Microeconomics 競争市場と公共政策 E2 価格規制と補助金・在庫  1 1 農業保護の無間地獄 2 2 無間地獄先進国日本 ? 3 3 主な農業政策の非効率性 農家は弱者 ? ~ 農業保護の無間地獄~ 農家は弱者 ? ~ 農業保護の無間地獄~ 課題課題.

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Microeconomics 競争市場と公共政策 B4 上限価格規制の愚行  1 1 ★ 家賃統制の愚行 2 2 地代家賃統制令の亡霊 3 3 ★ 要点 上限価格規制 上限価格規制 ~ 家賃統制の愚行~ 上限価格規制 ~ 家賃統制の愚行~ 課題課題.
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© Yukiko Abe 2014 All rights reserved
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Microeconomics 競争市場と公共政策 E2 価格規制と補助金・在庫  1 1 農業保護の無間地獄 2 2 無間地獄先進国日本 ? 3 3 主な農業政策の非効率性 農家は弱者 ? ~ 農業保護の無間地獄~ 農家は弱者 ? ~ 農業保護の無間地獄~ 課題課題

Slide 2 第 23 章 (pp ) の主旨・用語を理解した ? 1. 米国農協が 1920 年代に生産制限に努力した理由,それ が失敗した理由は ? p ( 農産物価格の下落,競争市場 ) 2. 農家の正常利潤とは ? p ( 農家の労働の機会費用  経済学的な費用 ) 3. 米国農業補助政策の発端である 1933 年の農作物価 格支持制度の2問題は ? p ( 高価格・高額支払,穀物在庫の膨張 ) 年代の目標価格制度の導入効果は ? p.228 ( 消費者価格 の低下・在庫の減少, But 納税者負担の明瞭化 ) 5. 農家所得 は 低い ? 補助 は 少ない ? p.230 (20% 高,生活保護より5割大 ) 6. それでも日本よりマシな理由は ? p.231 ( 農家所得は2倍 ) Q 読解力チェック PP

Slide 年代:農協の生産制限失敗  競争市場 2. 米国政府による農業補助  政治経済学 年代 : 価格支持制度,80 年代 : 目標価格制度 年 ( 上記2制度の選択 or 収入保障制 )  $2000 億 / 10 年 3. ∴形態を変え膨張する農業補助  政治経済学 1. But 農家は,他部門の平均所得より 2 割高い 2. しかも補助金の 2/3 は, $25 万以上の富者が受益 1 農業保護の無間地獄

Slide 4 「雄叫びの 20 年代」にもかかわらず,急 落した食品価格に対し,多くの農業協同 組合が考えた原因・対策・結果は ? pp 需要減少による競争均衡 E 1 の変化は ? E 2 2. そこで農協が生産制限を試みた理由は ? E 3 3. なぜ農協の 数量カルテルは失敗したのか ? Q1 生産(数量)カルテル

Slide 5 輸出・需要 ↓  生産制限  カルテル失敗 1. 需要曲線の左方シフト E 2 : P ・ Q ・収入の低下 2. 供給曲線の左方シフト E 3 : Q↓ but P ・収入の上昇  非弾力的な需要曲線 3. 農産物市場は競争的 多数の主体が同質な生産物 A1 消費者を守るのは競争市場 E2E2 P Q D S E1E1 Q1Q1 E3E3 Q2Q2 Q3Q3 P1P1 P2P2 P3P3

Slide 6 1. 政府が決める支持価格・公正価格は市場 価格より高い or 低い ? p.226 ( 高い  農家の利益 ) 2. さらに「返済義務のない融資」もしたの で超過供給が加速,対策は ? p.227 ( 備蓄 & 援助, 減反 ) 3. 結果は ? p ( 生産性の上昇,大豆等への支持政策の拡大 )  消費者の余分な負担 $100 億 +膨大な在庫 Q2 トウモロコシの価格支持政策

Slide 7 1. 政策転換理由は ? p.228 ( 消費者負担と政府在庫の削減 ) 2. 生産者が受け取る目標価格はそれをすべ て需要する消費者価格より高い ? p.227 ( 高い ) 3. 不足払い $250 億は誰が負担 ? p.228 ( 納税者 )  ∴消費者負担・在庫は減少  But 巨額の補助金 = 納税者負担 の明瞭化 Q3 80 年代の目標価格政策への転換

Slide 8 なぜ農業に多額の補助をし続けるのか ? 1. 契機・名目・拡大 輸出・需要・価格 ↓  食の重要性  政府介入 2. 政治家・官僚を動かす少数者(利益集団) 農業協同組合,農業関連の大地主・大企業 3. 合理的に無知な多数の消費者・納税者  Q 演習 2 名目的理由 + 1人当たり平均負担額は少額 「政治経済学の核心」の一般性

Slide 9 1. 生産費以下で輸出される米国トウモロコ シの輸入国の農民は損をする ? 1. 輸入国の供給増加  価格の下落 2. ∴農民の所得 ↓ (But 消費者余剰 ↑ ) 2. なぜ納税者の負担で巨額補助が続く ?  前頁  納税者の合理的無知 Q 演習問題 (P.233)1-2

Slide 10 補助金の即時全面撤廃 1984 年 ニュージーランド 1. 農業産出額の3割あった補助金を全面廃止 2. 技術改良・費用削減・輸出開拓への誘因 ↑ 3. 土地生産性は,年率6%で上昇 4. 農業産出額も,40%増加( GDP 比も上昇) 5. しかも破綻した農場は,わずか1% ∴補助金廃止によって,農業を活性化できた 例 競争促進による農業の活性化

Slide 11 米国の政策より,日本はもっとヒドイ ?  p.231  ∵日本の農業所得は平均の2倍, $100 メロン  2013 年度: 農家所得 に占める 補助金比が OECD で 最 大 日本の農業の無間地獄 1. 問題:低生産性・小規模( 2 ㌶  米国 170 ㌶) 2. 対策: 補助金・高関税( 米: 778%, コンニャク: 1706% )・減反 3. But 対策が問題を深刻化  改善気配 さえ 13 年まで なし 2 無間地獄先進国日本 ?

