OPTIM 緩和ケアセミナー ステップ緩和ケア(2) 再発・増悪した痛みへの対応 突出痛 45分

Slides:



Advertisements
Similar presentations
STAS を用いた苦痛の スクリーニングシステムについて : pilot study 社会福祉法人 聖隷福祉事業団 聖隷三方原病院 ホスピス病棟 清原恵美 緩和医療支持科 森田 達也 緩和ケアチーム 藤本 亘史 難波 美貴.
Advertisements

J.Kominato 個別ケアプラン作成の留意点 個別ケアプラン作成の留意点 J.Kominato.
学習目標 1 .セルフマネジメントモデル,学習援助型教育とは何か を理解する. 2 .セルフマネジメント支援のために必要な構成要素につ いて理解する. 3 .セルフマネジメントにおいて看護職に求められる能力 と責任について理解する. SAMPLE.
~困っていませんか? 体の向きの変え方 ~ (楽らく体位交換 編) ~困っていませんか? 体の向きの変え方 ~ (楽らく体位交換 編) <体位交換・介護時の基本動作ポイント> ①小さくまとめる ②介護するひとは大胆に! ③ 介護者は対象者になるべく近づく!密着するとより 安定します。 ④腰を落として重心を低くする。
痙直型四肢まひを持つ こどもさんのケアについて 大阪府理学療法士会 障害児保健福祉部 榎勢道彦. 地域の普通中学校 に通う 15 歳の男の 子 ゲームセンターに行ったり、キャンプに行っ たりと好きなことはたくさんあります。 最近ではパソコンが使えるようになったので、 メールやインターネットでの検索もよくやっ.
がん患者の意思決定について がん患者の意思決定と、その過 程、要因について知る がん患者の意思決定への支援に ついて考える 先端侵襲緩和ケア 看護学 芦沢 佳津美.
統合失調症ABC 監修 : 国際医療福祉大学 教授 上島 国利 すまいるナビゲーター ブックレットシリーズ No.1
鎮静管理 JSEPTIC-Nursing.
1. ご高齢の糖尿病患者さんと 若い人との違いはなに? 2. ご高齢の糖尿病患者さんの 治療上の注意点 3.
1.日常生活自立度判定 2.OHスケール判定 マットレス選びまひょう(表) OHスケールへ 生活 自立 J
緩和ケアの          これまでとこれから 諏訪中央病院緩和ケア科主任医長  平方 眞 .
がん疼痛と身体症状の緩和(サオコオンコロジー) がん疼痛と身体症状の緩和(サオコオンコロジー)
PEACE Palliative care Emphasis program on symptom management and Assessment for Continuous medical Education 1.
磁気治療機器が、線維筋痛症患者の痛みを抑制 できるかどうかを検討する。 同時に機器の安全性を検討する。
OPTIM浜松 緩和ケアセミナー 第1回:疼痛マネジメント
ホスピス外来における STAS-Jを活用した看護の実際
      特別支援学校 高等部学習指導要領 聴覚障害教育について.
患者さんとご家族のための 双極性障害ABC
高等部の知的障害児が、 購入する物の代金を一人で 財布から出して支払うための支援
治療法は主に手術、薬物療法、放射線治療があります。
医療制度とその活用.
がんの家族教室  第3回 緩和ケアには何が出来るのか? 愛知県がんセンター中央病院 緩和ケアセンター 下山 理史(医師) 松崎 雅英(薬剤師)
アンケート② 病棟体制.
1. 病気になると血糖値が 高くなりやすくなります 2. 最も注意が必要なのは 糖尿病の「急性合併症」 3. シックデイの対応
平成21年度 特別支援学校新教育課程中央説明会 (病弱教育部会).
アンケート③ 療養環境.
不眠の症状は4タイプあります 入眠障害 寝つきが悪い ぐっすり眠れない 中途覚醒 夜中に目が覚めてしまい その後なかなか眠れない 早朝覚醒
1.日常生活自立度判定 2.OHスケール判定 マットレス選びまひょう(表) OHスケールへ 生活 自立 J
1. 血糖自己測定とは? 2. どんな人に血糖自己測定が 必要なのでしょうか? 3. 血糖自己測定の実際 4. 血糖自己測定の注意点
1. 糖尿病による腎臓の病気 =糖尿病腎症 2. 腎症が進むと、生命維持のために 透析療法が必要になります 3. 糖尿病腎症の予防法・治療法
PEACE Palliative care Emphasis program on symptom management and Assessment for Continuous medical Education.
