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冷媒回路のしくみ<ヒートポンプを分解すると> [Last Update 2015/04/30] 建築環境工学・建築設備工学入門 <空気調和設備編> <ヒートポンプの原理> 冷媒回路のしくみ<ヒートポンプを分解すると> 冷媒回路のしくみ<ヒートポンプを分解すると>

2つの、非常に基本的な物理現象を利用しているだけ ヒートポンプは熱をくみ上げ、移動させる 2 暖房時 ヒートポンプは熱をくみ上げ、移動させる。 それは2つの、非常に基本的な物理現象を利用しているだけ。 2つの、非常に基本的な物理現象を利用しているだけ

気体の圧縮・膨張で、温度差を作る 気体は 圧縮すると温度が上がる 膨張すると温度が下がる 基本原理 その1 3 基本原理 「1:圧力変化による温度の変化」 気体の圧縮・膨張で、温度差を作る。

温度差のあるものを接触させ、熱を移動 0℃ 0℃ 0℃ 50℃ 0℃ -20℃ 基本原理 その2 4 基本原理 「2:温度差による熱移動」 基本原理 「2:温度差による熱移動」 温度差のあるものを接触させ、熱を移動させる。 0℃ 50℃ 0℃ -20℃

ヒートポンプの冷媒回路 室内機と室外機が配管でつないである 室内機 室外機 5 ヒートポンプの冷媒回路。 まず、室内機と室外機が配管でつないである。 室外機 室内機と室外機が配管でつないである

ヒートポンプの冷媒回路 室内機と室外機が配管でつないである 熱を伝える物体「冷媒」が循環している 室内機 室外機 6 配管の中では、熱を伝える物体「冷媒」が循環している。 室外機 室内機と室外機が配管でつないである 熱を伝える物体「冷媒」が循環している

「冷媒」は液体・気体と姿をかえながら熱を運ぶ ヒートポンプの冷媒回路 7 冷房時 室内機 「冷媒」は液体・気体と姿をかえながら熱を運ぶ。 室外機 「冷媒」は液体・気体と姿をかえながら熱を運ぶ

「冷媒」 気体←→液体 変化と熱のやりとり 熱を加えると、液体は気体になる 8 「冷媒」の形態変化と熱のやりとり 「冷媒」 気体←→液体 変化と熱のやりとり 8 熱を加えると、液体は気体になる 「冷媒」の形態変化と熱のやりとり 熱を加えると、液体は気体になる=液体は周りから熱を奪って気体になる。

「冷媒」の形態変化と熱のやりとり 熱を放出して、気体は液体になる 9 「冷媒」の形態変化と熱のやりとり 熱を放出して、気体は液体になる=気体は液体になるとき、周りに熱を放出する。

ヒートポンプ内部での「冷媒」のようす 液体・気体と姿をかえながら熱を運ぶ 冷房時 10 ヒートポンプ内部での「冷媒」のようす。液体・気体と姿をかえながら熱を運ぶ。 これは冷房時の熱の移動方向。右の室内から熱を奪い、左の室外へ熱を放出。

2 凝縮 3 膨張 1 圧縮 4 蒸発 冷媒の温度変化・熱のやりとり 4つの場面 冷房時 室外機 室内機 膨張弁 熱交換器 熱交換器 圧縮機 冷媒の温度変化・熱のやりとり 4つの場面 11 冷房時 2 凝縮 3 膨張 膨張弁 熱交換器 室外機 室内機 エアコンの冷媒回路の中で起こる、温度変化・熱のやりとりは4つの場面。 室外機>圧縮機>1 圧縮 室外機>熱交換器>2 凝縮 室内機>膨張弁>3 膨張 室内機>熱交換器>4 蒸発 熱交換器 圧縮機 1 圧縮 4 蒸発

低温・低圧の気体→高温・高圧の気体 になる 室外機>圧縮機で「圧縮」(冷房時) 12 1 圧縮 室外機>圧縮機で「圧縮」 冷媒はここで、低温・低圧の気体→高温・高圧の気体 になる 高温・高圧の気体 低温・低圧の気体 冷媒はここで 低温・低圧の気体→高温・高圧の気体 になる

1 圧縮 室外機>圧縮機で「圧縮」(冷房時) 圧縮機 気体の冷媒を圧縮することで圧力と温度が上がる。 高温・高圧の気体 低温・低圧の気体 13 1 圧縮 圧縮機 気体の冷媒を圧縮することで圧力と温度が上がる。 高温・高圧の気体 室外機の中にある圧縮機が、電気(モーター)の力で冷媒を圧縮。冷媒の温度が上がる。 圧縮されて、冷媒は高温・高圧の気体 になる。→温度の高いところができた。 低温・低圧の気体 日常生活に見る 「圧縮」 空気入れで圧縮すると、タイヤ内の空気の圧力と温度が上がる。

