安全保障貿易管理について 平成22年4月 経済産業省 貿 易 管 理 部
目次 1.安全保障貿易管理の必要性 2.国際的な脅威の高まり 3.脅威に対応した国際貿易管理体制 4.我が国の安全保障貿易管理制度 (1)制度の概要 (2)リスト規制 (3)キャッチオール規制等 (4)外為法に基づく輸出等の許可 5.違反に対する罰則と違反原因 6.自主管理体制の整備 参:P ・・・ 参考資料関連ページ番号
1.安全保障貿易管理の必要性
<目的> <手段> 安全保障貿易管理の目的と手段① 我が国を含む国際的な平和及び安全の維持 武器や軍事転用可能な物・技術が、我が国の安全等を脅かすおそれのある国家やテロリスト等、懸念活動を行うおそれのある者に渡ることを防ぐための輸出等の管理 注) 輸出等 : 物の輸出及び技術の提供
安全保障貿易管理の目的と手段② 先 進 国 5 国際的脅威 軍事転用可能な高度な物や技術 国際情勢の 不安定化 先進国がもっている高度な機械や技術が、大量破壊兵器を開発等している国などに渡った場合、国際的な脅威となり、情勢の不安定化を招きます。 その脅威を未然に防止するために、先進国を中心とした枠組みを作って貿易管理に取り組んでいます。 軍事転用可能な高度な物や技術 大量破壊兵器の開発等を 行っている国、テロリスト等 先 進 国 先進国を中心とした枠組みにより管理 国際的脅威 国際情勢の 不安定化 迂回輸出 輸出管理が厳格に 実施されていない国 軍事転用可能な 高度な物や技術 注)大量破壊兵器 : 核兵器、化学兵器、生物兵器、ミサイル (核兵器等ともいう) 開発等: 開発、製造、使用又は貯蔵 5
2.国際的な脅威の高まり
身近に迫る国際的脅威の高まり 製造に必要な物資・機材・技術の多くが 軍民両用(デュアル・ユース)であるため、偽装も容易。 北朝鮮によるミサイル発射 1.地下鉄サリン事件(1995/3/20) 2.米国同時多発テロ事件 (2001/9/11) 3.米国の炭疽菌事件(2001/9/27) 4.スペイン列車爆破事件(2004/3/11) 5.ロンドン地下鉄・バス爆破事件(2005/7/7) 6.北朝鮮ミサイル発射 (2006/7/5、2009/4~10月) 7.ムンバイ同時テロ (2008/11/26) 8.モスクワ地下鉄連続テロ(2010/3/29) 地下鉄サリン事件 O CH3 H3C-P-O-C-CH3 F H ○大量破壊兵器などの使用が現実に。 ○とりわけ、生物・化学兵器は、比較的安価で製造が容易。 製造に必要な物資・機材・技術の多くが 軍民両用(デュアル・ユース)であるため、偽装も容易。
・民生用途として輸出した物が輸出先で懸念用途に転用されるおそれあり。 民生汎用品の懸念用途への転用例 参考1 ・民生用途として輸出した物が輸出先で懸念用途に転用されるおそれあり。 懸念用途 民生用途 工作機械 ウラン濃縮用 遠心分離機の 製造 自動車の製造や切削 シアン化 ナトリウム 化学兵器の 原材料 金属メッキ工程 ろか器 細菌兵器の製造 のための細菌の 抽出 海水の淡水化 炭素繊維 ミサイルの構造 材料 航空機の部品
※画像は、作成者の許可を得て掲載しております。転写厳禁 民生汎用品の懸念用途への転用例 参考2 ミサイル 米国エネルギー省 HP ポンプ 液体燃料等圧送 ミキサー 遠心分離機ローター 固体推進薬 遠心分離機(カスケード) 日本原燃HP 工作機械 ノズル(炭素繊維複合材) 米国NASA HP 出典 JIS B 0105 ※画像は、作成者の許可を得て掲載しております。転写厳禁
国際的な脅威として取り上げられた国内事例 報道された事案の概要① 有限会社T社が、核兵器などの製造にも使用できる磁気測定装置(キャッチオール規制対象貨物)を東南アジアを経由して不正に北朝鮮に輸出しようとした疑いで、神奈川県警の捜査をうけた。 報道された事案の概要② 株式会社H社の社員らが、工作機械の輸出に関し、経済産業省の許可を得ず輸出した疑いで逮捕された。
国際的な脅威と 我が国の外為法違反事案 判決及び行政処分の時期・内容など 貨物・仕向地 備 考 平成21年11月5日(判決): 備 考 平成21年11月5日(判決): 社長に懲役2年(執行猶予4年) 法人に対して、罰金600万円 磁気測定装置 他 ミャンマー 平成21年8月7日(判決): 社長に懲役3年(執行猶予4年) 法人に対して、罰金500万円 平成22年1月19日(行政処分):1年6ヶ月間:全貨物輸出禁止 大型タンクローリー 他 北朝鮮 平成21年7月16日(判決): 社員ら4名に懲役1~2年6ヶ月(執行猶予3年) 法人に対して、罰金4,700万円 平成21年8月14日(行政処分):5ヶ月間:全貨物輸出禁止 工作機械 韓国等 平成19年6月25日(判決): 元副会長ら4名に懲役2~3年(執行猶予4~5年) 法人に対し、罰金4,500万円 平成19年6月26日(行政処分): ①6ヶ月間:全貨物輸出禁止 ②2年6ヶ月間:三次元測定機の輸出禁止(合計で3年間) 三次元測定機 マレーシア等 このうち1台がリビアの核開発施設で発見 平成19年3月20日(略式命令):罰金100万円 平成19年5月11日(行政処分):9ヶ月間:無人ヘリコプターの輸出禁止 無人ヘリコプター (未遂) 中国 執行役員ら3名は起訴猶予 平成18年10月10日(最高裁・上告棄却): 代表取締役らに懲役1年6ヶ月~2年6ヶ月(執行猶予3~5年) 法人に対し、罰金1,500万円 平成18年11月28日(行政処分): 2年間:全貨物輸出禁止 ジェットミル イラン
