社会調査とは何か(3) 調査対象者の選定方法

Slides:



Advertisements
Similar presentations
◎標本調査とその問題点 ● 何らかの情報を得たい全体集団(母 集団)から、ランダムに適当な数の標 本(サンプル)を抽出し、それに対す る調査結果から母集団に関する情報を 推定する方法 ● 全数調査(悉皆調査:国勢調査等) と比較して、費用・時間の面で極めて 効率的 ● 標本調査が十分にその機能を果たすためには.
Advertisements

数理統計学 西 山. 前回のポイント<ルート N の法則> 1. データ(サンプル)の合計値 正規分布をあてはめる ルート N をかけて標準偏差を求める 2. データ(サンプル)の平均値 正規分布を当てはめる 定理8がポイント ルート N で割って標準偏差を求める.
5 章 標本と統計量の分布 湯浅 直弘. 5-1 母集団と標本 ■ 母集合 今までは確率的なこと これからは,確率や割合がわかっていないとき に, 推定することが目標. 個体:実験や観測を行う 1 つの対象 母集団:個体全部の集合  ・有限な場合:有限母集合 → 1つの箱に入っているねじ.  ・無限な場合:無限母集合.
計量的手法入門 人材開発コース・ワークショップ (IV) 2000 年 6 月 29 日、 7 月 6 ・ 13 日 奥西 好夫
1 市場調査の手順 1. 問題の設定 2. 調査方法の決定 3. データ収集方法の決定 4. データ収集の実行 5. データ分析と解釈 – データ入力 – データ分析 6. 報告書の作成.
土木計画学 第3回:10月19日 調査データの統計処理と分析2 担当:榊原 弘之. 標本調査において,母集団の平均や分散などを直接知ることは できない. 母集団の平均値(母平均) 母集団の分散(母分散) 母集団中のある値の比率(母比率) p Sample 標本平均 標本分散(不偏分散) 標本中の比率.
2006 年度 統計学講義内容 担当者 河田正樹
数理統計学 西 山. 推定には手順がある 信頼係数を決める 標準誤差を求める ← 定理8 標準値の何倍の誤差を考慮するか  95 %信頼区間なら、概ね ±2 以内  68 %信頼区間なら、標準誤差以 内 教科書: 151 ~ 156 ペー ジ.
統計学 西山. 平均と分散の標本分布 指定した値は μ = 170 、 σ 2 = 10 2 、データ数は 5 個で反復 不偏性 母分散に対して バイアスを含む 正規分布カイ二乗分布.
統計学入門2 関係を探る方法 講義のまとめ. 今日の話 変数間の関係を探る クロス集計表の検定:独立性の検定 散布図、相関係数 講義のまとめ と キーワード 「統計学入門」後の関連講義・実習 社会調査士.
コンピュータプラクティ スⅠ アンケート 水野嘉明 1. 本日の予定 「アンケート」  人間的な要因を評価するための 一手段として、アンケートの方 法について学ぶ  実験では、アンケートの集計を 行う 2.
●母集団と標本 母集団 標本 母数 母平均、母分散 無作為抽出 標本データの分析(記述統計学) 母集団における状態の推測(推測統計学)
マーケティング情報の収集と活用.
マーケティング機会分析: マーケティング・リサーチ
数理統計学  第9回 西山.
看護学部 中澤 港 統計学第5回 看護学部 中澤 港
第4章補足 分散分析法入門 統計学 2010年度.
よいパワーポイントファイルの見本 ・小さい字が並ぶ、長い文章、スライドに番号がない、などは避けた方がよい
様々な仮説検定の場面 ① 1標本の検定 ② 2標本の検定 ③ 3標本以上の検定 ④ 2変数間の関連の強さに関する検定
確率と統計 平成23年12月8日 (徐々に統計へ戻ります).
確率・統計Ⅰ 第12回 統計学の基礎1 ここです! 確率論とは 確率変数、確率分布 確率変数の独立性 / 確率変数の平均
社会福祉調査論 第5講 量的調査の特徴と種類 11月9日.
検定 P.137.
第2章 全数調査と標本調査 ー 経済統計 ー.
調査法B (心理カウンセリング学科・カウンセリング研究コース)
統計学 12/3(月).
市場調査の手順 問題の設定 調査方法の決定 データ収集方法の決定 データ収集の実行 データ分析と解釈 データ入力 データ分析 報告書の作成.
