グラフィカル多変量解析 ----目で見る共分散構造分析----

Slides:



Advertisements
Similar presentations
生物統計学・第 5 回 比べる準備をする 標準偏差、標準誤差、標準化 2013 年 11 月 7 日 生命環境科学域 応用生命科学 類 尾形 善之.
Advertisements

計量的手法入門 人材開発コース・ワークショップ (IV) 2000 年 6 月 29 日、 7 月 6 ・ 13 日 奥西 好夫
1 市場調査の手順 1. 問題の設定 2. 調査方法の決定 3. データ収集方法の決定 4. データ収集の実行 5. データ分析と解釈 – データ入力 – データ分析 6. 報告書の作成.
土木計画学 第3回:10月19日 調査データの統計処理と分析2 担当:榊原 弘之. 標本調査において,母集団の平均や分散などを直接知ることは できない. 母集団の平均値(母平均) 母集団の分散(母分散) 母集団中のある値の比率(母比率) p Sample 標本平均 標本分散(不偏分散) 標本中の比率.
マルチレベル共分散構造分析 清水裕士 大阪大学大学院人間科学研究科日本学術振興会. 本発表の概要・目的 個人 - 集団データの階層性 個人 - 集団データの階層性 階層的データは従来の方法では十分な分析が できない 階層的データは従来の方法では十分な分析が できない 従来の方法は何が不十分なのか?
2016 年度 計量経済学 講義内容 担当者: 河田 正樹
社会調査データの分析 社会調査・実習. 分析の手順(1) 1 1 入力データの点検 (全部の調査票 に目を通す) 2 2 通し番号の入力。必要ならば回答の コード化。 3 3 入力フォーマットの決定 4 4 データ入力( Excel, エディターなど)
1 / 44 SPSS ハウツー 独立行政法人 大学入試センター 橋本 貴充 2007 年 3 月 30 日 ( 金 )
統計学入門2 関係を探る方法 講義のまとめ. 今日の話 変数間の関係を探る クロス集計表の検定:独立性の検定 散布図、相関係数 講義のまとめ と キーワード 「統計学入門」後の関連講義・実習 社会調査士.
1 徹底討論「主成分分析 vs 因子分析」 主成分分析は因子分析ではない ! 狩野裕 (大阪大学) 日本行動計量学会第 30 回大会 於:多摩大学.
エクセルと SPSS による データ分析の方法 社会調査法・実習 資料. 仮説の分析に使う代表的なモデ ル 1 クロス表 2 t検定(平均値の差の検定) 3 相関係数.
データ解析
第1回 確率変数、確率分布 確率・統計Ⅰ ここです! 確率変数と確率分布 確率変数の同時分布、独立性 確率変数の平均 確率変数の分散
データ分析入門(12) 第12章 単回帰分析 廣野元久.
平成14年2月8日 卒業研究報告 相関行列に基づく非計量多次元尺度法 に関する研究
寺尾 敦 青山学院大学社会情報学部 atsushi [at] si.aoyama.ac.jp
  個人投資家向け株式分析   と予測システム A1グループ  劉 チュン.
多変量解析 -重回帰分析- 発表者:時田 陽一 発表日:11月20日.
共分散構造分析(SEM)は パス解析,因子分析,分散分析のすべてにとって代わるのか?
コメント 「ファセット・アプローチの 魅力とパワー」
因子分析と共分散構造分析 狩野 裕 大阪大学人間科学部 日本行動計量学会 春の合宿セミナー
データ解析 静岡大学工学部 安藤和敏
攻撃性尺度の分析:小学生vs中学生Ⅱ ---- 多母集団の同時分析&男女間の平均を調整 ----
コメント 狩野 裕 大阪大学人間科学部 日本心理学会ワークショップ 「探索的因子分析における変数の選択(3)」
第4回 (10/16) 授業の学習目標 先輩の卒論の調査に協力する。 2つの定量的変数間の関係を調べる最も簡単な方法は?
第37回日本看護研究学会学術集会 シンポジウムII 20011/8/8(月)(デブの日)14:40~16:40 中山和弘(聖路加看護大学)
分布の非正規性を利用した行動遺伝モデル開発
林俊克&廣野元久「多変量データの活用術」:海文堂
Bassモデルにおける 最尤法を用いたパラメータ推定
日本行動計量学会第29回大会 於:甲子園大学 (2001/9/14-16)
因子分析や3相因子分析による分析の問題点を整理する 狩野裕+原田章(行動工学講座)
回帰分析.
寺尾 敦 青山学院大学社会情報学部 社会統計 第12回 重回帰分析(第11章前半) 寺尾 敦 青山学院大学社会情報学部
臨床統計入門(3) 箕面市立病院小児科  山本威久 平成23年12月13日.
第3章 重回帰分析 ー 計量経済学 ー.
第3章 重回帰分析 ー 計量経済学 ー.
マーケティング・リサーチ.
「データ学習アルゴリズム」 第2章 学習と統計的推測 報告者 佐々木 稔 2003年5月21日 2.1 データと学習
データ分析入門(13) 第13章 主成分分析 廣野元久.
ワークショップ ユーザーとメーカーの公開相談会
市場調査の手順 問題の設定 調査方法の決定 データ収集方法の決定 データ収集の実行 データ分析と解釈 データ入力 データ分析 報告書の作成.
構造方程式モデリング(SEM) Structural Equation Modeling.
離婚が出生数に与える影響 -都道府県データを用いた計量分析
相関分析.
データ解析 静岡大学工学部 安藤和敏
4章までのまとめ ー 計量経済学 ー.
PCAからICAへ? 狩野裕+清水昌平 (大阪大学人間科学部) 日本行動計量学会:東京大学 平成12年10月.
混合ガウスモデルによる回帰分析および 逆解析 Gaussian Mixture Regression GMR
多母集団の同時分析 豊本満喜子 大阪大学人間科学部.
指標の数と信頼性・ 内容的妥当性 指標の数は多いほうがよい.
潜在変数に交互作用がある 構造方程式モデル(共分散構造モデル): 二段階最小二乗推定値
独立成分分析 (ICA:Independent Component Analysis )
岩村雅一 知能情報工学演習I 第13回(後半第7回) 岩村雅一
数量分析 第2回 データ解析技法とソフトウェア
主成分分析 Principal Component Analysis PCA
東京工科大学 コンピュータサイエンス学部 亀田弘之
尺度化について 狩野 裕 大阪大学人間科学部.
再討論 狩野裕 (大阪大学人間科学部).
パターン認識特論 担当:和田 俊和 部屋 A513 主成分分析
部分的最小二乗回帰 Partial Least Squares Regression PLS
プロセスデータ解析学5 -主成分分析- 担当:長谷部伸治     金 尚弘.
対応のある共分散分散行列の同時分析 ーー 震災ストレスデータの同時分析 ーー
データの型 量的データ 質的データ 数字で表現されるデータ 身長、年収、得点 カテゴリで表現されるデータ 性別、職種、学歴
データ解析 静岡大学工学部 安藤和敏
「ICAによる顔画像特徴量抽出とSVMを用いた表情認識」
データ解析 静岡大学工学部 安藤和敏
データ解析 静岡大学工学部 安藤和敏
心理学研究の自己点検(6): 心理学研究における 探索的因子分析の基本問題 企画・講演:堀 啓造氏
森 裕一(岡山理科大学) 山本義郎(岡山大学自然科学研究科) 渡谷真吾,尾高好政(倉敷芸術科学大学) 垂水共之,田中 豊(岡山大学)
回帰分析入門 経済データ解析 2011年度.
Presentation transcript:

