情報科教育法第2回 教科「情報」の成り立ちと構成

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1 課題の洗い出し. 2 1.本日の日程 ①開会の挨拶 日程説明 ( 5 分) ②自己点検 ( 10分) ③情報モラル指導の必要性(プレゼン) (20分 ) ④課題の洗い出し ( 10分) ⑤全体計画についての協議Ⅰ (15 分) ⑥全体計画についての協議Ⅱ (20 分) ⑦全体計画についての協議Ⅲ.
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情報科教育法第2回 教科「情報」の成り立ちと構成 理学部数学科 清 水 克 彦

Information is Capital. 世界はすごいスピードで 情報化している。 Information is Capital.

モールス信号による有線電信システムの開発 グローバルコミュニケーション時代 1838 モールス信号による有線電信システムの開発 1845 遠距離電気通信の成功 1850 英仏海峡・大西洋に海底ケーブルが敷設 1869 東京ー横浜間で電報の実用化 1876 グラハム・ベルによる電話の実用化 1879 東京ー横浜間で電話の実用化 1900 日本で街頭公衆電話の登場 1920 米国でラジオ放送開始 1925 日本でラジオ放送開始 1939 米国でテレビ放送の開始 1953 日本でテレビ放送の開始

コンピュータの登場 コミュニケーション手段のディジタル化 メイン・フレーム・コンピュータの時代(ENIAC(世界最初の大型コンピュータ:真空管式)、UNIVACなど)1946- データ通信によるオンライン処理化(1970年代ー) パーソナル・コンピュータの誕生(インテルの8080マイクロプロセッサーの登場、NECのPC8001の開発(1983)、東芝によるワープロJW-10の開発(1978)など 融合メディアの時代:マルチメディア化、インターネットの登場(1985年に日本と米国がつながる)

コンピュータの分類(性能・規模) メイン・フレーム:スパコン、大型のものなど ミニ・コンピュータ:現在ではあまり使われない言葉 マイクロコンピュータ:LT,Note,PDA(Personal Digital Assistant)など PDAはウルトラ・モバイルPC(UMPC)にも発展している。 携帯電話とPCの融合:iPhone, Smart Phone, Xperiaなど ネットワーク接続、インターネット接続が標準、ワンセグ放送の受信など

コンピュータの分類(用途・機能) パーソナルコンピュータ(パソコン):個人が利用するコンピュータの総称、境界線上にPDAなどがある ワークステーション:専門的な業務に用いられる高機能のコンピュータ、ネットワークサーバ、Webサーバなども含む 汎用コンピュータ:大規模な多目的コンピュータ、社会システムなどの中核として利用 スーパーコンピュータ:科学技術計算用の超高速なコンピュータ マイクロコンピュータ(マイコン):組込型のプロセッサを持つ非常に小規模なコンピュータ 特殊目的コンピュータ:制御用コンピュータ、オフコン、ゲーム用など(64bit,128bitなど)

ハードウェアの階層 算術論理演算回路 及びCPU メモリ、加算器、制御論理 レジスタ フリップ・フロップ回路 論理回路: AND,OR、NOT スイッチ回路

論理ゲート、フリップ・フロップ、レジスタ ソフトウエアの階層 第4世代言語 1985 高級言語 1970 インタプリタとコンパイラ 1970 アセンブリ言語 1950 機械語 1950 マイクロコード 1950 データ構造とアルゴリズム 論理ゲート、フリップ・フロップ、レジスタ

日常生活のなかの情報システムの普及 ATMマシンの登場 POSシステム コンサートのチケット予約 電化製品へのコンピュータ機能の普及 ネットワークと携帯電話の接続 CSCW(Computer Supported Collaborative Work) OJT e-Learning system SOHO(Small Office Home Office)などの登場 地上波デジタル放送、ワンセグ放送 さまざまな社会情報システムの普及

マスメディアの多様化 新聞・週間月刊誌・書籍 電話 ラジオ テレビ インターネット、電子メール 携帯電話、携帯メール i-modeなどの登場、地上波デジタル放送 マルチメディア化でシームレスに

