アルコールの薬理作用 -酒を飲むと眠れるか、 明るくなれるか、 酒と薬を飲むとどうなるか- 福岡市薬剤師会薬局七隈店 薬剤師 早田 佳生

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09311037.  日本の法律では、満20歳未満の者(未成年 者)の飲酒が禁止されている。  未成年者自身の飲用目的での販売・供与を禁止 しているだけで、所持や使用は禁止されていな い。
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今 日 の ポ イ ン ト今 日 の ポ イ ン ト 糖尿病人口は予備群を含めると 2,050 万人1.1. 糖尿病は血糖値が高くなる病気 ただし自覚症状がほとんどありません 2.2. 血糖値が高い状態を「高血糖」といいます3.3. インスリンの作用が弱くなったために高血糖に なったのですが、高血糖は必ず改善できます.
はじめに 近年、飲酒が関与する重大な交通事故が発生しており、未成 年の時からのアルコールについての正しい教育がより重要と なってきている。 タバコは学校において健康被害等の防煙教育が徹底されてき ているが、アルコールは喫煙と異なり健康を促す側面もあり全 否定できないため防酒教育導入の難しさがある。しかし、一方.
第1章 健康の考え方第2節 健康の増進と疾病の予防⑤飲酒と健康. 第1章 健康の考え方第2節 健康の増進と疾病の予防⑤飲酒と健康 本時の学習のポイント ①アルコールは,健康にどのような影響を 与えるのだろうか。 ②「アルコール依存症」とは,どのような 状態をいうのだろうか。 ③飲酒は,青少年にどのような影響を与え.
34-2 今 日 の ポ イ ン ト今 日 の ポ イ ン ト 現代社会とストレスと糖尿 病 1.1. ストレスによる 血糖コントロールへの影響 2.2. QOL障害によるストレ ス 3.3. 糖尿病とうつ 4.4. ひとことアドバイス 5.5.
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「節度ある適度な飲酒」とは? 平成 19 年 3 月作成 西北地方健康福祉こどもセンター保健部 (五所川原保健所) ー酒は「百薬の長」されど「万病のもと」ー ー 酒は「百薬の長」されど「万病のもと」ー.
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アルコールの薬理作用 -酒を飲むと眠れるか、 明るくなれるか、 酒と薬を飲むとどうなるか- 福岡市薬剤師会薬局七隈店 薬剤師 早田 佳生     明るくなれるか、 酒と薬を飲むとどうなるか- 福岡市薬剤師会薬局七隈店  薬剤師  早田 佳生  福岡市薬剤師会薬局の 早田です 本日は   アルコールの薬理作用についてお話しさせて頂きます。

アルコールの効用 酒は百薬の長 社会生活での効用 精神的効用 冠婚葬祭や、歓送迎会の際、お酒を仲立ちにしてお互いのコミュニケーションを図ることができる 人間関係を円滑に維持するための、大きな役割を果たしている 精神的効用  年末年始になると忘年会や新年会などお酒を飲む機会が増えてまいります。  アルコールと言いますと、昔から「酒は百薬の長」、と言われております、お酒は人類の歴史とともに、人々のよきパートナーとして存在してきました。また、正しくつき合えば、精神や健康にもプラスとなるばかりか、社会生活を営む上でも大きな効用があります。  まず、「社会生活での効用」、お酒を仲立ちにして、お互いのコミュニケーションを図ることができたり、人間関係を円滑に維持するのに大きな役割を果たしてきております。  また、「精神的効用」、適量のお酒は楽しい気持ちをさらに増加させる効果や、緊張感を和らげたり対人関係を促す効果をもちます、また、ストレスを解消させる効果もあります。 楽しい気持ちをさらに増加させる効果 緊張感を和らげたり対人関係を促す効果 ストレスを解消させる効果