グラフィカル多変量解析 ----目で見る共分散構造分析---- 日本行動計量学会セミナー 「ビジュアル多変量解析早わかり」 於:日本マーケティング協会 日時:H.10.6.16(火) グラフィカル多変量解析 ----目で見る共分散構造分析---- 狩野 裕 大阪大学人間科学部 kano@hus.osaka-u.ac.jp http://koko15.hus.osaka-.ac.jp/~kano /application/index.html

本日のメニュー 基礎編...次スライド EQSによるデモ 実践編:多重指標のススメ 低い相関を高める方法 反復測定 希薄化修正モデルの応用 共分散構造モデルの中で探索的因子分析を実行する 検証的因子分析の実際 モデル探索の方法 到達したモデルの吟味

グラフィカル多変量解析 ----目で見る共分散構造分析---- 基礎編 日本行動計量学会セミナー 「ビジュアル多変量解析早わかり」 於:日本マーケティング協会 日時:H.10.6.16(火) グラフィカル多変量解析 ----目で見る共分散構造分析---- 基礎編 共分散構造分析とは.使い方3通り 共分散構造分析とは.使い方3通り 検証的因子分析 vs 探索的因子分析 自然食品店での購買行動の分析例 入力ファイル作成の要点.推定と適合度 共分散構造分析はなぜ難しい?? まとめ

テキスト (viiページ) 共分散構造分析とは 直接観測できない潜在変数を導入し,潜在変数と観測変数との間の因果関係を同定することにより社会現象や自然現象を理解するための統計的アプローチ.基本的に非実験多変量データの分析方法で,因子分析と多重回帰分析(パス解析)の拡張.