在. 在 宅 事 例 を 報 告 せ よ !! 在宅事例を報告せよ!! 新潟かかりつけ薬剤師育成会.
介護予防サービス・支援計画表 記入のポイント.
淀川キリスト教病院 がん診療センターがん相談支援室 市原香織
 クリティカルケア領域に             おける家族看護     ICU入室中の患者家族の      ニードに対する積極的介入について              先端侵襲緩和ケア看護学                    古賀 雄二 
2007年10月14日 精神腫瘍学都道府県指導者研修会 家族ケア・遺族ケア 埼玉医科大学国際医療センター 精神腫瘍科 大西秀樹.
超音波ガイド下 傍脊椎神経ブロック.
症例検討会 麻薬の使用例 近年、がん患者の増加や高齢化、入院日数の短縮化や在宅治療への移行の推進などに伴い、外来緩和ケアや在宅緩和ケアが増加している。その結果、かかりつけ薬局でオピオイド製剤を取り扱う機会が増えていくと考えられる。今回、加納店において受け付けたことのある麻薬の実際の使用例について紹介し情報を共有化するとともに、より適切な治療の選択肢があるか意見を求め検討したい。
一般財団法人 仁風会 嵯峨野病院 在宅事業部長 川添チエミ
1. 神経は全身に 張り巡らされている 2. 神経障害の主な症状 3. 神経障害の治療法 4. 症状をやわらげるアイデアと
緩和ケアチームの立ち上げ ー緩和ケア医の立場からー
ロボットスーツHALとは… ?? <HALを体感した患者さんの喜びの声> <らいおんHALの訓練内容>
「“人生の最終段階における医療” の決定プロセスに関するガイドライン」
がん患者の家族看護 急性期にあるがん患者家族の看護を考える 先端侵襲緩和ケア看護学 森本 紗磨美
各論1A【症例2】 訪問看護 1 痛みは緩和できているが寝たきり →本人の希望?ポート、カテーテルによる?
末期がん 【症例2】 ・口腔衛生不足 ・歯科疾患(う蝕・歯周病) ・口腔乾燥、口内炎、出血、 味覚異常など ・摂食嚥下機能低下
【「患者のための薬局ビジョン」における薬剤師・薬局の機能概要】
PEACE Palliative care Emphasis program on symptom management and Assessment for Continuous medical Education コメント タイトル:疼痛の評価?? ・内容は、疼痛の評価になっている ・症状はどうする?
4.「血液透析看護共通転院サマリーVer.2」
第20回福祉用具国民会議 在宅生活で福祉用具がどう使われているか?
STAS-Jでの情報収集に困難を感じるのはケアの困難さと関連があるのか
医療法人社団新虎の門会 新浦安虎の門クリニック ○高須 妙子 大前 利道
NSAIDsの使い方.
外来化学療法室におけるSTAS‐Jの活用と今後の課題
LCP日本語版の使用方法 東北大学大学院医学系研究科 保健学専攻緩和ケア看護学分野 宮下光令.
7年くらい前の古いものなのですが8つの高齢者施設のスタッフさんに 意見を伺ったときのものです
1. 糖尿病による腎臓の病気 =糖尿病腎症 2. 腎症が進むと、生命維持のために 透析療法が必要になります 3. 糖尿病腎症の予防法・治療法
食物アレルギー発作時 に使用する 自己注射について
緩和ケアチームの立ち上げ (精神科医として)
1. 糖尿病の合併症としての 性機能障害 2. 性機能障害と糖尿病治療 3. 性機能障害、とくにEDの 原因について 4.
1. ご高齢の糖尿病患者さんと 若い人との違いはなに? 2. ご高齢の糖尿病患者さんの 治療上の注意点 3. ご高齢の糖尿病患者さんの
南魚沼市民病院 リハビリテーション科 大西康史
PEACE Palliative care Emphasis program on symptom management and Assessment for Continuous medical Education 1.
在宅 役割・準備・訪問   在宅における薬剤師の役割
2015/11/08 俊和会 さつき訪問看護ステーション 玉井真由美
在宅医療をご存じですか? 編集:○○○○○ 訪 問 診 療 往 診 在宅医療を利用できる方(例) 在宅医療で受けられる主なサービス
ケアセンターいぶきの今後、 伝えたいこと 地域包括ケアセンターいぶき  畑野 秀樹.
衛生委員会用 がんの健康講話用スライド.
在宅医療をご存じですか? 編集:○○○○○ 訪 問 診 療 往 診 在宅医療を利用できる方(例) 在宅医療で受けられる主なサービス
私のカルテ 発熱性好中球減少に対する予防的G-CSF製剤使用のための地域連携パス(通称:G連携)
Presentation transcript:

OPTIM 緩和ケアセミナー ステップ緩和ケア(2) 再発・増悪した痛みへの対応 突出痛 45分 聖隷三方原病院 緩和支持治療科 森田 達也          緩和ケア認定看護師 藤本 亘史

Ⅲ 症状マネジメント  1.疼痛   (3)残存・増強した痛みの治療     安静時痛・持続痛     突出痛・間欠痛  

残存・増悪した痛みの治療 <P.12> ・オピオイドを導入しても痛い場合、持続痛か突出痛かを区別する ・持続痛にはオピオイドの増量、突出痛にはレスキューを使用する

残存・増悪した痛みの治療 突出痛の背景知識(1) 残存・増悪した痛みの治療  突出痛の背景知識(1) <P.12> 定義  「普段の(安定している)痛みをうわまわって生じる痛み」 ・定期的にオピオイドを使用する患者の70%にある  =定期的なオピオイドの内服(ベースアップ)をしてもなくならない ・突出痛にはレスキューを使用する レスキュー 突出痛

くどいかもしれませんが、もう一度イメージ <資料P.39>

残存・増悪した痛みの治療 突出痛の背景知識(2) 残存・増悪した痛みの治療  突出痛の背景知識(2) <P.13> ・突出痛には、3種類ある 内容 頻度 対策 薬の切れ際の痛み (End-of-dose failure) 定期薬の切れ際の痛み 15% ・定期の増量 ・間隔を短く 体動に伴う疼痛 (Incidental pain) からだを動かすときの痛み(予測可能) 50% ・予防投与 ・避ける 予測できない突発的疼痛 (Idiopathic breakthrough pain) 予測できないで突然来る 神経障害性疼痛にみられる 35% ・静脈PCA ・抗痙攣薬 ・ステロイド (難治性)

事例 65歳 女性 乳がん 骨転移 骨転移による痛みのために ・デュロテップパッチ 5mg ・疼痛時 オプソ5mg 65歳 女性 乳がん 骨転移 骨転移による痛みのために  ・デュロテップパッチ 5mg  ・疼痛時 オプソ5mg 「痛みが取れません」で来院 7

残存・増悪した痛みの治療 突出痛 Overview <P.29> まず評価  ・痛みの場所はいっしょか?   新しい原因が合併してないか?  ・痛みの評価    -簡便な問診    -疼痛の評価シート    ↓ ・STEPにしたがった治療 ・ケア ・治療目標  -達成されたかを確認  -達成されなければFAQなど

