企業の環境戦略とCSR 安井 至 国際連合大学 http://www.yasuienv.net 訪問者400万人の環境サイト 安井 至 http://www.yasuienv.net 訪問者400万人の環境サイト デジタル資料のダウンロード可能!
環境問題の変質 概要:環境問題は、人類の意図しないところに 急に出現するように見えるが、非常に大きな流れ の中で見れば、必然的に現れ、そして解決される。
実例として取り上げるべき問題(1) (1)水俣型公害問題 (2)交通公害型問題 (3)POPs型問題 (4)日の出町型最終処分地問題 (5)豊島型不法投棄問題 (6)ダイオキシン問題・環境ホルモン問題
実例として取り上げるべき問題(2) (7)リサイクル問題 (8)温暖化問題 (9)持続可能先進国型問題 (10)持続可能途上国型問題 (11)RoHS型問題 (12)CSR・EPR問題 (13)BSE型問題 (14)自然保護などの問題
ダイオキシンとPOPS 日本における環境問題の推移。ただし、ごみの最終処分問題を除く。 大気汚染 環境ホルモン オゾン層破壊 水質&海洋汚染 土壌&底質汚染 資源・エネルギーの消費 地球温暖化 1970 2000 2050
環境省発表 水質基準未達成地点の割合 真実:データの示すところによれば、昭和46年当時に比較して、格段に改善されていて、水道水の品質についても同様。
曲線で考える変質とその予測
環境クズネッツ曲線 after Prof. SIMON KUZNETS GDP 一人あたり vs. SOx 濃度 環境クズネッツ曲線 after Prof. SIMON KUZNETS 右肩下がりが幸せ
発展段階とデカップリング 物質/エネルギー 4 問題領域 二酸化炭素排出 量的因子 3 廃棄物や 破壊型生態系利用 その2 2 破壊的生態系 利用:その1 自然災害による被害 環境汚染による被害 1 発展段階
2005年 京都議定書の発効 日本の状況は極めて悪い カナダと日本は達成不能だろう 2013年以降の枠組みをどうするのか 2005年 京都議定書の発効 日本の状況は極めて悪い カナダと日本は達成不能だろう 2013年以降の枠組みをどうするのか 排出量取引による売買は、日本経済になんら良い結果をもたらさない
以下、各種問題について、カーブの傾向を見ながら、 未来への外挿を試みる。 温暖化問題
温 度 上 昇 予 測
Scenario by IPCC. B1 is the Target? Emission 二酸化炭素放出シナリオ B1
Total CO2 Emission(Global) Now JAPAN 1980 1990 2000 2010 2020 2030 2040 2050 2060 2070 2080
国立環境研によるシナリオ
日本はどのように対応すべきか? 個人的案 2012年までの削減不足を借金として背負う 世界最高の省エネルギー・省資源技術を開発し、2013年以降に借金返済 同時に、世界へCDMで貢献 排出量取引に期待すべきでない。無駄金。
世界全体としての対応 経済発展と二酸化炭素排出量 世界全体としての対応 経済発展と二酸化炭素排出量
Energy and CO2
Costa Rica
Thermohaline Circulation 海洋大循環モデル
Little Ice Age Temperature Variations in the Past Younger Dryas ヤンガードリアス期 10,000 years from Now
Oil Production and Resources Found 1980 Found 産出量 発見量 Production
エネルギー価格推移予測 バレル$100 ? ? ? ? バレル $50 2050
エネルギー使用量の長期推移
CSRとは何か 様々な考え ISO14001認証獲得がCSR コンプライアンスがCSR 雇用機会均等がCSR CSRとは何か 様々な考え ISO14001認証獲得がCSR コンプライアンスがCSR 雇用機会均等がCSR 幼年労働へ関与しないことがCSR SRIがCSRそのものである 環境報告書を出すことがCSR サステイナビリティ報告書を出すことがCSR
持続可能性 トリプルボトムライン Social Aspects Economic Aspects Environmental Aspects
公害型から持続型へ 公害を出さなければ、法律違反をしなければ、何をやってもよい。 これが、1990年までの企業。 21世紀は、持続可能性Sustainabilityの実現が、地球上のすべての個人・行政・NPO・企業の責任になった。 いわば、個人の責任≒企業の責任。
