労働災害の書類送検事例 2010年11月~12月
労働安全衛生法違反 送検日 2010/11/15 送検先 千葉地検木更津支部 対象 新日本製鉄と君津製鉄所の男性課長(37) 状況 同社と課長は製鉄所の高炉ガス配管を少なくとも2年に1度は点検することが同法で義務付けられているにもかかわらず、配管の一部について08年1月から約2年5カ月間点検していなかった疑い。 同製鉄所では今年5月14日、点検されていなかった配管部分から一酸化炭素を含んだガスが漏れ出し、配管の支柱の塗装をしていた男性作業員(57)が一酸化炭素中毒で死亡する事故があった。
椪(はい)作業主任者未選任 送検日 2010/11/16 送検先 徳島地検 対象 造船会社(鳴門市)と同社社長(65) 状況 同社の資材置き場で8月20日、男性社員(当時67歳)が崩れ落ちてきた鉄パイプに挟まれて死亡した事故で、鉄パイプを取り出す作業をした際、高さ2メートル以上に積み重ねられた荷(椪)を移動させるのに必要な作業主任者の選任を怠った疑い。
労災隠し 送検日 2010/11/18 送検先 徳島地検 対象 建設会社(藍住町)と同社社長(53) 状況 10年3月、石井町の資材置き場で、廃材の整理・搬出作業中、重機でつり上げた鋼板(長さ約1.2メートル、幅約3メートル、重さ350キロ)が落下し、近くにいた男性作業員(61)に当たって右足を骨折したのに、労基署に報告書を提出しなかった疑い。
労働安全衛生法違反 送検日 2010/11/19 送検先 千葉地検松戸支部 対象 松戸市の防水会社と専務(59)、柏市の建設会社と現場所長(62) 状況 8月11日、流山市の中学校耐震補強工事現場の屋上で作業していた男性作業員(当時44歳)が転落し全身打撲で死亡した事故で、安全に作業するのに十分な手すりなどを設置しないまま作業員を働かせた疑い。
労働安全衛生法違反 送検日 2010/11/19 送検先 大津地検 対象 東近江市の産業廃棄物処理業の男性(69) 状況 男性は6月8日、彦根市外町の解体工事現場でショベルカーを後進させた際、作業中の男性従業員(当時75歳)をひき、従業員は死亡した。ショベルカーの稼働範囲に人を立ち入らせないなどの事故防止策を怠った疑い。
昇降設備の未設置 送検日 2010/12/1 送検先 高松地検 対象 清水建設と現場責任者(34)、下請けの足場工事業者と責任者(37)、さぬき市の建築塗装業者と同社社長(42) 状況 8月20日、高松市のNTTコム香川ビル外壁改修工事現場で、足場の解体と壁の補修作業中、階段など安全に上り下りできる設備を取り付けずに派遣労働者の男性(56)を高さ24メートルで作業させた疑い。 男性は落下し多発外傷で死亡した。
業務上過失致死容疑 送検日 2010/12/3 送検先 東京地検 対象 清掃会社(清掃会社)の社長(49)と作業員2人 状況 08年6月4日、江戸川区のマンション1階通路で、全盲の女性をマンホールから約3メートル下の地下貯水槽室に転落させ、翌日に頭蓋骨骨折による急性硬膜下血腫で死亡させた。 事故当時、作業員2人は貯水槽内を清掃中で、マンホール近くに監視員はいなかった。捜査1課は、清掃会社には地上に見張りの作業員を配置したり、通行止めにするなどの注意義務があったとしている。
業務上過失傷害、業務上過失激発物破裂容疑 送検日 2010/12/10 送検先 横浜地検 対象 横浜市金沢区の化学メーカー「日本カーリット」横浜工場の当時の工場長と現場作業責任者ら5人 状況 今年1月に作業員ら12人が負傷した爆発事故で、当時高圧釜では複数の薬品を高温反応させて化学物質を製造していたが、反応が進む最中に従業員が装置を停止したため温度管理ができなくなり、温度と圧力が上昇する「暴走反応」が起き、爆発が発生したとみられる。 注意義務を怠った疑い。
労働安全衛生法違反 送検日 2010/12/10 送検先 水戸地検下妻支部 対象 埼玉県幸手市の上下水道工事会社同社社長(42) 状況 古河市関戸の市道マンホール内で下水道工事の調査をしていた作業員(40)が窒息死した10月の労災事故で、酸素欠乏危険作業主任者を置かず、作業前に有毒ガスがホール内にまん延していないか、硫化水素を測定するなど安全措置をとらずにマンホール内の作業をさせた疑い。
業務上過失傷害 送検日 2010/12/10 送検先 佐賀地検 対象 小城市内の元ガス会社保安統括部長(60)や佐賀市内のガス会社社員(37)など4人 状況 09年12月14日、下水管敷設工事の作業中に地中のガス管を傷つけたまま放置し、マンホールにガスを漏らした結果、同16日の作業で切断機の火花が引火。工事作業員(当時71歳)がマンホールのふたごと吹き飛ばされ、足の骨を折るなどした。