3.脅威に対応した国際貿易管理体制
国際輸出管理レジームの経緯 世 界 情 勢 大量破壊兵器 冷戦 1949 ココム 設立 1970~ 1974 印・核実験 世 界 情 勢 1949 ココム 設立 冷戦 米(45)以降、ソ連(49)、英(52)、仏(60)及び中(64) が核実験に成功 1970~ 1974 印・核実験 1980 イラン・イラク戦争 1984 イラク化学兵器使用 1988 1990 東西ドイツ統一 湾岸戦争 → 後日イラクの核開発計画が明らかに 1991 ソ連崩壊 2001 9月 米国同時多発テロ事件 2003 3月 米国イラク攻撃 1977 原子力供給国グループ(NSG)発足・・・核兵器 大量破壊兵器 1980~ 1985 オーストラリアグループ(AG)発足・・・生物・化学兵器 1987 ミサイル関連機材技術輸出規制(MTCR)開始 1994 ココム 解体 1990~ キャッチオール規制導入 1991 米, 1995 EU 2002 日本 2000~ 1996 ワッセナー・ アレンジメント(WA) 設立 <参考>90年代以降のアジア情勢 通常兵器 北朝鮮 インド・パキスタン 1993 ノドン発射 1993~1994 核開発疑惑と米朝枠組合意 1998 テポドン発射 2006 ミサイル発射・核実験 2009 ミサイル発射・核実験 1998 両国が核実験 2003 両国がミサイル発射実験
国際輸出管理レジームの概要 国際的枠組 条約 我が国の 枠 組 大量破壊兵器関連 武器輸出 三原則 条約・レジーム NSG AG MTCR 通常兵器 関 連 我が国の 枠 組 大量破壊兵器関連 条約 核兵器関連 生物・化学兵器関連 ミサイル関連 通常兵器関連 武器輸出 三原則 核兵器、生物・化学兵器そのものを規制 NPT BWC CWC 核兵器 不拡散 条約 生物兵器 禁止条約 化学兵器 禁止条約 武器輸出を 原則禁止 Nuclear Non- Proliferation Treaty Biological Weapons Convention Chemical Weapons Convention 条約・レジーム ・70年発効 ・190カ国締約 ・75年発効 ・163カ国締約 ・97年発効 ・188カ国締約 国際輸出 管理 レジーム NSG AG MTCR WA 原子力 供給国 グループ オーストラリア ・グループ ミサイル関連 機材・技術輸 出規制 ワッセナー・ アレンジメント 外国為替及び 外国貿易法 通常兵器や大量破壊兵器の開発に用いられる 汎用品等を貿易管理 The Wassenaar Arrangement Missile Technology Control Regime Nuclear Suppliers Group Australia Group ・輸出貿易管理令 (物) ・外国為替令 (技術) ・77年発足 ・46カ国参加 ・85年発足 ・40カ国参加 ・87年発足 ・34カ国参加 ・96年発足 ・40カ国参加 (10年4月現在)
安全保障貿易管理をめぐる首脳レベルの合意 G8首脳間でもテロ対策・不拡散問題は、大きな懸案 G8首脳会合(シーアイランド)(2004年6月)「不拡散に関するG8」 G8首脳会合(グレーンイーグルズ)(2005年7月)「不拡散に関するG8首脳声明」 G8首脳会合(サンクトペテルブルグ)(2006年7月)「不拡散に関するG8首脳声明」 G8首脳会合(ハイリゲンダム)(2007年6月)「不拡散に関するG8首脳声明」 G8首脳会合(洞爺湖)(2008年7月)「G8首脳宣言」 ・北朝鮮、イランにおける課題への対処 ・国連安保理決議1540号の完全な実施の重要性とともに効果的な輸出管理等の重要性を強調 等 G8首脳会合(ラクイラ)(2009年7月)「不拡散に関するラクイラ声明」 国連安全保障理事会決議第1540号(2004年4月) ・大量破壊兵器の開発等を試みる非国家主体にする支援等の差し控え ・大量破壊兵器の関連物資等に対する国内管理を確立するための効果的な措置の実施 国連安保理事会「拡散防止と核軍縮」に関する首脳級会議(2009年9月) 「核兵器なき世界」を目指す決議
4.我が国の安全保障貿易管理制度 (1) 制度の概要
