薬 の お 話 2 在宅療養支援診療所 光和さくらクリニック
前回からのつづき くすり … とは? (前回 抗生物質 鎮痛剤 漢方薬) 一般的に “くすり” といえば 医薬品 人間の体に作用する化学物質 前回からのつづき くすり … とは? (前回 抗生物質 鎮痛剤 漢方薬) 一般的に “くすり” といえば 医薬品 人間の体に作用する化学物質 内服、外用、注射などがある 病気の診断や治療、予防に用いられる
降 圧 剤 高血圧症に対し使用する薬剤
血 圧 動脈硬化のある人は血管内が狭くなり、かつ 伸縮性がないため血管抵抗が高くなる
血圧の制御 ・身体の活動に応じて、血圧は刻々と変化する ・脳は心臓は常に十分な血液を確保している 血圧の制御 ・身体の活動に応じて、血圧は刻々と変化する ・脳は心臓は常に十分な血液を確保している
血圧の調節機構 ・短期的調節(数秒~分) 反射などの自律神経で調整 (脳、心臓の血管は常に血流を必要としているため ほかの臓器に比し、この支配が強くない → つまり 状況に左右されにくい) ・中長期的調整 ・レニンーアンギオテンシン系 ・さまざまな生理活性物質(ホルモンなど) ・体液量
診断基準 2014
2014
最終的に降圧剤はどこを調整しているか? 動脈 静脈 実際血圧の調整は中膜内の平滑筋の収縮・拡張により行われている 静脈の平滑筋は非常に発達が悪いため収縮の度合いが低い (血液の70%は静脈に分布)
毛細血管は平滑筋がないため 収縮しない 血流の調整は手前の細動脈で 行われている
・アンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB) ・アンギオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬) 主な降圧剤(第一選択) ・カルシウム拮抗薬 ・アンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB) ・アンギオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬) ・利尿剤
カルシウム拮抗薬 アダラート アムロジン コニール など 平滑筋
レニンーアンギオテンシン系作用薬 アンギオテンシノーゲン アンギオテンシン Ⅰ レニベース エースコール など ACE阻害薬(生成阻害) アンギオテンシン Ⅰ レニベース エースコール など ACE阻害薬(生成阻害) アンギオテンシン Ⅱ (強力な血管収縮を起こす) ARB(働くのを阻害) ブロプレス ディオバン ニューロタン など 受容体
利尿薬 ラシックス アルダクトン フルイトラン など 尿として水分を体外に排出し強制的に体液量を減らし血圧を下げる
血圧の調整機構が機能しているため 降圧剤により下降した血圧を上げようと 身体が努力することがあり、反射的に 頻脈(脈が速く打つ)を認めることがある 外気温が変化しても体内の深部温は 37℃前後に保たれている 外部が低い温度である場合体温が 下がらないように細動脈を収縮 逆に高い温度のときは、細動脈を拡張 させて熱を放散させる
インフルエンザ感染症 関連
インフルエンザ流行状況
ウィルスは 自力で増殖できないため 生物でないとする考え方もある ウィルスは 自力で増殖できないため 生物でないとする考え方もある
生物でないため “殺” ウィルス でなく 不活化 (活動を止める inactivate)
インフルエンザウィルス
インフルエンザウィルス ヒトやブタでは 気道上皮細胞 トリでは大腸の上皮細胞に感染し増殖
インフルエンザウィルス 感染力が非常に強い 1個のウィルスから 24時間後には100万個 我が国 600~1200万人/年 罹患
感染経路 飛沫感染 インフルエンザウィルスに感染した人の 気道分泌物が咳などともに、小さな飛沫 として空気中に放出 50~120m/秒 感染経路 飛沫感染 インフルエンザウィルスに感染した人の 気道分泌物が咳などともに、小さな飛沫 として空気中に放出 50~120m/秒 この飛沫を気道、肺に吸入して感染 接触感染 インフルエンザウィルスが付着したものを 触れた後、目や鼻、口に触れることで 粘膜・結膜などを通して感染
世界的に流行は 温帯地域から寒冷地域に向かう オーストラリア 6~9月 日本12~翌3月 西日本ではもともと日本生息のB型ウィルスから流行 東日本ではA型から 年末から正月に ヒトの往来で両ウィルスが拡散
“流行性感冒(流感)” かぜ症候群のひとつ 普通の風邪と違う? インフルエンザウィルス感染症は “流行性感冒(流感)” かぜ症候群のひとつ ライノウィルス アデノウィルス RSウィルス コクサッキーウィルス などによって起こるのが “普通感冒” 感染してから1~2日間と短い潜伏期の後、 突然の発熱(38度以上)頭痛、関節痛、筋肉痛などで 発症(症状期 3~4日)
初感染では一旦解熱してから再び発熱 することが多い(二峰性) 健康な人では10日前後で治癒 最近は微熱など軽症な経過のものもあることが判明 A型 , B型 同時感染もある
ウィルス排泄期間 学校保健安全法 出席停止期間 “解熱後2日”に 発症後5日の条件が追加 幼稚園児 解熱後2日から 3日へ変更
インフルエンザ脳症 脳炎 けいれん、意識障害を突然発症する場合がある そのほとんどが6歳以下 治療によっても救命できないことが多い 脳症は脳内のウィルスの検出はない 高サイトカイン(細胞間の情報伝達物質)血症
