脳卒中とは? リハビリテーションとは? (公財)東京都保健医療公社豊島病院 リハビリテーション科 中島 英樹 2011/01/31 2011/7/212011/01/31 ケアマネージャー研修会 2012.07.07 脳卒中とは? リハビリテーションとは? (公財)東京都保健医療公社豊島病院 リハビリテーション科 中島 英樹 1 1
今回のお話 ●脳卒中について ・脳卒中の主な種類と原因 ・脳卒中の危険因子について ●脳卒中のリハビリテーション ・脳卒中の主な種類と原因 ・脳卒中の危険因子について ●脳卒中のリハビリテーション ・医療でのリハはどのように行なわれているか? ・トピックスは?
人口動態統計及び国民生活基礎調査より
1 脳卒中の主な種類と原因 ●脳卒中=脳血管障害、Stroke、Cerebrovascular disease 1 脳卒中の主な種類と原因 ●脳卒中=脳血管障害、Stroke、Cerebrovascular disease ●脳卒中とは、「脳の血管に異常(破裂、閉塞)が生じて、 中枢神経系に障害が生じる病態」の総称である。 ●脳卒中は、以下の3つのタイプに分類できる。 →⑴脳内出血 ⑵クモ膜下出血 ⑶脳梗塞 *⑴と⑵を合わせて、脳出血ということがある。 ●我が国では、脳卒中のうち、脳梗塞が最多で約3/4を占める。 (脳卒中データバンク2009より)。
⑴ 脳内出血 破裂して出血するもの。 ●血圧が急激に上昇した際(運動時、 用便時、入浴時など)に発生しやすい。 ⑴ 脳内出血 ⇒ 動脈硬化によって傷ついた脳深部の(微小)動脈が、 破裂して出血するもの。 ●血圧が急激に上昇した際(運動時、 用便時、入浴時など)に発生しやすい。 ●頭痛、気分不快、意識障害、片麻痺 などで急激に発症して、数分以内に 症状が完成することが多い。 ●好発部位は、被殻、視床、脳幹(橋)、 小脳及び大脳皮質下である。 ●重症の場合は、外科的治療 (血腫除去術)を行う。
錐体路 その障害→運動麻痺 視床出血 被殻出血
⑵ クモ膜下出血 ⇒ 脳表面のクモ膜下腔(軟膜とクモ膜の間)に突然の出血を きたすもので、脳動脈瘤の破裂がその原因の約8割を占 ⑵ クモ膜下出血 ⇒ 脳表面のクモ膜下腔(軟膜とクモ膜の間)に突然の出血を きたすもので、脳動脈瘤の破裂がその原因の約8割を占 める。(これ以外の原因は、脳動静脈奇形、もやもや病など) ●突然の激しい頭痛(頭をハンマーで殴られた ような衝撃的な痛み)、吐き気、意識障害で 発症する(片麻痺はないことが多い)。 突然死の原因にもなりうる。 ●脳動脈瘤の発生(中大脳動脈、前交通動脈 などに多い)には、先天的要因が大きい (家族歴があることが多い)。 ●治療法として、クリッピング術(開頭手術による)、 コイリング術(血管内治療による)がある。
⑶ 脳梗塞 ⇒ 脳動脈が閉塞して、それより末梢部への血液供給が途絶 することで、脳組織が壊死するもの。 ⑶ 脳梗塞 ⇒ 脳動脈が閉塞して、それより末梢部への血液供給が途絶 することで、脳組織が壊死するもの。 その原因から3つのタイプに分類される。 ① アテローム血栓性脳梗塞 ② ラクナ梗塞 ③ 心原性脳塞栓症 * 一過性脳虚血発作(TIA) 脳の血管が一時的に閉塞して脳梗塞と同様の症状が出現 するが、24時間以内に消失するもの。 脳梗塞の本格的な発作の前兆としてとらえるべきである。
① アテローム血栓性脳梗塞 → 脳の太い動脈(主幹動脈という)が動脈硬化によって傷つき、 閉塞することで発症する。比較的広い範囲の梗塞巣が生じ、 その発症もゆるやか(数時間かけて進行する)なことが多い。
