※虐待対応件数とは、通報・届出・相談のうち、関係機関によるコア会議において「障害者虐待あり」と判断された件数

Slides:



Advertisements
Similar presentations
厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部 障害福祉課 地域生活支援推進室 室 長 竹林 経治 平成26年9月24日 平成 26 年度 障害者虐待防止・権利擁護指導者養成研修.
Advertisements

介護支援サービス(ケアマネジメント) 要援護者やその家族がもつ複数のニーズと社会資源 を結びつけること。 要援護者の生活の質を高めること。 保健,医療,福祉,住宅等の各種公的サービスだけ でなく,家族、ボランティア,近隣等の支援とも調整 し,在宅生活を支えていくもの.
1 個人情報保護について 弁護士法人龍馬 弁護士 舟木 諒,板橋俊幸. 情報化社会 □ 個人情報保護法の概要 2003 年(平成 15 年) 5 月 23 日成立, 2005 年(平成 17 年) 4 月 1 日全面施行。 ◆成立の背景 プライバシー侵害 国際上の問題 住民基本台帳問題 個人情報漏洩問題.
設置者・管理者の責務② ~職員の育成指導等~ 平成 26 年度 青森県障害者虐待防止・権利擁護研修 公益社団法人 日本社会福祉士会 平成 26 年度障害者虐待防止・権利擁護指導者養成研修から.
平成28年度 就労支援部会活動計画 1 1 就労支援部会 2 就労支援の課題 3 平成28年度活動計画
養介護施設従事者等による 高齢者虐待防止について
平成26年度 障害者等相談支援事業について 資料 1
いじめ防止全体指導計画 【対応1】 未然防止・早期発見 【対応2】 緊急対応・早期対応 いじめ発生 基本姿勢 雲仙市立千々石第一小学校
居宅介護支援事業所.
市町村による精神障がい者の地域移行を進めるための支援策について(案)
障害者の職業能力調査 ~その実態と今後の方向~
平成25年6月7日(金) 医療保健政策区市町村包括補助事業 台東区 口腔ケア連携推進事業 台東区健康部健康課.
【資料5】 条例の基本的な方向性について 平成28年8月30日 福岡市障がい者在宅支援課.
平成26年度 埼玉県障害者 虐待防止・権利擁護研修
平成25年7月4日(木) 高齢者・障がい者虐待防止ネットワーク運営委員会
高齢者虐待・障がい者虐待とは 高齢者虐待・障がい者虐待の定義 高齢者虐待防止法において、「高齢者虐待」とは、 ・養護者による高齢者虐待
障害のある人の相談に関する調整委員会の設置
4 第3次障害者基本計画の特徴 障害者基本計画 経緯等 概要(特徴) 障害者基本法に基づき政府が策定する障害者施策に関する基本計画
障害者福祉施設、障害福祉サービス事業所における
平成27年度 障害者虐待防止権利擁護研修 施設コース
虐待防止の内部研修の実施方法.
趣旨  平成22年4月1日厚生労働省(医政発0401第17号) 各都道府県知事にあて発令された文章を受けて 県内各施設における医療的ケアを実践的に 指導できる看護職員を養成することを目的
介護従事者確保総合推進事業について(H28) 目的       介護を必要とされる方々が地域で安心して暮らし、必要な介護サービスが提供されるために、介護現場における人材 の  の安定的な確保と離職防止に向け、幅広い施策を総合的に推進する。 施策・取組 多様な人材の参入促進.
平成27年度 埼玉県障害者 虐待防止・権利擁護研修
重症心身障害児者等 コーディネーター育成研修 3 支援体制整備④ 資源開拓・創出方法
障害者福祉施設、障害福祉サービス事業所における
岐阜圏域 精神障がい者 就労支援セミナー ~障がいのある方の「働きたい」を実現するために~
重症心身障害児者等 支援者育成研修テキスト 5 ライフステージにおける支援① 各ライフステージにおける 相談支援に必要な視点
大阪府障がい者虐待防止対策支援事業の主な取組み 資料2
