Journal Club 西部救命 3年目 桝田志保 PMID:

Slides:



Advertisements
Similar presentations
2015/6/16 聖マリアンナ医科大学 救急医学 森澤健一郎. 背景 COPD は米国で死亡原因の第 3 位 500 億 $/ 年のコストの 60% は「急性増悪」 COPD 急性増悪の死亡率は 倍 ステロイド全身投与は有用だが適量は不明 ICU 症例では一般病棟に比べてステロイド量が.
Advertisements

米国の外来呼吸器感染症での抗菌薬投与状況 抗菌薬投与率 普通感冒 5 1% 急性上気道炎 52% 気管支炎 6 6% 年間抗菌薬総消費量 21% 【 Gonzales R et al : JAMA 278 : ,1997 】
Journal Club 東京ベイ浦安市川医療センター 後期研修医 吉野かえで BMJ 2014;348:g2197 Selective digestive or oropharyngeal decontamination and topical oropharyngeal chlorhexidine.
扁桃腺炎・咽頭炎.
2015/03/02 聖マリアンナ医科大学 救急医学講座 後期研修医 吉田英樹
Surviving Sepsis Campaign 2012 Methodology
つちだ小児科  土田晋也
背景 CABGを必要とする虚血性冠動脈疾患の背景には動脈硬化の影響があり、プラークの退縮効果が明らかにされているスタチンを投与することで予後を改善する効果が期待される CABGを行った患者に対しスタチンを投与することで予後を改善する効果を検証することが本研究の目的である 2015/2/17 第45回日本心臓血管外科学会.
腹膜炎による敗血症性ショックに対するPMX 〜ABDOMIX study〜 東京ベイ・浦安市川医療センター 集中治療科 滝内 るり子
Journal Club 重症市中肺炎に対するステロイド
CHA2DS2-VAScスコア別 RE-LY®サブグループ解析結果の考察 小川 久雄 熊本大学大学院 生命科学研究部 循環器病態学
Yokohama City Save Hospital ☆Emergency and Critical Care Medicine☆
聖マリアンナ医科大学 救急医学講座 後期研修医 吉田英樹
Effects of fluid resuscitation with colloids vs crystalloids on mortality in critically Ill patients presenting with hypovolemic shock JAMA. Nov vol310,No.17.
トラネキサム酸の効果 出血を伴う外傷患者の死亡リスクを低下 科学的根拠をここに示します.
Journal Club N Engl J Med 2014; 370:
Surviving Sepsis Campaign Guidelines 2012
Journal Club N Engl J Med 2014; 370:
ICU退室後のPTSDと家族の精神状況 おもしろいとおもいます。 しかし、統計学的手法が難しい研究ですね。
聖マリアンナ医科大学救命救急医学教室 今西 博治
透析患者に対する 大動脈弁置換術後遠隔期の出血性合併症
Surviving Sepsis Campaign: International Guidelines for Management of Severe Sepsis and Septic Shock, 2012 岩村あさみ.
SSCG2012.
集中治療室入室経験者の その後の生活・人生について
疫学概論 無作為化比較対照試験 Lesson 14. 無作為化臨床試験 §A. 無作為化比較対照試験 S.Harano,MD,PhD,MPH.
CHA2DS2-VAScスコア別 RE-LY®サブグループ解析結果の考察 小川 久雄 熊本大学大学院 生命科学研究部 循環器病態学
Targeted Temperature Management at 33℃ versus 36℃ after Cardiac Arrest
疫学概論 診療ガイドライン Lesson 22. 健康政策への応用 §B. 診療ガイドライン S.Harano, MD,PhD,MPH.
聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 後記研修医 三上翔平