身体的効用 適量なお酒を適正に 飲んでいる人は お酒を全く飲まない人や 大量に飲む人に比べて 死亡率が低い ただし、アルコールに Jカーブ効果 ただし、アルコールに 対する耐性、年齢、 健康状態によって異なるので、お酒を飲めば必ず死亡率が下がるわけではない! 全死亡率:病気だけでなく、事故、事件を含めたあらゆる原因による死亡率。「全く飲まない」人を1とした場合の各飲酒量ごとの相対的な死亡率をグラフにした。  次に、「身体的効用」、ですが、 適量のお酒が体によいことを示すのが「Jカーブ」という考え方です。これは、1981年にイギリスのマーモット博士が発表した「飲酒と死亡率のJカーブ効果」という疫学調査によるものです。  調査結果を見ますと、毎日適量なお酒を、適正に飲んでいる人は、全く飲まない人や時々飲む人に比べて、心筋梗塞などの冠動脈疾患による死亡率が低い傾向にあるという結果がでているということです。これは、善玉コレステロールの量を増やし、悪玉コレステロールを抑えるからとも言われています。  ただし、毎日大量飲酒する人やアルコール依存症の方では、冠動脈疾患による死亡率が極端に高くなっています。 この数値をグラフに表すと“J”の字になるため、一般的にこれを「J カーブ効果」と呼んでいます。  ただし、これはその人のアルコールに対する耐性や、年齢、健康状態によっても異なるので、お酒を飲めば必ず死亡率が下がるわけではありません。それぞれの人に合った飲酒の仕方を心がけるべきです。また、Jカーブ効果があるからといって、お酒を飲まない人にまで、お酒を飲むことを推奨すべきものではないので注意して下さい。 (社)アルコール健康医学協会資料より

身体の中での アルコールの変化 胃・腸 肝臓 体内に入ったアルコールは胃や小腸から吸収されます。 胃で約20%吸収 腸で約80%吸収 吸収されたアルコールは主に肝臓でアルコール脱水素酵素(ADH)、およびアルデヒド脱水素酵素(ALDH)による代謝を受けて、最終的に二酸化炭素と水に分解されて体の外にでていきます では、身体の中でのアルコールの変化についてみていきましょう。  口から入ったアルコールは、胃から約20%、小腸から約80%が吸収され、血液に溶け込んで、まず肝臓に送られます。 吸収されたアルコールは、肝臓では酵素の、働きによりアセトアルデヒドに分解され、さらに酵素の、働きで酸化されて酢酸に変わります、皆さんご存じの酢になります。そして、肝臓で分解しきれなかったアルコールは、肝静脈を通って心臓に送られ、そして、脳はもちろん全身へと巡っていきます、そして再び肝臓に戻って分解されるという仕組みになっています。  肝臓でできた酢酸は、全身を巡るうちに水と炭酸ガスに分解され、最後には体の外に出ていきます。  また、体に入ったアルコールの2~10%は、体内で処理されず、アルコールのまま、尿や汗、呼気となって、体の外に出ていきます。

アルコールと 薬物の代謝 アルコール 薬 代謝物 チトクローム P450 NADPH NADP MEOS ADH アセトアルデヒド ALDH  アルコールの分解を少し詳しく見ていきましょう。  ここでは、スライドの右側の部分を見て下さい。肝臓内では、まず、アルコール脱水素酵素(ADH)やミクロゾームエタノール酸化系(MEOS)により、悪酔いや頭痛、動悸の原因ともなるアセトアルデヒドに分解されます。さらに、肝臓内のアルデヒド脱水素酵素(ALDH)により、酢酸へと分解され、血液により全身をめぐり、水と二酸化炭素に分解され、最後には体の外に出ていきます。 アルコールの代謝(正常時) 水・二酸化炭素 薬物の代謝(正常時) 尿中へ 飲酒時にはアルコールが薬物 の代謝を阻害