社会実情データ図録よりhttp://www2.ttcn.ne.jp/~honkawa/index.html

社会実情データ図録よりhttp://www2.ttcn.ne.jp/~honkawa/index.html

どうする日本 「先行するシンガポール・韓国、猛追する中国」 行政の情報化の順位はアジアで低い方 16位 19位 20位 25位 28位 32位 大韓民国 シンガポール 香港 台湾 マレーシア 日本 「先行するシンガポール・韓国、猛追する中国」 行政の情報化の順位はアジアで低い方 E-Learningへの準備の度合い(Economist,IBM社) 5位 6位 23位 26位 36位 46位 大韓民国 シンガポール 日本 マレーシア タイ 中国

学校の中でもその情報化の波は押し寄せている 学校はどのように対応しているのだろうか

これまでの学校教育における情報・コンピュータ 有効な教育機器としての情報機器 各教科に分散されたコンピュータの内容 職業教育として行われていた内容 テレビ、ビデオ、学校放送、アナライザー、デジタイザー、ティーチングマシン、OHP,CAI、プロジェクタ、ビデオ編集機、光ディスク、デジタルビデオなど 数学科におけるプログラミング的な内容(今回削除)、理科におけるコンピュータ(論理素子など)の内容 電子・電気科などで行われていたコンピュータ、論理回路の内容、建築科・機械科のCADやCAMの内容、商業科のコンピュータや計算処理の内容、など これらの内容を整理・統合している今回・次回のカリキュラム 各教科での活用・総合的学習の時間での活用 普通教科「社会と情報、情報の科学」・専門教科「情報」

高等学校「情報」教育の二つの顔 普通教育としての「情報」 良識ある市民(educated citizen)が持つべき、情報リテラシーの育成 専門教育(職業教育)としての「情報」  情報化社会における産業における専門家(主に中堅職業人)の育成として、専門的知識・技能の教育

考えてみるべきテーマ 「普通教育における情報と、専門教育における情報では、生徒にどのような力を育成するべきだろうか」 普通教科「情報」として:高校生全員につけさせるべき情報の知識・技能・リテラシーなどはどのようなものか。 専門教科「情報」として:高校を卒業して職業につく生徒にどのような専門的な知識・技能などをつけるべきだろうか。

問題解決力、実践力、コミュニケーション能力の学習 「情報」の学習目標の俯瞰図(岡本,2002) through computer with computer ITに関する用語、知識・概念等を学習 問題解決力、実践力、コミュニケーション能力の学習 about computer 社会参画への健全な態度・モラルの学習 情報の科学的、技術的な事柄の学習

すべての国民のための情報学として(岡本2002) 情報の判断、選択、整理、処理能力及び新たな情報の創造、伝達能力の育成 情報化社会の特質、情報化の社会や人間に対する影響の理解 情報の重要性の認識、情報に対する責任感 情報科学の基礎、及び情報手段の特徴の理解、基本的な操作能力の習得

独立教科として「情報」を確立する必要がある 「情報」というものを体系的に理解、操作・変換、表現・伝達、評価、そして創造するといった独立した教科目が必要 ICTの社会での重要性、人間活動がそれに大きく係わってきているという状態 それを諸外国でも多くの国で行うようになってきているという現実

高校で行う「情報」 情報教育に対する事柄 発達 段階 高等学校段階 中学校段階 小学校段階 about:情報に関する内容の学習   段階 高等学校段階 中学校段階 小学校段階 about:情報に関する内容の学習 through:WBL的利用 with:IT活用の学習

普通教科「情報A,B,C」の目標 情報及び情報技術を活用するための知識と技能の習得を通して、情報に関する科学的な見方や考え方を養うとともに、社会の中で情報及び情報技術が果たしている役割を理解させ、情報化の進展に主体的に対応できる能力と態度を育てる。