高温・高圧の気体→中温・高圧の液体 になる 室外機>熱交換器で「凝縮」(冷房時) 14 2 凝縮 中温・高圧の液体 室外機>熱交換器で「凝縮」 冷媒はここで、室外へ熱を放出し、高温・高圧の気体→中温・高圧の液体 になる 高温・高圧の気体 冷媒はここで、室外へ熱を放出し 高温・高圧の気体→中温・高圧の液体 になる

2 凝縮 室外機>熱交換器で「凝縮」(冷房時) 熱交換器(室外機) 15 2 凝縮 中温・高圧の液体 熱交換器(室外機) 高温で気体の冷媒が外気と熱交換をして高温の液体になり凝縮熱を放熱する。圧力が高いので温度が高くても沸騰せず、冷媒は液体のまま。 高温になった冷媒(気体)が、室外機に取り入れた室外の空気と「熱交換器」で接触する。 高温の冷媒から外の空気に向かって熱が出ていく。 ここで冷媒は熱を放出して液体になる。この放出する熱を「凝縮熱」という。 高温・高圧の気体 空気中の水分が冷たいコップに冷やされて水滴となって表面につく。 圧力鍋では圧力が加わり、高温でも沸騰せず、液体のまま。 日常生活に見る 「凝縮」

中温・高圧の液体→低温・低圧の液体 蒸発はじまる 室内機>膨張弁で「膨張」(冷房時) 16 3 膨張 低温・低圧の液体 中温・高圧の液体 室内機>膨張弁で「膨張」 冷媒はここで中温・高圧の液体→低温・低圧の液体 蒸発はじまる 冷媒はここで 中温・高圧の液体→低温・低圧の液体 蒸発はじまる

3 膨張 室内機>膨張弁で「膨張」(冷房時) 膨張弁 液体の冷媒の一部が膨張することで、温度が下がる。 中温・高圧の液体 低温・低圧の液体 17 3 膨張 中温・高圧の液体 膨張弁 液体の冷媒の一部が膨張することで、温度が下がる。 低温・低圧の液体 温度の高い液体の状態で室外機から流れてきた、圧力の高い冷媒は、室内機の「膨張弁」で膨張される。 ここで冷媒の蒸発が始まり、液体のまま温度が低くなっていく。 低温になり、熱を取り込みやすくなる。同時に、膨張して圧力の下がった冷媒は蒸発しやすくなる。 つまり、少しでも熱が移ってくればすぐに気体になる状態である。 スプレーを連続噴出すると内部の圧力が減圧され冷たくなる。 膨張弁は水道栓と同じ。上流側は圧力が高いが、下流側は低くなる。 日常生活に見る 「膨張」

低温・低圧の液体→低温・低圧の気体 になる 室内機>熱交換器で「蒸発」(冷房時) 18 低温・低圧の液体 4 蒸発 低温・低圧の気体 室内機>熱交換器で「蒸発」 冷媒はここで、室内から熱を奪い、低温・低圧の液体→低温・低圧の気体 になる 冷媒はここで、室内から熱を奪い 低温・低圧の液体→低温・低圧の気体 になる

4 蒸発 室内機>熱交換器で「蒸発」(冷房時) 熱交換器(室内側) 液体の冷媒が空気と熱交換をして、蒸発熱を奪って気体になる。 19 4 蒸発 低温・低圧の液体 熱交換器(室内側) 液体の冷媒が空気と熱交換をして、蒸発熱を奪って気体になる。 ここが、冷房時に部屋を涼しくしている部分。 温度が低く、液体の状態の冷媒が、室内機の「熱交換器」で室内の空気と接触する。 冷媒は室内の空気から熱を受け取って気体になる。熱を奪われて温度の低くなった空気が室内機から吹き出される。 液体が気体になるときに受け取る熱を「蒸発熱」という。 低温・低圧の気体 注射などでアルコール消毒をする時、アルコールが蒸発して皮膚の熱を奪い涼しくなる。 「冷媒」も蒸発しやすい液体である。 日常生活に見る 「蒸発」

ヒートポンプはこのサイクルを繰り返している 20 冷房時 2 凝縮 3 膨張 室内機の「熱交換器」で熱を奪い、気体になった冷媒は、また室外機の圧縮機に戻っていく。 冷房時のエアコン(ヒートポンプ)の中では、冷媒がこの動きを繰り返し、室内の熱を室外に運び出している。 1 圧縮 4 蒸発

発 行 公益社団法人 空気調和・衛生工学会 射場本 忠彦 発 行 公益社団法人 空気調和・衛生工学会 (SHASE: The Society of Heating, Air Conditioning and Sanitary Engineers of Japan) 射場本 忠彦