浜田知久馬・藤井陽介 東京理科大学工学部経営工学科 SUGIJ2003 7/31

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浜田知久馬・藤井陽介 東京理科大学工学部経営工学科 SUGIJ2003 7/31 生存時間解析における 症例数設計 浜田知久馬・藤井陽介    東京理科大学工学部経営工学科 SUGIJ2003 7/31

Levamisole and FU for adjuvant therapy of resected colon carcinoma NEJM 322-6 352-358(1990) Survival was the primary endpoint of this study; the time to recurrence was also determined. A minimum of 150 eligible patients per treatment arm was planned for the trial. This ensured that the trial would have a power of 0.90 to detect a ratio of the control-group hazard to the combination-therapy-group hazard of 2.0. This assigned a pairwise comparison of treatments by a one-sided log-rank test in which a value of 0.05 indicated statistical significance.

発表の構成 生存時間解析の例数設計の特徴 ログランク検定はノンパラ検定では? ノンパラ検定でどのようにして, 症例数設計が可能なのか? ログランク検定の例数設計の原理 Freedman式とShoenfeld式の関係は? SASでの例数設計のプログラム より複雑な問題での計算ツール

生存時間解析の例数設計の特徴 次のうち情報量が最も大きいのは? 1)10万人を0.01年(3.5日)フォローアップ 2)10人を100年間フォローアップ 3)200人を5年間フォローアップ 生存時間解析ではイベント数が情報量 フォローアップ期間の考慮が必要

FreedmanとShoenfeld Freedman            Shoenfeld

症例数計算ツール 1) SAS V9 POWER & GLMPOWER 2) nQuery 登録期間,途中脱落,区分指数モデル    登録期間,途中脱落,区分指数モデル 3) SWOG statistical tool    登録期間,途中脱落,非劣性,    交互作用,層,例数の不均等,一標本問題 http://www.swogstat.org/stat/public/default.html

V9 POWER & GLMPOWER カバーしている手法 • t tests for means • equivalence tests for means • confidence intervals for means • tests of a binomial proportion • multiple regression • one-way analysis of variance multi-way analysis of variance contrast

nQuery Advisor V.3の 生存時間解析の例数設計法 Log-rank test for equality of survival curves Test based on exponential survival, accrual period Test based on exponential survival, accrual period, drop outs Log-rank test, user specified survival rates, accrual period, drop outs (simulation)

nQuery Advisor V.3 nQueryはFreedman式を採用 1 or 2 sided test? 2 Test significance level, 0.050 1 or 2 sided test? 2 Group 1 proportion π1 at time t 0.700 Group 2 proportion π2 at time t 0.800 Hazard ratio, h=ln(π1) / ln(π2) 1.598 Power ( % ) 80 n per group   296   nQueryはFreedman式を採用

Log-rank test of survival in two groups followed for fixed time, constant hazard ratio When the sample size in each group is 296, a 0.050 level two-sided log-rank test for equality of survival curves will have 80% power to detect the difference between a Group 1 proportion π1 at time t of 0.700 and a Group 2 proportion π2 at time t of 0.800 (a constant hazard ratio of 1.598); this assumes no dropouts before time t.

http://www.swogstat.org/stat /public/default.html CRABの統計ツール(例数設計)  One Arm Binomial  One Arm Survival One Arm Normal    Two Stage Two Arm Binomial  Two Arm Survival Two Arm Normal    Binomial Interaction Survival Interaction  Survival Equivalence       Expected Deaths

生存時間解析の症例数設計 a)生存時間分布としては指数分布を仮定する. b)薬剤が比例ハザード的な効果をもつ(すべての時点で一様に死亡のリスクを低下させる). c)解析方法はログランク検定を用いる. d)2群で試験を行いサンプルサイズは等しくとる.

例数設計の原理 N=f(検定の精度,実験の精度,効果) 2群の平均値の差の例数設計 a 検定の有意水準(通常は5% ) b 有意差を見逃す確率(通常は20% ) SD 個体間のばらつきの大きさ D(デルタ) 予想される2群間の平均値の差 ( 生物学的に検出したい差 )

βエラー50%   (z0.50=0) βエラーを考慮

正規分布の%点 日本のZβ 米国のZβ 世界共通の Zα OBS P Z 1 0.010 -2.32635 2 0.025 -1.95996 1 0.010 -2.32635 2 0.025 -1.95996 3 0.050 -1.64485 4 0.100 -1.28155 5 0.200 -0.84162 6 0.500 -0.00000 7 0.800 0.84162 8 0.900 1.28155 9 0.950 1.64485 10 0.975 1.95996 11 0.990 2.32635 日本のZβ 米国のZβ 世界共通の Zα