普通教科「情報」全体の目標 情報及び情報技術を活用するための知識と技能を習得させ、情報に関する科学的な見方や考え方を養うとともに、社会の中で情報及び情報技術が果たしている役割や影響を理解させ、社会の情報化の進展に主体的に対応できる能力と態度を育てる。

「社会と情報」「情報の科学」の目標 「社会と情報」:情報の特徴と情報化が社会に及ぼす影響を理解させ、情報機器や情報通信ネットワークなどを適切に活用して情報を収集、処理、表現するとともに効果的にコミュニケーションを行う能力を養い、情報社会に積極的に参画する態度を育てる。 「情報の科学」:情報社会を支える情報技術の役割や影響を理解させるとともに、情報と情報技術を問題の発見と解決に効果的に活用するための科学的な考え方を習得させ、情報社会の発展に主体的に寄与する能力と態度を育てる。

専門教科「情報」の目標(旧、新) 旧:情報の各分野に関する基礎的・基本的な知識と技術を習得させ、現代社会における情報の意義や役割を理解させるとともに、高度情報通信社会の諸課題を主体的、合理的に解決し、社会の発展を図る創造的な能力と実践的な態度を育てる。 新:情報の各分野に関する基礎的・基本的な知識と技術を習得させ、現代社会における情報の意義や役割を理解させるとともに、情報社会の諸課題を主体的、合理的に、かつ倫理観を持って解決し、情報産業と社会の発展を図る創造的な能力と実践的な態度を育てる。

普通教科「情報」の成り立ち 中央教育審議会第一次答申(平成8年)  「21世紀を展望した我が国の教育のあり方について」情報化と教育についての推進が打ち出された。   ① 情報教育の体系的な実施   ② 情報機器、情報通信ネットワークの活用による学校教育の質的な改善   ③ 高度情報通信社会に対応する新しい教育   ④ 情報社会の「影」の部分への対応 Q:「影」にはどのようなものがあるか?(発問)

「情報」の成り立ち2 「体系的な情報教育の実施に向けて」(平成9年10月) 高等学校での、普通教育に関する科目として情報を設置することを提言。 内容は、2単位程度で、「情報の科学的な理解」と「情報社会に参画する態度」で構成することが打ち出される。

「情報」の成り立ち3 教育課程審議会答申(平成10年7月) 各学校段階・各教科等を通じる主な課題に関する基本的な考え方の一つとして、「情報化への対応」が挙げられる。 「高等学校においては、情報手段の活用を図りながら情報を適切に判断・分析するための知識・技能を習得させ、情報社会に主体的に対応する態度を育てることなどを内容とする教科「情報」を新設し必修とすることが適当である。」

普通教科「情報」設定の趣旨 ア 教科設定の趣旨とねらい ア 教科設定の趣旨とねらい  (ア)情報化の進展を背景に、これからの社会に生きる生徒には、大量の情報に対して的確な選択を行うとともに、日常生活や職業生活においてコンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を適切に活用し、主体的に情報を選択・処理・発信できる能力が必須となっている。(情報活用能力の必要性)

 (イ)また、社会を構成する一員として、情報化の進展が人間や社会に及ぼす影響を理解し、情報社会に参加する上で望ましい態度を身に付け、健全な社会の発展に寄与することが求められている。(情報社会への積極的な係わり)  (ウ)我が国社会の情報化の進展の状況を考えるとき、情報及び情報手段をより効果的に活用するための知識や技能を定着させ、情報に関する科学的な見方・考え方を養うためには、中学校段階までの学習を踏まえつつ、高等学校段階においても継続して情報に関する指導を行う必要がある。(中学校の経験を踏まえ、より効果的な活用を)

普通教科「情報」では、どのような力を育成するのか ア 情報活用の実践力 イ 情報の科学的な理解 ウ 情報社会に参画する態度 これらが「体系的な情報教育の実施にむけて」のなかで再整理された。

情報A,B,Cと育成する力 情報A 情報B 情報C 情報活用の実践力をつける方向 情報社会に参画する態度を付ける方向 情報の科学的な理解を深める方向

「社会と情報」と「情報の科学」 社会と情報 情報の科学 情報活用の実践力をつける情報教育 情報の科学的な理解を深める情報教育 情報社会に参画する態度を付ける情報教育

