─フロリダ、東京、パリとの比較─ 津幡真規子 卒業研究 ディズニーランドについて ─フロリダ、東京、パリとの比較─ 津幡真規子
目次 はじめに アメリカとディズニーランド フランスとディズニーランド 日本とディズニーランド ディズニーランドとお国柄 ディズニーランドの異国情緒 ディズニーランドと偏見 おわりに
はじめに 東京ディズニーランドは平日、休日を問わずいつも多くの人々で賑わっている。 私自身ディズニーランドはとても好きで今までも何度か行ったことがある。そんなディズニーランドはその人気や完璧さのために、文化的価値が大きいという。アメリカ、フランス、日本にあるディズニーランドはそれぞれの国の人々にどう受け止められているのだろうか。3つのディズニーランドにはなにか違いはあるのだろうか。ディズニーランドを今までとは違ったかたちで調べたいと思いこのテーマを選んだ。
アメリカとディズニーランド ディズニーランドはウォルト.ディズニー(1901~66)によってつくられた。カリフォルニア州アナハイムに建設され、1995年に完成した。総面積73,7ha(うち30haがテーマパーク)空想と機械技術の枠お尽くした、大規模な娯楽センターである。 しかし単なる娯楽センターというものを越えている。アメリカの人々にとってディズニーランドというものは特別なものである。その理由の一つにここを訪れたアメリカ人は誰でも懐かしさを感じるというところにあるのではないのだろうか。 ディズニーランドの物語を貫く第一のテーマは、過去のアメリカに対するノスタルジアというのである。ここを訪れたアメリカ人が懐かしさを感じるのはこのためである。 ウォルト.ディズニーはノスタルジアを演出する際に、幼少期の幸せだった日々の風景をディズニーランドにあらわしている。自伝的要素が園内で最も強く反映されているのがここの表玄関である「メインストリートUSA」である。
アメリカとディズニーランド メインストリートはアメリカが20世紀になって農村から共同社会が工業化と都市化の波にさらされて揺らぎはじめた時「牧歌的な過去のアメリカ」の象徴として重要なものとなった。これをパークに蘇らせることで古き良きアメリカへの郷愁を人々の脳裏に呼び覚ますことにもなる。 アメリカの人々にとってディズニーランドというものは特別なものでありここを訪れたアメリカ人は誰でも懐かしさを感じるというのは、アメリカ人にとってディズニーランドはここが故郷であるからである。アメリカ大衆が共有する神話的な過去のイメージを具象化し、それらを有形の文化財、記念碑として永久に保存する場所それがディズニーランドである。
フランスとディズニーランド ではアメリカの人々にとって故郷そのものであるともいえるディズニーランドは、アメリカ以外ではどうなのだろうか。 フランスとディズニーランド ではアメリカの人々にとって故郷そのものであるともいえるディズニーランドは、アメリカ以外ではどうなのだろうか。 現在フランスにもディズニーランドがある。ここは完成する前から様々な議論の的となった。ディズニー社側はここに自信を持っていた。ディズニーの作品はヨーロッパのおとぎ話をベースにしている。文化的伝統を共有しているために受け入れられないわけがないと。 しかしフランスのジャーナリズムはそろってここに批判的、拒否的な反応を示した。フランス人は自国の文化に対してもプライドが高い。ましてやアメリカの象徴ともいえるディズニーランドをすんなりと受け入れることができない。 「フランスの魂についた黒いシミ」 「啓蒙の都市(パリのこと)に迫る異文化の侵略」 などの蔑称をたてまつった。
フランスとディズニーランド しかし若い世代はディズニー文化に批判的ではなかった。 こうして賛否両論と様々な期待と不安のなかユーロディズニーランドは完成した。しかし予想されていた入場者数をはるかに下回りはっきりいって失敗だった。それはフランス、ヨーロッパの人々をよく理解していなかったからであろう。 現在はディズニーランド、パリとして一時経営困難に陥ったがすっかりもちなをしている。フランス人の気質も変わっているのだろうがディズニー側もフランス文化のプライドを残すようにワイン禁止をとりやめ、シンボルをフランスの城をモデルとした眠れる森の美女の城としオブジェなどもつくった。そのため今は人気の場所となっている。
日本とディズニーランド 日本のディズニーランドは1983年4月オープンした。 日本人にディズニーランドはすんなりと受け入れられた。聖徳太子の時代から根底に流れる「習合思想」というものによるところが大きいのではないか。 日本人 生まれたとき=神社にお宮参り 結婚式=ウェディングドレスをきて教会で 死んだとき=お経をあげてもらい仏になる 多様な文化を受け入れる日本人はこのアメリカの象徴、故郷でもあるディズニーランドすら何の拒否反応もおこすことなく人気はすぐに爆発的なものになった。
ディズニーランドとお国柄 今現在アメリカ、フランス、日本にあるディズニーランドは同じように見えても少し違っているようだ。その国の事情を反映している。 例えばパークで働いているキャストの対応 一番積極的に声をかけてくるのは日本のキャスト もし2人で行って写真を撮ろうとしていると 日本=お撮りしましょうか?(マニュアルによる対応) しかし アメリカ=声をかけられることはない なぜなら訴訟や裁判が日常的でありキャストが裁判の対象になりうるからである。 フランス=それ以前に愛想もない(個人主義)
ディズニーランドの異国情緒 ディズニーランドには七つのテーマランドがある。各テーマの合わせて何から何まで完璧につくってある。 アドベンチャーランドにあるブルーバイユーレストランを見ても「ジャポニズム」ブームになっていた歴史的背景すら再現してある。 このようにディズニーランドを調べていくと異国情緒が綿密に再現されていることがわかる。
ディズニーランドと偏見 これほどまでに綿密に再現されている楽しいディズニーランドではあるが危険な面もたくさんあるということを忘れてはいけない。 「カリブの海賊」の海賊たち 「ウェスタンリバー鉄道」のアメリカ先住民 など... 一方では偏見を大きなものにしてしまうところであり、ディズニーランドは一部偏見に満ち他世界であるということを忘れてはいけないのだ。
おわりに アメリカ、フランス、日本にあるディズニーランドはどれも人々を冷静にはさせない。 それは、ディズニーランドがただのレジャー施設ではなく文化的意味のとても大きい産物だということをあらわしている。 今後2005年に香港にディズニーランドができるという。政治的、経済的、歴史的にみてもまったく異なるこの国でディズニーランドはどのように存在していくのだろう.