経済予測入門Ⅰ 第2回 内容 (1)時系列データ (2)データの季節性 前年同期との比較 季節調整 (3)景気動向指数(内閣府、DI)
1 時系列データ ☆データの並べ方による分類 時系列データ:(経済予測に最も多く用いられる) ある変数を時間軸に沿って並べたもの。データの順序が重要 日次、週次データ:為替レート、株価 月次データ :国際収支、貿易、物価指数、失業率、 鉱工業生産指 数など 四半期データ :国民所得統計(GDPなど) 暦年、年度データ:多くの産業別データ、企業データ、財政統計など 時間集計 フローデータ → 合計 ストックデータ → 期末 指数など → 平均 季節性の処理:対前年同期(同月)比(差)、季節調整 クロスセクションデータ(横断面データ) 時点を固定して、個体ごとのデータを並べたもの。 並べる順序は本質的でない 例)国別、都道府県別、州別、産業別、個人別、企業別など パネルデータ、プーリングデータ:時系列 × クロスセクション
時系列データ(1)暦年データ
時系列データ(2)四半期データ
時系列データ(3)月次データ
2 データの季節性 ・月次、四半期などの時系列データをみると、季節によって規則的な変動を 示すものが多い。 ・その理由 社会的制度や習慣の影響 日本のボーナス制度:所得は 6-7 月と 12 月に大きく上昇。 中元・歳暮:消費もこの時期に大きく伸びる。 米国のホリデーシーズン(感謝祭からクリスマス) 自然現象の影響 電力需要のピークは夏。 ・ある変数を前の期(月)と比べてもほとんど意味がない。 どんなに景気が悪くても、デパートの売上は 11 月と比べると 12 月は大幅に 伸びる。
データの季節性(1)
データの季節性(2)
季節性のある変数の変化はどのようにみれ ばよいのか 対前年同期(同月)比 ・前の期や月ではなく、前の年の同じ期や月で見ればよい。 ( 2005 年 12 月の売上- 2004 年 12 月の売上) ÷2004 年 12 月の売上 ×100 1年間の間に上向きから下向きに転換したことを見逃す 可能性がある。 季節調整 ・季節による変動をならしてしまえばよい。 移動平均: X(-1) :1ヶ月前、 X(+1) :1ヶ月先
前年同月比
移動平均
2000 年基準実質GDP(原系列と季節調整 値)
3 景気動向指数(DI) 景気動向指数は,生産,雇用など様々な経済活 動での重要かつ景気に敏感な指標の動きを統合 することによって,景気の現状把握及び将来予 測に資するために作成された統合的な景気指標 である。 ディフュージョン・インデックス(DI)は 採用系列の変化方向を合成することにより景気 局面を把握し,コンポジット・インデックス (CI)は採用系列の変化率を合成することに より,景気の量感を把握することを目的として いる。 ( アクセス日付 2006 年4月 21 日)
3 景気動向指数(DI)続き <目 的> DIは景気に敏感な諸指標を選定し,そのうち上昇(拡張)を示 している指標の割合を示すものであり,景気局面の判断,予測と景 気転換点(景気の山・谷)の判定に用いる。 <作成方法> 採用系列の各月の値を3ヵ月前の値と比較して,増加した時には +を,保合いの時には0を,減少した時には-をつける(変化方向 表)。 その上で,先行,一致,遅行の各系列群ごとに,採用系列数に占 める拡張系列数(+の数)の割合(%)をDIとする。 DI=拡張系列数/採用系列数 × 100(%) (保合い(0)の場合は 0.5 としてカウントする) ( アクセス日付 2006 年4月 21 日)
3 景気動向指数(DI)続き <利用の仕方> DIには,景気に対し先行して動く先行指数,ほぼ一致して動く 一致指数,遅れて動く遅行指数の3本の指数がある。 先行指数は,一般的に,一致指数に数ヵ月先行することから,景 気の動きを予知し,遅行指数は一致指数に半年から1年遅行するこ とから景気の転換点や局面の確認に利用する。 なお,DIは変化率を合成したものではないので,DIの水準自体の 変化は景気変動の大きさないし振幅とは直接的には無関係である。 ( アクセス日付 2006 年4月 21 日)
3 景気動向指数(DI)続き DI 採用系列 → 別表 DI 変化方向表 → 別表 ( アクセス日付 2006 年4月 21 日)