安全保障貿易管理制度の仕組み 法 律 政 令 (物) 外国為替及び外国貿易法 (外為法) リスト規制 貨物 輸出貿易管理令 (輸出令) 法 律 政 令 (物) 大量破壊兵器 キャッチオール規制 通常兵器 補完的輸出規制 外国為替及び外国貿易法 (外為法) リスト規制 貨物 輸出貿易管理令 (輸出令) (平成14年4月導入) (平成20年11月導入) 別 表 第 1 第48条 参:P98 1~15項 16項 16項 第25条 外国為替令 (外為令) 別 表 役務 1~15項 16項 16項 (技術) 参:P105 参:P94 規制対象になるもの ・武器 ・兵器の開発等に用 いられるおそれの 高いもの リスト規制以外で、大量破壊兵器の開発等に用いられる おそれのあるもの リスト規制以外で、通常兵器の開発、製造又は使用に用いられるおそれのあるもの 物 : 機械、部品、原材料など 技術 : 物の設計、製造、使用に関する技術 (ソフトウエアも含む) ホワイト国 : 米、加、EU諸国等の輸出管理を 厳格に実施している26カ国 国連武器禁輸国: 国連の安全保障理事会の決議により武器の輸出が禁止されているイラク、北朝鮮、アフガニスタン等10カ国 国連武器禁輸国向けが対象 ※特定の品目について は、ホワイト国を除く 全地域向けが対象 規制対象地域等 ホワイト国を除く 全地域向けが対象 全地域向けが対象
輸出と技術提供との違い -日本- -外国- 物の輸出 販売 船積み 技術の提供 工場の設備 設計図データ 技術指導 注 意 ハンドキャリーでの持ち出しも輸出 研修員受入れ(非居住者) 技術指導等 設計図データ 技術の提供 (技術データの提供、 技術支援等による。) 技術指導 メール送信 注 意 技術取引は日本国内においても発生する可能性あり!
居住者及び非居住者の判定 非居住者 居住者 日本人の場合 ①我が国に居住する者 ②日本の在外公館に勤務する者 日本人の場合 ①外国にある事務所に勤務する目的で出国し外国に 滞在する者 ②2年以上外国に滞在する目的で出国し外国に滞在 する者 ③出国後外国に2年以上滞在している者 ④上記①~③に掲げる者で、一時帰国し、その滞在 期間が6月未満の者 外国人の場合 ①我が国にある事務所に勤務する者 ②我が国に入国後6月以上経過している 者 外国人の場合 ①外国に居住する者 ②外国政府又は国際機関の公務を帯びる者 ③外交官又は領事官及びこれらの随員又は使用人 (ただし、外国において任命又は雇用された者に 限る。) 法人等の場合 ①我が国にある日本法人等 ②外国の法人等の我が国にある支店、 出張所その他の事務所 ③日本の在外公館 法人等の場合 ①外国にある外国法人等 ②日本法人等の外国にある支店、出張所その他の 事務所 ③我が国にある外国政府の公館及び国際機関 その他、合衆国軍隊等及び国際連合の軍隊等 ※財務省通達「外国為替法令の解釈及び運用について(抄)」より
規制対象技術の提供について 使 用 輸出貿易管理令別表第1に該当貨物に関連する技術が規制対象 ポイント 必要な技術 注意 設 計 参:P16~ 設 計 一連の製造過程の前段階の全ての段階 →設計研究、設計解析、設計概念、プロトタイプの製作及び試験、 パイロット生産計画、設計データ、設計データを製品に変化させる 過程、外観設計、総合設計、レイアウト etc 全ての製造過程 →建設、生産エンジニアリング、製品化、統合、組立/アセンブリ、 検査、試験、品質保証 etc 設計、製造以外の段階 →操作、据付、保守(点検)、修理、オーバーホール、分解修理 etc. 規制の性能レベル、特性若しくは機能に到達し又は これらを超えるために必要な技術 製 造 使 用 ポイント 必要な技術 注意 非該当貨物の製造に適用される場合でも規制されること があります。
(2)リスト規制
リスト規制とは 輸出しようとする物が輸出令・別表第1の1~15項に該当する場合又は提供しようとする技術が外為令・別表の1~15項に該当する場合には、経済産業大臣の許可が必要となる制度。 ・国際的な合意を踏まえ、武器及び大量破壊兵器の開発等に用いられるおそれの高いものを規制 ・品名・仕様をリスト化しており、その仕様(スペック)(※)に該当するものは、必ず輸出等の許可が必要 ・全地域向けが対象 (※)仕様(スペック)は“貨物等省令”に規定 注) 用途、需要者にかかわらず、たとえ海外の自社工場や日系企業への輸出でも許可が必要です。