帰無仮説と対立仮説の 平均値の差の分布

検出力をβにするための条件 棄却限界値 H0 H1 β α

検出力をβにするための条件

棄却限界値の低下(α増大) ⇒βエラー減少

SDの減少⇒βエラー減少 β

Δの増加⇒βエラー減少 β Δ

3)検定の有意水準を厳しくすると必要なnは増大 4)βを小さくすると必要なnは増大 1)SD2に比例する. 例)SDが倍になれば必要なサンプルサイズは4倍 SDが10のところを12と見積もれば,サンプルサイズは1.44倍 2)Δ2に反比例する. 例)効果が倍になれば必要なサンプルサイズは1/4 Δが12のところを10と見積もれば,サンプルサイズは1.44倍 3)検定の有意水準を厳しくすると必要なnは増大 例)有意水準を0.05から0.01にすると約1.5倍 4)βを小さくすると必要なnは増大 例)βを0.20から0.10とすると約1.3倍

割合の差の検定  

必要なN 標準薬の改善率PC:.40 新薬の 改善率PE :.45,.50,.60,.70 (α=0.05, β=0.20)   (α=0.05, β=0.20)   (Δ=0.05, 0.10, 0.20, 0.30) Δ 0.05 0.10 0.20 0.30 N 1552 388 97 42

仮想例 人年法によるハザード比とWald検定

理論的基礎 指数分布(exponential distribution) 確率密度関数: 生存関数: ハザード関数: 生存関数:    ハザード関数: 時点にかかわらずハザードが一定  λがハザード(瞬間死亡率を表すパラメータ) 

λ=0.5の指数分布 確率密度関数f 生存関数S ハザード関数h

λの最尤推定(MLE)                              λのMLE: (人年法) λの分散: (死亡数の逆数に比例)

ハザード比の計算       

H0:λ1=λ2の検定

H0:λ1=λ2の検定              からdを計算

Freedman公式 HR=h1 /h2:ハザード比

帰無仮説 2つの群で生存時間曲線に差がない. 指数分布を仮定すると:

生存率の症例数設計 Shoenfeld公式

FreedmanとShoenfeld式 Freedman:           Shoenfeld: テーラー展開(2次)

FreedmanとShoenfeld式 log(HR)をHR=1の周りでテーラー展開(2次) f(HR)=(HR-1)/(HR+1)をHR=1の周りで展開

Shoenfeld :log(HR) Freedman :2*(HR-1)/(HR+1) Taylor:(HR-1)-(HR-1)2/2; 図1 3つの関数形の比較 Taylor Freedman Shoenfeld Shoenfeld :log(HR)  Freedman :2*(HR-1)/(HR+1)  Taylor:(HR-1)-(HR-1)2/2;

再度の疑問 結局, Freedman式とShoenfeld式は, 指数分布を 仮定したパラメトリックな 例数設計では? 何故,ノンパラのログランク検定の 例数設計になるの?

ログランク検定の計算手順 時点 i=1 i=2 i=3 i=4 i=5 i=6 群 群 群 群 群 群 時点 i=1    i=2    i=3    i=4    i=5   i=6      群     群      群      群      群      群     1 2   1 2    1 2    1 2     1 2    1 2  生存 2 3 1 0  死亡    計  3 3     2 3     1 3   1 2    0  2   0 1

時点1  1 2 3 4 5 6       1 1 2 1 2 2 群1 群2 全体 2 1 死亡 1 3 2 生存 6 3 3 リスク集合 群2の観測死亡数O12 群2の期待死亡数E12 3/6

時点2  1 2 3 4 5 6         1 2 1 2 2 群1 群2 全体 死亡 1 1 2 2 3 1 2 生存 1 2 3 5 リスク集合 群2の期待死亡数E22 3/5 群2の観測死亡数O22

時点3  1 2 3 4 5 6          2 1 2 2 群1 群2 全体 死亡 1 2 2 1 2 2 生存 1 リスク集合 1 3 4 群2の期待死亡数 群2の観測死亡数 1 3/4

時点4 1 2 3 4 5 6 1 2 2 群1 群2 1 2 3 1 2 2/3 全体 死亡 生存 リスク集合 群2の期待死亡数 時点4  1 2 3 4 5 6             1 2 2 群1 群2 全体 死亡 1 2 2 2 生存 1 リスク集合 1 2 3 群2の期待死亡数 群2の観測死亡数 2/3

時点5 1 2 3 4 5 6 2 2 群1 群2 2 2 1 1 1 2/2 全体 死亡 生存 リスク集合 群2の期待死亡数 時点5  1 2 3 4 5 6               2 2 群1 群2 全体 死亡 1 2 1 2 生存 リスク集合 2 2 群2の期待死亡数 群2の観測死亡数 1 2/2