残存・増悪した痛みの治療 突出痛 評価 <P.29> ・同じ場所か? ・持続痛か突出痛か? ・眠気・嘔気があるか? →まず副作用対策 評価 突出痛 評価 <P.29> ・同じ場所か? ・持続痛か突出痛か? ・眠気・嘔気があるか? →まず副作用対策 評価 1 「今まで痛かったところと同じですか?」と聞く 2 「簡単な問診」か「疼痛評価シート」で評価  ・「痛みは1日中ずっとありますか、それともたいていはいいけれど、   時々ぐっと痛くなりますか?」  ・「吐き気・眠気・便秘はどうですか?」 一日中ずっと痛い 時々痛くなる 9

事例にもどって・・・ 事例 ・「痛いです」→「増やしましょう」の前に、評価をします ・持続痛か突出痛か? 眠気・嘔気・便秘は? ・持続痛か突出痛か? 眠気・嘔気・便秘は? 事例 65歳 女性 乳がん 骨転移 骨転移による痛みのために  ・デュロテップパッチ5mg  ・疼痛時 オプソ5mg 「痛みが取れません」で来院 10

事例にもどって・・・ 「簡便な問診」なら ・「痛みに関しては、今の治療で満足されていますか?それとも痛みで日 常生活に支障があって何か対応したほうがいいですか?」 ・「痛みは1日中ずっとありますか?それとも、たいていはいいけれど 時々ぐっと痛くなりますか?」 ・「眠気(快、不快)・吐き気・便秘はどうですか?」 ・「痛みが強いときに使うお薬(頓用薬、レスキュー)は1日に何回使われますか?効きますか?使った後、眠気・吐き気はありますか?」 ○なんとかしてほしい (STAS=3) ○突出痛 ○眠気(-)吐き気(-)便秘(-) ○レスキュー(オプソ5mg) 1回/日 無効                    眠気・吐き気(-) 11

事例にもどって・・・ 疼痛の評価シートなら 事例にもどって・・・ 疼痛の評価シートなら 症状緩和のニードあり 7 痛みのパターンは突出痛 NRSは上7以上、下0~3 2 嘔気・眠気(ー) レスキューを1回使うが 効果なし 嘔気・眠気(ー) 体をうごかすといたい 定期薬の前ではない

残存・増悪した痛みの治療 突出痛 治療 STEP1 STEP2 STEP3 突出痛の治療のステップ 治療 突出痛 治療 治療 突出痛の治療のステップ 動いたとき・突然の痛みに対処するためにレスキューを使う ●NSAIDs   最大投与量まで増量 ●骨転移部の固定 ●「薬の切れ際の痛み」の対応 ●十分なレスキューを正しく処方 ●レスキューの使い方の指導 ●定期オピオイドの慎重な増量 ●放射線治療・神経ブロック   STEP1        STEP2     STEP3 「定期使用の鎮痛薬を使っても痛みがあるとき」(疼痛3)のパンフを用いて説明・ケアを行う

STEP1~3 放射線治療・神経ブロックを検討 放射線治療の有効な痛み   ①骨の痛み 神経ブロックの有効な痛み  ②肋骨・胸壁の手のひら1枚    くらいの痛み  ③すい臓がんによる上腹部の痛み  ④肛門・外陰部の痛み    (人工肛門・尿路変更がある場合) 14

STEP1 NSAIDsの強化 カロナール(200mg)4T ハイペン2T or モービック1.5T アセトアミノフェン2.4g 胃潰瘍の予防(タケプロンなど)が必要 ナイキサン4~6T ロキソニン3T +アセトアミノフェン2.4g ボルタレンSR2C or ボルタレン座薬75~100mg 強い (腎障害・胃腸障害も強い) 15

STEP1 骨転移部位の固定 「ぐらぐらしている」骨転移は固定しない限り痛い どこがどのような時に痛い? ・手段方法:回転や回旋を伴わないような介助の介入       →ベットギャッチアップ、並行移動での介助、タオルなどの利用など ・免荷や固定するための補助具や介護機器の使用:       →脊椎コルセット、杖(T字杖、4点杖など)、歩行器、         免荷装具、スタンディングバー、リクライニング車椅子 体幹コルセット ベット手すり 四点杖、ロフストランド杖 リクライニング車椅子