リスト規制の体系 大量破壊兵器関連(2~4項) 通常兵器関連(1項、5~15項) 核兵器 ミサイル 参 考 材料加工 先端材料 リスト規制の体系 参 考 通常兵器関連(1項、5~15項) 材料加工 先端材料 エレクトロニクス コンピュータ 通信関連 センサー・レーザー その他、航法・海洋・推進装置の関連資材等 武器 大量破壊兵器関連(2~4項) 核兵器 化学兵器 生物兵器 ミサイル リスト項目は、核兵器関連(2項)、化学・生物兵器関連(3項・3の2項)、ミサイル関連(4項)、通常兵器関連(1項、5項~15項)の4分野に分類されています。 項番 分野 例 主な民生用途 2項 核兵器関連 工作機械 自動車、精密機械などの幅広い分野での製造や切削 3項 化学兵器関連 弁・ポンプ 化学品の貯蔵 化学品 メッキ、シャンプー、化粧品 3の2項 生物兵器関連 ろか器 純水の製造、海水の淡水化 4項 ミサイル関連 混合機 プラスティックの製造 5項~15項 通常兵器関連 先端材料 航空機の部品や、ゴルフシャフト
リスト規制一覧① 参 考 3の2 生物兵器 2010.4.1 項番 輸出許可品目名 1 武器 (12) 1 数値制御工作機械 2 測定装置 リスト規制一覧① 参 考 2010.4.1 項番 輸出許可品目名 1 武器 (12) 1 数値制御工作機械 2 測定装置 (45) 放射線遮蔽窓・窓枠 (16) ロケット・UAV用加速度計・ジャイロスコープ等 (46) 放射線影響防止テレビカメラ・レンズ (17) ロケット・UAV用飛行・姿勢制御装置他 ( 1) 銃砲・銃砲弾等 (13) 誘導炉・アーク炉・溶解炉等 (47) トリチウム (18) アビオニクス装置等 ( 2) 爆発物・発射装置等 (14) アイソスタチックプレス等 (48) トリチウム製造・回収・貯蔵装置 (18の2) ロケット・UAV用熱電池 ( 3) 火薬類・軍用燃料 (15) ロボット等 (49) 白金触媒 (19) 航空機・船舶用重力計・重力勾配計 ( 4) 火薬又は爆薬の安定剤 振動試験装置等 (50) ヘリウム3 (20) ロケット・UAV発射台・支援装置 ( 5) 指向性エネルギー兵器等 ガス遠心分離機ロータ用構造材料 3 化学兵器 (21) ロケット・UAV用無線遠隔測定装置他 ( 6) 運動エネルギー兵器等 ベリリウム (22) ロケット搭載用電子計算機 ( 7) 軍用車両・軍用仮設橋等 核兵器起爆用アルファ線源用物質 軍用化学製剤の原料、軍用化学製剤と同等の毒性の物質・原料 (23) ロケット・UAV用A/D変換器 (24) 振動試験装置等、風洞・燃焼試験装置他 ( 8) 軍用船舶等 ほう素10 ( 9) 軍用航空機等 核燃料物質製造用還元剤・酸化剤 化学製剤用製造機械装置等 (24の2) ロケット設計用電子計算機 (10) 防潜網・魚雷防御網他 るつぼ 3の2 生物兵器 (25) 音波・電波・光の減少材料・装置 (11) 装甲板・軍用ヘルメット・防弾衣等 ハフニウム (26) ロケット・UAV用IC・探知装置・レードーム (12) 軍用探照灯・制御装置 リチウム 軍用細菌製剤の原料 5 先端材料 軍用細菌製剤・化学製剤等 タングステン 細菌製剤用製造装置等 (13の2) 軍用細菌製剤・化学製剤などの浄化用化学物質混合物 ジルコニウム 4 ミサイル ふっ素化合物製品 (27) ふっ素製造用電解槽 ビニリデンフルオリド圧電重合体他 軍用化学製剤用細胞株他 (28) ガス遠心分離機ロータ製造装置等 ロケット・製造装置等 芳香族ポリイミド製品 軍用火薬類の製造・試験装置等 (29) 遠心力式釣合試験機 (1の2) 無人航空機(UAV) チタン・アルミニウム合金成形工具 兵器製造用機械装置等 (30) フィラメントワインディング装置等 ロケット誘導装置・試験装置等 チタン・ニッケルなどの合金・粉、製造装置等 2 原子力 (31) レーザー発振器 推進装置等 金属性磁性材料 (32) 質量分析計・イオン源 しごきスピニング加工機等 ウランチタン合金・タングステン合金 核燃料物質・核原料物質 (33) 圧力計・ベローズ弁 サーボ弁・推進薬制御装置用 ポンプ・軸受 超電導材料 原子炉・原子炉用発電装置等 (34) ソレイノイドコイル形超電導電磁石 作動油 重水素・重水素化合物 (35) 真空ポンプ 推進薬・原料 潤滑剤 人造黒鉛 (36) 直流電源装置 推進薬の製造・試験装置等 振動防止用液体 核燃料物質分離再生装置等 (37) 電子加速器・エックス線装置 粉粒体用混合機等 冷媒用液体 リチウム同位元素分離用装置等 (38) 衝撃試験機 ジェットミル・粉末金属製造装置等 チタンのホウ化物・セラミック半製品他 ウラン・プルトニウム同位元素分離用装置等 (39) ストリークカメラ・フレーミングカメラ等 複合材料製造装置等 セラミック複合材料 周波数変換器等 (40) 干渉計・圧力測定器・圧力変換器 ノズル ポリジオルガノシラン・ポリシラザン他 ニッケル粉・ニッケル多孔質金属 (41) 核兵器起爆(試験)用貨物 ノズル・再突入機先端部製造装置他 ビスマレイド・芳香族ポリアミドイミド他 重水素・重水素化合物の製造装置等 (42) 光電子増倍管 アイソスタチックプレス・制御装置 ビニリデンフルオリド共重合体他 (10の2) ウラン・プルトニウム製造用装置等 (43) 中性子発生装置 複合材用の炉・制御装置 プリプレグ・プリフォーム・成型品等 (44) 遠隔操作のマニピュレーター ロケット・UAV用構造材料 ほう素・炭化ほう素・硝酸グアニジン他
