知 的 財 産 権 教科書 P74,75,126,127 資料 P146,147 埼玉県立大宮武蔵野高等学校・情報科
物体としての「形」がなくとも 財産としての価値があると認めようという考え方 知的財産権 知的財産権 物体としての「形」がなくとも 財産としての価値があると認めようという考え方 文化庁 (文部科学省) 著作者人格権 著作権 著作権 (および 著作隣接権) 産業財産権 その他 公表権、氏名表示権、同一性保持権 知 的 財 産 権 有形複製権、無形複製権、改作利用権 特許権、実用新案権、意匠権、商標権 日本には江戸時代まで知的財産権という概念がなかった。 1875年(明治8年)に出版條例に「版権」が登場するが、著作者を保護するものではなく、出版社を保護することを目的としていた。 1886年に文化的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約が作成される。 1899年(明治32年)にベルヌ条約に加盟するために旧著作権法が公布される。 著作権は文化庁、他は特許庁の管轄である。 不正競争防止法、 半導体集積回路配置図に関する法律 特許庁 (経済産業省)
作品を公表するときに、どのような名前にするか(ペンネーム等)。 著作者人格権 著作者の人格に配慮した権利 公表権 氏名表示権 同一性保持権 作品を無断で公表されない。 作品を公表するときに、どのような名前にするか(ペンネーム等)。 作品を無断で改変されない。 著作者人格権は、著作者の死後も原則として保護され続ける。 原則として永久に保護される。
上演、上映、演奏、公衆通信、 口述、展示、貸与、譲渡など。 著作権 著作者の財産的な権利 有形複製権 無形複製権 改作利用権 作品を物理的に複製する。 インターネットも含まれる 上演、上映、演奏、公衆通信、 口述、展示、貸与、譲渡など。 Webページをインターネットで公開することは、現行の著作権法上は新聞・雑誌と同等である。 現行法律における保護期間は課題。 作品の翻訳や脚本化など。 法律により一定期間保護される。
工業製品などに適用される 産業財産権 特許権 自然法則を利用した技術的思想の 創作のうち高度のもの。 発明 特許権 自然法則を利用した技術的思想の 創作のうち高度のもの。 実用新案権 自然法則を利用した技術的思想の 創作であって、物品の形状、構造又は 組合せに係るもの。 意匠権 物品の形状、模様若しくは色彩又は これらの結合であって、視覚を通じて 美感をおこさせるもの。 商標権 「文字、図形若しくは記号若しくは 立体的形状若しくはこれらの結合又は これらと色彩との結合」である商標。 発明 考案 デザイン 商標登録されているキャラクターや一般的な単語と思われているものにも注意。 ロゴマーク、 キャラクター
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著作権がおよぶものを著作物という 著作権と著作物 日本の著作権法における著作物の基本的定義 「思想又は感情」を表現したものであること 思想又は感情を「表現したもの」であること 思想又は感情を「創作的に」表現したものであること 「文芸、学術、美術又は音楽の範囲」に属するものであること 単なるデータは除かれます。 アイデア等が除かれ、明確なメッセージ(社 会情報)でなくてはならない。 誰でもすぐに考えつくものや、他人の作品の 模倣は除かれます。 著作権法は、文化的な作品の保護を想定して作成されている。ディジタルデータは想定されていない。 工業製品は、産業財産権で保護されている。 工業製品等が除かれ、産業財産権と区別し ている。
著作権法には、一般的な法律と異なる特徴が幾つかある。 著作権法の特異性 著作権法には、一般的な法律と異なる特徴が幾つかある。 無方式主義 (ベルヌ条約) 主な2つの大きな特徴 著作権は著作物が作成された時点で自動的に発生する。 産業財産権は登録制(方式主義) 登録などの手続きが必要でない。 誰が権利を持っているのか明確でない。 親告罪 告訴がなければ、公訴を提起することはできない。 1.文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約(1886年) 日本は1899年に批准。 1-1.権利者が明確でないので、許諾を受けるときに問題がある。 2-1.告訴 犯罪の害を被った者が検察に犯罪事実を申告すること。 2-2.公訴 検察官が裁判所に対して、容疑者に関する審理・裁判を請求すること。 2-3 インターネットにおいては積極的に侵害を見つけており、親告罪としての意味がなくなりつつある。 この二つは、現行の著作権法における問題点である。 侵害があっても、著作者から告訴がなければ、犯罪として認められない。 インターネットでは当てはまらなくなってきている。
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許諾(使用許可)を受けなくてはならない。 著作物の利用 著作物を合法的に利用する方法 著作権の制限される条件が法律に明記されている ○ 法律の条件に完全に合致すれば ○ 法律の条件に少しでも合致しなければ 許可を受けなくても自由に利用できる。 許諾(使用許可)を受けなくてはならない。 著作者人格権は制限されない。つまり、許諾を得たからといって何をしても良い訳ではない(許諾条件) どちらの場合も著作者人格権は保護され、制限されない。
自由に利用できる主な条件 自由に利用できる条件は20ぐらい。主なものは次の通り。 図書館での複製 教育・学校での利用 非営利目的の利用 私的利用 図書館での複製 教育・学校での利用 非営利目的の利用 正規に入手したものを複製して家族で使用することは できる。但し、自分で複製しなくてはならない。 法律で定められた図書館で、資料の一部を一人に 1部だけ。 授業、試験問題、教科書への利用。 自由に利用できる条件は21ある。 1 正規に購入したものを自分で複製する。 3 生徒や児童が授業で自由に使用することが許されたのは平成16年4月1日から(それまでは教師のみOK)。但し、コンピュータプログラムなどはNG。 4 文化祭での吹奏楽部の演奏や演劇部の上演が許されるのは非営利で無報酬だからである。文化祭での発表は教育活動とはみなされない。 上演、演奏など一部の無形複製で、無料(非営利) かつ無報酬。
引用 論文などで利用 引用 他人の著作物を部分的に使用することが可能。 引用できるのは公表された著作物でなくてはならない。 「公正な慣行」に合致していなくてはならない。 正当な範囲内でなければならない。 引用部分がはっきりと分かるようにしなければならない。 出所(出典)を明記しなければならない。 公表権の保護が優先される。 引用部分が合理的に必要であると、認められなくてはならない。 引用 文系の論文では、引用は極めて重要。自分の考えを、他人の言葉で伝える(引用を使って)説明する。 引用部分が必要最低量であること。
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著作物を自由に使用する条件が揃わなければ… 著作者に許可を得て著作物を使用する 著作物を自由に使用する条件が揃わなければ… 許可を得なくては利用することができない。 許諾 許諾を受けるための明確な手順が存在しない。 最終的には著作権保有者と直接交渉するしかない 許諾を受ける手順が明確でない。 無方式主義のため、誰に許諾を申請すればよいのかもわからない。 現行の著作権法の問題点。 無方式主義なので 誰だか分からない。
情報によって意味内容の伝達は行われない。 著作権及び著作権法を考える 現行の法律には様々な問題があることが指摘されている。また、情報学の基本原則から考えると著作権そのものに対する根本的な疑問も生じる。 情報によって意味内容の伝達は行われない。 によって著作者の意図する意味内容は伝達 されず、著作物を利用する者が勝手に意味を構築する。 著作物(メッセージ) 基礎情報学と構造主義(ロラン・バルトの「読者の誕生と作者の死」)から著作権に対する根本的な疑問を投げかける。 著作権及び著作権法についての考えを促す。 著作物の意味や価値は、著作者ではなく”著作物を利用する者が 勝手に構築している”だけである。このような状況を考えたとき、 どんなの権利を著作者に与えるべきであろうか?
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