ソフトウェア

潜在変数による相関 ---- コンセプト ---- 観測変数 潜在変数 (共通因子) 相関 因果 誤差変数 潜在変数による相関 ---- コンセプト ----

どのように利用されるか 1.調査項目間の因果関係を調べる 2.調査項目をまとめて単純化(潜在変数化)する (多)重回帰分析(パス解析)モデル 2.調査項目をまとめて単純化(潜在変数化)する 因子分析モデル 3.調査項目をまとめて単純化(潜在変数化)してから因果関係を調べる 典型的な共分散構造モデル

1.調査項目間の因果関係を調べる (多)重回帰分析(パス解析)モデル 中古車価格の要因分析 テキスト2.2節 (p.14~)

標準解と標準化しない解 テキスト2.2節 (p.6, p.42) 中古車価格の要因分析 標準解 影響の強さ を表す 標準化しない解 影響の大きさ を表す

2.調査項目をまとめて単純化 (潜在変数化)する---因子分析モデル--- テキスト3章 (p.77~)

3.調査項目をまとめて単純化(潜在変数化)してから因果関係を調べる ---典型的な共分散構造モデル--- テキスト2.3節 (p.54~)

潜在変数の導入(単純化)の意義 単純化したものは分かりやすい….次元縮小 (心理学などでの)構成概念の数理モデル 誤差を伴ってしか測定できない状況 測定道具(コスト)の問題 低い相関の補正…..アンケートデータの相関はなぜ低いか ⇒ 実践編

構成概念と次元縮小,多重指標

グラフィカル多変量解析 ----目で見る共分散構造分析---- 基礎編 日本行動計量学会セミナー 「ビジュアル多変量解析早わかり」 於:日本マーケティング協会 日時:H.10.6.16(火) グラフィカル多変量解析 ----目で見る共分散構造分析---- 基礎編 共分散構造分析とは,使い方3通り 検証的因子分析 vs 探索的因子分析 自然食品店での購買行動の分析例 入力ファイル作成の要点.推定と適合度 共分散構造分析はなぜ難しい?? まとめ

CFAとEFAの違い CFA:潜在構造に関する仮説があり,それを検証したいとき EFA:潜在構造に関する仮説がなく,探索したいとき テキスト3章 (p.77~) CFAとEFAの違い CFA:潜在構造に関する仮説があり,それを検証したいとき EFA:潜在構造に関する仮説がなく,探索したいとき

CFAの良さ 解釈がしやすい 多母集団の同時分析ができる 因子パターンが簡単 パス(因子負荷量)の有意性・非有意性 母集団間の因子比較が統計的にできる 因子の平均に関する解析ができる

因子負荷の(非)有意性

予定外の因子負荷 タレント好感度データの分析

テキスト6章 (p.185~) 多母集団の同時分析

グラフィカル多変量解析 ----目で見る共分散構造分析---- 基礎編 日本行動計量学会セミナー 「ビジュアル多変量解析早わかり」 於:日本マーケティング協会 日時:H.10.6.16(火) グラフィカル多変量解析 ----目で見る共分散構造分析---- 基礎編 共分散構造分析とは.使い方3通り 検証的因子分析 vs 探索的因子分析 自然食品店での購買行動の分析例 入力ファイル作成の要点.推定と適合度 共分散構造分析はなぜ難しい?? まとめ

グラフィカル多変量解析54-55

グラフィカル多変量解析56-57

グラフィカル多変量解析58-59

グラフィカル多変量解析60

潜在変数のある 共分散構造分析チャート

自然食品店での購買行動 ---- アンケートデータの解析 ---- 仮説を潜在変数で表す 測定モデル:指標の作成

自然食品店での購買行動 ---- データの収集 ---- X1: 食品添加物に気を使う X2: 栄養のバランスに気を使う X3: 自然食料品店での購買額 X4: 自然食料品店での購買回数