「就労支援に係る相談支援機関」 障害者就業・生活支援センター 障がい者 自立・安定した職業生活の実現 雇用と福祉のネットワーク 福祉施設等
資料2 介護保険制度改革の方向.
福祉サービス部会 平成27年度 活動計画(案) 岡山南障がい者相談支援センター 村上 眞 平成28年6月10日
地域包括ケアを知る~地域包括支援センターに求められる機能とは~
高齢者の権利擁護のための研修 1 神奈川県 平成26年9月 平成28年11月改訂
別 紙 児童相談体制の強化に向けた緊急対策 平成30年9月14日 東京都福祉保健局.
若年性認知症支援コーディネーター設置等事業
高齢者虐待や不適切なケアが 起こってしまった時は(事後対応)
地域ネットワークを構築 相談支援事業が核 甲賀地域障害児・者サービス調整会議(甲賀地域自立支援協議会)の運営 図3 約80機関で構成
平成26年度 埼玉県障害者虐待防止・権利擁護研修
輝いて、自宅で ~終わりよければすべてよし~
平成30年8月 府中地区ケアマネジマント モデル 有地.
天理市第1号訪問事業 (短期集中予防サービスC)について
「内部告発」 という名の ボランティア 金沢大学附属病院 産婦人科講師 打出喜義.
<資料 2> 静岡市障害者自立支援協議会専門部会の活動状況について
障害者福祉施設、障害福祉サービス事業所における
障害福祉サービス等情報公表制度に係る手続きのご案内 平成30年4月に障害福祉サービス等情報公表制度が施行されました。
重症心身障害児者等 コーディネーター育成研修 2 計画作成③ 重症心身障害児者等の ニーズ把握事例 ~久留米市のコーディネートの現状~
平成24年4月から 業務管理体制整備の届出が必要となります。 休止・廃止届を事前届出制にするなどの制度改正が併せて行われました。
平成25年度 障害者虐待防止法に係る 大阪府の対応状況について
平成30年度県央圏域障害児・者相談支援フォーラム
我が国の自殺死亡の推移 率を実数で見ると: 出典:警察庁「自殺の概要」
大阪府域における太陽光発電施設の地域との共生を推進する体制<大阪モデル>(案)
今後めざすべき基本目標 ―「ケアの流れ」を変える―
重症心身障害児者等 コーディネーター育成研修 2 計画作成① 重症心身障害児者等の 意思決定支援
施設入所者の地域移行について 施設入所者の状況について 資料2
大阪市の依存症対策 現状と課題 H29事業 共通 アルコール依存 薬物依存 ギャンブル等依存 治療が長期間に及ぶ-薬物治療の効果は限定的
発 達 障 が い 児 者 支 援 に 関 す る 主 な 取 組 平成30年度当初予算 218,554千円
介護保険サービス基準設定の基本的考え方について
若年性認知症の人への支援 若年性認知症支援コーディネーター これらの支援を一体的に行うために を各都道府県に配置
平成30年度 介護労働懇談会の開催(1回目) 島根支部
平成26年度 障害者虐待防止法に係る 大阪府内の対応状況について
( 平成29年6月30日時点精神科病院長期入院者数[暫定値] )
移行定着支援事業(新規) 1 事業の目的   小規模作業所等が障害者自立支援法に基づく新体系サービス(地域活動支援センターを除く。)の事業へ  移行した場合に、新たな事務処理を定着させるために要する経費や移行前の小規模作業所等の当時からの利用  者が継続して利用し、定着できるために実施する経過的な施策に要する経費等を助成することにより、新体系.
内部統制とは何か.
基礎情報の収集・・・前年度の出欠席状況、配慮の必要性、長期欠席経験者への対応
~「依存症対策のあり方について(提言)」(平成29年3月)と府の対応~
長野大学における科研費等の運営・管理について
大津市自立支援協議会人材育成部主催 大津合同中堅研修 「中堅さん!一緒に学ぼう!2018」 私の研修ネタ ~高齢者虐待防止研修の場合~
福祉・介護職員等 特定処遇改善加算について
個人情報に関する基本方針 基本方針 具体的な取り組み 相談体制
Presentation transcript:

※虐待対応件数とは、通報・届出・相談のうち、関係機関によるコア会議において「障害者虐待あり」と判断された件数 平成26年度 障がい者虐待の現状について 資料 2 1 障害者虐待防止対策支援事業  「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」(通称「障害者虐待防止法」)に基づき、障害者虐待の未然防止、早期発見と迅速な対応、適切な支援、地域における関係機関の支援体制の強化等を図るため、以下の事業等を実施した。 (1)平成26年度 障害者虐待に関する通報・届出・相談件数 ※虐待対応件数とは、通報・届出・相談のうち、関係機関によるコア会議において「障害者虐待あり」と判断された件数 通報・届出・相談 54件 うち虐待対応 24件 <H26年度> <H24年度> 通報・届出・相談 34件 うち虐待対応 11件 <H25年度> 通報・届出・相談 73件 うち虐待対応 35件

(2)被虐待者の一時保護  養護者虐待により、生命又は身体に重大な危険が生じている、または生じる恐れがあるとして養護者から「分離」し、一時的に保護をした事案は5件あった。  (1)の障害者支援施設へ措置した事案については、平成25年度にも一時保護を実施した事案である。本人へのサービス量を増加し、身の回りの介護について養護者と約束事を交わした上で家庭に戻し、本人・家族に対して支援を続けてきたが、改善されず、再度、一時保護を実施した。支援の難しさを痛感した事案であった。 (1) 障害者支援施設へ一時保護(身体障害者福祉法による「やむを得ない事由による措置」) (2) 老人福祉施設へ一時保護(老人福祉法による「やむを得ない事由による措置」) (3) 福祉ホームへ一時保護 (4) 母子生活支援施設へ一時保護 被虐待者 (5) 民間アパートへ一時保護 (本人が利用している通所事業所が借りている部屋)

(3)虐待防止研修  虐待防止センター、障害者自立支援協議会地域課題プロジェクトとの協働により、強度行動障がい者をテーマに障がい者虐待との関連性及び支援方法等について研修会を開催した。障害福祉サービス事業所、相談支援事業所、行政機関から80名が参加した。 ■ 日時 平成27年2月13日(金) 9:30~16:30 ■ 場所 城東保健福祉エリア ■ 内容    「強度行動障がいと障がい者虐待について」   社会福祉法人ひかりの園 浜松協働学舎   講師: 根洗寮 施設長 高木誠一氏  「強度行動障がいとは」   社会福祉法人横浜やまびこの里   講師: 東やまたレジデンス 施設長 中村公昭氏     <参加者アンケートから> ・事業所に持ち帰り、情報共有し、より有効なものにしていきたい ・「虐待」は日常とかけ離れていると思っていたが、現実を痛感した ・支援スキルの向上が虐待防止につながることがわかった ・今日はどうだったかのか? 一日を振り返る時間を持つようにしたい

(4)部会の設置及び事例検証会議の開催  障がい者の権利擁護、虐待防止を推進するため、平成26年度から障害者自立支援協議会の専門部会として新たに権利擁護・虐待防止部会を設置した。                               <権利擁護・虐待防止部会>     <障がい者虐待事例検証会議>  権利擁護・虐待防止部会が主体となり、事例検証会議を開催した。  相談支援推進センターを初めとする11箇所の虐待防止センター、行政の虐待対応窓口職員の参加により、身体的虐待、心理的虐待、ネグレクトの4つの事例について、弁護士、社会福祉士から専門的アドバイスを受けるなど虐待対応力の向上に努めた。  ■ 日 時  平成27年2月20日(金)           13:30~15:30  ■ 場 所  駿河区役所大会議室 役割 ①権利擁護、虐待防止に関する啓発・普及策の検討 ②虐待事例の情報共有及び検証 ③早期発見、再発防止策の検討 平成26年度の協議事項 ①成年後見制度、日常生活自立支援事業の利活用に向けた連携 ②長期化している案件の個別対応について ③終結した案件の検証

2 虐待件数の詳細 (1)平成26年度 虐待者別件数の内訳 虐待者別内訳では、グラフのとおり養護者が全体の70%を占めており、圧倒的に多い。 2 虐待件数の詳細 (1)平成26年度 虐待者別件数の内訳 虐待者別 通報・届出・相談件数 うち虐待案件として 対応した件数 養護者による虐待 38 16 施設従事者による虐待 10 4 使用者による虐待 1 その他※ 5 3 計 54 24 養護者による虐待 身辺の世話、身体介助、金銭の管理等を行っている者  虐待者別内訳では、グラフのとおり養護者が全体の70%を占めており、圧倒的に多い。 障害者福祉施設又は障害福祉サービス事業等に従事する者 施設従事者による 虐待 障がい者を雇用する事業主等 使用者による虐待 ※ 同居していない親族、母の恋人など、本人の身辺の世話等を行っておらず、養護者に分類できないものは「その他」に分類

(2)平成26年度 虐待類型別件数の内訳 (重複あり) (2)平成26年度 虐待類型別件数の内訳 (重複あり) 虐待類型別 通報・届出・相談件数 うち虐待案件として対応した件数 身体的虐待 20 11 性的虐待 2 心理的虐待 21 9 ネグレクト 17 5 経済的虐待 8 6 計 68 31  虐待類型別内訳では、グラフのとおり心理的虐待、身体的虐待、ネグレクトの順に多いが差は余りなく、いずれも全体の30%前後を占めている。 身体的虐待 障がい者の身体に外傷が生じ、若しくは外傷が生じる恐れのある暴行を加え、また正当な理由なく身体を拘束すること 性的虐待 障がい者にわいせつな行為をすること又は障害者をしてわいせつな行為をさせること 心理的虐待 障がい者に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、その他著しい心理的外傷を与える言動を行うこと ネグレクト 障がい者を衰弱させるような著しい減食、放置等養護を著しく怠ること 経済的虐待 障がい者の財産を不当に処分すること、不当に財産上の利益を得ること

