「統計的モデルに基づく地球科学における 逆問題解析手法」

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「統計的モデルに基づく地球科学における 逆問題解析手法」 年次研究計画 平成17年度: 遺伝統計学的手法による広帯域地震波形インバージョンにより、南極域の定常基地周辺の地殻及び最上部マントルの速度構造を求める。 南極プレート周辺の地震の統計学的な時空間分布を導出し、広域応力場との関連を検討する。 平成18年度: 遠地地震波形インバージョンや波形の自己相関手法により、昭和基地周辺の野外観測点について、地殻及び上部マントルの速度構造や異方性の解析を行う。 平成19年度: 1998年3月のバレニー諸島付近の大地震域について、発生前後の地震活動の推移を統計モデルで考察する。 平成20年度: 南極大陸上の他国の野外臨時観測点について、地震波形のインバージョンにより、周辺域の地殻及び最上部マントル構造を求める。 平成21年度: 北極海の周辺域についても、南極プレートと同様な地震活動度の解析を行う。また北極域の国際デジタル地震観測網の定常点について、地震波形のインバージョンにより、周辺部の地殻及び最上部マントル構造を求める。

「統計的モデルに基づく地球科学における 逆問題解析手法」 極域で観測された遠地地震波形データの遺伝統計学的 インバージョンによる、極域下の地球内部速度構造の推定 What are receiver functions (RF) ? Flow chart of GA for RF inversion Creating receiver functions

「統計的モデルに基づく地球科学における 逆問題解析手法」 極域で観測された遠地地震波形データの遺伝統計学的 インバージョンによる、極域下の地球内部速度構造の推定 DRV VNDA Inversed modes - Searched all 10,000 models: light gray shaded area - The best 1,000 models: yellow to green area The best model: blue line The averaged model: red line The averaged Vp/Vs: light blue line MAW PMSA SYO

「統計的モデルに基づく地球科学における 逆問題解析手法」 SKS波を用いた上部マントルにおける地震波速度異方性について、その異方性パラメータ (f, dt)をインバージョンにより求める 震源-観測点分布 ●:震源、▲:観測点 異方性媒質中をS波が伝播すると、S波の分化(shear wave splitting)がおこる

「統計的モデルに基づく地球科学における 逆問題解析手法」 波形解析例:SKS波のtransverse成分の振幅を最小にする(f, dt)を決める。fは1˚、dtは0.1秒間隔でグリッドサーチにより求める。

「統計的モデルに基づく地球科学における 逆問題解析手法」 昭和基地周辺下における上部マントル異方性 異方性の時間差(dt)は、大陸地殻の平均値(1.0s)と同程度 fについて、この地域でのプレート絶対運動の方向(APM)とは一致せず、アセノスフェアの異方性が混じっている可能性は低い この地域の異方性は、リソスフェア内にあって、5~6億年前のパンアフリカン造山運動に伴う圧縮応力によって、形成された可能性が高い