時点6  1 2 3 4 5 6                 2 群1 群2 全体 死亡 2 1 生存 リスク集合 1 1 群2の期待死亡数 群2の観測死亡数 1 1/1

ログランク検定

変数が1つの場合

縦軸:対数尤度logL 横軸:β 山の頂上では 傾き=0 MLE :-1.688 β

スコア関数の近似

One step 推定値 縦軸:スコア関数 横軸:β I(0)=0.8997 U(0)=-1.517 One step 推定値 b1=-1.6857 β

反復なしの計算 U(0 ),I( 0)の出力 DATA WORK; INPUT GROUP TIME CENSOR @@; CARDS; 1 4 1 1 9 1 1 5 1 2 10 1 2 6 1 2 11 1 PROC phreg DATA=WORK; model TIME*CENSOR(0)=GROUP /ITPRINT ;

反復計算の履歴 Maximum Likelihood Iteration History Iter Ridge Log Likelihood GROUP 0 0 -6.579251212010 0.000000000 1 0 -5.343241803607 -1.685705465 2 0 -5.343240134138 -1.687845205 Last Evaluation of the Gradient GROUP -7.852452E-7

ログランク検定の症例数設計

ログランク検定の症例数設計

症例数設計まとめ FreedmanとShoenfeld式 テーラー展開を行って,2次式で近似すると 等しくなる.  テーラー展開を行って,2次式で近似すると  等しくなる.  Freedmanの方が必要なNは少し大きい.  ログランク検定:Cox回帰を反復測定1回だけ行ったときの対数ハザード比β=0の検定  近似的にShoenfeld式と等しくなる.

ハザード比の見積もり 1)時点tでの2群の生存率S(t)から 2)メディアン生存時間(M)に基づいて 3)人年法によるハザードの推定

生存時間の例数設計 例題 生存時間分布に指数分布を仮定して,次の条件で例数設計を行うこと. α=0.05(両側),β=0.20 例題 生存時間分布に指数分布を仮定して,次の条件で例数設計を行うこと. α=0.05(両側),β=0.20 手術単独群(cont)の5年生存率   :0.65 補助化学療法群(drug)の5年生存率:0.80

指数分布の生存関数と ハザード関数

試験期間を5年,Sc(5)=0.65, Sd(5)=0.80, α=0.05,β=0.20の必要例数 1)各群のハザードの計算 2)ハザード比の計算 3)Zα=1.96, Zβ=0.84 4)サンプルサイズNの計算

SASのプログラム 症例数 data samplesize; alpha=0.05;beta=0.20; t=5;pc=0.65;pd=0.80; h2=-log(pd)/t;h1=-log(pc)/t;hr=h2/h1; za=probit(1-alpha/2);  zb=probit(1-beta); ef=(za+zb)**2*(hr+1)**2/(2*(hr-1)**2); nf=2*ef/(2-pd-pc); es=2*(za+zb)**2/((log(hr))**2); ns=2*es/(2-pd-pc);

実行結果 症例数 T PC PD H2 H1 ALPHA BETA 実行結果 症例数 T PC PD H2 H1  ALPHA BETA 5 0.65 0.8 0.044629 0.086157 0.05 0.2 HR ZA ZB EF NF ES  NS 0.518 1.96 0.84 38.9 141.5 36.3 131.9  NF:Freedman公式  NS:Shoenfeld公式 *割合の差で例数設計を行うとN=151

検出力の評価 Freedman式           Shoenfeld式

SASのプログラム 検出力 data samplesize; alpha=0.05;beta=0.20; t=5;pc=0.65;pd=0.80;n1=150;n2=150; h2=-log(pd)/t;h1=-log(pc)/t;hr=h2/h1; za=probit(1-alpha/2); e=(n1*(1-pc)+n2*(1-pd))/2; zbf=(e*2)**.5*abs((hr-1)/(hr+1))-za; zbs=(e/2)**.5*abs(log(hr))-za; pf=probnorm(zbf); ps=probnorm(zbs);

実行結果 検出力 alpha beta t pc pd n1 n2 h2 h1 0.05 0.2 5 0.65 0.8 150 150 0.04 0.09 hr za e zbf zbs pf ps 0.52 1.96 41.25 0.92 1.03 0.82 0.85  PF:Freedman公式  PS:Shoenfeld公式

イベント数に影響を与える要因 1) ハザード 2) 登録期間,登録パターン 3) 症例の追加 4) 症例の脱落 5) フォローアップ期間

登録期間を考慮した検出力の評価 登録期間R年 フォローアップ期間T年 累積発症率 1-S(T+R) 1-S(T+Δ) 1-S(T) Δ 生存率 一様分布 累積登録 人数 指数分布 時間 時間