Slide 年 世界初の先物市場(大阪・堂島)  大正時代まで,米の価格は市場で決定 統制の「契機・名目・拡大」 年 コメ騒動  21 年 米穀法 年 食糧管理法 (-95 年 ) , 70 年 減反本格化 3. 自由化 は 民主党の戸別所得補償で停止 but 2013 日本の米: 市場経済から統制経済へ

Slide 13 食管法 ( 年 ) と減反政策による衰退 1. 減反政策を 70 年以降続ける理由は ? ( 超過供給 ) 2. なぜ過剰生産が続いたのか ? ( 高い生産者価格 ) 3. 食管赤字の拡大を防げなかった理由は ? ( 低い消費 者価格  差額補填,減反補助,在庫処理 ) 4. 近年の減反を条件とする戸別所得補償への転 換の効果は ? ( 過剰生産の縮小 but 規模や生産性は ?)  2013? Q4 食管法の悲惨な結果

Slide 稲作面積を5年で10倍計画  日経新聞 12/10/31 1. 目標( 2011/10 ): 平均 2 ㌶  ㌶ 2. 農地をまとめて貸す地主に 万円補助 3. But 首都圏でも1%未満  戸別所得補償(減反) が条件 2. 非主食用 ( 備蓄・飼料 ) 米増産の補助金・支援 3. ∴いずれも減反政策と矛盾するバラマキ  規模拡大・生産性上昇への誘因設計と矛盾 民主党政権下の更なるバラマキ政策

Slide 15 農業政策の問題  価格規制+補助金 1. 米国の価格支持制度: 消費者負担・在庫の増加 2. 米国の目標価格制度: 巨額の補助金の明瞭化 3. 日本の食料管理制度: 巨額の補助金・在庫の増 加 4. 日本の戸別所得補償: 巨額の補助金の明瞭化 減反政策  農業を活性化させない誘因への補助金 1:下限価格規制 + 政府補助金 (超過供給購入) 2&3:消費者価格 < 生産者価格 + 補助金 3 主な農業政策の非効率性

Slide 16 需要・供給のグラフを使って説明すると ? 1. なぜ価格支持制は,消費者負担と在庫を増加 ? 2. なぜ目標価格制は,それらを解消できる ? 3. なぜ食管制は,在庫と補助金を増加 ? 4. ★競争均衡に比べ社会余剰を減少させるのは ? 全政策  消費者余剰+生産者余剰-補助金 ∴各制度での補助金額のチェックが重要 Q5 農業政策の非効率性

Slide 17 在庫の増加,消費者価格 & 負担額が大 1. 政府が公正価格 P 1 を支持 2. 農家は Q 1 まで生産: E 1 3. But 消費者は Q D のみ需要 4. 政府の購入 Q D Q 1 が必要 5. 消費者負担額: P 1 ×Q D , 6. 補助金額: P 1 ×(Q 1 - Q D ) 7. ∴社会余剰は低下 A5 価格支持制度の非効率性 1 P Q E P* Q* 超過供給 P1P1 E1E1 Q1Q1 QDQD

Slide 18 在庫・消費者価格 ↓ , But 納税者負担は可視化 1. 政府が目標価格 P 1 を決定 2. 農家は Q 1 まで生産 3. 需給一致の消費者価格 P 2 4. 政府の不足払いが必要: E 2 5. 消費者負担額: P 2 × Q 1 6. 補助金額: (P 1 -P 2 )×Q 1 7. ∴社会余剰は低下 A5 目標価格制度の非効率性 2 P Q E P* Q* P1P1 E1E1 Q1Q1 QDQD E2E2 P2P2

Slide 19 消費者価格 ↓ , But 在庫・納税負担は価格に依存 1. 政府が生産者価格 P 1 と消費者価格 P 2 を決定 If 前頁水準なら同じ結果 2. 供給 Q 1 ・需要 Q 2 で在庫発生 3. さらに不足払いも必要 4. 消費者負担額: P 2 × Q 2 5. 補助金額: (P 1 -P 2 )×Q 2 と 在庫増分 P 1 × (Q 1 -Q 2 ) の和 6. ∴社会余剰は低下 A5 食糧管理制度の非効率性 3 P Q E 超過供給 P1P1 E1E1 Q1Q1 E2E2 P2P2 Q2Q2

Slide 20 市場価格を上回る生産者価格  下限価格規制 発生する超過供給の解消法 1. 政府購入: 補助金 + 在庫  価格支持政策 2. 低い消費者価格:補助金  目標価格政策 If 長期的な供給が弾力的   補助金・在庫の拡大  赤字・備蓄の限界 価格規制と補助金・在庫の拡大

Slide 21 主な農業保護政策と結果 1. 価格支持政策,目標価格政策,食糧管理政策 2. 在庫・備蓄の拡大,納税者負担の増加 3. ∴ 非効率(死荷重の増加・社会余剰の縮小) なぜ それなのに 規制 し続ける ?  政治経済学 次回準備: N21 章 & インフラ整備 本日のポイント 要点