インフルエンザ後の肺炎 インフルエンザから肺炎になる確率 小児 0~7% 成人 5% 高齢者 25% インフルエンザ後の肺炎 インフルエンザから肺炎になる確率 小児 0~7% 成人 5% 高齢者 25%
A型 H1N1(ソ連型) H3N2(香港型) H1~16まで N1~9まで B型(当初ヒトのみ アザラシにも?) ブタ由来 H1N1(ソ連型) H3N2(香港型) H1~16まで N1~9まで B型(当初ヒトのみ アザラシにも?) ブタ由来 H1N1pdm(新型) トリインフルエンザ H5N1 H7N9 細胞から遊離するとき 細胞に付着するとき
検査キット 日本では簡易迅速診断キット 20種類 検査キット 日本では簡易迅速診断キット 20種類
検査キット 感度は約60~65% ウィルス量が少ないと陰性(後日 再検査すると陽性) A型に比べ B型の感度が不良
ワクチン ・生ワクチン BCG 麻疹・風疹混合(MR) おたふくかぜ 病原体に対し強い免疫反応 ・不活化ワクチン 日本脳炎 B型肝炎 インフルエンザ 一部の免疫機能しか獲得できない
・生ワクチン ・生きている菌あるいはウィルスのため 本当に感染してしまう ・弱毒にするための操作が困難 ・弱毒にしても、変異する能力の高いウィルス などは強毒に戻る ・不活化ワクチン ・感染する危険性はない
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インフルエンザワクチン(不活化ワクチン) アメリカでは一部 生ワクチン 使用 インフルエンザワクチン(不活化ワクチン) アメリカでは一部 生ワクチン 使用
インフルエンザワクチン インフルエンザウィルスは56℃30分で不活化 ウィルスの毒性が強すぎると、感染細胞が死んでしまい ワクチンが製造できない 強毒性のものは遺伝子工学を使用し、強毒性の遺伝部位を 選択的につぶし、弱毒性のものを作る 前年度から孵化卵の調達を行い、ワクチン製造にあたるため 2年越しとなる
インフルエンザワクチン 製造法
インフルエンザワクチン ワクチンの主要な成分はHA(赤血球凝集素) HAは頻繁に変異を起こす → 毎年 新たにワクチンを製造する
ワクチンメーカーは年次ワクチン製造のため卵の確保に奔走 トリインフルエンザが蔓延すると卵の確保が困難 新型インフルエンザワクチンの製造には半年以上かかり、 流行時には間に合わない 現在は孵化卵を使用しない、細胞培養型のワクチンの開発に 移行しつつある 細胞培養型の問題点 目的のウィルス以外の汚染 培養細胞の癌遺伝子の問題 (増殖能力が高い)
インフルエンザワクチン 製造はヨーロッパがリードしている 日米では 副作用がクローズアップされすぎたため ワクチン需要が減り、製薬会社が部門をリストラした アメリカではワクチン副作用の訴訟が頻発し、2005年の ブッシュ大統領のときワクチンがほとんど作れない状態だった 日本では1994年まで学童に対し摂取が義務化されていたが、 副作用報道が過熱し任意となった
卵馴化(たまごじゅんか) インフルエンザワクチンを鶏卵で作る過程において、 ウイルスを卵の中で増えやすくするために馴れさせる ウイルスを卵で複数回増やし、卵での増殖に適応させる しかし、ウイルスが卵に馴化する過程でウイルスの 遺伝子に変異が起きる場合があり、この時ワクチンの 有効性が低下することがある
ワクチンだけでは感染を防げない理由 局所免疫 IgG抗体
インフルエンザワクチン 以前は卵アレルギーのある物には禁忌と考えられてきた 最近ではアレルギーの原因物質は安定剤として添加されている ゼラチンと判明した 現在は取り除かれている その他 防腐剤であるチロメサール(水銀化合物)が 問題視されている 最近は極微量となっている
ウィルスは構造が単純で、 ウィルスに特有な特徴が少ない。 また、細胞の中に潜り込んでしまうため、 細胞に影響を与えずに細胞中のウィルスだけに 特異的に効果を示すような抗ウィルス薬の開発 が困難
抗インフルエンザウィルス薬 A型,B型ともに有効(であるが B型よりA型に有効) インフルエンザウィルスの増殖を抑制する薬剤
タミフル 抗インフルエンザウィルス剤 ノイラミニダーゼを活性阻害して増殖を防ぐ シキミ酸を原料として製造 タミフル 抗インフルエンザウィルス剤 ノイラミニダーゼを活性阻害して増殖を防ぐ シキミ酸を原料として製造
タミフル 異常行動は内服前にも認める 2009年 H1N1pdm は1% タミフル耐性 薬剤耐性は自然界でも発生する可能性
八角 (シキミ酸の材料) 中華料理 豚バラ煮 杏仁豆腐
アビガン (ファビピラビル RNA依存性RNAポリメラーゼ阻害薬) 2014年3月に富山化学工業が日本国内での製造販売承認を取得した ただしすぐに製造・販売が開始されるわけではなく、 新型インフルエンザが流行し他の薬が効かないと国が判断 した場合に、厚生労働大臣の要請を受けて製造を開始するという特殊な承認となっている
Mr. R’ムズ〇ェルド タミフルの製造はスイスのロシュ社 特許所有はカリフォルニア州に本拠地 を構える“ギリアド社” 国防長官 株所有 2500万ドル!
“病原菌”で数千万人が犠牲と 銃・病原菌・鉄 かつて スペイン人は数百人の手兵で 南米 アステカ王国 インカ帝国を 滅ぼした 銃・病原菌・鉄 かつて スペイン人は数百人の手兵で 南米 アステカ王国 インカ帝国を 滅ぼした 兵器の使用はもちろんであるが、 ヨーロッパ人が持ち込んだ “病原菌”で数千万人が犠牲と なった