輸血の適応/適正使用 赤血球製剤 琉球大学輸血部 佐久川 廣.
インスリンの使い方 インターンレクチャー.
Intensive Care Med (2014) 40:320–331
Hironori Kitaoka.
輸血の生理学 大阪大学輸血部 倉田義之.
Journal Club 「急性呼吸不全に対するnasal high flow」
Study Design and Statistical Analysis
Outcomes Among Patients Discharged From Busy Intensive Care Units
聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院救命救急センター 中山太雅(代謝・内分泌内科)
VAP(人工呼吸器関連肺炎) の予防 JSEPTIC_Nursing.
チュートリアルシリーズ 検索事例編② 静脈血栓塞栓症(VTE) 予防 ガイドラインの参照について
聖マリアンナ医科大学 横浜市西部病院 救命    古澤 彩美.
Surviving Sepsis Campaign: International Guidelines for Management of Severe Sepsis and Septic Shock, 2012 Kogeichi Yohei.
Evidence-based Practice とは何か
リサーチカンファ 29 Aug, 2017.
Does the Central Venous Pressure Predict Fluid Responsiveness
聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 3年目 桝田 志保
東京ベイ浦安市川医療センター 菅原 誠太郎.
小児に特異的な疾患における 一酸化窒素代謝産物の測定 東京慈恵会医科大学小児科学講座 浦島 崇 埼玉県立小児医療センター 小川 潔、鬼本博文.
疫学概論 交絡 Lesson 17. バイアスと交絡 §A. 交絡 S.Harano, MD,PhD,MPH.
Interventions to Improve the Physical Function of ICU Survivors            (CHEST 2013;144(5): ) 聖マリアンナ医科大学 救急医学 田北 無門.
高脂血症.
外傷患者の救急気道管理の実態 ~ JEAN studyを利用して ~
偶発性低体温患者(非心停止)の復温法 復温法 軽中等度低体温 ≧30℃ 高度低体温 <30℃ ○ PCPS 能動的体外復温法
トータス往診クリニック 国立がん研究センター東病院 血液腫瘍科 大橋 晃太
疫学概論 疾病の自然史と予後の測定 Lesson 6. 疾病の自然史と 予後の測定 S.Harano,MD,PhD,MPH.
St. Marianna University, School of Medicine Department of Urology 薄場 渉
藤田保健衛生大学医学部 公衆衛生学 柿崎 真沙子
緊急輸血・大量輸血 山形大学輸血部 田嶋克史.
Journal Club 2013/11/19 聖マリアンナ医科大学 救急医学
異所性妊娠卵管破裂に対する緊急手術中の輸血により輸血関連急性肺障害(TRALI)を発症した1例
米国農務省のHACCP規則(1996年)が赤身肉施設と食鳥肉施設に及ぼした経済的影響の多段階評価
輸血関連急性肺障害 TRALI 神戸大学輸血部 西郷勝康.
院内の回復期リハ病棟間の成果比較  -予後因子(入院時年齢・FIM・発症後日数)の階層化による測定法を用いて-
心電図 二次チェック 非ST上昇心筋梗塞 ST上昇心筋梗塞 ー不安定狭心症 予防的治療: (禁忌でなければ): βブロッカー、ACE阻害薬
Niti-S大腸ステント多施設共同前向き安全性観察研究の進行状況について
藤田保健衛生大学医学部 公衆衛生学 柿崎 真沙子
脱水・ 循環血液量低下.
(上級医) (レジデント) 同意説明取得 無作為化 割り付け群による治療開始 来院時
疫学概論 §C. スクリーニングのバイアスと 要件
疫学概論 臨床試験の種類 Lesson 14. 無作為化臨床試験 §B. 臨床試験の種類 S.Harano,MD,PhD,MPH.
Presentation transcript:

Journal Club 2015.3.31 西部救命 3年目 桝田志保 PMID:25776532 2015.3.17 online published 西部救命 3年目  桝田志保

Back Ground 1/4 早期目標指向型治療(EGDT)は早期の敗血症性ショックの患者の蘇生治療として国際ガイドラインで推奨されている しかし適応は限られており、その有効性については不明確なままであることから、再評価が必要 2014年3月の米国によるProCESS trial,2014年10月のANZICSによるARISE trialに引き続き、EGDTを検証した最後の大規模RCTとして、本研究は施行された

Back Ground 2/4 EGDT (2001) 米国、単施設RCT、263人 従来治療群 vs. EGDT群 補液・昇圧剤使用し Rivers E, et al : N Engl J Med2001;345:1368-1377 米国、単施設RCT、263人 従来治療群 vs.  EGDT群 補液・昇圧剤使用し CVP≧8mmHg MAP≧65mmHg ScvO2≧70% Ht≧30% or Hb≧10g/dL   を6時間以内に達成 【結果】  28日死亡率 46% → 30%に減少 【問題点】 ・単施設研究 ・対象患者の重症度が高い(CVP low,ScvO2 low) ・CVP:8-12の根拠に乏しい・前負荷の指標としての信頼性が低い・前負荷のみを水分負荷の指標とすることは危険 ・ScvO2:組織酸素接種率が決定因子。組織酸素接種率が低いsepsis患者ではScvO2は高い。正常値が必ずしも組織低酸素を否定する訳ではない Surviving sepsis campaign 2012 CVP:8-12mmHg MAP≧65mmHg Urine output≧0.5ml/kg/h ScvO2≧70%or mixed venous≧65%

Back Ground 3/4 ProCESS study (2014.3.18) 米国31施設 RCT 1,341人 EGDTプロトコル群 N Engl J Med2014;370:1683-93 米国31施設 RCT 1,341人 EGDTプロトコル群 標準治療プロトコル群 通常治療群 ★60日・90日・1年死亡率 ★臓器支持療法の必要性   ⇒3群間に有意差なし 60日死亡率(Primary outcome) EGDT 21.0%,標準 18.2%,通常 18.9% ・APATCHⅡ EGDT 20.8±8.1,通常治療群20.6±7.4と死亡率が低い ・抗菌薬投与までの平均時間が3時間、ランダム化から6時間以内に97%の症例で抗菌薬投与されており、早期の抗菌薬治療開始が死亡率低下に影響したか ⇒初期治療の重要性を示唆する結果 標準治療プロトコル群 ・CVは静脈確保目的に使用。規定の目標を達成出来れば20Gでも可 ・過剰輸液の定義:頸静脈怒張・肺ラ音・酸素化低下 ・A-lineは必須でなく、Baselineの10%以内の低下、かつ低灌流の兆候なければsBP>100とみなす ・低灌流の定義:MAP<65,lactate>4,mottled skin(皮膚斑状変化?),乏尿、意識変容 ・輸血Hb<7.5で施行 fluid  challenge Rivers  >20ml/kg  30min  、  2010年以降  >  1000ml以上  30min

Back Ground 4/4 ARISE study (2014.10.1) 【結果】 ★90日死亡率(Primary outcome) ・EGDT 18.6% ・通常治療群18.8% ⇒2群間に有意差なし   生存期間   院内死亡   臓器支持療法   入院期間 ARISE study (2014.10.1) N Engl J Med2014;371:1496-1506 AUS,NZの51施設 RCT 1600人 EGDT群 vs 通常治療群 ・最初の6時間、平均輸液量・循環作動薬投与・赤血球輸血・ドブタミン投与:EGDT群>通常治療群 ・ARISE studyのAPATCHEⅡ:EGDT 15.4±6.5,通常治療群15.8±6.5と重症度が低い   ⇒(?)死亡率・輸液量も比較的少ない ⇒2群間に有意差なし

Study design 英国56施設 2011年2月〜2014年7月 統合費用対効果分析を用いたRCT 24時間電話を用いてランダム化 Usual care群とEGDT群を1:1に割り付け Permuted block methodで層別化 ICNARC Case Mix Program Databaseを使用

Patients 【Inclusion Criteria】 18歳以上 感染症疑い、または既知の感染症 救急室来院後6時間以内にクライテリアを満たした患者 クライテリアを満たしてから2時間以内に割り付け 【Inclusion Criteria】 18歳以上 感染症疑い、または既知の感染症 SIRSのクライテリアに2つ以上あてはまる 補液1L以上行った1時間後血圧   ⇒sBP<90mmHg, MAP<65mmHg Lactate>4.0mmol/L

Treatment EGDT群 Usual Care群 右記プロトコルを6時間以内に施行 ScvO2測定デバイスはランダム化後1時間以内に挿入 Intervention periodでは最低1人の訓練されたstaffが必要 Usual Care群 介入方法は臨床医に一任

