知らないで、 いつのまにか罪を犯していた… 5.各種の事例 知らないで、 いつのまにか罪を犯していた…
写真をイラスト化した… 複製とは、印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法。 ハンドライティングは、その他の方法に入る。 事前に承諾を得てイラスト化した場合は、二次著作物となる。
有名な絵の画風を真似て、 自分なりの絵を描いた… 書風、画風、作風等を真似ても著作権侵害とならない。 構図や形まで真似をしたら模写物となる。(自己使用のみの利用に留まる)
東京都庁の写真を撮影して、雑誌に載せた… 屋外に恒常的に設置されている建築物なので、著作権の対象外。
ある事件報道での新聞記事を、 新聞社に断りなく引用した… 新聞記事のうち、事実の伝達に過ぎない雑報等は言語著作物とされない。
新聞の写真を複写し、新聞名を明確にして論説中に掲載した… 報道写真は、言語著作物ではなく写真著作物となるので、著作権が認められる。自分が撮影して、新聞社に提供した等でなければ、一般に自由利用はできない。
シェアウェアのソフトを、社内の同僚に「無料ソフト」と言って配布した… 起動画面での継続使用の場合は20ドル支払うよう英語で表示されたのだが、英語が苦手なので気づかなかった。 パソコン通信等でダウンロードできるソフトにはフリーウェアとシェアウェアがある。通常、著作権者は提案条件に従う人のみ許諾承認を行っている。 重大な過失で知らなかったことになり、複製権違反となる。
パソコン通信での文章をダウンロードした。 更に、自分の意見と同じだったので、自分の署名に変えて、社内会議資料として提出した。 私的利用や裁判所に提出する証拠資料等以外の目的でダウンロードするのは、複製権の侵害。社内会議資料としたのは誤り。 署名を変えたのは、氏名表示権の侵害。
広告の歌手の写真をスキャナで読込み加工して、社内報の表紙に使った… 社内報の表紙に使ったことで複製権の侵害はもちろんだが、民法での歌手肖像権、パブリシティの侵害、著作権者の同一性保持権の侵害となる。
手芸本の作り方を見て、自分で作ったものを撮影し、ホームページに載せた… 手芸品の作り方そのものはアイディアのレベルで、手芸本に記載された文章や絵だけに著作権がある。自分で作った物や、それを撮影した写真は自分に著作権がある。 作り方を自分なりの表現で文章化したり、図示することも可能。本に書かれた文章のまま掲載したり、真似た図を掲載するのは不可。
論文中に中小企業白書に記載されていた統計表を引用し、統計表が示す傾向について論述した。 国または地方公共団体が一般に周知させることを目的とした著作物は、説明題材として使用することができる。ただし転載を禁止する旨の記述があれば不可。 白書等の場合は、引用だけでなく統計用・図表等の全部転載も認めることとなっている。
ゴッホの「自画像」の人物部分だけをトリミングしてホームページに掲載した… ゴッホは死後50年以上経っているため、著作権は消滅しているが、著作者人格権は永久なので、トリミングして掲載するのは著作者人格権の同一性保持権を侵害することになる。 絵画の一部を解説するためのトリミングや
自分で買った江戸時代の水墨画の写真を撮影し、ホームページに載せた… 既に作者の死後50年以上経っているので、保護期間を過ぎている。 但し、描いた人の名前を違えると一身専属権で永久である著作者人格権の氏名表示権の侵害となる。
自分に来たセクハラメールを、自分のホームページに掲載し、批判文を載せた。… セクハラメールとの判断には微妙なものがあり、メールの送信者のIDは分かるはずであるから、ホームページ上で批判するより、いたずら電話と同様の処置(ID変更等)扱いを行うほうが適当。 単純な通信文でない限り、私的なメールの公開は複製権の侵害のおそれが生じる。
辞めた会社で自分が作成したプログラムのデータ入力を改良して商品化した。 プログラムの場合、雇用契約上特に取り決めがない限り、法人著作物となる。 著作権侵害は明らかであると同時に、不正競争防止法の営業秘密に関して、従業員が元来は正当に知り得た秘密の信義則違反類型に当たるおそれがある。 背任罪として問われる可能性もある。
収集した切手を原寸・原色で印刷して「私の記念切手集」として配布した。 原寸・原色の場合「見本」等の文字を入れないと、「紛らわしい外観」として、間違いなく「郵便切手類模造等取締法」に触れる。 紙幣をそのまま複写すると「通貨及証券模造取締法」に触れる。
著作者が死亡し、その身寄りも見つからないため、ホームページに本の内容をそのまま掲載した。 このような場合は、一定の手数料を支払い、文化庁長官の裁定を得ないと著作権侵害となる。
長野オリッピックにあやかって、「オリンピック饅頭」という商品名を付けた… 「オリンピック」は「非営利公共団体などの標章で著名なもの」にあたる。このような場合は、事前に関係機関と相談することになっているが、通常は無理。 赤十字マークやJETROなども使えない。
一般人が通行している町並みを撮影し、ホームページに載せた… 一般人の場合、パブリシティ権の問題はないが、プライバシーの問題が重要。 特に誰であるかが識別できるほどの写真であれば、事前に本人の承諾を得ておくほうが無難。 多数過ぎたり、後ろ姿だけ等で、誰が写っているか識別できない場合は承諾を得る必要はない。
登録商標出願し公告されたので、丸R表示で商標を表示した… 公告されたといっても、登録が完了していない時点で、丸R表示(Registered Trademark)を行うと虚偽表示となり、罰則の対象となる。 登録商標第○○○○○号等の表示が望ましいとはされている。
A社の製品マニュアルのカットを、自社製品の説明書の一部に利用した… カタログ、パンフレット、マニュアルでの説明用カットも美術の著作物として認められるので、複製権の侵害となる。 但し、1~2個の円や四角形だけの簡単な組み合わせ等は著作物として認められない。