リスト規制一覧② 参 考 6 材料加工 13 推進装置 8 電子計算機 14 その他 9 通信 7 エレクトロニクス 11 航法装置 2010.4.1 項番 輸出許可品目名 6 材料加工 (17) マスク・レチクル等 ( 4) 高速度撮影可能なカメラ等 13 推進装置 (18) 半導体基板 ( 5) 反射鏡 ( 1) 軸受等 (19) レジスト ( 6) 宇宙用光学部品等 ガスタービンエンジン等 ( 2) 数値制御工作機械等 (20) アルミニウム・ガリウム他の有機金属化合物、燐・砒素他の有機化合物 ( 7) 光学器械又は光学部品の制御装置 人工衛星・宇宙開発用飛しょう体等 ( 3) 歯車製造用工作機械等 (7の2) 非球面光学素子 ロケット推進装置等 アイソスタチックプレス等 (21) 燐・砒素・アンチモンの水素化物 ( 8) レーザー発振器等 無人航空機等 コーティング装置等 (22) 炭化けい素等 ( 9) 磁力計・水中電場センサー・磁場勾配計・ 校正装置他 (1)から(4)、15の(10)の試験装置・測定装置・検査装置等 測定装置等 8 電子計算機 ロボット等 (10) 重力計・重力勾配計 14 その他 フィードバック装置他 電子計算機等 (11) レーダー等 絞りスピニング加工機・しごきスピニング 加工機 9 通信 (12) 光反射率測定装置他 粉末状の金属燃料 (13) 重力計製造装置・校正装置 火薬・爆薬成分、添加剤・前駆物質 7 エレクトロニクス 伝送通信装置等 (14) 光検出器・光学部品材料物質他 ディーゼルエンジン等 電子交換装置 11 航法装置 <削除> 集積回路 光ファイバー通信ケーブル等 自給式潜水用具等 マイクロ波用機器・ミリ波用機器等 加速度計等 航空機輸送土木機械等 信号処理装置等 フェーズドアレーアンテナ ジャイロスコープ等 ロボット・制御装置等 超電導材料を用いた装置 (5の2) 監視用方向探知器等 慣性航行装置等 電気制動シャッター 超電導電磁石 (5の3) 通信妨害装置等 ジャイロ天測航法装置、衛星航法システム電波受信機、航空機用高度計等 催涙剤・くしゃみ剤、これら散布装置等 一次・二次セル、太陽電池セル (5の4) 受信機能のみで電波等の干渉を観測する位置探知装置 ( 10) 簡易爆発装置等 高電圧用コンデンサ (4の2) 水中ソナー航法装置等 ( 11) 爆発物探知装置 【追加】 エンコーダ (1)から(3)、(5)から(5の4)までの設計・製造装置等 (1)から(4の2)までの試験・製造装置他 ( 8の2) サイリスターデバイス・サイリスターモジュール 15 機微品目 ( 8の3) 電力制御用半導体素子【追加】 暗号装置等 12 海洋関連 無機繊維他を用いた成型品 デジタルビデオ磁気テープ記録装置他 情報伝達信号漏洩防止装置等 電波の吸収材・導電性高分子 波形記憶装置 非暗号型情報通信システム【追加】 船舶(潜水艇、水中翼船他) 核熱源物質 (10の2) デジタル計測用記録装置 盗聴検知機能通信ケーブルシステム等 船舶の部分品・附属装置 デジタル伝送通信装置等 周波数シンセサイザー (7)(8)(10)の設計・製造・測定装置他 水中回収装置 水中探知装置等 信号発生器 10 センサー等 水中カメラ等 宇宙用光検出器 周波数分析器 水中ロボット 目標自動識別機能レーダー等 ネットワークアナライザー 密閉動力装置 潜水艇 (15) 原子周波数標準器 (1の2) 妨害用水中音響装置 【追加】 回流水槽 船舶用防音装置 (15の2) スプレー冷却方式の熱制御装置 光検出器・冷却器等 浮力材 ラムジェットエンジン、スクラムジェットエンジン、複合サイクルエンジン等 (16) 半導体製造装置等 センサー用の光ファイバー 閉鎖・半閉鎖回路式の自給式潜水用具 リスト規制一覧② 参 考 *【追加】は2010年4月1日に追加。
リスト規制の注意点① 1. 複数の項目により規制されている場合があります。 他にも。 参 考 リスト規制の注意点① 参 考 注 意 1. 複数の項目により規制されている場合があります。 例えば、炭素繊維は遠心分離機の材料、ミサイル材料、 さらに、通常兵器の材料としても規制されています。 (2項-17、4項-15、5項-18、13項-3、等) 他にも。 工作機械 核兵器関連 通常兵器関連 2項(12)1 6項(2) *工作機械の場合、たとえ2項 のスペックに照らし非該当で あったとしても、6項で該当と なりえます。 例. 衛星放送用のICチップウェハは 7項(1)の集積回路と、9項(7)の暗号装置の両方の項番で規制されています。 例.
