Copy right ( C) 2004 國井 良昌 All rights reserved . シリーズ:著者の回答 次ページに続く FMEA/FTA の観点から診断機能をどのように捉え、考えれば良いのでしょうか? 質問 -036 ( Hg 社神奈川 デバイス制御 開発部: F.R 様 ) 「今後の機種は診断機能の強化だ!」と開発上層部や保守センター等、いろいろなと ころから言われています。 設計の優先度としては第一位ではありませんし、診断する前によく FMEA を実践して おけば故障しないでしょうし、故障しても影響度や危険度が低いでしょうという事で 、当然 FMEA の観点から言えば不要な機能かと思います。(言い過ぎ?) しかし、お客様やサービス側の立場や、予防保全という観点からすると、無下に不要 とも言えないと思います。 FTA を行う場合でも早く原因にたどり着くことができると思います。
Copy right ( C) 2004 國井 良昌 All rights reserved . シリーズ:著者の回答 次ページに続く コストにも影響が出ますし、診断結果をどこまでエスカレートするか・・・ 例えば自己診断で警告を出すまでとするか、ネットまたは公衆回線を介してサービス センターに自動転送するか、逆にサービスセンターが常にモニターしていてトラブル が発生しそう、または、発生してしまったらサービス部門に対応のアクションを取ら せるまで行うのかなど。 これらによりシステム設計(「森」に相当すると思っています)が、全然違ってくる と思います。 影響度や危険度が高くても問題に手を打たず診断で済ませてしまうというのは論外で すが、フェールセーフ等、 4 つの対策設計思想のどれにも当てはまらないと思います。 診断をするために新たにセンサが追加になることが多いと予測され、センサ自体やセ ンシングシステムの FMEA も実施しなければならず業務もどんどん膨らんでいってしま いますが・・・ 國井講師は如何にお考えですか?
Copy right ( C) 2004 國井 良昌 All rights reserved . シリーズ:著者の回答 次ページに続く 回答 – 036 失礼な表現かもしれませんが、社内外にて、長年、講師をやっておりますが、こ のような「高度な質問」をしてくれる設計者は 100 人中 1 人ぐらいです。残りの方 々は何も悩まないのか否か、とても心配しています。 とてもうれしい質問内容です! さて、回答に入りましょう。 1. 診断機能は基本的には必要 端的に言えば、診断機能は必要です。次ページの「 FMEA レベル表」に示すように 、「検出能力」が高まるからです。例えば、講義中に説明しましたように、 1000 枚 のコピー作業を頼まれたとします。 999 枚目で、コピー画質の真ん中に「黒点」が 人間の目で発見されるのと、コピー 1 枚目で機械が自己診断するのでは、レベルが 「 5 」 → 「 1 」へ激減する訳です。 一方、ファン フェイルの説明もしました。(四角い空冷ファンです) かつてのファンは、 24V の赤線とリターンの黒線でしたが、最近は、ファンフェイ ルという黄色線が付加されています。ファン自身が壊れた時に自己診断機能の信号 を発信するためです。
Copy right ( C) 2004 國井 良昌 All rights reserved . シリーズ:著者の回答 次ページに続く しかし、当初はファンが壊れていないのに、フェイル信号を発信したり、誤受信 したりの不具合も多発しました。発信側、受信側の技術が未熟だったのでしょう。 現在は安定していますが。
Copy right ( C) 2004 國井 良昌 All rights reserved . シリーズ:著者の回答 以上の二つの例を以って、ご自身の開発テーマに当て嵌めてみてください。自己 診断機能は、基本的には「リスクレベルを下げる役目」であることを理解してくだ さい。 一方、あなたの開発する商品が「 10 の 3 乗」、もしくは、「 10 の 4 乗」の商品なら、 自己診断機能による遠隔操作サービスなる新しいビスネスも GE (米国)を筆頭に 誕生してきているのです。 GE の航空機エンジンや医療用 CT スキャナーです。 いずれも、自己診断機能の採用は、適材適所にあって初めて役を成すものであり 、フェールセーフ設計思想の代表格と思います。 是非一度、「システム工学設計法」を受講してみませんか? 前記、 GE のビデオ が鑑賞できます。 次ページに続く
Copy right ( C) 2004 國井 良昌 All rights reserved . シリーズ:著者の回答 2.診断機能は適材適所、そして、フェールセーフ設計思想であること 次ページに続く 下記テキストをもう一度良く読んでください。特に、黄色の部分です。「シミュ レーション、各種テスト、またはこれらの組み合わせによって証明できる設計」と いう記述です。 証明が必要なのです。 設計者はとかく、自信過剰な部 分も多々あり、「証明できました 」と言うでしょう。 ここを深く深く掘りさげていく のが、「設計 FMEA 」であり、「 FTA 」であり、最終的には設計審 査なのです。
Copy right ( C) 2004 國井 良昌 All rights reserved . シリーズ:著者の回答 診断機能は適材適所、ちょっと話題を変えて 、 例の「回転ドア事故事件」を見てみましょう 。 次ページに続く どうですか? 一歩間違えれば、何の役も成さないセンサー 、自己診断機能も成さないのです。成さない どころか、逆効果です。 繰り返しますが、重要なことは・・・ 設計者はとかく、自信過剰な部分も多々あり 、「証明できました」と言うでしょう。ここ を深く深く掘りさげていくのが、「設計 FMEA 」であり、「 FTA 」であり、最終的には設計審 査なのです。 キチンと役を成すことが全員設計で確認でき て、はじめて、「診断機能」なのです。 多いに設計 FMEA を活用なさってください。 いかがでしょう?
Copy right ( C) 2004 國井 良昌 All rights reserved . シリーズ:著者の回答 例えば、ここに「自己診断機能」を付加しておけば、重大事故や社告 → リ コール → 倒産にはならないはずです。 テキスト「ハインリッッヒの法則」、テキスト「スイスチーズモデル」 も復習しておきましょう。 本 Home Page のトップページからもダウンロードができます。 初めての方は、受講をお勧めいたします。 以上 【補足】