R:登録期間,nperyear:年当たりの登録数 登録期間を考慮した検出力の評価 期待イベント数 R:登録期間,nperyear:年当たりの登録数

登録期間を考慮した検出力の評価 登録期間:2年,フォローアップ期間:最大7年 年間登録例数:150例 対照群 5年生存率:65% N=150 2群を併せたイベントの割合:32% 検出力:87%(Freedman)

フォローアップ期間による検出力の変化 data power; r=2;nperyear=150;alpha=0.05; pc=0.65;pd=0.80;t=5; za=probit(1-alpha/2); lambda=-log((pd+pc)/2)/t; h2=-log(pd)/t;h1=-log(pc)/t;hr=h2/h1; do t=0 to 6 by .1; n=nperyear*2; pevent=1-(1/r)*exp(-lambda*(r+t))* (exp(lambda*r)-1)/lambda; e=n*pevent/2; zbf=(e*2)**.5*abs((hr-1)/(hr+1))-za; pf=probnorm(zbf);output; end;

図3 フォローアップ期間による検出力の変化 検出力 イベント数

終わりに 1)パラ・セミパラ・ノンパラの生存時間解析で, 症例数設計は,ハザード比に基づいて,同様の原理で行える. 2)より複雑な問題(非劣性,登録期間,脱落)等については,nQuery,SWOGのHPで対応できる. 3)近い将来,POWERプロシジャに生存時間解析の機能が加わるのを期待しましょう.

優越性と非劣性 ・優越性  ・非劣性   ρ劣らない→ρハンデを与えたら勝てる

非劣性試験の症例数設計のプログラム data inferiority; alpha=0.05;beta=0.20; t=5;pc=0.65;pd=0.80; h2=-log(pd)/t;h1=-log(pc)/t;hr=h2/h1; za=probit(1-alpha/2);zb=probit(1-beta); do delta=0 to -0.3 by -0.05; ef=(za+zb)**2*(hr+delta+1)**2      /(2*(hr+delta-1)**2); nf=2*ef/(2-pd-pc); output; end; proc print;run;

非劣性試験の症例数設計の結果 alpha beta t pc pd h2 h1 hr za zb delta ef nf 0.05 0.2 5 0.65 0.8 0.04 0.09 0.52 1.96 0.84 0.00 38.92 141.54 0.05 0.2 5 0.65 0.8 0.04 0.09 0.52 1.96 0.84 -0.05 29.88 108.66 0.05 0.2 5 0.65 0.8 0.04 0.09 0.52 1.96 0.84 -0.10 23.30 84.71 0.05 0.2 5 0.65 0.8 0.04 0.09 0.52 1.96 0.84 -0.15 18.39 66.86 0.05 0.2 5 0.65 0.8 0.04 0.09 0.52 1.96 0.84 -0.20 14.66 53.30 0.05 0.2 5 0.65 0.8 0.04 0.09 0.52 1.96 0.84 -0.25 11.78 42.82 0.05 0.2 5 0.65 0.8 0.04 0.09 0.52 1.96 0.84 -0.30 9.52 34.62

シミュレーションによる例数設計 ・必要な状況 1)プライマリーな解析としてログランク検定の代わりに一般化ウイルコクソン検定を用いる. 2)胃ガンに代表されるように生存時間分布としてワイブル分布などの指数分布以外の分布が想定される. 3)2群で例数をアンバランスにしたい(プラセボの割合を減らしたい). 4)3群以上でデザインしたい. 5)比例ハザード的な効果ではない.

乱数を発生させる道具

データの発生 data data; r1=-log(0.650)/5;r2=-log(0.800)/5; do n=142;do i=1 to 1000; dose=0;do j=1 to n; t=ranexp(4989)/r1;censor=2; if t gt 5 then do t=5;censor=0;end;output;end; dose=1;do j=1 to n; t=ranexp(4989)/r2;censor=2; if t gt 5 then do t=5;censor=0;end;output;end;end; end;

ODSによる検定結果の集計 ods listing close; proc lifetest data=data ; time T*censor(0);strata dose; by n i; ods output HomTests=out; run; ods listing; data out;set out; if 0<Probchisq<0.05 then sign=1;else sign=0; proc freq;tables test*sign/nopercent nocol;

検出力の比較 表 : Test * sign 度数 | 列のパーセント|-2Log(LR|Log-Rank|Wilcoxon| 合計 度数 | 列のパーセント|-2Log(LR|Log-Rank|Wilcoxon| 合計 |) | | | --------------+--------+--------+--------+   0 | 186 | 190 | 194 | 570 | 18.60 | 19.00 | 19.40 | 1 | 814 | 810 | 806 | 2430 | 81.40 | 81.00 | 80.60 | 合計 1000 1000 1000 3000