①ラジオの今と歴史 ②ラジオとパーソナリティ ③新しいラジオ:コミュニティFM ラジオ 〜声と語りのメディア〜 ①ラジオの今と歴史 ②ラジオとパーソナリティ ③新しいラジオ:コミュニティFM
ラジオは過去のメディアなのか? ◆加藤晴明のラジオ研究 「ラジオパーソナリティ論のための予備的考察」2010 「〈ラジオの個性〉を再考する」2008(学会誌) 「コミュニティ放送の事業とディレンマ」2007 「コミュニティFMのアイデンティティ」2005(学会誌) 「有線放送電話のアイデンティティ」2005
■ラジオの今 市場の下げ止まり 昔若い時に聴いていた人がまた聴きだした FM比率の上昇 収入の7割りは3大都市 コミュニティFM局数の増加→市場は横ばい 広告費がインターネットに負ける 聴いている番組①天気②交通情報③トーク 男性「車の中」女性「自宅」 「退屈しのぎ・暇つぶし」「場所や気分を選ばない」「情報が新鮮・新しい」
■ラジオの種類 AM(NHK1925、CBC1951) FM東海(東海大学)(1960) 第1世代FM(1970/FM東京) 第2世代FM(1985/FM横浜/ZIP-FM1993) 第3世代FM (FM COCORO1995/InterFM1996/RADIO-i1999) コミュニティFM(1992〜) ミニFM(1982〜一次ブーム) インターネットラジオ・Webラジオ(1996FMC/2002〜)
■歴史:アマチュア無線から 信号の無線通信の可能性1895マルコーニの無線装置→無線通信/水上交通無線=船舶通信 音声通信:声や音楽の無線送信 フェッセンデン ド・フォレスト 1906〜1907ラジオ放送の構想 ニューヨーク、パリで実験→倒産 アマチュア無線のネットワーク 1910年代アメリカ 草の根的なラジオ網/無線局 ラジオ放送の誕生(送り手の放送局/受け手の大衆)コンラッドの8XK局 広域をカバー/大統領選挙の開票 ラジオブーム
■歴史:続き 空前のラジオブーム 内容:蓄音機・生放送の音楽・教会のミサ・大統領の談話、野球・テニス・ボクシングの試合中継・ニュース・公演 1924 全米で530局 特徴①インテリアとしてのラジオ ②家族全員が楽しむ ③都市ブルジョアジー→農村まで巻き込む →カントリー・ミュージックの誕生 第一次世界大戦(1917)から第二次世界対戦(1945): 地域的メディアから全国的メディアへ
■日本のラジオの歴史 (1)新聞社によるスタート 1922〜1924 大正時代 「日本もいよいよ無線電話の時代」 1922〜1924 大正時代 「日本もいよいよ無線電話の時代」 「わが社もブロードキャスティングステーションとしての読者の自宅へ」 「近く出現するラヂオ時代/無線電話の一般使用か…」 ▼政府の介入 (2)日本放送協会(NHK)の独占 1925 東京放送局の開局
■日本のラジオの歴史 揺籃期:戦前のラジオ揺籃期: =ラジオを聴く身体的慣習の成立 「ラヂオ気分」 =ラジオを聴く身体的慣習の成立 「ラヂオ気分」 「銀座を通るとラヂオの同じ曲目が聞こえる…銀座はラヂオに憑かれて居る。」 全盛期(1945〜55): ①.戦後のNHKの隆盛/ニュース・ラジオドラマ・歌謡番組(紅白音楽試合1945〜) ②.民放の開始(CBC 1951→テレビ1953) ③.農村の有線放送電話(2600施設) 時間のメディア・家のメディア・夜のメディア
■日本のラジオの歴史 競合と改革期(世代というセグメント)…テレビの台頭 深夜ラジオ:若者向け深夜ラジオ オールナイトニッポン(初期黄金期1967〜72→72〜85) マシンガントーク 音楽放送期:都市文化・音楽放送(FM東京1970〜、FM横浜1985〜) 多様セグメント期(世代・地域・趣味によるセグメント) ラジオ深夜便(1991〜)、コミュニティFM(1992〜) ウェブラジオ(本格的ブロードバンド2005〜)ex.アニラジ
■AMとFM ■AM : Amplitude Modulation 増幅変調 主として長波、中波および短波のラジオ放送で用いられる。ノイズに弱い→スポーツ中継・ニュース・交通情報 526,5kHz〜 1606,5kHz 9の倍数 ■Fm: Frequency Modulation 周波数変調 雑音に強く、高音質→音楽番組などに向いている。 到達する距離が短い。都道府県・中継所単位 主として超短波以上の周波数で用いられる。 76〜90MHz 100kHz感覚
