第4章補足 分散分析法入門 統計学 2010年度.

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第4章補足 分散分析法入門 統計学 2010年度

分散分析の考え方 2つの母集団の平均に差があるかどうかは、2つの標本に基づくt検定をおこなうことができる。 では、母集団が3つ以上になった場合はどうすればよいのであろうか?   ⇒ 3つの母集団をA,B,Cとすると、AとB、AとC、BとCの間に差があるかどうかのt検定をおこなうことが可能   ⇒ 検定の回数は多くなり、さらに4つ、5つとなると増えるにしたがって、非常に多くなる。 3つ以上の母集団の平均に差がないかどうかは、分散分析を用いて検証する。 

母集団1(個体数N1) 母集団2(個体数N2) 母集団3(個体数N3) × × × × × × × × × × × × × × × × × × × × × × × × この差を検定する。 標本1(個体数n1) 標本2(個体数n2) 標本3(個体数n3) × × × × × × この差をもとに

(μA ≠ μB ≠ μC 以外にμA = μB ≠ μC なども含まれる) 最初に、3つの母集団について考えてみる。 このとき、「母平均の間に差がない」という検定仮説は H0: μA = μB = μC   となる。対立仮説は H1: μA ≠ μB ≠ μC   ではなく(「だけではなく」の方が正確か?)、 H1: H0の否定 (μA ≠ μB ≠ μC 以外にμA = μB ≠ μC なども含まれる) この検定を、 「グループ間の分散がグループ内の分散に比べて差がない」か、 「グループ間の分散がグループ内の分散に比べて明らかに大きい」かということで分析する。

この標本のデータ グループの平均 グループの平均 この標本のデータ グループの平均 この標本のデータ 全体の平均 標本1(個体数n1) ×

全変動 = グループ間変動 + グループ内変動 全変動   グループ間変動 グループ内変動

分散分析表 変動要因 平方和 (変動) 自由度 不偏分散   F グループ間変動 g-1 グループ 内変動 nーg 全変動 n-1

(出典: 大屋幸輔『コアテキスト統計学』238ページ) 分散分析の例 全国展開している家電量販チェーン店の大手4社A,B,C,Dはそれぞれの出店地域で互いに価格競争をしており、それぞれ「一番安い」と宣伝している。 ある年の夏に特定メーカーの特定機種のエアコンを各店舗で調査したところ、表のようになった。   4社のエアコン価格は同じといえるであろうか? (出典: 大屋幸輔『コアテキスト統計学』238ページ) (単位: 万円)

A,B,C,Dのそれぞれの平均を、 μA, μB, μC, μD とすると、検定仮説は H0: μA = μB = μC = μD   となる。分散分析表は下のようになる。  求められた分散比(F統計量) は3.393であり、自由度(3,28)のF分布の片側95%の臨界値 2.947 を上回るので、H0を棄却する。(P値が0.05を下回ることからもこの結論が言える)  よって、エアコンの価格は同じとはいえない。

4社の間で平均価格が等しくないということは分かった。 では、どの社とどの社が等しくて、どの社とどの社が異なるのか? これを調べることは次のステップ、多重比較といわれる問題になる。