② ラクナ梗塞 → 脳の細小動脈(穿通枝という)が動脈硬化によって傷つき、 閉塞することで発症する。梗塞病巣は径15㎜以下であり、 意識障害や高次脳機能障害を伴うことはない。 比較的予後のよい脳梗塞のタイプである。
③ 心原性脳塞栓症 → 心臓疾患(心房細動、弁膜症、人工弁、心筋症、心内膜炎 など)があるため、心臓内で血のかたまり(栓子)が形成されて しまい、それが脳動脈に至り、動脈を閉塞することで発症する。 突然発症して、梗塞病巣も大きく、意識障害や高次脳機能 障害を伴うことが多い。
拡散強調画像(Diffusion Weighted Imaging: DWI) 脳卒中診断のための検査 拡散強調画像(Diffusion Weighted Imaging: DWI) ●MRI検査の一部 ●発症後1時間以内の超急性期脳虚血病巣を検出できる。
MRA ( Magnetic Resonance Angiography ) 脳卒中診断のための検査 MRA ( Magnetic Resonance Angiography ) ●MRIの検査と同時に行える。 ●造影剤を使わず、脳の血管の状態をみることができる。 ●脳主幹動脈閉塞、脳動脈瘤の検出に有用。 脳動脈瘤 MCA起始部閉塞
脳梗塞急性期の血栓溶解療法 t-PA療法 組織プラスミノゲンアクチベーター(t-PA、アルテプラーゼ) の静脈投与は 2011/7/212011/01/31 脳梗塞急性期の血栓溶解療法 t-PA療法 組織プラスミノゲンアクチベーター(t-PA、アルテプラーゼ) の静脈投与は ●発症から3時間以内に治療可能な脳梗塞で ●慎重に適応判断された患者に対して 強く推奨される。 (グレードA) 脳卒中ガイドライン 2009 14
2 脳卒中の危険因子について ●脳卒中の危険因子は「修正できない危険因子」 と「修正できる危険因子」とがある。 2 脳卒中の危険因子について ●脳卒中の危険因子は「修正できない危険因子」 と「修正できる危険因子」とがある。 よって、脳卒中を予防するためには 「修正できる危険因子」を改善するように、 日頃から注意していく必要がある。
⑴ 修正できない危険因子 ① 年齢:55歳以上では、10歳ごとに脳卒中発症 ⑵ 修正できる危険因子 リスクが約2倍になる。 ⑴ 修正できない危険因子 ① 年齢:55歳以上では、10歳ごとに脳卒中発症 リスクが約2倍になる。 ② 性別:男性は女性よりも、ハイ・リスクである。 ③ 脳卒中の家族歴:両親、祖父母に脳卒中の 既往がある場合、脳卒中リスクが高くなる。 ⑵ 修正できる危険因子 ① 高血圧 ② 糖尿病(高血糖) ③ 脂質異常症 ④ 心房細動などの心疾患 ⑤ 喫煙 ⑥ 飲酒 ⑦ 肥満(メタボリック・シンドローム)・運動不足
① 高血圧 ⑵ 修正できる危険因子 ●血圧が高いと、血管壁が強い刺激を受けることになり、 傷ついてしまう(動脈硬化になる)。 ⑵ 修正できる危険因子 ① 高血圧 ●血圧が高いと、血管壁が強い刺激を受けることになり、 傷ついてしまう(動脈硬化になる)。 ●高血圧は、脳卒中の最大の危険因子であり、血圧が高い ほど脳卒中の発生率は高くなる。 ●降圧剤投与によって脳卒中の発症が減少することは、 多くの臨床研究で確認されている。 ≪目 標≫ ●高齢者は140/90㎜Hg未満、 若年・中年者は130/85㎜Hg未満、 糖尿病や腎障害合併例には130/80㎜Hg未満 が推奨される (脳卒中治療ガイドライン2009より)。
