日本人の視点から見る海外CM
目的 日本と海外の人とでは、その生活習慣、文化、 歴史などから物事の考え方が異なっています。 CMにもその国の国民性が影響を及ぼしていると 考え、日本人が海外のCMを見たときの捉え方の 違いを調査します。
概要 日本人の視点から海外のCMを見るとどのような 捉え方をするのかを検証するために、日本のCM と海外のCMをいくつかピックアップし、実際に そのCMを見てもらいアンケート調査を行い、そ のCMを見てどのようなメッセージを捉えたか、 またどうような点に着目し評価したかを調査し、 分析します。また、その結果から日本で受け入 れられる海外CMの条件を見出すことを1つの目 的とします。
意義 こだわりとして、実際にCMを見てアンケート に答えてもらうため、アンケート調査に掛かる 時間は増加するが、ただ質問に答えてもらうも のより、CMを見た鮮明な記憶があるので、直観 的でなく正確にアンケートに答えてもらうこと ができる。
日本と海外のCMの違い 日本 放送時間15~30秒 商品のイメージに合う俳優や イメージキャラクターを使い、 間接的に商品PRする手法がよ く使用されています。 海外 放送時間1~2分 放送時間が長いため、スト リー性の高いCMが多い
例:DoleのCMに対する海外の反応 「この動画の前じゃ、言葉は無力だ……。」 ドイツ 「よし……。今死んでも悔いはない。」 セルビア 「この動画の前じゃ、言葉は無力だ……。」 ドイツ 「よし……。今死んでも悔いはない。」 セルビア 「なんだ、日本の日常じゃないか。」 ニュージーランド 「何で日本はこんなにイカれてるんだ?」 アメリカ
アンケート調査 アンケートでは、コカコーラ社のコカコーラのCMを使用し ます。使用理由は、日本と海外で同企業が同商品を取り扱い、 各国の支社がその国向けのCMを作成、放送しているためで す。 各CM(日本のCM2本と海外のCM2本)をストーリー性・ユーモア・感 動・キャラクター・商品PR(Promotion)の5つの点を5段階で評価して もらいました。 また、そう評価した理由を記述式で回答してもらいました。実際にCMを見 て感じることを判断してもらうため、事前にCMの説明はしていません。 仮定として、日本のCMは間接的に商品のPRを行うことが多いため、 キャラクター性・感動の値が高いものになると考えています。また、海外 のものは、日本のものより放送時間が長くそれを活かしたストーリー性の 値が高くなると考えています。また商品のPRでは直接的な表現をするため 値が高くなると考えています。
使用したCM 日本のCM CM1 コカコーラNo Reason CocaCola 『GO! スタジアム篇』 CM3 Coca-Cola Border CM4 Coca-Cola Sleepwalker
アンケート結果 CM1 人気モデルの香里奈を使用することによってキャラクターの評価は高いものとなっ ています。しかし、イメージキャラクターを強調するようにストーリーを作ってい るためストーリー性・ユーモア・感動に対する評価は低いものとなっています。ま た、このストーリーにおいてのコカコーラの必要性が低いため、商品PRも高い評価 は得ることが出来ませんでした。
CM2 イメージキャラクターを使用していないためキャラクターの評価は低い。しかし、 コーラの空き瓶でクリスマスツリーを作るという点からストーリー性から商品PRま での一貫性があり、その他では高い評価が得られている。みんなでツリーを作り上 げ、ライトアップする演出が感動するという評価理由が多くありました。
CM3 4つ のなかでこのCMの評価が一番高かった。海外のCMのため放送時間が1分あ り、その分ストーリー性の高い内容が作成出来る。そのため評価が高くなったと判 断できる。また、BGM(Back Ground Music)以外の音声をほとんど使わずに表 現していることに対する評価理由が多く書かれている。
CM4 これの評価理由に多かったものが、ユーモアはあるが何を伝えたいのかよくわから ないということでした。CMを見て夢遊病を題材にしていることに気付いた人が少な かった。そのために、評価が低かったと考えられる。日本ではあまり認知されてい ない夢遊病ですが、海外では人気ドラマの『FRINGE』、『Dr.HOUSE』などで夢 遊病が取り上げられている回が放送されているため、認知している人が多く、その ためこのCMを放映しても意図が伝わると判断され、作成されたものと考えられる。
日本CMと海外CMの評価の比較 海外のCMはキャラクターの個性は濃くはないものの、そのストーリーにおいての役 割がはっきりしているため、CM全体として、なくてはならない存在となりキャラク ターとしての評価が高いものになっています。 CM4は夢遊病についてよく知っているかどうかで評価基準に差が生じました。同 じ海外CMであるCM3は全てのCMの中で最も高い評価を得ています。 海外CMの中にもさまざまなものがあり、海外では説明する必要のない一般的な事 象であっても日本人には馴染みの薄いものもあります。 そのため、海外CMを見た日本人は正当な判断による 評価が難しい場合があるという結果が得られました。 商品PRの点で高い評価を得ていた CM②とCM③共通点を考察した結果、 その「商品や感情の共有」であると判断 出来ます。どちらのCMもコーラを飲むと いう同じ喜びを分かち合うことを表現しています。
まとめ アンケート調査の結果、日本人の国民性であ る高い協調性から、「商品や感情を共有する」、 「他者と何かを成し遂げること」に高い評価を するということが明らかになりました。 日本人はキャラクター性の強いものよりも、ス トーリー性の強いものを高く評価される。 日本人に好まれる海外CMは「他者と何かを共有 する」ということを表現していることが条件だ と言えます。