STEP1 「薬の切れ際の痛み」の対応 <P.31> 「薬飲む前になると痛くなるんだよね~きかなくなってきちゃったのかな~」 → きかなくなったのではなく、血中濃度が下がっている 痛み 痛みが出る 分2のまま増量する  (眠気が出ることがある) 分3にする 痛み 受診まで 「痛みが来る時間に、あらかじめレスキュー飲んどいていいですよ~」

事例にもどって・・・ 事例 ・STEP1のうち患者さんに当てはまりそうなものは・・・? 65歳 女性 乳がん 骨転移 65歳 女性 乳がん 骨転移 骨転移による痛みのために  ・デュロテップパッチ5mg  ・疼痛時 オプソ5mg 「痛みが取れません」で来院 18

事例にもどって・・・ STEP1 STEPの選択肢 この患者さんの選択肢 STEP1~3 ・骨転移なので放射線治療は ◎ ・神経ブロック △ 事例にもどって・・・  STEP1  STEPの選択肢 STEP1~3   放射線治療   神経ブロック STEP1  ・NSAIDsの強化  ・骨転移の固定  ・薬の切れ際の痛み この患者さんの選択肢 ・骨転移なので放射線治療は ◎ ・神経ブロック  △ 硬膜外ブロック入れてもいい 管理が必要で優先しない  ・NSAIDs併用していない→併用は◎ 普通はロキソニンくらい   ロキソニン+アセトアミノフェン   弱めなら ハイペン4T、アセトアミノフェン  ・骨転移の固定。コルセットなど 〇 ・薬の切れ際の痛みではなさそう × 19

残存・増悪した痛みの治療 突出痛 治療 STEP1 STEP2 STEP3 突出痛の治療のステップ 治療 突出痛 治療 治療 突出痛の治療のステップ 動いたとき・突然の痛みに対処するためにレスキューを使う ●NSAIDs   最大投与量まで増量 ●骨転移部の固定 ●「薬の切れ際の痛み」の対応 ●十分なレスキューを正しく処方 ●レスキューの使い方の指導 ●定期オピオイドの慎重な増量 ●放射線治療・神経ブロック   STEP1        STEP2     STEP3 「定期使用の鎮痛薬を使っても痛みがあるとき」(疼痛3)のパンフを用いて説明・ケアを行う

STEP2 レスキューを指示・指導 レスキューをきかせる5か条 指示 指導 観察 <P.31> 資料<P.41> 1 指示:適切な量、間隔、回数 指示 2 少し痛いと感じたら使用 3 あらかじめ使用 4 すぐ飲めるようにする 5 レスキューの必要性・安全性を説明 指導 5 眠気、吐き気とのバランス取れるよう加減 観察

STEP2 5か条の1:適切な量、間隔、回数の指示 投与量 オピオイドの1/6を投与   オキシコンチン90mgなら・・    90mg÷6 15mg/回  カディアン180mgなら・・・     180mg÷6 30mg/回 デュロテップパッチ7.5mgなら・・ モルヒネ180mg÷6 30mg/回 ・わかんなくなったら換算表<P161>を見てください ・換算表から1回あたりのレスキュー量を見る方法  あとで 投与間隔・回数   (30分~)1時間あけて、 1日3~6回まで          ・超えたらだめではなく、「これくらい使っても大丈夫」 ・定期投与を増量する目安 作用時間でなく 最大時間を指定する 1日オピオイドの50~100%まで

 ワンポイント   換算表から1回あたりのレスキュー量を見る方法の練習 <P.160>

以下の指示がでました。計算上、このレスキュー量は 少ない? ちょうどよい? 多い? 初級 カディアン60mg 1C オプソ5mg 1袋 ちょっと練習タイム 以下の指示がでました。計算上、このレスキュー量は  少ない? ちょうどよい? 多い? 初級  カディアン60mg 1C      オプソ5mg 1袋  オキシコンチン20mg 2T   オキノーム5mg 1袋  デュロテップパッチ10mg   アンペック座薬30mg1個 中級  デュロテップパッチ15mg   アンペック座薬30mg1個  デュロテップパッチ5mgとカディアン60mgを併用                     モルヒネ錠10mg 3T ▲回答はスライドのハンドアウトの一番最後にあります 24