⑵ 修正できる危険因子 ① 高血圧 ≪対 策≫ ●定期的に血圧を測定する(自己測定が望ましい。起床後と 就寝前)。 ●高血圧の合併症を、眼底検査、心電図、尿検査などで 定期的にチェックする。 ●食塩を摂りすぎない(理想的には、塩分摂取量を6g/日 未満にする →薄味にする、減塩しょうゆを使うなど)。 ●過剰なストレス(精神的・身体的)を避ける(疲れたら無理 をしない、気分転換をするなど)。 ●急激な寒暖差を避ける(暖かい部屋から寒い廊下に出る 時、突然にクーラーにあたるなど)。 ●入浴の際は、ぬるま湯にそっとゆっくりと入る(ぬるめの湯 は血管を拡張する)。 ●定期的に有酸素運動(例えば、散歩を毎日30分間)を行う。
② 糖尿病(高血糖) ⑵ 修正できる危険因子 ●糖尿病は、インスリンの作用不足によって、血糖値が上昇する 病態である。 ⑵ 修正できる危険因子 ② 糖尿病(高血糖) ●糖尿病は、インスリンの作用不足によって、血糖値が上昇する 病態である。 ●糖尿病は、脳卒中のうち特に脳梗塞の危険因子として重要 である。 ≪目 標≫ ●空腹時血糖が110mg/dl以下、ヘモグロビンA1c(HbA1c= 過去約1カ月間の血糖値を反映する)が5.8%以下(優)を 目指す。(良は6.5%未満) * 2012年4月よりHbA1cの数値が変わりました(国際標準化) HbA1c(JDS) → HbA1c(NGSP) 約0.4%高値となります 糖尿病診断基準 コントロール目標値 HbA1c(JDS) 6.1%以上 6.5%未満 HbA1c(NGSP) 6.5%以上 6.9%未満
⑵ 修正できる危険因子 ② 糖尿病(高血糖) ≪対 策≫ ●定期的に医療機関で血糖を測定する(食前採血が望ましい)。 ●糖尿病の合併症を、眼底検査、心電図、尿検査などで定期的 にチェックする。 ●食事カロリーを減らす(エネルギー摂取量を減らす)。 ●偏食傾向を治す(バランスのよい食事摂取を心がける)。 ●定期的に有酸素運動(散歩、ジョギングなど)を行う。 ●規則正しく、疲れすぎない生活を送るようにする。 ●医師の指示通りに、経口血糖降下剤を内服、またはインスリン 注射を行う(インスリン注射を行っている場合には、血糖自己 測定が望ましい)。 ●インスリン注射を行っている場合、低血糖症状を正しく理解して、 その対処法(例えば、アメをなめるなど)を知っておく。
③ 脂質異常症 ⑵ 修正できる危険因子 ●脂質異常症とは、 高コレステロール血症(高LDL-コレステロール血症)、 ⑵ 修正できる危険因子 ③ 脂質異常症 ●脂質異常症とは、 高コレステロール血症(高LDL-コレステロール血症)、 高トリグリセリド血症(高中性脂肪血症)、 低HDL-コレステロール血症 を指す。 ●高コレステロール血症が、脳卒中のうち特に脳梗塞の危険因子 として重要である。 ●高LDL-コレステロール血症は、冠動脈疾患(心筋梗塞、狭心 症)の危険因子としても重要である。 ≪目 標≫ ●他の冠動脈疾患の危険因子(年齢、高血圧、糖尿病、冠動脈疾 患の家族歴など)の有無によってLDL-コレステロールの目標 値は異なるが、できれば「LDL-コレステロール120~160mg /dl以下、HDL-コレステロール40mg/dl以上、トリグリセリド 150mg/dl以下」を目指すべきである。 (動脈硬化性疾患予防ガイドラインより)
⑵ 修正できる危険因子 ③ 脂質異常症 ≪対 策≫ ●動物性脂肪(肉や乳製品に多く含まれる)の摂りすぎに 注意する(一日のコレステロール摂取量は300mg以下 にする)。 ●食物繊維(野菜、海そう、穀類、豆類に多く含まれる)を 多く摂る。 ●植物油、大豆、緑黄色野菜を多く摂る。 ●定期的に有酸素運動を行う。