お酒の1単位 お酒の1単位 ビールは大びん1本(633ml) 日本酒は1合(180ml) ウイスキーはダブル1杯(60ml) アルコール摂取量の基準 お酒の1単位 お酒の1単位を純アルコールに換算するとほぼ23g前後となります。  お酒は上手に飲めば「百薬の長」ですが、飲み過ぎると「万病の元」とも言われています。適度の飲酒はアルコールの作用により唾液や胃酸の分泌を亢進させて食欲を増進し、中枢神経に作用して気分を高揚させて、ストレスを発散させる事に役立ちます。 しかし、アルコールは安全な食品ではなく、脳に作用する薬物の一つです、安全域の狭い薬と考える必要もあるかと思います。  では、どのくらいが適量なのか、ご存知でしょうか?厚生労働省が勧めているお酒の飲み方は、「日本酒の場合、1日1合まで。1週間に最低2日はお酒を飲まない日(休肝日)を作る」というものです。  ビールは大びん1本(633ml)、日本酒は1合(180ml)、ウイスキーはダブル1杯(60ml)、焼酎0.6合(110ml)をアルコールの摂取量の基準としてお酒の1単位としています。  お酒の1単位を純アルコールに換算するとほぼ23g前後となります。  アルコールの含有量が少ないビールが量としては1番多く飲めることになります。ただし、その分カロリーも多いので、体重が気になる人は要注意です。 日本酒(15.9%) 1合=180ml 197kcal、ビール(4.5%) 大ビン1本=約650ml約 250kcal、ワイン(12%) ワイングラス2杯=約240ml 約150kcal、ウイスキー(43%) ダブル=約60ml 約150kcal (社)アルコール健康医学協会資料より

酔いがさめるまでの時間 同量のアルコールを飲んでも、体重の重い人は、 血液も多いので血中アルコール濃度は低くなります アルコールの処理能力も体重によって異なります。  では、酔いがさめるまでの時間についてお話しましょう。アルコールの処理能力も体重によって異なります。  ここでは、体重約60kgの人で考えていきましょう、体重約60kgの人が30分以内に飲んだ場合、1単位のアルコールは約3時間体内にとどまります。2単位の場合ではアルコールが体内から消失するまで約6時間かかります。もちろん、体質的にお酒に弱い人や女性はもっと長い時間がかかります。  早い時間帯に飲みはじめ、遅くても12時に切り上げると、寝ている間に酔いはさめますが、深夜まで飲んでいると翌朝起床後まで体内にアルコールが残り、二日酔いとなってしまいます。  飲み会などで、二次会や三次会に行った場合、実際の計算はかなり複雑になりますが。  例えば、日本酒二合、または、ビール大瓶2本を深夜12時に飲んだ場合は分解するのに約6時間必要な計算となります。  いわゆるハシゴ酒をした場合は、翌朝はまだ酒気帯び状態ということになります。 (社)アルコール健康医学協会資料より 深夜まで飲んでいると、翌朝起床後まで体内に アルコールが残り、二日酔いとなってしまいます

血中のアルコール濃度と酒量 血中濃度(%) 酒量 爽快期 (~0.05%)  酒量 爽快期 (~0.05%) ビール大ビン(~1本) 日本酒(~1合) ウイスキーシングル (~2杯) ほろ酔い期 (0.05%~0.15%) ビール大ビン(1~3本) 日本酒(1~3合) ウイスキーダブル (2~3杯) 酩酊期 (0.15%~0.3%) ビール大ビン(3~6本) 日本酒(3~6合) ウイスキーダブル (3~5杯) 泥酔期 (0.3%~0.4%) ビール大ビン(7~10本) 日本酒(7合~1升) ウイスキーボトル (1本) 昏睡期 (0.4%~) ビール大ビン(10本以上) 日本酒(1升以上) ウイスキーボトル(1本以上)  では、アルコールの酔い方についてお話していきましょう。アルコールは、血管を通じて脳に運ばれます。そして、脳を外側からマヒさせていきます。お酒に酔うというのは、脳がマヒした状態のことになります。爽快→ほろ酔い→酩酊(めいてい)→泥酔(でいすい)と酔いがすすみ、それ以上飲酒すると昏睡(こんすい)→死に至ることもあります。  とくに、お酒のイッキ飲みをすると、マヒもイッキに進んであっという間に泥酔を通り越して昏睡へいってしまうこともあるので、絶対にイッキ飲みはいけません。