■送り手の口調と呼び名 語りの技法 時期 呼び名 美文調・朗朗調 戦前 アナウンサー 淡々調 戦前のアナ講習 語りかけ・おしゃべり口調 戦後 ためぐち間なし口調 深夜ラジオ パーソナリティ・DJ 上品気取り口調 FM パーソナリティ シングル軽快口調 第2世代FM DJ、ナビゲーター 書きことば口調 ラジオ深夜便 アンカー 生活共感口調 コミFM 自分語り口調 コミFMボランティア
■ラジオの特性…ラジオの論じられ方 ラジオ論の共通項目: 〈ことばと絆〉仮説 〈ラジオ的な身軽さ〉…機動性 ラジオ論の共通項目: 〈ことばと絆〉仮説 〈ラジオ的な身軽さ〉…機動性 〈ラジオ的な絆〉…リスナーとのやりとり CBCの局長さんの指摘 ①.聞き手との距離が近い ②.帰属意識が高い ③.身軽で組織が小さい 藤竹先生 〈個人を触発するメディア〉←〈共感のメディア〉
■ZIP-FMの若者番組への批評 名古屋のナンバーワンステーションZIP-FM 77.8Mhz RADIO KICK 平日の夜7時〜11時 南城大介(月曜日・火曜日) ヒライユミカ(水曜日・木曜日)
■ラジオ番組を企画する ラジオ番組企画「大学生が聴きたいZIP-FM」2時間番組 企画その(1)土曜日の午前中、友達・彼氏とドライブに行くシーンで聴くラジオ番組 企画その(2)平日の夜、ゼミのレポートをたらたらやりながら聴くラジオ番組 コーナー・曲・時間 具体的な内容・ゲスト・曲名など 【 】
■ラジオでよくあるコーナー 〈ナビゲーターと他者とのコミュニケーション〉 〈ナビゲーターと他者とのコミュニケーション〉 ●ゲスト出演/●取材:お店、ドライブスポット(道の駅とか)●街頭インタビュー/●リスナーとの電話つなぎ/●メッセージを読む 〈トークの内容〉 ●映画の話/●生活スタイルあれこれ:素敵な生活スタイル/●生活スタイルあれこれ:ファッション・美容・健康・食・趣味、、、/●会社・仕事の話/●イベント情報/●キャンペーン(乳がん検診、アクトアゲインストエイズ、COP10などなど)/●音楽ランキング/●あれこれランキング/●恋愛・結婚の話/●占い/●交通情報/●下ネタ
■ラジオの魅力〜沖縄のラジオ AM的なラジオ文化の県(車・事務所・自宅) しかし慢性的な経営不振 ▽ 人気パーソナリティの登場・採用 ▽ 人気パーソナリティの登場・採用 ファン・コミュニティができる。 ファンの集い ヤンキー文化的な担い手 (ネットにいかない層)
■コミュニティFM(1) (1)素人が始めた、多層の〈自己メディア〉 =多層に成立する「私のメディア」 (2)多メディア運営の形様 =多層に成立する「私のメディア」 (2)多メディア運営の形様 =FPO〜3セク〜NPO〜公設民営 年齢レス=若くして放送局長 マスコミを志望したわけではない素人出身スタッフ 人生の途上で突然パーソナリティになる人びと 誰もが辞めたがらないマイクの語り手の魅力
■コミュニティFM(2) ①地域密着メディア(地域の話題) ②自己メディア(自分メディア・自分の目線からの話題) ①+②=小規模独立メディア 地域メディアの「地域」という語彙の本質 ①リスナーとの距離の近さ=両者の当事者性 ②自分=顔があること=固有性・特異性 →この魅力は、ネットに吸収されてきている。
■コミュニティFM(3) コミュニティ・パーソナリティというものがある? 語りの立ち位置…市井の人、共感、寄りそう 語りの技法…「素の自分」をつくる=詐術する パーソナリティとしての技法
■コミュニティFM(4) 担い手=多層な自己メディア 社長と社員 (放送局長・ディレクター) ゲスト コア・パーソナリティ (帯番組・番組契約) ボランティア・パーソナリティ
■コミュニティFM(5) 収益 CM(番組・スポット・提供クレジット) 番組時間枠の 販売(4万/1時間) イベント (販売促進イベント) (中継イベント) 番組表冊子 (収益率は高い)
■コミュニティFM(6) 地域話題とテーマ話題 ・お知らせ 放送の3つのモード ・よもやまトーク(トピック) ・ニュース(新聞) ・エンタメ(音楽他) ・おしゃべり(ゲスト) 放送の3つのモード 平時の放送 自主制作放送 祭事の放送 イベント 有事の放送 (災害)
■ラジオは過去のメディア? 〈声〉メディアの地層 〈地域密着と人密接〉=絆のメディア 〈制度〉メディア(許認可放送)の優位さ 〈クロスメディア〉(映像・ネットとのクロス)の容易さ これらの特性で、ラジオは生き残れるのか?