④ 心房細動などの心疾患 ⑵ 修正できる危険因子 ●心房細動は、脳梗塞(心原性脳塞栓症)の危険因子である。 ⑵ 修正できる危険因子 ④ 心房細動などの心疾患 ●心房細動は、脳梗塞(心原性脳塞栓症)の危険因子である。 ●心臓弁膜症がない患者における心房細動のことを、非弁膜 症性心房細動(NVAF)という。 ●ワーファリン内服による抗凝固療法を行うことで、脳梗塞の 発症率が低下することが確認されている。 ≪目 標≫ ●ワーファリンを適切に内服して、定期的に医師の診察を 受ける。
⑵ 修正できる危険因子 ④ 心房細動などの心疾患 ≪対 策≫ ●過剰なストレス(精神的・身体的)を避ける(無理をしない)。 ●心症状(動悸、息切れ、めまい、胸痛など)が出現したら、すぐに 医療機関を受診する。 ●過剰な水分摂取を避ける(体内水分が過剰になると、心臓に負担 がかかる)。 ●医師の指示通りに、ワーファリンを内服、定期的にプロトロンビン 時間(INR)を測定する→INRを2.0~3.0(高齢者では、1.6~ 2.6)にコントロールする。 ●ワーファリンを内服している場合、ビタミンKを多く含む食品(納豆、 緑色野菜など)の摂取を避ける。 ●ワーファリンを内服している場合、出血傾向に気をつける(打撲、 切り傷で出血しやすい)。
⑵ 修正できる危険因子 ④ 心房細動などの心疾患 * 最近、ワーファリンと同様な効果の薬として、プラザキサ という薬が発売されている。この薬は、INRを定期的に 測定する必要がなく、また食物との相互作用がないため、 食品の摂取制限は不要である。 腎機能が低下している患者には効きすぎることがある ので注意を要する。
⑤ 喫煙 ⑵ 修正できる危険因子 ●喫煙は、脳卒中のうち、特に脳梗塞とクモ膜下出血の危険 因子である。 ⑵ 修正できる危険因子 ⑤ 喫煙 ●喫煙は、脳卒中のうち、特に脳梗塞とクモ膜下出血の危険 因子である。 ●ニコチンは、血管を収縮させて、高血圧や動脈硬化を一層 悪化させる。 ●受動喫煙も、脳卒中の危険因子と考えられている。 ≪目 標≫ ●禁煙する(タバコは、「百害あって一利なし」である)。 ≪対 策≫ ●タバコを買わない、灰皿やライターを捨てる。 ●皆の前で「禁煙宣言」をする。 ●禁煙外来を受診して、専門的な治療を受ける。
⑥ 飲酒 ⑵ 修正できる危険因子 ●飲酒量が増えるほど、脳内出血とクモ膜下出血の発症率は高く なる。 ⑵ 修正できる危険因子 ⑥ 飲酒 ●飲酒量が増えるほど、脳内出血とクモ膜下出血の発症率は高く なる。 ●脳梗塞の発症率は、少量~中等量の飲酒者ではむしろ低くなる が、大量飲酒者では高くなる(大量飲酒は、脱水を誘発して血液 を濃くして、固まりやすく=詰まりやすくする)。 ≪目 標≫ ●摂取アルコール量を一日30g以下(日本酒で1合以下、ビール で大びん1本以下、ワインなら240㏄以下に相当する)にする。 ≪対 策≫ ●アルコールを買わない。 ●「飲み会」「宴会」への参加を控える。 ●「休肝日」をつくる。
⑦ 肥満(メタボリック・シンドローム)・運動不足 ⑵ 修正できる危険因子 ⑦ 肥満(メタボリック・シンドローム)・運動不足 ●肥満やメタボリック・シンドロームは、新たな脳卒中の危険因子 として注目されている。 ●メタボリック・シンドロームの診断基準は、「ウエスト周囲径が男性 85㎝以上、女性90㎝以上」であり、「トリグリセリド150mg/dl 以上かつ/またはHDL-コレステロール40mg/dl未満、収縮期 血圧130㎜Hg以上かつ/または拡張期血圧85㎜Hg以上、空腹 時血糖110mg/dl以上」のうちの2項目以上が存在することと されている。 ≪目 標≫ ●BMI{ 体重(㎏)÷身長(m)2 }を25未満にする。 ≪対 策≫ ●過剰なカロリー摂取(エネルギー摂取)を避ける。 ●毎日、体重やウエスト周囲径を測定(自己への動機づけを行う)。 ●定期的に運動を行う(散歩、早歩き、ジョギング、自転車など)。