リスト規制の注意点② 2. 最新の規制リストを参照しましょう。 (原則として、毎年、部分的に改正されます。) リスト規制の注意点② 参 考 注 意 2. 最新の規制リストを参照しましょう。 (原則として、毎年、部分的に改正されます。) 直近のリスト改正は、2010年4月1日です。 3. 部分品、附属品にも注意しましょう。 貨物等省令で「部分品」や「附属品」が規定されている場合に は、該当品の部品や附属品を輸出する場合であっても規制 されます。 4.その他、俗に「GPS」と呼ばれる貨物など、そのとおりの名称が 記載されているわけではありませんので、注意しましょう。 4項(18) 「アビオニクス装置又はその部分品」 ~貨物等省令第3条19号~ 「アビオニクス装置」であって、次のいずれかに該当するもの イ~ロ(略) ハ 衛星航法システムからの電波を受信する装置であって、 次の(一)若しくは(二)に該当するもの又はそのために特に設計した部分品 (一)~(二)(略)
(3)キャッチオール規制等
①大量破壊兵器キャッチオール規制とは リスト規制品以外のものであっても、大量破壊兵器の開発等に用いられるおそれのある場合には、経済産業大臣の許可が必要となる制度。 対象地域 輸出管理を厳格に実施している26カ国(ホワイト国)を除く地域 リスト規制に該当しない全品目(ただし、食料品、木材等は除く。) 対象となるもの 特に注意: 懸念の強い貨物例(参考1) 40品目 許可が必要となる要件 (1)輸出者による判断= 客観要件 ①用途要件(使用目的) ・輸入先等において、大量破壊兵器の開発等に用いられるかおそれがあるどうか ②需要者要件(顧客) ・輸入者・需要者が大量破壊兵器の開発等を行う(行っていた)かどうか ・外国ユーザーリスト(参考2) 掲載の企業・組織かどうか (2)経済産業省による判断= インフォーム要件 ・経済産業省から許可を取るよう通知を受けた場合
大量破壊兵器の開発等に用いられるおそれの強い貨物例 大量破壊兵器の開発等に用いられるおそれの強い貨物例 参 考 1 核・ミサイルへの転用懸念 ・リン酸トリブチル(TBP) ・周波数変換器 ・質量分析計又はイオン源 ・電圧又は電流の変動が少ない直流の電源装置 ・大型の真空ポンプ ・耐放射線ロボット ・放射線測定器 ・口径75mm以上のアルミニウム管 ・高周波用のオシロスコープ及び波形記憶装置 ・大型発電機 ・炭素繊維・ガラス繊維・アラミド繊維 ・チタン合金 ・マルエージング綱 ・しごきスピニング加工機 ・数値制御工作機械 ・アイソスタチックプレス ・フィラメントワインディング装置 ・振動試験装置 ・遠心力釣り合い試験器 ・耐食性の圧力計・圧力センサー ・TIG溶接機、電子ビーム溶接機 ・人造黒鉛 ・大型の非破壊検査装置 ・微粉末を製造できる粉砕器 ・ジャイロスコープ ・ロータリーエンコーダ ・大型トラック (トラクタ、トレーラー、ダンプを含む) ・クレーン車 ・カールフィッシャー方式の水分測定装置 ・プリプレグ製造装置 ・噴霧器を搭載するよう設計された 無人航空機(UAV) ・UAVに搭載するよう設計された 噴霧器 核兵器への転用懸念 ミサイルへの転用懸念 生物兵器への転用懸念 ・密閉式の発酵槽 ・遠心分離器 ・凍結乾燥機 1.これらの物の輸出又は技術の提供を行う際には、輸入先等において大量破壊兵器の開発等の懸念用途に転用されないよう、輸出者は特に慎重な審査が必要です。 ・噴霧器を搭載するよう設計されたUAV ・UAVに搭載するよう設計された噴霧器 化学兵器への転用懸念 ・耐食性の反応器 ・耐食性のかくはん機 ・耐食性の熱交換器又は凝縮器 ・耐食性の蒸留塔又は吸収塔 ・耐食性の充てん用の機械 2.外国ユーザリスト掲載企業に対し、これらの物の輸出又は技術の提供を行う場合は、リスト上の懸念区分(核兵器・化学兵器・生物兵器・ミサイル)と、物・技術の懸念用途が一致するか否かのチェックを行う際に活用ください。
外国ユーザーリスト(2009年7月改訂) 参 考 2 外国ユーザーリスト(抜粋) 経済産業省が、大量破壊兵器の開発等への関与が懸念される企業・組織を掲載し公表しているリスト。 このリストに掲載されている企業等に輸出等を行う場合には、それが大量破壊兵器の開発等に用いられないことが明らかな場合を除き、経済産業大臣の許可が必要となります。 No. 国名、地域名 Country or Region 企業名、組織名 Company or Organization 別名 Also Known As 懸念区分 Type of WMD 1 イスラエル Israel Israel Military Industries (IMI) ・Israeli Military Industries 化学、ミサイル C,M 2 Nuclear Research Center Negev (NRCN) 核 N 3 イラン Iran 7th of Tir ・7th of Tir Industries Complex ・Mojtamae Sanate Haftome Tir ・Sanaye Haftome Tir ・7th of Tir Industries of Isfahan/Esfahan ・7th of Tir Complex ・Esfahan/Isfahan