金融危機後の規制について ~時価会計、ディスクロージャー~

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金融危機後の規制について ~時価会計、ディスクロージャー~ 金融危機後の規制について  ~時価会計、ディスクロージャー~ 07BC080C Hiroshi Koga

Ⅰ. 時価会計 世界的な時価会計緩和へ!! 会計の役割変化が背景に 業績報告→実態開示へ 景気循環増幅効果 ○好景気時 Ⅰ. 時価会計 時価会計:資産を毎期末の時価で評価し、その評価額を財務諸表に反映させ          る会計制度 景気循環増幅効果 今回の金融危機での時価会計の役割→ 金融資産 ○好景気時 資産価格上昇→資本増加→さらなる投資→資産価格上昇→・・・・ 世界的な時価会計緩和へ!! 時価会計の目的:企業の財政状態のより的確なディスクロージャー ●不景気時 資産価格下落→資本減少→デレバレッジ→資産価格下落→・・・・ 会計の役割変化が背景に 業績報告→実態開示へ

Ⅰ. 時価会計 自国の競争力が衰えるのを恐れ、三大会計基準が足並みをそろえての時価会計緩和へ Ⅰ. 時価会計 ◆時価会計緩和の議論 10月13日 IASBが時価会計の一部緩和を承認 12月3日 ASBJが時価会計の一部緩和を議決 4月2日 FASBが金融機関の保有する金融商品に対して、     時価会計の緩和を決定 時価会計緩和のメリット ・時価会計の景気循環増幅効果が   薄れる ・金融機関の財務諸表の改善 ・株価上昇、増資も比較的容易に 時価会計緩和のデメリット ・財務諸表の透明性の低下 ・官民買取ファンドへの影響 ・他の規制との整合性が失われる ◆時価会計緩和の内容(ASBJ) ①「稀な場合」売買目的の保有有価証券の満期保有目的への変更を認める ②「時価」に対する認識の確認   →「取引所において取引されているが、実際の売買事例がきわめ     て少ない金融資産」や「売り手と買い手の希望する価格差が     著しい金融資産」は市場価格がないとして、経営者の見積も     りによる価格を認める 自国の競争力が衰えるのを恐れ、三大会計基準が足並みをそろえての時価会計緩和へ 損失先送りを可能にする時価会計緩和には、反対意見も多い・・・

改正の結果、金融機関の資産は5兆ドル増えるという試算もあり、 Ⅱ.ディスクロージャー ① SIV(Structured Investment Vehicle) 非連結の会社ながら実質的には子会社と変わらず、ディスクロージャーが不足していたことが問題に・・・ 従来の役割:BIS規制に対応するため、銀行が自らと切り離して資産運用を       行った運用会社 今回の金融危機でABCPのロールオーバーができなくなり流動性が枯渇。 簿外SPCなどの情報開示の拡充については2009年から実施されるが、SIVを連結対象とする会計基準の導入は2010年からと当初予定から遅れることに・・・ 傘下のSIVが破綻すれば銀行の信用不安につながるので、銀行はコミットメントラインなどを駆使して直接支援 改正の結果、金融機関の資産は5兆ドル増えるという試算もあり、 金融機関への影響を駆使しての導入延期

日本の金融機関にも仕組み金融のコスト増などの影響が考えられる Ⅱ.ディスクロージャー ② タックスヘイブン(Tax Haven) 金融危機の影響で税収が低下した各国財務当局は、タックスヘイブンへの監視を強化していく方針 タックスヘイブン:法人税や所得税、利子や配当に対する税金がゼロであっ          たり、非常に安い国 タックスヘイブンにかかわる動向 2月 スイスの金融大手UBSの脱税ほう助問題が米国で発生    →当初は法律を盾に情報開示を拒否、しかし最終的には資産隠しを認める 4月 G20金融サミットでタックスヘイブンの監視強化で合意    →経済協力開発機構(OECD)がブラックリストとグレーリストを公表    →名指しされたマレーシアやフィリピンが即座に対応を表明 6月 米国とスイスなどを中心に、租税条約の改定が進展 節税メリットを訴えることにより、外国企業や外国資産家の預金や投資資金を呼び込む。 日本の金融機関が設立するSPCの多くもケイマン諸島などのタックスヘイブンに設立されていた。 代表国:スイス、オーストリア、ケイマン諸島、バミューダ諸島、バーレーンなど 日本の金融機関にも仕組み金融のコスト増などの影響が考えられる

Ⅲ.自己資本比率規制 より厳正なリスク評価を求めての改訂 現在問題とされているプロシクリカリティに関する改正はなし。 国際業務を行う銀行に対しての自己資本比率規制:BIS規制(バーゼルⅡ) 金融危機を受けて発表された改訂点 ●複雑かつ流動性の低いクレジット関連商品を含むトレーディング勘定のエクスポージャー ●銀行勘定における一部の複雑な証券化商品のリスク評価 ●オフバランス導管体(すなわちABCP導管体)向けエクスポージャー 信用リスク 信用リスクアセット額=∑(与信額×各リスクウェイト) →リスクウェイトの計算方法には標準的手法と内部格付手法がある・・・批判の対象にもなっている より厳正なリスク評価を求めての改訂 現在問題とされているプロシクリカリティに関する改正はなし。 引当金ルールや可変的自己資本比率規制、自己資本保険などの案は出ているが具体的な議論にはなっていない オペレーショナルリスク 事務事故、システム障害、不正行為などで損害が生じるリスク →粗利などを基準に算出される

感想  今回は発表の準備が短く大変だったが、よい経験になったと思う。論点に関しても今まで調べたことのない分野について調べることができて勉強になった。  次回の個人発表はずいぶん先になると思うが、そのときはさらによい発表ができるようがんばりたい。

論点 平時における金融機関の流動性リスク管理方法について