平成20年度 核融合科学研究所共同研究 研究会 「負イオン生成および負イオンビーム加速とその応用」 プロセスプラズマのPIC計算のモデリング

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平成20年度 核融合科学研究所共同研究 研究会 「負イオン生成および負イオンビーム加速とその応用」 プロセスプラズマのPIC計算のモデリング 2008年7月22日 ペガサスソフトウェア株式会社 中舘博 Copyright 2002-2008 PEGASUS Software Inc., All rights reserved.

Copyright 2002-2008 PEGASUS Software Inc., All rights reserved. 会社紹介 ペガサスソフトウェア株式会社 http://www.psinc.co.jp 2002年5月設立 社員 5名 主にプラズマ、希薄気体、表面形状の シミュレーションソフトウェアを開発し、販売 Copyright 2002-2008 PEGASUS Software Inc., All rights reserved.

シミュレーションの必要性 プロセス開発の現状 ブラックボックス 装置の運転条件 幾何形状、ガス種、ガス圧、パワー等    装置内 プラズマやラジカルの状態    基板 薄膜や微細構造の状態 最終的な製品の状態を評価して、運転条件にフィードバックする。装置内の状態を測定するのは困難で、ブラックボックスとして扱われる。 Copyright 2002-2008 PEGASUS Software Inc., All rights reserved.

シミュレーションの必要性 シミュレーションの有効利用 基板に到達するイオン、ラジカル、スパッタ粒子の フラックス エネルギー分布 入射角度分布 など 数値シミュレーションにより装置内の状態を評価する。 装置の運転条件 幾何形状、ガス種、ガス圧、パワー等    装置内 プラズマやラジカルの状態    基板 薄膜や微細構造の状態 装置内の状態を可視化することで、プロセス開発の効率を向上させることを目指す。 Copyright 2002-2008 PEGASUS Software Inc., All rights reserved.

プラズマ装置内に生じている現象 方程式の非線形性 ポアソン方程式 荷電粒子の運動方程式 荷電粒子の生成 Ra = (電子エネルギー分布の関数) 荷電粒子の運動は電位分布(電界)の影響を受ける 荷電粒子が運動すれば空間電荷分布が変化し、電位分布も変化する 荷電粒子の生成率は電子エネルギー分布の関数であり、電子エネルギー分布は電位分布の関数である 非線形性が非常に強い。短いタイムステップで時間を追跡していくしかない。 Copyright 2002-2008 PEGASUS Software Inc., All rights reserved.

プラズマ装置内に生じている現象 気相反応 (CF4の場合) Copyright 2002-2008 PEGASUS Software Inc., All rights reserved.

Particle-In-Cell / Monte Carlo Collision Method プラズマの粒子シミュレーション法 PIC/MCC法 Particle-In-Cell / Monte Carlo Collision Method プラズマの粒子シミュレーション法 Copyright 2002-2008 PEGASUS Software Inc., All rights reserved.

Copyright 2002-2008 PEGASUS Software Inc., All rights reserved. PIC/MCC法 基本的な考え(1) 装置内に存在する例えば1015個程度の電子・イオンを、106個程度の “超粒子” (super particle, サンプル粒子) で置き換えてシミュレートする。 重み 1015/106=109 超粒子の“重み”という。 Copyright 2002-2008 PEGASUS Software Inc., All rights reserved.

Copyright 2002-2008 PEGASUS Software Inc., All rights reserved. PIC/MCC法 基本的な考え(2) 電位の境界条件と空間電荷分布を考慮し、ポアソン方程式を解く 荷電粒子の運動方程式を解き、電場、磁場中での荷電粒子の運動を追跡する 荷電粒子に境界条件を適用する(壁面で消滅、壁面から2次電子放出など) 荷電粒子と気体分子との衝突(弾性散乱、電離による電子とイオンの生成など) 上記の手順を(10-10 sec 程度の) 短い時間ステップで繰り返し、定常状態になるまで現象を追跡する。 Copyright 2002-2008 PEGASUS Software Inc., All rights reserved.

Copyright 2002-2008 PEGASUS Software Inc., All rights reserved. PIC/MCC法 実行のイメージ イオン 電子 中性気体をバックグラウンドとして扱い、電場、磁場中の電子・イオンの超粒子の運動を追跡する。 Copyright 2002-2008 PEGASUS Software Inc., All rights reserved.

Copyright 2002-2008 PEGASUS Software Inc., All rights reserved. PIC/MCC法 実行のイメージ イオン 電子 Copyright 2002-2008 PEGASUS Software Inc., All rights reserved.

Copyright 2002-2008 PEGASUS Software Inc., All rights reserved. PIC/MCC法 実行のイメージ イオン 電子 Copyright 2002-2008 PEGASUS Software Inc., All rights reserved.

Copyright 2002-2008 PEGASUS Software Inc., All rights reserved. PIC/MCC法 実行のイメージ 電離衝突により、新たにイオンと電子が生成する 気体分子との弾性散乱により速度が変化する Copyright 2002-2008 PEGASUS Software Inc., All rights reserved.

Copyright 2002-2008 PEGASUS Software Inc., All rights reserved. PIC/MCC法 クーロン相互作用 クーロン力は遠距離力である。 周りの全ての荷電粒子との相互作用を計算するのは計算時間がかかりすぎ非現実的。 空間をメッシュ分割し、超粒子の電荷をグリッド上に集約して、ポアソン方程式を解く。 q1 q2 q3 q4 Copyright 2002-2008 PEGASUS Software Inc., All rights reserved.