Haftome Tir Industries 4 Abzar Boresh Kaveh Co. ・BK Co. 5 Aerospace Industries Organization (AIO) ・Sazemane Sanaye Hava and Faza (SSHF) ・Bazargani Hava and Faza ミサイル M 6 AMA Industrial Co. 7 Amirkabir University of Technology ミサイル、核 M,N 8 Ammunition and Metallurgy Industries Group (AMIG) ・Ammunition Industries Group ・Ammunition and Metallurgy Industry Group ・Sanaye Mohematsazi ・Ammunition Group ・Ammunition and Metallurgy Industries 9 Armament Industries Group ・AIG-Armament Industries Group 10 Atomic Energy Organization of Iran (AEOI) ・Sazeman-e Energy Atomi ・AEOI 生物、化学、ミサイル、核 B,C,M,N 各国別の掲載企業・組織数 (2009年7月24日版) 国 名 掲載数 イスラエル 2 イラン 80 インド 26 北朝鮮 82 シリア 10 台湾 1 中国 17 パキスタン 27 アフガニスタン (パキスタン) 合 計 247 注)外国ユーザーリストは毎年改訂されますので、最新版を入手するようにしてください。
通常兵器の開発等に用いられる おそれの強い貨物 ②通常兵器補完的輸出規制とは H20.11.より リスト規制品以外のものであっても、通常兵器の開発、製造又は使用に用いられるおそれのある場合には、経済産業大臣の許可が必要となる制度。 対象地域 国連武器禁輸国 非ホワイト国(国連武器禁輸国除く) 対象となるもの リスト規制に該当しない全品目 (但し、食料品、木材等は除く) 通常兵器の開発等に用いられる おそれの強い貨物 32品目 参:P53,54 許可が必要となる要件 (1)輸出者による判断 客観要件 客観要件なし (用途要件のみ) 輸入先等において、通常兵器の開発等に用いられるおそれがあるかどうか (2)経済産業省による判断 インフォーム要件 インフォーム要件 経済産業省から許可を取る よう通知を受けた場合 経済産業省から許可を取る よう通知を受けた場合 注)国連武器禁輸国・地域 アフガニスタン、コンゴ民主共和国、コートジボワール、イラク、レバノン、リベリア、北朝鮮、シエラレオネ、ソマリア、スーダン(計10カ国・地域) 注)通常兵器:核兵器等を除く輸出令別表第1の1項に該当する貨物
(4)外為法に基づく輸出等の許可
規制に該当する物の輸出や技術の提供をする際には、事前に許可を取得する必要があります。 外為法に基づく輸出等の許可 規制に該当する物の輸出や技術の提供をする際には、事前に許可を取得する必要があります。 (1)リスト規制に該当するか否かを確認 (2)リスト規制に該当しない場合には、以下に該当するか否かを確認 ①大量破壊兵器キャッチオール規制(→用途や需要者に懸念があるか否か) ②通常兵器補完的輸出規制 (→用途に懸念があるか否か) 上記(1)又は(2)に該当する場合には、必要な書類を用意して窓口(経済産業本省又は経済産業局・通商事務所)に許可申請を行ってください。 上記(1)又は(2)のいずれにも該当しない場合には、許可申請は不要です。 ※許可の申請方法は、以下の3つの方法があります。 ①窓口への書類持参 ②窓口あてに郵送 ③電子申請(NACCS 貿易管理サブシステム)
許可の種類 個別許可 一般包括許可 特定包括許可 特別返品等包括許可 特定子会社包括許可 リスト規制に該当する物の輸出や技術の提供は、原則として個別案件ごとに許可 原則、国際輸出管理レジーム参加国を仕向地として行う当該レジームで規制された物・技術(機微品目を除く)の取引を一括して許可 一般包括許可 特定包括許可 継続的な取引関係を有する同一の相手方への特定の物・技術の取引について一括して許可 本邦において使用するために輸入された輸出令別表第1の1項に該当する物(武器)又はその物に内蔵された外為令別表の1項に該当する技術(プログラム)であって、不具合による返品、修理又は異品のためのみに輸出する物や技術について一括して許可 複数回の許可取得実績 特別返品等包括許可 特定子会社包括許可 50%超株式を所有していて、残りの株式所有者がいずれも日本企業であるなど、資本関係を有する最終需要者又は輸入者への特定の物・技術の取引について一括して許可 申請者等との資本関係 参:P32 (※) 「包括許可」の取得に当たっては、 ①輸出管理内部規程(CP)の整備・届出 ②その確実な実施(チェックリストの提出) ③適格説明会への参加 が許可取得の必要条件となっています。
5.違反に対する罰則と違反原因