情報活用の実践力 「課題や目的に応じて情報手段を適切に活用することを含めて、必要な情報を主体的に収集・判断・表現・処理・創造し、受けての状況などを踏まえて発信・伝達できる能力」(3つの部分よりなる) 単に、コンピュータや情報通信ネットワークが使えるということではない。 「自ら学び、自ら考える力」に関連(教育課程の基準の改訂のねらい)

情報の科学的な理解 「情報活用の基礎となる情報手段の特性の理解と、情報を適切に扱ったり、自らの情報活用を評価・改善するための基礎的な理論や方法の理解」(三つの部分よりなる) 単に、コンピュータや情報通信ネットワークの仕組みなどを理解することだけではない。 何のために情報手段の特性を理解するのかをしっかり考えよう。

情報社会に参画する態度 「社会生活の中で情報や情報技術が果たしている役割や及ぼしている影響を理解し、情報モラルの必要性や情報に対する責任ついて考え、望ましい情報社会の創造に参画しようとする態度」(三つの部分よりなる) 情報活用の舞台として社会を意識する 情報を活用するための知識や技能の習得と捉えがちであるが、情報モラルや情報に対する責任もきちんと指導する必要がある。 例:東証などのトラブルについて考えてみよう。

普通教科「情報」の3つの目標の関連性 情報活用 の実践力 情報の 科学的理解 情報社会に 参画する態度 体験・実践を踏まえた問題意識 具体例を踏まえた原理・仕組みの理解 具体的な利活用 効果的・効率的実践 問題課題の捉え方 情報の 科学的理解 情報社会に 参画する態度 情報・情報技術の役割の認識

専門教科「情報」 情報産業は、あらゆる職種・職場に浸透し、あらゆる職業に含まれるようになってきている。(ネットワーク管理、システムエンジニア、プログラム開発、データベース管理、電子出版、CG、マルチメディアプレゼンテーションなど) プログラマーの数、ネットワーク技術者の数も欧米に比べると圧倒的に不足している。 学校においても、同様にICTの担当者は不足している。 (学習指導要領教科設定の趣旨とねらい参照)

専門教科「情報」を取り巻く職業の現状 150種にも及ぶ資格試験(2種、シスアド、CG、マルチメディア検、J検、ワープロ、ビジネスコンピューティングなどなど) 高い高卒者の離職率(50%):実習の重視(1/2以上、インターンシップの導入の必要性) どこまでの知識・技能が高等学校教育で可能かについての問題点

多岐にわたる専門教科「情報」の内容(旧) 「コンピュータデザイン」 「図形と画像の処理」 「マルチメディア表現」 「モデル化とシミュレーション」 「情報メディアの編集と表現」 「情報実習」 「情報産業と社会」 「課題研究」 「情報と表現」 「アルゴリズム」 「ネットワークシステム」 「情報システムの開発」

専門教科「情報」の科目構成(新) ネットワークシステム 情報産業と社会 データベース 課題研究 情報システム実習 情報の表現と管理 情報メディア 情報デザイン 表現メディアの編集と表現 情報コンテンツ実習 情報産業と社会 課題研究 情報の表現と管理 情報と問題解決 情報テクノロジー アルゴリズムとプログラム

情報システム実習 情報コンテンツ実習 課題研究 アルゴリズムとプログラム ネットワークシステム データベース 情報メディア 情報デザイン システム設計・管理分野 総合的科目 情報コンテンツの制作・発信分野 情報システム実習 情報コンテンツ実習  課題研究 アルゴリズムとプログラム ネットワークシステム データベース 情報メディア 情報デザイン 表現メディアの編集と表現 情報の表現と管理 情報と問題解決 情報テクノロジー 情報産業と社会 基礎的科目(各分野の共通)

情報の教師として、知識・技能だけではなく、自分がどのような教育の役割を担っているのかについても、きちんと理解しましょう。