工業発展期のヨーロッパ 技術変化と資源需要増加

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工業発展期のヨーロッパ 技術変化と資源需要増加 近代工業の需要は,その利用に対する圧力を大幅に高めた、その結果、以前には需要がなかった資源が組織的に求められることになり、その採掘を促進する一方、科学的・技術的研究が行われるようになった。国内の資源が枯渇すると新たな供給源の探索は海外にまで広げられ、ヨーロッパ資本や技術によって新しい領土の開拓が容易となった。

初期工業化の動力源 改良・発達 水力や風力という 伝統的な動力源→ 石炭を燃料 とする蒸気機関 存続 初期は非効率 ペルトン水車等の改良(19世紀末) 改良・発達 スイス、フランス、イタリア、スウェーデン、ノルウェーのような、水力の豊富な地域が、比較優位をもつ新しい動力源を獲得。 イギリスなど豊富な炭層に恵まれたヨーロッパの諸地19世紀には重工業における最大の拠点  ヨーロッパは全体として錫、鉄鉱石その他の金属鉱石、塩、硫黄などの一般的な 鉱物資源には比較的恵まれていた。これらの鉱物資源のなかには,コーンウォールの錫のように,古代から開発されていたものもあったし,その他の大部分ものも、すでに中世に限られた範囲ではあるが,採掘されていた。しかし近代工業の需要と科学的・技術的研究が相まって,アメリカ西部や中部,南部やイギリス自治領、ラテンアメリカの一部などの地域では, 19世紀後半には, ヨーロッパ諸国は一つには原料を求め、アフリカやアジアの組織化が遅れたり統治の不安定な地域に対する政治的支配を広げることになった。

蒸気機関の動力革命 →鉱山資源の需要拡大 19世紀初頭:蒸気機関の動力革命 →堅い岩盤での採鉱が一変=高圧の揚水機関    →鉱山資源の需要拡大 19世紀初頭:蒸気機関の動力革命  →堅い岩盤での採鉱が一変=高圧の揚水機関 (The high-pressure expansively operated beam pumping engine) (リチャード・トレビシック)=従来よりも遥か深く採掘可能。 同時期より、コーンウォール(現在世界遺産)の伝統に根ざした鉱山労働者たちが他へ移住し、コミュニティを形成、その流れは19世紀末に頂点に達した。今日、コーンウォールからの移民に起源を持つコミュニティは世界中に見られ、コーンウォール様式のエンジンハウスも、イングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランド、チャネル諸島、マン島の鉱区にとどまらず、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、メキシコ、スペインなどでも目にすることができる。

「近代経済的エポックJ (modern economic epoch)  「エポック的革新とは、持続的な経済成長の潜在力となる人間知識のストックが大規模に増大することである。この増大は非常に大規模なものであるから、それを開発し利用することは人間社会のエネルギーを吸収し、経済史においてひとつのエボックを構成するに十分なほど長期間にわたって、人間社会の成長を支配するのである。一例として、西ヨーロッパにおける商業資本主義のエポックを考えてみよう。これは、15世紀の終わりから18世紀後半にまで及び、

 優に2世紀半以上にわたるものであるが、西ヨーロッパの新世界への拡張という革新によって特徴づけられている。この拡張は有用な知識ストックの著しい増大とその利用をもたらしたのであるが、それ自身は航海術や航海船や武器にかんする科学および技術の発達や、国内生産および政治組織の進歩の結果てあった」「その当時の技術をもってしては、ヨーロッパの小さな遅れた社会がこの革命によって与えられた成長の潜勢カーこれは貴金属や新しい農産物やその他の商品の交易をもたらし、また西ヨーロッパという限られた領域の外に定住する可能性を与えることになった一を開発しつくすのに250年かかったということができる。このエポックが「商業資本主義」として特徴づけられてきたのは、おそらく、このエボック的革新によって与えられた機会を利用することができた国について、当時の経済成長における海外貿易の戦略的役割を強調しようとするためてあった。」

 ヨーロッパ近世における「エポック的革新」の中で、アメリカと東洋への海上ルートの発見を可能にした航海に関連した技術の発展だった。これは1776年に『諸国民の富』を著したアダム・スミスが、「人類の歴史に記録された最大かつ最重要な二つの事件Jと呼んだ成果である。「1492年から1776年にいたる時代の経済史― さらには政治史、社会史、文化史―は、探検と発見、海上商業の進展、海軍の成長とそれに関連した現象を参照すればおおかた説明がつく、 ということになる。クズネッツの用語でいう、現在の(近代の)経済的エポックは18世紀の後半にはじまり、彼がそれと関連させているエポック的革新とは「経済的生産という問題への科学の広範な応用Jである。19世紀前半にさえも、科学的知識そのものが経済的にみて生産的な工程へと応用される範囲は、ごく限られていた。技術史における18世紀初期からおよそ1860年または1870年頃までの

時期は、職人一発明家の時代とみるのが最も適切である。だがそれ以後、科学理論は、 とりわけ電気とか光学機械、有機化学といった新しい産業において、次第に生産工程の基礎を形成するようになった。」  クズネッツもアダム・スミスも時代を超えて、「航海術や航海船や武器」の革新的技術が新大陸発見及び探検と、海上商業の進展、海軍の成長をさせたと、歴史の認識で一致したものであるが、同時にそれは、その後のヨーロッパの歴史、更には世界の歴史において二つの大戦を引きおこし、20世紀、ニーアル・ファーガソンのいう「憎悪の世紀」を刻んでいく、今日に至る世界的規模での諸問題の根源的エポックを印したといえる。