事例にもどって・・・ 事例 ・でているレスキューの指示は適当か?確認 ・患者さんの指導をどうしたらいいか? 65歳 女性 乳がん 骨転移 65歳 女性 乳がん 骨転移 骨転移による痛みのために  ・デュロテップパッチ5mg  ・疼痛時 オプソ5mg 「痛みが取れません」で来院 25

事例にもどって・・・ STEP2 STEPの選択肢 この患者さんの選択肢 STEP2 ・レスキューを正しく処方 事例にもどって・・・  STEP2  STEPの選択肢 STEP2  ・レスキューを正しく処方  ・使い方を指導 この患者さんの選択肢 デュロテップ5mgの計算上レスキュー 量は・・・ 20mg 現在のレスキュー量は・・ 5mg どうも少ないらしい 「いきなり20mg」ではなく、何を評価 するか? 26

計算量より少ないレスキューが行っているときに何を評価するか? 1時間後の眠気はあるか?        痛みはとれているか? 定期的な薬の効果 痛み ←目標 こうなる量を「試行錯誤しながら」見つける 1回量が足りないので増量は大丈夫そうだが、 いきなりでなく、1時間後の「眠気」がないことを確認して段階的に増量 5mg→10mg→15mg→20mg

事例にもどって・・・ STEP2 STEPの選択肢 この患者さんの選択肢 STEP2 ・レスキューを正しく処方 事例にもどって・・・  STEP2  STEPの選択肢 STEP2 ・レスキューを正しく処方 ・使い方を指導 この患者さんの選択肢 ・1時間後に眠気ー、効果ーを確認  レスキュー量をまず10mgに増量  さらに1時間後に効果ー、眠気ーなら15mg ・「いつつかっていますか?」「どういうときに   痛くなりますか」  「がまんしてから」「痛くなってから」   →「早めに」「あらかじめ」うようにコーチ ・「痛み止めはどこにありますか?」  「持ってくるのに時間がかかる」→自己管理  「とりに行く」→枕元におく 28

事例にもどって・・・ STEP1 STEPの選択肢 この患者さんの選択肢 ・放射線治療 ◎ ・神経ブロック △ ・NSAIDs併用 ◎ 事例にもどって・・・  STEP1  STEPの選択肢 STEP1~3  ・放射線治療  ・神経ブロック STEP1  ・NSAIDsの強化  ・骨転移の固定  ・薬の切れ際の痛み STEP2  ・レスキューを正しく処方  ・使い方を指導 STEP3  ・慎重にベースアップ この患者さんの選択肢 ・放射線治療 ◎ ・神経ブロック △ ・NSAIDs併用 ◎ ・骨転移の固定 〇 ・薬の切れ際の痛み × ・レスキュー処方 ◎  オプソを増量  1時間後の効果、眠気をみて調節 ・使いかたのコーチング ◎ ・ベースアップ △(この次) 29

今日のまとめ ・突出痛は徐放性オピオイドを使用している患者の70%に生じる =ベースアップだけではなくならない  ・突出痛は徐放性オピオイドを使用している患者の70%に生じる   =ベースアップだけではなくならない  ・レスキューを処方、使い方を指導  ・うまく使う原則    ①正しい量・間隔・回数    ②早め・あらかじめ使用、すぐ飲めるよう    ③効果・眠気を見て増減  ワンポイント  ・NSAIDsの強化:増量、種類の変更、アセトアミノフェン併用  ・骨がぐらぐらなら固定  ・骨転移→放射線を考える  ・胸壁、上腹部痛、陰部痛→神経ブロックを考える