ビール大ビン(~1本) 日本酒(~1合) ウイスキーシングル (~2杯) 爽快期 (~0.05%) ビール大ビン(~1本) 日本酒(~1合) ウイスキーシングル (~2杯) 症状 ・爽やかな気分になる ・疲労感が回復する ・食欲が増える ・皮膚が赤くなる ・陽気になる ・判断力が少し鈍る 脳への影響 網様体が麻痺すると、理性をつかさどる大脳新皮質が低下し、抑えられていた大脳辺縁系(本能や感情をつかさどる)の活動が活発になる では順番に、症状と脳への影響をお話ししていきましょう。爽快期では・・・・・(スライド) 脳の一番外側、理性をつかさどる大脳新皮質(だいのうしんひしつ)がマヒします。それによって、抑えられていた大脳辺縁系(本能や感情をつかさどる)の活動が活発になります (社)アルコール健康医学協会資料より

ほろ酔い期 (0.05%~0.15%) ・ほろ酔い気分になる ・手の動きが活発になる ・視力、聴力が低下する ・判断力が低下する ビール大ビン(1~3本) 日本酒(1~3合) ウイスキーダブル (2~3杯) 症状 ・ほろ酔い気分になる ・手の動きが活発になる ・視力、聴力が低下する ・判断力が低下する ・理性が失われる ・体温が上がる ・脈が速くなる ・気が大きくなる ・大声でがなりたてる ・おこりっぽくなる ・立てばふらつく 脳への影響 網様体が麻痺すると、 理性をつかさどる大脳新皮質が 低下し、抑えられていた大脳辺縁系(本能や感情をつかさどる)の活動が活発になる ほろ=少し、なんとなく 脳の一番外側、大脳新皮質(だいのうしんひしつ)がマヒします。この状態になってくると、酔っていないつもりで、思いがけない事故を起こすこともあります。たとえば飲酒運転事故、水泳中の事故などがあります。 (社)アルコール健康医学協会資料より

小脳まで麻痺が広がると、運動失調(千鳥足)状態になる。 酩酊期 (0.15%~0.3%) ビール大ビン(3~6本) 日本酒(3~6合) ウイスキーダブル (3~5杯) 症状 ・千鳥足になる ・何度も同じ事を喋る ・呼吸が速くなる ・吐き気、  おう吐が起きる 脳への影響 小脳まで麻痺が広がると、運動失調(千鳥足)状態になる。 大脳新皮質の内側の大脳辺縁系(だいのうへんえんけい)がマヒします。バランス感覚がマヒして、転落などの事故を起こす。ケンカなどのトラブルを起こす (社)アルコール健康医学協会資料より

海馬(記憶の中枢)が麻痺すると、今やっていること、起きていることを記憶できない(ブラックアウト)状態になる。 泥酔期 (0.3%~0.4%) ビール大ビン(7~10本) 日本酒(7合~1升) ウイスキーボトル (1本) 症状 ・まともに立てない ・意識が  はっきりしない ・言語が  めちゃくちゃになる  (ろれつが回らない) 脳への影響 海馬(記憶の中枢)が麻痺すると、今やっていること、起きていることを記憶できない(ブラックアウト)状態になる。 大脳全体が完全マヒに近く、脳幹(のうかん)と脊髄(せきずい)にもマヒが進み始める。吐いたものがのどにつまり、窒息(ちっそく)。電車や車にひかれる。外で眠りこんで凍死(とうし) (社)アルコール健康医学協会資料より

・ゆり動かしても 起きない 昏睡期 (意識不明) (0.4%~) ・大小便失禁 ・呼吸はゆっくりと 深い ・呼吸中枢の麻痺 (死亡) ビール大ビン(10本以上) 日本酒(1升以上) ウイスキーボトル(1本以上) 症状 ・ゆり動かしても  起きない  (意識不明) ・大小便失禁 ・呼吸はゆっくりと  深い ・呼吸中枢の麻痺  (死亡) 脳への影響 麻痺が脳全体に広がると、 呼吸中枢(延髄)も危ない 状態となり、死にいたる。 脳幹と脊髄がほとんどマヒ。吐いたものがのどにつまり、窒息(ちっそく)。脳に損傷を受ける。呼吸が停止する (社)アルコール健康医学協会資料より