違法輸出に対する罰則 公 表 規制対象となる物・技術を、許可を取らずに輸出・提供してしまうと、法律に基づき、罰せられる場合があります。 刑事罰 公 表 ・ 10年以下の懲役 ・ 1000万円以下の罰金 (対象の物・技術の価格の5倍がそれぞれの金額を超える場合はその価格の5倍以下の罰金) ・企業イメージの悪化 ・社会的制裁 ・株主代表訴訟 等 最大 行政制裁 ・ 3年以内の、物の輸出・技術の提供の 禁止 経済産業省からの 違反企業に対する警告 ※実際に懸念用途に用いられた場合、企業のみならず日本に対するダメージは、計り知れません。
罰則強化等 罰則水準引き上げ 違反行為 改正前 改正後 懲役刑 罰金刑 法人の時効を自然人と併せる規定の導入 技術提供取引・輸出 技術提供取引・輸出 (許可義務違反) 仲介貿易取引 (許可義務違反) 5年以下 200万円以下 (輸出・取引額の5倍以下) 【大量破壊兵器関連】 10年以下 1000万円以下 (輸出・取引額の5倍以下) 【そ の 他】 7年以下 700万円以下 (輸出・取引額の5倍以下) 技術記録媒体の持出し (許可義務違反) なし 500万円以下 (輸出・取引額の5倍以下) 不正な手段による許可取得 3年以下 100万円以下 (輸出・取引額の3倍以下) 法人の時効を自然人と併せる規定の導入 ※ 無許可輸出に係る時効期間 【改正前】 【改正後】 自然人 : 5年 → 自然人 : 7年(大量破壊兵器関連) 法 人 : 3年 → 法 人 : 7年(大量破壊兵器関連) (上記以外の場合には、自然人及び法人ともに5年となる) 改正日:平成21年11月1日 改正日:平成21年11月1日
最近の違反原因分析① 6.故意・重過失 5.許可条件違反 4.出荷確認等の誤り 1.該非判定の未実施 3.該非判定時における法令・ 通達の解釈(例外等)の誤り 2.該非判定時における該当項番の適用の誤り (がいひ はんてい) 注) 該非判定 : 輸出しようとする物又は提供しようとする技術が法令で規制されているもの であるか否かを判定すること。
最近の違反原因分析② 違反の事例 違反防止のポイント ●民生品であっても、輸出許可が必要か否かの確認を をしましょう。(該非確認) (許可不要との思いこみ) 違反防止のポイント このようなことにならないために ●民生品であっても、輸出許可が必要か否かの確認を をしましょう。(該非確認) ●該当品の場合は、経済産業 大臣の輸出許可が必要です。 民生品だから輸出許可不要のはず 許可を取らずに輸出 組織的な体制の整備が必要です。 ●該非判定(該非確認)のためには・・・ 判定書を 確認したら、 輸出許可が必要な貨物だった! 後日・・・ 購入先から判定書等 を入手 自社で貨物等の性能を確認 購入品であっても、必ず自社で判定結果の再確認しましょう。違反の場合は基本的に輸出者が責任を負うことになります。
違反原因別の事例の概要 違反原因 事例の概要等 該非判定の未実施 参:P66,67 該非判定(該非確認)の 責任者の不在 該非判定の未実施 該非判定(該非確認)の 責任者の不在 メーカから非該当証明書を入手したため、書面をよく確認せずに、貨物を輸出した。その後、 添付された根拠書類を確認したところ、該非判定書と根拠書類が異なる貨物であることに 気づき、改めて確認をしたところ、輸出した貨物がリスト規制品に該当することが分かった。 法令の知識の不足 メーカから該非判定書を入手したが、貨物(工作機械)に関する非該当判定書であったに も関わらず、インストールされているプログラムについて該非判定が必要となることについて 認識がなく、無許可で役務の提供をした。 輸出管理体制の未整備 輸出管理統括責任者 の不在 輸出管理統括責任者が存在せず、普段輸出を取り扱わない部門における輸出管理の重要 性(外為法)についての認識が低いまま、 輸出する貨物が該当であるかどうかをまったく 確認せずに、無許可での該当貨物の輸出を行っていた。 輸出管理担当者任せの 輸出管理 輸出管理担当者が1名しか存在せず、その担当者が長期休暇で不在となった間に、代わり の担当者がまったく外為法に係る知識がなく、該当の輸出貨物を無許可で輸出してしまった。 法令解釈の判断の誤り 無償告示の解釈の誤り 輸入した変位計(センサー(該当品))を修理するために、海外の製造メーカーに返送した際、 無償で輸出する(製造メーカーへの返品である)ので輸出許可が不要であると誤判断して、 輸出した。 海外の展示会への出展のために該当の工作機械を輸出する際、展示会終了後、日本に 戻すので許可申請が不要であると誤判断して、輸出した。 少額特例の解釈の誤り 100万円超の1契約案件であっても、分割して船積みすれば少額特例が適用できると誤認 して輸出した。
6.自主管理体制の整備
自主管理体制の整備 → 後半の「法令遵守のポイント」へ ◆法令遵守(コンプライアンス)のための社内管理の重要性 組織体制 ルール整備とその「実行」 社内意識の醸成・徹底 社内管理を形骸化させないことが重要 ◆健全・活発なビジネスとコンプライアンスは車の両輪 ◆安全保障貿易管理は重要な法的要請 ○外為法に基づき、国際的な平和・安全の維持を目的とした輸出管理 適法な手続きを経て適正な輸出を 安全保障上機微な“技術の提供”も、輸出管理の対象として重要 ◆包括許可制度は企業等の自主管理を前提とした制度 → 後半の「法令遵守のポイント」へ