ワンポイント:突出痛に対する看護の工夫 1.薬の切れ際の痛み (End-of-dose failure) 2.体動に伴う疼痛     ワンポイント:突出痛に対する看護の工夫 1.薬の切れ際の痛み   (End-of-dose failure) 2.体動に伴う疼痛   (Incidental pain) 3.予測できない突発的疼痛 (Idiopathic breakthrough pain) 31

ワンポイント:突出痛に対する看護の工夫 (End-of-dose failure) 1.薬の切れ際の痛み ・定期内服の前後の疼痛を確認する     ワンポイント:突出痛に対する看護の工夫  1.薬の切れ際の痛み   (End-of-dose failure) ・定期内服の前後の疼痛を確認する ・レスキューを使用して効果と副作用(眠気・嘔気)を確認する   定期薬剤(徐放性)を早く渡しても血中濃度上昇までは   時間がかかり(2~3時間前後)疼痛軽減にはつながりにくい ・患者の体験、認識を確認する 「痛くても我慢したい」「病気が進んでいるのかなぁ」 「薬が増えていく割りに痛みが減らない」など 患者価値観を理解し情報提供や説明をおこなう ※上記を評価したうえでベースの増量を主治医に相談する 32

ワンポイント:突出痛に対する看護の工夫 2.体動に伴う疼痛 1)疼痛の特徴を把握する (Incidental pain) 2)刺激を避ける     ワンポイント:突出痛に対する看護の工夫    2.体動に伴う疼痛   (Incidental pain)   1)疼痛の特徴を把握する   2)刺激を避ける    3)不安への介入 (希望の支持)      ※本人の目標・希望を理解し    現実的な目標を段階的に設定する 33

ワンポイント:突出痛に対する看護の工夫 2.体動に伴う疼痛 (Incidental pain) 1)疼痛の特徴を把握する     ワンポイント:突出痛に対する看護の工夫    2.体動に伴う疼痛     (Incidental pain) 1)疼痛の特徴を把握する  ・日常生活の中でどのような体動が痛みを 増悪・軽減させているか確認(再)する ・患者が優先したい、優先している動きを確認する ・疼痛出現の予測するとともに予防対策を考慮する ・病態が変化していることを念頭にアセスメントする ※患者・家族とチームで疼痛の特徴について   情報の共有をおこなう 34

ワンポイント:突出痛に対する看護の工夫 2.体動に伴う疼痛 (Incidental pain) 2)刺激を避ける     ワンポイント:突出痛に対する看護の工夫    2.体動に伴う疼痛     (Incidental pain) 2)刺激を避ける  ・医学的に安静が重要であっても患者のセルフケア能力すべてが  失われているわけではないことを理解する ・安静に努めかつ 患者にとって負担の少ない動きをアセスメントする ・患者の体験・認識にあわせた適切なセルフケアを支援する  痛みの少ない動きや痛みがでにくい動き方を提示する  優先順位をつけた動きを患者・家族に相談する ・骨折のリスクや麻痺の可能性があるときは整形やリハビリなど  専門家に相談する 35

基本的な刺激をさけるケア 具体例 体動がスムーズにおこなえるよう環境調整をする ベッド周囲、床頭台など身の回りの環境整備をする 基本的な刺激をさけるケア 具体例   体動がスムーズにおこなえるよう環境調整をする ベッド周囲、床頭台など身の回りの環境整備をする                                スタンディングバーを付ける                                  ベット起き上がりのひもを付けたり、ベットコントローラーを    効果的に使用する    更衣しやすいガウンや下着など寝衣を変更する    排泄方法の検討や排便コントロールの検討 ベッドのマットを耐圧分散に変更する    労作前に薬剤を投与する(30~1時間前) 本人の目標・希望を理解する 「人に迷惑をかけたくない」 「トイレだけは自分でしたい」 「動かなければどんどん悪くなってしまう」 「このままじゃ弱って家にもどって生活ができない」 