日本脳卒中協会が発表している、脳卒中予防のポイント 2011/7/212011/01/31 <脳卒中予防10か条(日本脳卒中協会)> 日本脳卒中協会が発表している、脳卒中予防のポイント 1:手始めに、高血圧から、治しましょう。 2:糖尿病、放っておいたら、悔い残る。 3:不整脈、見つかり次第、すぐ受診。 4:予防には、タバコを止める、意志を持て。 5:アルコール、控えめは薬、過ぎれば毒。 6:高すぎる、コレステロールも、見逃すな。 7:お食事の、塩分・脂肪、控えめに。 8:体力に、合った運動、続けよう。 9:万病の、引き金になる、太りすぎ。 10:脳卒中、起きたらすぐに、病院へ。
今回のお話 ●脳卒中とは ・脳卒中の主な種類と原因 ・脳卒中の危険因子について ●脳卒中のリハビリテーション ・脳卒中の主な種類と原因 ・脳卒中の危険因子について ●脳卒中のリハビリテーション ・医療でのリハはどのように行なわれているか? トピックスは?
リハビリテーションの流れ 急性期 回復期 維持期(生活期) 急性期リハ 回復期リハ 維持期(生活期)リハ 廃用症候群の予防 早期座位・起立 福祉 医療 急性期 回復期 維持期(生活期) 入院 地域支援サービス (介護保険・ 自立支援法・他)、就労支援など 通院 急性期リハ 廃用症候群の予防 早期座位・起立 回復期リハ 機能回復、ADL向上に向けた「集中的」訓練 維持期(生活期)リハ 生活機能の維持・向上
患者説明用パス
回復期リハビリテーション病棟入院対象患者 状態 期間 ●脳血管疾患、脊髄損傷等の発症後、もしくは手術後2か月以内 150日 (高次脳機能障害を伴った重症脳血管障害、重度の頸髄損傷及び 頭部外傷を含む多発外傷の場合) 180日 ●大腿骨、骨盤、脊椎、または膝関節等の骨折又は手術後2か月以内 90日 ●外科的手術又は肺炎等の治療時の安静により生じた廃用症候群を有しており、手術後又は発症後2か月以内 ●大腿骨、骨盤、脊椎、股関節または膝関節の神経・筋・靭帯損傷後 1か月以内 60日 ●股関節又は膝関節の置換術後1か月以内
リハビリの保険診療上の算定日数制限 H20年4月:算定日数制限を過ぎても月13単位 以内のリハビリは医療保険で可能となる 脳血管疾患等:180日 運動器:150日 呼吸器:90日 心大血管疾患:150日 除外項目 ●失語症、失認および失行症、高次脳機能障害 ●重度の頸髄損傷、頭部外傷又は多部位外傷 ●慢性閉塞性肺疾患(COPD)、心筋梗塞、狭心症 ●リハビリの継続が必要であると医学的に認められる場合 H20年4月:算定日数制限を過ぎても月13単位 以内のリハビリは医療保険で可能となる (H26年3月末まで:脳血管、運動器)
内科的・外科的治療と併行して、機能的予後を左右する重要な時期に集中したリハビリを実施 2011/7/212011/01/31 脳卒中急性期リハビリ 内科的・外科的治療と併行して、機能的予後を左右する重要な時期に集中したリハビリを実施 ● 廃用症候群の予防 早期離床 mobilization (四肢の他動・自動運動) ● 座位・起立訓練 運動機能(麻痺) 言語機能・認知機能の回復 早期の歩行獲得 ADLの改善 35
廃用症候群 中枢神経レベルで 生じる廃用 末梢の骨格筋・関節 レベルにて生じる廃用 循環器系における廃用 学習性不使用 (learned nouse) 運動野の萎縮、認知機能低下 末梢の骨格筋・関節 レベルにて生じる廃用 数時間の不動化にて始まる筋組織の変性 (結合組織脂肪組織の増加・筋繊維短縮/弾性低下 →筋紡錘の興奮性増大 →深部腱反射亢進、痙縮・同時収縮) 循環器系における廃用 静脈環流量低下、心肺機能低下、起立性低血圧、 末梢循環不全、深部静脈血栓症、肺血栓塞栓症