解析結果 ---- 多重指標モデル(標準解) ----

自然食品店での購買行動 ---- 不適切なモデルでは ----

グラフィカル多変量解析 ----目で見る共分散構造分析---- 基礎編 日本行動計量学会セミナー 「ビジュアル多変量解析早わかり」 於:日本マーケティング協会 日時:H.10.6.16(火) グラフィカル多変量解析 ----目で見る共分散構造分析---- 基礎編 共分散構造分析とは.使い方3通り 検証的因子分析 vs 探索的因子分析 自然食品店での購買行動の分析例 入力ファイル作成の要点.推定と適合度 共分散構造分析はなぜ難しい?? まとめ

入力ファイル作成の要点 推定方法のデフォルトは最尤法(ML) 従属変数には方程式を作成 独立変数には分散・共分散を設定 テキスト4.5節 (p.128~) 入力ファイル作成の要点 推定方法のデフォルトは最尤法(ML) 従属変数には方程式を作成 独立変数には分散・共分散を設定 潜在変数の尺度を固定する 潜在変数からのパス係数を一つ1に固定 独立潜在変数は分散を1に固定してもよい † 矢印を1本も受けていない変数を独立変数,1本でも受けていれば従属変数となる

入力ファイル

入力ファイル

推定と適合度 復習回帰分析--- データとモデルの距離 --- テキスト4.6節 (p.134~) 推定と適合度 復習回帰分析--- データとモデルの距離 --- 良い当てはまり 悪い当てはまり 乗車年数と価格(r=-.91) 走行距離と価格(r=-.49)

推定と適合度 共分散構造分析では適合度の吟味は不可欠 適合度とはモデルとデータの距離 良いモデル 悪いモデル

テキスト4.7節 (p.142~) いくつかの適合度の指標 (1) S と Σ^の食い違いの程度で適合度を測る

いくつかの適合度の指標 (2-1) 独立モデルを導入する S 現在のモデル 独立モデル データから の距離 飽和モデル:相関の 間に何の関連もない モデル 観測変数間に相関 がないという最も 制約的なモデル

いくつかの適合度の指標 (2-2) 独立モデルを導入する

モデルと真の共分散行列との距離を測る指標 いくつかの適合度の指標 (3) モデルを比較するための指標 モデルと真の共分散行列との距離を測る指標

グラフィカル多変量解析 ----目で見る共分散構造分析---- 基礎編 日本行動計量学会セミナー 「ビジュアル多変量解析早わかり」 於:日本マーケティング協会 日時:H.10.6.16(火) グラフィカル多変量解析 ----目で見る共分散構造分析---- 基礎編 共分散構造分析とは.使い方3通り 検証的因子分析 vs 探索的因子分析 自然食品店での購買行動の分析例 入力ファイル作成の要点と推定・適合度 共分散構造分析はなぜ難しい?? まとめ

共分散構造分析はなぜ難しいと言われるか? 潜在変数に関する仮説が練られていない 指標(観測変数)が適切でない モデル規定の自由度が大きい EFAでは因子数と回転の自由度のみ モデルの適合度が上がらない EFAでは適合度の吟味をしていない(モデルが棄却されることがない).共通性を中心に観る傾向がある 分散やパスを固定するといったテクニカルなことがある EFAではデフォルトで共通因子の分散=1を設定してある

指標(観測変数)の 収束・弁別妥当性の吟味 (収束妥当性) 調査項目 ⇒ 構成概念を予想 (弁別妥当性) 構成概念 ⇒ 調査項目を選択

基礎編のまとめ 共分散構造分析は非実験データ(調査データ)から因果に関する仮説を検討する統計手法.潜在変数が活躍する. 入力ファイル作成のコツを習得しよう. 「モデル+適合度」で仮説を検証する. 仮説・指標(調査項目)を十分吟味しよう.

訂正 因子スコアに関する質問に誤って答えてしましましたので,お詫びして訂正させていただきます. 因子スコアの出力は,AMOS, SAS Calis LISRELで可能です.コマンドは以下のとおりです. AMOS: $factorscores SAS Calis: all nomod LISREL: lisrel output: fs ただし,因子スコアが出力されるのではなく,スコアを求めるための重みベクトル(または行列)が出力されます.