STEP1 骨転移部位の固定 「ぐらぐらしている」骨転移は固定しない限り痛い どこがどのような時に痛い? ・手段方法:回転や回旋を伴わないような介助の介入       →ベットギャッチアップ、並行移動での介助、タオルなどの利用など ・免荷や固定するための補助具や介護機器の使用:       →脊椎コルセット、杖(T字杖、4点杖など)、歩行器、         免荷装具、スタンディングバー、リクライニング車椅子 体幹コルセット ベット手すり 四点杖、ロフストランド杖 リクライニング車椅子 37

基本的な刺激をさけるケア 具体例 *現状での対応だけではなく、予測と予防をおこなう *患者の個別性を見極めることが重要 基本的な刺激をさけるケア 具体例   現実的な目標を段階的に設定する 現在でできること・できないことを共有する 状況を患者・家族の認識を確認しながら説明する 工夫や調整することでできること伝える(可能性の発見) 日常生活動作の優先順位を共に設定する    (自立した排泄を望む事が多い) 自己コントロール感を維持する工夫する 直接できなくても、自分がコントロールして依頼する 自分でレスキューを選択・依頼するなど 全て自分が直接行うだけではなく 依頼すること サポート受けてもできるということを強化する *現状での対応だけではなく、予測と予防をおこなう   *患者の個別性を見極めることが重要

ワンポイント:突出痛に対する看護の工夫 2.体動に伴う疼痛 (Incidental pain) 3)不安への介入     ワンポイント:突出痛に対する看護の工夫    2.体動に伴う疼痛    (Incidental pain) 3)不安への介入     不安の表出を促し不安に対して最大限の保証をする ・自力で動けないことが喪失感や絶望感につながっていることを  理解する(患者の体験を理解しようとする姿勢) ・「いつまで動けないのか」「このまま動けなくなる」などの  この先への不安を把握する ・不安を把握した上で治療効果など見通しについて具体的に  説明する  ・可能性を一緒に最大限考える(希望を支える) 39

ワンポイント:突出痛に対する看護の工夫 3.予測できない突発的疼痛 (Idiopathic breakthrough pain)     ワンポイント:突出痛に対する看護の工夫 3.予測できない突発的疼痛 (Idiopathic breakthrough pain) 1)待たせない工夫と安心感 ・レスキューをすぐに使用できるようにする ・レスキューを自己管理にする ・レスキューを渡すだけでなく落ち着くまでそばにいる  なにか1つ「これを使えば大丈夫」というものをみつける   E.g., 暖める、冷やす、擦る、マッサージする   孤独にさせない (NSだけではなく家族と協力する) 2)支持的なコミュニケーション   「いつ痛みがおそってくるのか」という恐怖感や不安に対して ・「痛みが落ちつくようにみんなで考えていますからね」  「上手く対処できていますね」などの声掛けをおこなう 40

練習タイムの解説 カディアン60mg 1C オプソ5mg 1袋 ÷6=10なので少ない。オプソ10mg、モルヒネ錠10mgなど カディアン60mg 1C      オプソ5mg 1袋  ÷6=10なので少ない。オプソ10mg、モルヒネ錠10mgなど オキシコンチン20mg 2T   オキノーム5mg 1袋  ÷6=6.7なので少し少ないけど製剤がないのでOk  オキノーム5~10mg デュロテップパッチ10mg   アンペック座薬30mg1個  表を見るとモルヒネ座薬20mgなので多い  でも、20mgを採用していない病院だと10mgを2個は大変なこともあるので、使用後1時間の眠気がなければ30mgでも「多目だけど許容でもよい 中級 デュロテップパッチ15mg   アンペック座薬30mg1個  デュロテップ15mg=経口モルヒネ360mg÷6=経口のレスキュー量は60mg  経口モルヒネ60mg=モルヒネ座薬40mg(表から)なので、やや少ない  でも、40mgという製剤がないのでOK デュロテップパッチ5mgにカディアン60mgを併用  モルヒネ錠10mg 3T  デュロテップ5mg=経口モルヒネ120mgなのでカディアンと合わせて1日のモルヒネ量は180mg。レスキュー量は180÷6=30mg。ぴったりOK 41