一般的に3ヵ月で8〜9割の回復が終了し、6ヵ月にはプラトーに達する 2011/7/212011/01/31 2010/12/15 麻痺の回復 100% 初期の回復 脳浮腫の減退、脳血流の改善 ischemic penumbraの改善 運動麻痺は、発症後3週程度までは比較的回復しやすいが、その後は回復は鈍り、3カ月で8〜9割の回復が終了し、その後の回復は緩徐で、6カ月にはプラトーに達するといわれている。失語などの高次脳機能障害は6ヶ月を過ぎても回復することはある。 3カ月 6カ月 時間 一般的に3ヵ月で8〜9割の回復が終了し、6ヵ月にはプラトーに達する 37 37
麻痺の回復:リハビリテーションによる違い 2011/7/212011/01/31 2010/12/15 麻痺の回復:リハビリテーションによる違い 100% ●病巣周囲の脳組織の活性化 早期から効果的な リハビリテーション 不十分な リハビリテーション 3カ月 6カ月 時間 38 38
1日9単位までのリハビリ可能、365日のリハビリなど 2011/7/212011/01/31 2010/2/24 脳卒中回復期リハビリ 機能回復および日常生活動作(ADL)向上 に向けた「専門的」「集中的」訓練 1日9単位までのリハビリ可能、365日のリハビリなど 在宅復帰を目標 ●在宅復帰のkeyとなるADL ・歩行 ・排泄(移乗、トイレ動作含む) ・食事(経口摂取) 39 39
麻痺の回復とADLの改善 ADL 麻痺 1カ月 3カ月 6カ月 時間 2011/7/212011/01/31 2010/12/15 40
脳の可塑性(機能的再構築)へのアプローチ ①健側に対する感覚 入力減少 ②麻痺側感覚入力増強 及び運動訓練 (CI療法・川平法) ③麻痺側近位の感覚 入力減少 ④障害側運動野の興奮 性を増加させる (経頭蓋磁気刺激) ⑤健側運動野の興奮性 を低下させる 使用抑制 高頻度 低頻度 脳梁抑制
痙縮に対するボツリヌス療法 ●痙縮とは、筋肉が緊張しすぎてしまう状態のことで、脳卒中で みられる運動障害の一つ。 みられる運動障害の一つ。 ●ボツリヌス療法とは筋肉を緊張させている神経の働きを抑える、 ボツリヌストキシンという薬を筋肉内に注射する治療法。この 療法により、手足の筋肉がやわらかくなり、動かしやすくなる ことで、日常生活動作が行いやすくなります。 ●効果は注射後2~3日目から徐々にあらわれ、通常3~4か月 持続します。その間、リハビリテーションを併用することで効果 の更なる持続が期待できます。
在宅でのリハビリ ●機能維持:「廃用予防」を目的 ●在宅での生活スタイルの再構築 (よりよく生活するために) 2011/7/212011/01/31 在宅でのリハビリ ●機能維持:「廃用予防」を目的 ●在宅での生活スタイルの再構築 (よりよく生活するために) 介護保険サービス:訪問リハビリ・通所リハビリ 短期入所(短期集中リハビリ) 自主訓練(ホームエクササイズ) 今までは医療の範囲 ここからは医療から福祉の方にウェイトシフトしていく 今回は、機能を維持するには、どうしたらよいか?という点から知っておいてほしいことをお話しします。 43
●脳卒中そのものに関する理解を深める ●脳卒中の予防に関する理解を深める ●脳卒中のリハビリテーションの概要を理解する。 (利用者が医療でのリハビリテーションをきちんと 受けてきたかどうかを確認) 廃用をおこさないようにするにはどうしたらよいか、 利用者が在宅において、よりよく生活するにはどうしたら よいかを常に考えて、ケアプランを立ててください。