日本人の約4%の人がALDH2の働きが全くない 日本人の約半分はお酒に弱い ①低濃度の時に働く ALDH2 アセト アルデヒド ALDH 分解する酵素 ②高濃度にならないと 働かない ALDH1 日本人の約40%の人がALDH2の働きが弱い 「低活性型」 お酒に弱い 日本人の約4%の人がALDH2の働きが全くない 「不活性型」 ALDH2 皆様は、ご自分の「適量」をご存知でしょうか。どの程度の量で、自分がどんな状態になるかを知っておけば、酒のうえでの失敗は、それだけ少なくなります。さて、お酒に強いか弱いかは、実は体質によって決まっています。アルコールが体に入ると、まずアセトアルデヒドに分解されますが、これは極めて毒性が強く、顔が赤くなったり、脈が速くなったり、頭痛、吐き気、などの不快な症状を引き起こします。このアセトアルデヒドを分解するのが、アルデヒド脱水素酵素(ALDH)です。1型と2型がありますが、血中の濃度が低い時には、まず2型(ALDH2)が活躍します。ところが、日本人の場合、約40%の人がALDH2の働きが弱い「低活性型」でお酒に弱く、4%が全くない「不活性型」で全くお酒を飲めない人だと言われています。このタイプの人たちは、ごく少量のお酒でも、気分が悪くなってしまいますから、無理に飲むことはもちろん、このタイプの人たちにお酒を無理強いすることは、絶対に慎んでください。この体質は遺伝によるもので終生変わることはなく、努力で飲めるようになることはありません。 お酒が飲めない (社)アルコール健康医学協会資料より

アルコールと 薬物の代謝 アルコール 薬 代謝物 チトクローム P450 NADPH NADP MEOS ADH アセトアルデヒド ALDH 他に、ミクロゾームエタノール酸化系(MEOS)と呼ばれる、いくつかの酵素が集まった分解系もあります。これは、肝臓の細胞の中にあるミクロゾームという小さな器官に存在します。幾つかの酵素が集まっており、薬物を解毒する肝臓の酵素・チトクロームP450の一部もかかわっています。アルコールは通常、右側の、ADH(アルコール脱水素酵素)やALDH(アセトアルデヒド脱水素酵素)の経路を通って解毒されますが、大量に飲むと、それだけでは処理しきれません。お酒をよく飲んでいるとエタノールを毒物と認識して分解するために肝臓の細胞中で増え、飲むのをしばらく止めると、この系は減少します。 したがって、最初は飲めなかった人が、訓練するうちにお酒に強くなると言うのは本当で、この分解系が増加するためです。しかし、これはあくまでもアルコールを分解する酵素なので、アルデヒドを分解できない体質の人がお酒に強くなるのは無理です。また、MEOSが活発になるのは危険な徴候です。MEOSを駆り出さなくてはならないほど大量の飲酒を続けているからです。肝臓やその他の体の障害は、MEOSが働く人ほど高度というデータもあります。 アルコールの代謝(正常時) 水・二酸化炭素 薬物の代謝(正常時) 尿中へ 飲酒時にはアルコールが薬物 の代謝を阻害

お酒を飲んではいけない人 未成年(20才未満) 妊娠中・授乳中 運転をする人 成長期の飲酒は、心の問題だけでなく、脳、肝、生殖器  などに大きなダメージを与える 未成年者の飲酒は法律で禁止されている 妊娠中・授乳中 少量のアルコールでも、おなかの赤ちゃんの発達が  さまたげられ、低体重児や早産の危険がある 授乳中のお母さんがアルコールを飲むと、お乳に出て  しまう ではお酒を飲んではいけない人とは、どんな人でしょう。 ・「未成年(20才未満)」、成長期の飲酒は、心の問題だけでなく、脳の成長、肝臓、生殖器などにも大きなダメージを与えます、そのため、未成年者の飲酒は法律で禁止されています。 ・「妊娠・授乳中の人」、少量のアルコールでも、おなかの赤ちゃんには大きなダメージを受けます。発達がさまたげられ、低体重児や早産の危険もあります。授乳中のお母さんが飲んだアルコールはお乳に出ます。 ・「運転をする人」、自分では酔っていないつもりでも、視力や反射神経が低下しています。法律にも違反します。 運転をする人 自分では酔っていないつもりでも、視力や反射神経が  低下している 法律にも違反する