Outcome measures 90日死亡率 【Primary Outcome】 【Secomdary Outcome】 SOFA score(6-72 hours) ICU滞在期間 在院日数 生存期間 28日死亡率 退院時死亡率 1年死亡率 EQ-5D 資源利用 90日・1年時点でのコスト 30日間有害事象

Statistical Analysis ICNARC Case Mix Program Database Stata/SE software,version 13.0 使用 <検定方法> Primary outcomeの比較:Fisher’s exact test Secondary outcome Subgroup analysis Cost-effectiveness analysis :Fisher’s exact test,Wilcoxon rank-sum testなど

Result 1/6 6132人から1260人を抽出、ランダム化 EGDT群 339人 Usual Care群 332人 のデータを解析

Result 2/6 Baselineは2群間で 差はなし

Result 3/6 Usual care群でのCV挿入は補液のため 6時間以内の輸液量はEGDT群>Usual Care群 6-72時間の輸液量はUsual Care群>EGDT群 両群とも膠質液より晶質液を多く投与 MAP輸血患者数はEGDT群に多いが、MAP輸血量はUsual Care群が多い 血小板とFFP投与患者数に差は無いが、投与量はEGDT群に多い EGDT群で昇圧剤をより多く使用

Result 4/6 Primary outcome (90日死亡率) ⇒有意差なし Secondary outcome ・<6h SOFA ・循環サポート ・ICU滞在期間 で有意差あり 全てEGDT群で高い

Result 5/6 EGDTを採用するとコストUPし、それが費用効果的である可能性は20%未満の見込み *EQ-5D:qualityof life 5 demensions *コストも有意差はないものの、EGDT群が高い印象 EGDTを採用するとコストUPし、それが費用効果的である可能性は20%未満の見込み   QALYs(quality-adjusted life-years)は同等

Result 6/6 90日死亡率 EGDT 29.5% Usual Care 29.2% Relative Risk 1.01(0.85-1.20) p-value 0.90 Odds ratio 0.95(0.74-1.24) p-value 0.73 両群間に生存率の有意差なし

Discussion 1/3 今回のstudyでEGDTとusual careで90日死亡率に有意差なし Riversの2001年の報告以来、Sepsisの初期治療は多くの側面から変化した 【Riversの報告と本研究を比較】 ①死亡率著明に低下 ②無作為化されるされるまでの時間が長い ③患者群の重症度が低い(lactate,APACHEⅡ) ④無作為化の前に抗生剤投与開始 ⑤補液量少なく、血管作動薬を多く使用

【ProCESS,ARISEと本研究の比較】 ProMISE Publish 2014,May 1 2014, Oct 16 2015,March 17 国/施設数 US / 31施設 AUS・NZ / 51施設 UK / 56施設 症例数 EGDT Usual care 903 445 458 1600 796 804 1260 630 APACHEⅡ 20.8 20.7 15.4 15.8 18.7 18.0 90日死亡率 31.9% 33.7% 18.6% 18.8% 29.5% 29.2% 6時間輸液量 2.8L 2.3L 1.9L 1.7L 2.0L 1.8L ⇒重症度・補液量と90日死亡率に正の相関あり?

Discussion 3/3 【本研究の評価すべき点】 ARISEやProCESSより早急に患者を集められた 90日時点でのQOLと費用効率についても報告した  ・EGDTを採用するとコストUPし、それが費用効果的である可能性は20%未満の見込み  ・QALYs(quality-adjusted life-years)は同等

Limitation 週末や時間外受診の患者のリクルートメントが困難 盲検化出来ていない 死亡率が予想より低い

Yes Yes No Yes Yes 1.ランダム割り付けか、ランダム化のリストは隠されているか 2.研究に登録されたすべての患者が、結論に含まれているか、ランダム化された群で分析されているか 3.患者と医師が盲目化されているか 4.経験的な治療以外、各群は同等な治療を受けているか 5研究開始時、各群は同様か 29.2% 29.5% 1.0% -0.3% 333

マリアンナ救急としての方針 ・Septic shock全例でCV圧やScvO2測定目的でのCV留置する必要はなさそう ・2001年以降、敗血症治療は飛躍的に進歩しており、それはEGDTに依るところが大きいと考える ・EGDT各プロトコルについての取捨選択は、引き続き検討の余地がある