立場の違い ~企業治験の場合~ 開発企業(責任者) モニター モニターの指名 モニタリングの 実施指示 モニタリング 治験事務局/CRC 治験責任医師
36 モニターは「自ら治験を実施する者」の依頼に基づき 実施医療機関の品質のチェック、改善要請を行うが、 治験の実施体制からは独立した第三者的な立場である。 品質管理の最終責任は「自ら治験を実施する者」にある。 →より自発的な業務改善が必要 モニターの立場の違い ~医師主導治験の場合~ 実施医療機関 業務受託者 モニター モニタリング モニターの指名 モニタリングの実施指示 自ら治験を実施する者 (責任者) 治験事務局/CRC
37 モニタリング報告書の取扱い GCP第26条の8 第2項(一部省略) モニターは、モニタリングを実地に実施したときは、 その都度モニタリング報告書を自ら治験を実施する者及び 当該モニタリングに係る実施医療機関の長に提出しなけれ ばならない。 企業治験では、モニタリング報告書の実施医療機関への 提出義務はない。
38 IRBでの継続審査 GCP第31条第4項 実施医療機関の長は、モニタリング報告書を受け取ったとき又は監 査報告書を受け取ったときは、当該実施医療機関において治験が適 切に行われているかどうかまたは適切に行われたかどうかについて、 治験審査委員会の意見を聴かなければならない。 (=モニタリング報告書、監査報告書はIRB審議資料である) ※本項の主旨は、モニタリング又は監査が適切に実施されたことを 確認するための規定であり、(中略)モニタリング、監査及び治験 審査委員会が相互に点検する趣旨のものである。
39 保険外併用療養費 医師主導治験でも支給対象だが、企業治験とカバーされる範囲が異なる 支給対象外経費 企業治験の場合 検査及び画像診断、治験薬の同種同効薬 医師主導治験の場合 治験薬の同種同効薬
40 総括報告書の作成 自ら治験を実施する者は、治験を終了し、又は中止した時は、 総括報告書を作成しなければならない 必要な院内資料 (治験の総括報告書の構成と内容に関するガイドライン16章付録) 治験審査委員会の一覧(確認が行われた年月日、並びに委員の氏名及び職名) 治験責任医師及び他の重要な治験参加者の一覧表及び説明 治験実施計画から逸脱した症例 治験責任医師の履歴書や倫理委員会の承認、同意説明文書、被験者ごとの治験 薬のロット番号などの補助的な文書* *総括報告書の付録に必ずしも含めなくてもよいが、準備する必要がある。 (「治験の総括報告書の構成と内容に関するガイドライン」に関する質疑応答集(Q&A)より)
41 医師主導治験に参加する際にお願いしたい「心構え」 治験責任医師には、企業治験と異なり、 「自ら治験を実施する者」(治験の準備、管理を行う者)としての 責務があります。 もし業務の一部を委託していても、 治験責任医師ひとりひとりが「試験の責任者」です。 試験を実施する体制全体、医療機関全体で 「チーム」として取り組む体制が重要です。 →企業治験に比べ格段に安い資金で実施するため、 手厚いサポートは無理な場合も →できることは自分たちで →効率よい業務遂行にご協力ください
42 医師主導治験のよくある誤解 ・ 医師主導治験は、企業治験に比べて質が悪い? → 承認に必要な求められるクオリティに差はない。 GCP等の法規制もほぼ変わらない。 ・ 医師主導治験は、製薬企業のかわりに 治験調整事務局、モニターが業務をやってくれる? → 業務はあくまでも「自らさん」の責務。 調整事務局やモニターはその業務を受託しているだけ。 支援の際は、このような誤解のないよう配慮が必要。