お酒を飲んではいけない時 スポーツをする時 入浴前 薬を飲んでいる時 海岸でビールを飲んで泳ぐと、心臓マヒやバランス感覚  のマヒにより溺れることがある 飲酒後のスキーは、他人も危険に巻き込むことがある 入浴前 酔ってお風呂に入ると、心臓に負担がかかる 水深50センチでおぼれてしまうこともある 薬を飲んでいる時 次にお酒を飲んではいけない時は、どんな時でしょう。 ・スポーツをする時、海岸でビールを飲んでの水泳は、心臓マヒやバランス感覚のマヒによる死につながります。飲酒後のスキーは、自分だけでなく他人も危険です。 ・入浴前、酔ってお風呂に入ると、血圧が上がり脳卒中を起こしたり、心臓に負担がかかるだけでなく、たった水深50センチでおぼれてしまうこともあります。 ・薬を飲んでいる時、くすりの作用がなくなったり、逆に強く表れたりします。 鎮痛剤や風邪薬と一緒に飲むと胃潰瘍をおこしやすくなります。糖尿病のくすりと一緒に飲むと昏睡などの低血糖発作がおき、危険な状態になります。 薬とアルコールを一緒に飲むと、  薬の作用がなくなったり、逆に強く表れたりする 胃を荒らしたりする ひどい場合には昏睡状態におちいることもある

アルコールと 薬物の代謝 アルコール 薬 代謝物 チトクローム P450 NADPH NADP MEOS ADH アセトアルデヒド ALDH またまた、この図が出てきました。 大抵の薬は、「お酒と一緒に飲まないで下さい」と医師や薬剤師より言われると思います。アルコールも薬の一種であり、体内に入ると多くの薬と同じように肝臓で代謝(分解)、排泄されていきます。しかし、薬と同時に飲むと肝臓はアルコールの処理を優先するため、薬によっては分解されないまま長く血液中にとどまり、薬の作用が強まったり、副作用が強く出たりすることにつながります。  また、大量に飲酒される方や、いつも飲酒される方は、アルコールの代謝(分解)能力が亢進していると考えられます。このような場合、飲酒していない時には薬の代謝(分解)能力が増大するため、体内での薬の分解が早まり、期待した薬の効果が得られなかったり、毒性が増強したりする可能性があります(手術時に麻酔が効きにくいなど)がそれにあたります。  薬を服用中は、アルコールの同時摂取だけでなく、摂取量などにも注意が必要といえます。 アルコールの代謝(正常時) 水・二酸化炭素 薬物の代謝(正常時) 尿中へ 飲酒時にはアルコールが薬物 の代謝を阻害

アルコールと薬の作用が、重なり合って 薬の効果や副作用が、増強される場合 アルコールと薬の相互作用 大きく分けると3つあります アルコールと薬の作用が、重なり合って   薬の効果や副作用が、増強される場合 アルコールが、薬の分解速度を変えて、薬の効果に影響を与える場合 薬が、アルコールの分解に影響を及ぼす場合(②と逆の場合) アルコールと薬の相互作用は大きく分けると以下の3つになります。 アルコールと薬の作用が重なり合い、薬の効果、副作用が増強される場合 アルコールが薬の代謝(分解)速度を変え、薬の効果に影響を与える場合 薬がアルコールの代謝(分解)に影響を及ぼす場合(2.と逆の場合)