Copyright 2002-2008 PEGASUS Software Inc., All rights reserved. PIC/MCC法 荷電粒子の運動方程式 グリッド上のE,B の値を荷電粒子の位置に内挿して用い、現在の位置速度から Δt 後の位置速度を求める。 Copyright 2002-2008 PEGASUS Software Inc., All rights reserved.

Copyright 2002-2008 PEGASUS Software Inc., All rights reserved. PIC/MCC法 境界条件 電位の境界条件 ノイマン境界条件(法線方向の電位勾配が0) ディリクレ境界条件(境界の電位を与える) 周期境界条件 荷電粒子の境界条件 境界で消滅 材料表面に表面電荷が蓄積 2次電子放出 Copyright 2002-2008 PEGASUS Software Inc., All rights reserved.

PIC/MCC法 荷電粒子の壁面での境界条件 + イオンが壁面に入射すると、 中性化して反射する 固体の内部に進入する イオンは壁面で消滅するとして取り扱う 壁面  Copyright 2002-2008 PEGASUS Software Inc., All rights reserved.

PIC/MCC法 荷電粒子の壁面での境界条件 + - 誘電体表面に荷電粒子が入射→表面に電荷が蓄積する ポアソン方程式を解くときにこの表面電荷も考慮する。 イオンと電子の入射フラックスが等しくなるように電位が変化する。 - - - - 誘電体表面  Copyright 2002-2008 PEGASUS Software Inc., All rights reserved.

PIC/MCC法 荷電粒子の壁面での境界条件 イオンが壁面に入射すると、電子が放出される場合がある。入射者イオン1個あたり平均何個の電子が放出されるか→2次電子放出係数 金属材料では 0.1前後の値をとるものが多い。MgO のように 3.0 という大きい値をとる材料もある。 DCプラズマの場合には2次電子放出がプラズマを維持するため、2次電子放出係数は特に重要。 + - 壁面  Copyright 2002-2008 PEGASUS Software Inc., All rights reserved.

Copyright 2002-2008 PEGASUS Software Inc., All rights reserved. マグネトロンスパッタ装置の解析 Copyright 2002-2008 PEGASUS Software Inc., All rights reserved.

Copyright 2002-2008 PEGASUS Software Inc., All rights reserved. マグネトロンスパッタ装置 解析モデル ターゲット 基板 磁石 2次元円柱座標系 でモデル化 Copyright 2002-2008 PEGASUS Software Inc., All rights reserved.

Copyright 2002-2008 PEGASUS Software Inc., All rights reserved. マグネトロンスパッタ装置 1.静磁場解析 磁束密度分布 磁力線 Copyright 2002-2008 PEGASUS Software Inc., All rights reserved.

マグネトロンスパッタ装置 2.PIC/MCC法 プラズマ解析 電子密度分布 Copyright 2002-2008 PEGASUS Software Inc., All rights reserved.

マグネトロンスパッタ装置 2.PIC/MCC法 プラズマ解析 Ar+イオン密度分布 Copyright 2002-2008 PEGASUS Software Inc., All rights reserved.

マグネトロンスパッタ装置 2.PIC/MCC法 プラズマ解析 空間電荷密度分布 Copyright 2002-2008 PEGASUS Software Inc., All rights reserved.

マグネトロンスパッタ装置 2.PIC/MCC法 プラズマ解析 電位分布 Copyright 2002-2008 PEGASUS Software Inc., All rights reserved.

マグネトロンスパッタ装置 2.PIC/MCC法 プラズマ解析 電子生成率(電離レート)分布 Copyright 2002-2008 PEGASUS Software Inc., All rights reserved.

マグネトロンスパッタ装置 2.PIC/MCC法 プラズマ解析 ターゲットへ入射するイオンのフラックス分布 Copyright 2002-2008 PEGASUS Software Inc., All rights reserved.

マグネトロンスパッタ装置 3.MC-BCA スパッタリング解析 スパッタリングフラックス分布 (ターゲットの損耗分布) スパッタリング粒子放出角度分布 Copyright 2002-2008 PEGASUS Software Inc., All rights reserved.

マグネトロンスパッタ装置 4.スパッタ粒子の輸送 Copyright 2002-2008 PEGASUS Software Inc., All rights reserved.

マグネトロンスパッタ装置 4.スパッタ粒子の輸送 Copyright 2002-2008 PEGASUS Software Inc., All rights reserved.

マグネトロンスパッタ装置 4.スパッタ粒子の輸送 Copyright 2002-2008 PEGASUS Software Inc., All rights reserved.

Copyright 2002-2008 PEGASUS Software Inc., All rights reserved. おわりに ・熱、構造、流体、電磁気分野ではシミュレーションが定着 ・プラズマ分野ではシミュレーションの普及はまだこれから      ・計算時間の短縮      ・断面積等のデータ整備      ・実験とシミュレーション結果の照らし合わせ      ・3次元化      ・使い勝手      ・メーカー・大学等研究機関・ソフトウェア開発者       の連携 装置設計に、より役立つシミュレーションツールを目指す Copyright 2002-2008 PEGASUS Software Inc., All rights reserved.