3 虐待対応案件に見る養護者虐待の状況 平成26年度に養護者による虐待案件として対応した事案は16件であった。 養護者虐待の半数は、本人にとって一番身近な介護者である父母によるものである。 頭を叩かれる、腹を蹴られる等の身体的虐待、暴言による心理的虐待、食事を十分に与えない、必要なサービスを受けさせない等によるネグレクト、本人の年金や工賃を使い込んだ経済的虐待が主な内容である。 また、障害福祉サービス従事者からの通報が全体の44%を占めており、事業所職員による日常的な見守りによって発覚する事案が多いことが伺える。

4 虐待対応案件に見る施設従事者虐待の状況 平成26年度に施設従事者による虐待案件として対応した事案は4件であり、概要は下記のとおりである。 4 虐待対応案件に見る施設従事者虐待の状況  平成26年度に施設従事者による虐待案件として対応した事案は4件であり、概要は下記のとおりである。 概要 通報者 サービス種別 ① 作業ペースが遅いことへの叱責、土曜出勤の強要による心理的虐待 ⇒ 当該事業所に対し口頭指導 本人 就労移行支援 ② 耳を引っ張る、引きずる、頭を叩くなどの身体的虐待及び「心が汚い」との暴言による心理的虐待 ⇒ 当該事業所に実地指導を行い、口頭指導 元支援員 放課後等 デイサービス ③ “うそつき呼ばわり” をされたことによる心理的虐待 ④ 利用者に対する暴言・暴行による身体的虐待及び心理的虐待  ⇒ 当該施設に立入調査、全職員に対し、聞き取り調査中   匿名 障害者支援 施設

5 虐待対応案件に見る使用者虐待の状況  平成26年度に使用者による虐待案件として通報を受け、対応した事案は1件であり、概要は下記のとおりである。 使用者による障がい者虐待の流れ 虐待を発見した者からの通報 虐待を受けた者からの届出 市虐待 対応窓口 市虐待防止センター 県虐待対応窓口 県労働局 公共職業安定所 労働基準監督署 等 労働関係法令に基づく権限の適切な行使 通知 報 告 対応部署決定 概要 対応結果(静岡労働局)  雇用先上司から、「障害者だからできるわけない」とか、麻痺している手を見て、「形状が気に入らない」と言われたなどの心理的虐待  本人に対し事実確認。事業所への立入検査を実施したが、虐待の事実の確認はできなかった。

6 虐待案件の推移 平成24年度 平成25年度 平成26年度 合計 虐待件数 11 35 24 70 終結件数 9 30 16 55 継続件数 2 5 8 15  (1) 終結のパターン   障がい者虐待届出・通報後、被虐待者の処遇検討を繰り返し、サービス等に結びつけるというプロセスを経て、一定期間経過後、発生要因が除かれた事案については、関係者による「終結会議」を開催し、虐待が発生しないと判断した上で障害者虐待防止法に関わる対応を終了している。主な終結パターンは下記のとおりである。 <養護者虐待の場合> ・施設入所やグループホーム入居等による虐待者との分離 ・成年後見人等の選任により、経済的搾取がなくなった等 <施設従事者虐待の場合> ・口頭・文書における改善指導  ・事業所実地調査における指導の強化 ・虐待職員の処遇も含めた事業所改善報告書の提出等 ※ 虐待案件として終結しても、本人の生活支援や定期的見守りを関係機関が継続して行っている事案がほとんどである。 

早期発見・早期支援を目標に関係機関と一丸となった取組みの継続 (2) 対応が長期化する要因 前ページの表のとおり、平成24年10月の障害者虐待防止法施行後、平成26年度末までに70件の虐待案件に対応し、そのうちの約78%は終結しているが、15件の事案については、対応が継続している。 対応が長期化する要因として、下記のようなことが考えられる。 <養護者虐待の場合> ・虐待を認めない、障がい特性に対して理解がない。 ・支援者の介入、福祉サービス、成年後見制度等の利用を拒む。 ・虐待者自身への支援が必要な多問題家族である。 ・重度の障がい者が利用できる短期入所も含めた入所施設がないため分離ができない。 <施設従事者虐待の場合> ・通報内容が苦情か、虚偽の通報か、過失による事故か、正確な事実確認に時間を要する。 ・障害者虐待防止法、公益通報者保護法により、通報者は守られるが、現実には匿名や内部告発等による通報が多いため、通報者保護の点で慎重を期さざるを得ず、事実確認に時間を要する。   早期発見・早期支援を目標に関係機関と一丸となった取組みの継続