① アルコールと薬の作用が、重なり合って 薬の効果や副作用が、増強される場合 ・睡眠薬 ・高血圧薬 ・抗不安薬 ・抗うつ薬 ・抗てんかん薬   薬の効果や副作用が、増強される場合 ・睡眠薬 ・抗不安薬 ・抗うつ薬 ・抗てんかん薬 ・鎮痛薬 ・抗ヒスタミン薬 ・高血圧薬 立ち眩み、起立性低血圧 ・糖尿病薬 低血糖となり意識消失 (低血糖昏睡) 1.アルコールと薬の作用が重なり合い、薬の効果、副作用が増強される場合  アルコール自体に中枢神経抑制作用や血管拡張作用などがあります。  ①中枢神経抑制作用をもつ薬(睡眠薬、抗不安薬、抗うつ薬、抗てんかん薬、鎮痛薬、抗ヒスタミン薬など)はアルコールの作用が重なって中枢神経抑制が強くでることがあり、呼吸が抑制されたり、循環不全(血圧が下がったり、心臓に影響を起こす)が起きる危険もあります。  バルビツール酸系、ベンゾジアゼピン系の精神安定剤や睡眠剤(ハルシオン、セルシン、デパス、リーゼ等) 三環系抗うつ薬(トフラニール、トリプタノール、アナフラニール)などがあたります。    ②末梢血管拡張作用をもつ高血圧治療薬では血圧降下作用が増強し、血圧が下がりすぎることがあります。これにより、立ち眩みや、起立性低血圧等がおこります。利尿薬や降圧利尿薬(尿を出して血圧を下がる薬)でも同様です。    ③糖尿病治療に用いられるインスリンや経口血糖降下薬(オイグルコン、ダオニール、ラスチノン、グリミクロン等)にも注意が必要で、これらの薬物を使用中に多量のアルコールを摂取すると、アルコールによる糖新生阻害と薬の作用により血糖降下作用が増強されて低血糖となり意識消失(低血糖昏睡)することがあります。   他にも、アルコールはたんぱく質を変性させ胃壁や腸壁を破壊し潰瘍を作りやすくしたり、すでに作られた潰瘍を悪化させたりします。このため鎮痛剤の副作用である胃腸障害(潰瘍、出血など)を起こしやすくする可能性があります。「胃が痛い」と言って胃薬を飲みながら、飲酒するのは避けるべきです。 眠気、精神運動機能低下、 前向性健忘(就寝前後の出来事を忘れる)、 意識障害、奇異行動、呼吸抑制

② アルコールが、薬の代謝(分解)速度を 変えて薬の効果に影響を与える場合 ・抗うつ薬 ・糖尿病薬 ・血液が固まるのを防ぐ薬 精神の錯乱、幻覚、手の震え、食欲不振 ・糖尿病薬 低血糖となり意識消失(低血糖昏睡) ・血液が固まるのを防ぐ薬 2.アルコールが薬の代謝(分解)速度を変え、薬の効果に影響を与える場合 薬と同時飲酒で薬の代謝(分解)が遅くなり、吸収量が増え、作用増強による副作用の発現が起こります。  アミトリプチリン(商品名トリプタノールなど)、バルビツール酸系薬剤(商品名フェノバール、プリミドン、イソミタールなど)、クロルジアゼポキシド(商品名バランス錠など)、モルヒネ、リン酸コデイン、フェニトニン(商品名アレビアチン、ヒダントール)は、精神の錯乱、幻覚、手の震え、食欲不振など起こることがあります。   SU剤では、血糖降下作用が増強されて低血糖となり、意識消失(低血糖昏睡)が起こることがあります。   ワルファリンでは、血が止まらなくなることや、脳出血、胃腸からの出血、吐血や下血を起こすなど、命に危険を及ぼすことがあります。 大量~中等量の飲酒習慣によって薬の代謝(分解)が速くなり、薬の効果が弱まります。  プロプラノロール(商品名インデラル)、テオフィリン(商品名テオドール、テオロングなど)、フェノバルビタール、トルブタミド、フェニトニン、ワルファリン、ジアゼパム(ホリゾン、セルシンなど) 大量~中等量の飲酒習慣によって、薬の代謝(分解)途中に生成する毒性物質が増えます。  イソニアジド(商品名イスコチンなど)は、肝臓に毒性のある活性代謝物(薬が分解される途中に生成され、体に影響を与える物質)ができやすくなり、肝機能障害を起こすことがあります。 血が止まらなくなる、脳出血を起こす、 胃や腸からの出血が起こす、吐血や下血を起こす