第4回 (10/16) 授業の学習目標 先輩の卒論の調査に協力する。 2つの定量的変数間の関係を調べる最も簡単な方法は?
土木計画学 第5回(11月2日) 調査データの統計処理と分析3 担当:榊原 弘之.
Bassモデルにおける 最尤法を用いたパラメータ推定
経済統計 第三回 5/1 Business Statistics
統計的仮説検定の考え方 (1)母集団におけるパラメータに仮説を設定する → 帰無仮説 (2)仮説を前提とした時の、標本統計量の分布を考える
統計学 11/30(木).
疫学概論 母集団と標本集団 Lesson 10. 標本抽出 §A. 母集団と標本集団 S.Harano,MD,PhD,MPH.
統計的仮説検定 治験データから判断する際の過誤 検定結果 真実 仮説Hoを採用 仮説Hoを棄却 第一種の過誤(α) (アワテモノの誤り)
心理統計学 II 第7回 (11/13) 授業の学習目標 相関係数のまとめと具体的な計算例の復習 相関係数の実習.
本時の目標 標本調査の意味を知り、全数調査と標本調査の違いを理解する。
疫学(Epidemiology) 第4回 標本抽出法 誤差やバイアスの制御 中澤 港(内線1453)
疫学概論 無作為化比較対照試験 Lesson 14. 無作為化臨床試験 §A. 無作為化比較対照試験 S.Harano,MD,PhD,MPH.
マーケティング情報.
統計学 12/13(木).
マイクロシミュレーションにおける 可変属性セル問題と解法
統計解析 第10回 12章 標本抽出、13章 標本分布.
調査対象の決定 (今日の目標) 1. 全数調査と標本調査の違いを理解する。 2. 標本調査の種類と特徴を理解する。 3.
マーケティング戦略.
数理統計学 第11回 西 山.
マーケティング情報の収集と活用.
データ分析.
マーケティング情報収集と活用.
離婚が出生数に与える影響 -都道府県データを用いた計量分析
母集団と標本:基本概念 母集団パラメーターと標本統計量 標本比率の標本分布
1.標本平均の特性値 2.母分散既知の標本平均の分布 3.大数法則と中心極限定理
疫学概論 標本抽出法 Lesson 10. 標本抽出 §B. 標本抽出法 S.Harano,MD,PhD,MPH.
疫学概論 交絡 Lesson 17. バイアスと交絡 §A. 交絡 S.Harano, MD,PhD,MPH.
第3章 統計的推定 (その1) 統計学 2006年度.
①調査対象事業所の状況  平成29年職種別民間給与実態調査では、企業規模50人以上かつ事業所規模50人以上の民間事業所650事業所(母集団事業所)から 132事業所を無作為に抽出し、実地調査を行いました。母集団事業所、調査事業所の状況等については、下記のとおりです。 企 業 規 模 3,000人以上.
市場調査の手順 問題の設定 調査方法の決定 データ収集方法の決定 データ収集の実行 データ分析と解釈 報告書の作成 標本デザイン、データ収集
市場調査の手順 問題の設定 調査方法の決定 データ収集方法の決定 データ収集の実行 データ分析と解釈 報告書の作成 標本デザイン、データ収集
母音[i]のF1, F2平均値の分析.
1.因子分析とは 2.因子分析を行う前に確認すべきこと 3.因子分析の手順 4.因子分析後の分析 5.参考文献 6.課題11
「アルゴリズムとプログラム」 結果を統計的に正しく判断 三学期 第7回 袖高の生徒ってどうよ調査(3)
クロス表とχ2検定.
統計学  第9回 西 山.
数理統計学 西 山.
推定と予測の違い 池の魚の体重の母平均を知りたい→推定 池の魚を無作為に10匹抽出して調査 次に釣り上げる魚の体重を知りたい→予測
小標本に関する平均の推定と検定 標本が小さい場合,標本分散から母分散を推定するときの不確実さを加味したt分布を用いて,推定や検定を行う
1.基本概念 2.母集団比率の区間推定 3.小標本の区間推定 4.標本の大きさの決定
サンプリングと確率理論.
第3章 統計的推定 (その2) 統計学 2006年度 <修正・補足版>.
実都市を対象とした初期マイクロデータの 推定手法の適用と検証
Presentation transcript:

社会調査とは何か(3) 調査対象者の選定方法 1.社会調査の対象の決定 2.標本調査 3.クォータサンプリング 4.参考文献

1.社会調査の対象の決定 調査目的すなわち社会調査の課題 社会調査の対象(調査対象は誰・何か)の決定 ①調査対象の構成単位:個人、世帯、会社、団体? ②調査目的に応じた必要条件:性別、年齢、その他個 人特性、世帯の種類、企業の特性など? ③空間的・時間的条件:地理的条件、○年○月○日 現在など?

衆議院議員選挙の調査 → 有権者(e.g.20歳以上の国民) 生活時間調査 → 個人(幼児なども含む) 消費に関する調査 → 世帯 or 個人 企業に関する調査 → 従業員1,000人以上の企業 これら調査対象集団が大きい場合どうすればいいのか。 大きすぎて調査を行うのがとても大変。 ⇒標本を抽出(サンプリング)する。

2.標本調査 (1)なぜ標本調査を行うのか 調査対象集団が大きい場合、このような集団全体について調べるのはとても大変である。 そのため、 知りたい情報は、ある事項あるいは性質についてその集団「全体」における平均や比率である、という場合には、標本調査を行うとよい。 しかし、調査対象集団が均質であるとは考えられない場合には、どのような標本抽出法をとるかが結果の正確さや信頼度を左右する。 標本調査では、標本(サンプル)の回答結果から、全体の傾向を推察、推論、推測する。

(2)標本抽出とは 標本抽出(サンプリング)とは、調査対象集団から、確率的に調査を依頼する人を抽出する(サンプリング)こと。この際、調査対象集団は母集団と呼ばれる。 抽出母集団(サンプルがとられるもとの集団) 目標集団(情報を得ることが目的である対象集団)

(3)標本抽出の手順 ①抽出リストの入手 母集団が決まったら、調査対象を漏れなく書き 上げたリスト(名簿・台帳)を入手する。 e. g

②標本数の決定 a. 比率のサンプリング誤差から決める 標本数が多くなればなるほど誤差は小さくなる。 費用との折り合いも考慮する。 b ②標本数の決定 a.比率のサンプリング誤差から決める 標本数が多くなればなるほど誤差は小さくなる。 費用との折り合いも考慮する。 b.経験から決める ・標本数が500あればいろいろな分析が可能。 ・クロス集計を行うには、1グループ最低30人必要。 ・クロス集計後に検定を行う場合には、1グループ 最低25人、できれば50人必要。 ・多変量解析(e.g.因子分析)には、変数の10倍 の人数が必要。

③サンプリングを行う a. 単純抽出法(単純無作為抽出法) ・母集団全員に一連番号をつける。 ・乱数表により無作為に標本を抽出する。 b

c. 多段抽出法 ・広い地域に分散する母集団(e. g

・抽出地点数を決める(1地点からは10サンプルを ・地点の人口構成にしたがってウェイトづけを行っ て地点を抽出する。  c-1.確立比例2段抽出法 ・抽出地点数を決める(1地点からは10サンプルを                抽出することが多い) ・地点の人口構成にしたがってウェイトづけを行っ    て地点を抽出する。 ・どの地点からも同数ずつサンプルを抽出する。   c-2.等確率抽出法 ・等しい確率で地点を抽出する。 ・抽出された地点の人口に応じたウェイトでサン        プルを抽出する。

c-3.層化抽出法 ・調査目的に応じて、大都市・中小都市・郡部と いった層化を行う。 ・各層の大きさに応じてウエイトづけを行ってラン ダムに地点を抽出する。 ・選ばれた地点からサンプルをランダムに抽出す る。

(4)各種名簿を用いたサンプリングの今日的状況 近年、住民基本台帳、選挙民名簿の閲覧は、さまざまな条例などにより自治体によって制限されている。 厳しい閲覧条件の例 a.大学長による閲覧許可願い携行 b. 〃 閲覧者の身分保証 c.自治体による「調査票」の審査 d.抽選による閲覧許可 e.閲覧者数の制限 f.高い閲覧料の要求 ⇒“住民基本台帳・選挙人名簿を用いたサンプ リングは不可能”と断言する調査会社もある。

3.クォータサンプリング (1)クォータサンプリングとは 割当抽出法(quota sampling)  労働力と経費節減のために、 割当抽出法(quota sampling)  という方法が用いられるようになってきた。 ①確率比例2段抽出法による調査地点の抽出   ②調査員が調査現場で指定された標本の属性  にしたがって該当する調査対象者を探し、調  査を実施する。

(2)調査対象者の属性を決めよう クォータサンプリングの考え方を応用して・・・・ 表3 各グループでの性別・年齢層別割り当て 単位人 20~24歳 25~29歳 50~54歳 55~59歳 合計 男性 女性 70

今回の対象者の属性ごとの人数を決める手順 ①日本人の20歳~29歳と50~59歳までの性別ごとの人口 (2013年12月の確定値)を調べる。(→表1) ②20歳~29歳と50~59歳までの人口の合計を100%とし、 年齢層・性別ごとの人口の割合を算出する。(→表2) ③グループの調査対象者の総数を70とし、各年齢層・性別 ごとの割り当て数(人数)を算出する。(→表3) ④クラス全体の調査対象者の総数を630とし、各年齢層・性 別ごとの割り当て数(人数)を算出する。(→表4) <課題6>クォータサンプリングによる調査対象者の属性の決定(割り当て表)の作成(7月10日にプリントアウトして持参)