③ 薬が、アルコールの代謝(分解)に 影響を及ぼす場合 ・セフェム系の抗生物質 ・糖尿病薬 ・胃薬(H2ブロッカー) アルコールの分解速度が落ち、体内に アセトアルデヒドが増えるため、ジスルフィラム症候群 (頭痛、めまい、吐き気など)が現れる ・胃薬(H2ブロッカー) 3.薬がアルコールの代謝(分解)に影響を及ぼす場合(2.と逆の場合)  肝臓でのアルコールの分解速度が落ち、体内にアセトアルデヒドが増えるため、ジスルフィラム症候群(頭痛、めまい、吐き気など)が現れることがあります。  アセタゾラミド(商品名ダイアモックスなど)、セフェム系の抗生物質(商品名セフゾン、フロモックス、パンスポリン、トミロンなど)などがあたります。   H2ブロッカーと呼ばれる胃薬(シメチジン、ラニチジン、ファモチジン(商品名タガメット、ザンタック、ガスター)など)は、胃壁内にあるアルコールを分解する酵素(ガストリックアルコールデビロゲナーゼ)の働きを阻害し、血液中のアルコール濃度を上げてしまいます。濃度が上がると酔いが強くなり、悪酔いすることにつながります。   アルコールと薬の同時服用には様々な危険があるため、一緒に服用することは避けるべきです。また、ここに示したものは一部であり、他の薬によっても様々な相互作用が知られているため注意して下さい。薬を服用しているときは、医師、薬剤師に禁止されていなくても、飲酒を控えるように心がけるのも大切です。 血液中のアルコール濃度を上げてしまい、 酔いが強くなる

最後に アルコールとは脳に作用する薬物の一つで、安全域の狭い薬と考えられる 日本人の約半分はお酒に弱い お酒は上手に飲めば「百薬の長」、 しかし飲み過ぎると「万病の元」 お酒を飲んではいけない時がある まとめ アルコールの分解の仕組みを知って、飲む量もしっかり自己管理するようにしましょう。 アルコールは人を狂わしたり、薬をも狂わしたりします。痛ましい酩酊運転による事故の背後にはアルコールと薬の服用が隠れている場合もあります アルコールは予想を超えた作用に自分をコントロールできなくなり、健康被害がでたりと、大きな危険が潜んでいるのです。 くれぐれも気をつけて下さい。 アルコールと薬を一緒に飲むと様々な危険がある

ご清聴ありがとうございました

お酒と胃酸分泌との関係 お酒(アルコール)には食前酒(アペリチフ)としての効果があるといわれています。昔から食前酒としてワインやカクテルを飲む習慣がありますが、それは胃酸の分泌をうながし消化吸収を高めるからだといわれています。もう少し医学的にいいますと、一般にアルコールが体内に吸収されて、血液中のアルコール濃度が高まると副交感神経が刺激され胃酸分泌は亢進します。ただし、いろいろな研究結果を総合しますとエタノール濃度が低くて少量のアルコールでは胃酸分泌は亢進しますが、逆に高い濃度になると胃酸分泌は抑制され、分泌低下をきたすようです。とくに、濃度が40%以上の高濃度になると急性の胃粘膜傷害が明らかになるようです。つまり、高濃度のアルコールでは胃酸分泌はむしろ抑制されるばかりではなく、胃粘膜に傷害をもたらすということです。食前酒としてワインやビールが選ばれ、ウイスキーやウォッカが選ばれないのは経験的な知恵といえるのかもしれません。アルコール濃度の低いお酒を、ゆっくり時間をかけて飲みながら食事をするのが望ましいといえましょう。

主なアルコール飲料とアルコール量 酒の種類 ビール 清酒 (1合180mL) 焼酎 ワイン 5% 15% 43% 35% 12% 20g アルコール飲料の純アルコール量 酒の種類 ビール 清酒 (1合180mL) ウイスキー ブランデー (ダブル60mL) 焼酎 (35度) (1合180mL) ワイン 中ビン 500mL 缶 350mL 1杯 120mL 1本 750mL アルコール度数 5% 15% 43% 35% 12% 純アルコール量 20g 14g 22g 21g 50g 12g 72g 注)清酒(アルコール度数15%)を1合(180mL)飲んだ場合、27mLの純アルコールを摂取したことになる。アルコール重量(g)は比重(0.8)をかけて27mL×0.8=21.6g(約22g)となる。「健康日本21」 では、「適正飲酒」を1日平均1合 、「多量飲酒者」を毎日3合以上(純アルコールとして約66g)としている    。(健康日本21資料より一部改変)