Millennium Development Goals ミレニアムサミット(2000年9月)において、世界的な合意を得た開発達成目標。 貧困の撲滅、生活の改善。 2015年を達成時点として、1990年比で各種目標数値が設定されている。 国連流のSustainability Development
8種のゴール in MDG 1.貧困と飢餓の克服 2.初等教育の世界的実現 3.性の平等、女性の活力増大 4.幼児乳児死亡率の改善 5.妊婦の健康 6.HIV/エイズ、マラリアの克服 7.環境面での持続可能性の確保 8.開発のためのパートナーシップ
GDP vs. 平均寿命 1995年
GDP vs. 平均寿命 2001年
ボツワナ(アフリカ) 平均寿命
持続可能先進国型問題 ヨハネスブルグサミットWSSDでの指摘 持続可能でない生産・消費形態の変更 先進国が主導し、すべての国が持続可能な生産・消費形態を促進しなければならない。 そのための10 年事業計画の策定を促進する。 途上国の持続可能な生産・消費を阻み、環境に有害で貿易をゆがめる補助金の改革を促進する。 環境コストの内部化や経済的手法を促進する。
続き 環境管理システム等を通じた企業の社会的・環境パフォーマンスの向上促進。公共調達のグリーン化促進。 環境上健全で社会的に受け入れられやすい自動車技術の開発。 予防的アプローチに留意しつつ2020 年までに化学物質の使用・製造による健康や環境への重大な悪影響を最小限に抑える。 再生可能なエネルギーを各国の自主性を確保しつつ、全世界に占める割合を十分に増大させる。
持続可能性 オリジナル 1984~87年のブルントラント委員会の最終報告書で、「持続可能な開発(Sustainable Development)」という言葉が使用された。 「われわれが必要なものを考えると同時に、将来世代が必要なものを考えて行動する=未来世代に地球を残す!」 1992年の地球サミットでは、標語になり、アジェンダ21のなどの規範となった。
持続可能性 トリプルボトムライン Social Aspects Economic Aspects Environmental Aspects
社会の構造が変わることが必要? Social Economic Aspects Aspects Social Economic Environmental Aspects Environmental Aspects
企業経営の価値観の転換 STOCK HOLDER STAKE HOLDER 株、切り株、丸太、茎、台木 株式 杭、棒 賭け金、賞金、利害関係 STOCK HOLDER 株、切り株、丸太、茎、台木 株式 STAKE HOLDER 杭、棒 賭け金、賞金、利害関係 例:ステークホルダーミーティングは、CSRの一つの要素
地球全体と将来世代 地球全体と将来世代 国際社会 生態系 資源 ヒト軸 地域社会 資源・エネルギー 関連企業 商品 社員 3R 株主 原料 生態系 資源 国際社会 地域社会 ヒト軸 資源・エネルギー 関連企業 商品 社員 3R 株主 原料 モノ軸
基本コンセプトが 非持続可能な製造と消費からの離脱 (WSSD2002) ステークホルダー 対応の方向性は日本全体と整合 *経済成長率1%台 *雇用の確保 *温暖化ガス排出大幅削減 *原油価格$100への対応
2050年頃に実現する持続可能社会システムの具体的ビジョン(JSTワークショップ2004) 日本 世界 2050年頃に実現する持続可能社会システムの具体的ビジョン(JSTワークショップ2004) 日本 世界 ・総人口 1.3→1.0億人 63.4→90億人 ・GDP 33,000→60,000$/人年 5,100→17,000$/人年 ・CO2排出量 9.4→3.4 tCO2/人年 3.6→3.4 tCO2/人年 ・エネルギー消費量 3.7→1.8 TOE/人年 1.6→1.8 TOE/人年 ・エネルギー生産性 8,900$→33,000$/TOE 3,200$→9,400$/TOE (3.7倍) (3倍)
結局のところは、50年間で <エネルギー生産性の向上> エネルギー生産性4倍=技術的効率(2倍)×需要変化(2倍) <資源生産性の向上> <資源生産性の向上> 資源生産性 8倍= 2倍 × 2倍 × 2倍 機能長寿命化 需要変化 循環利用
日本モデル 日本の環境のトレンド 価値軸 価値 現在 エネルギー消費 環境負荷 目標 1991 1970 最終処分量 環境汚染, 一般的な負荷 GDPのような経済的な指標
各種のプレミアム ブランドプレミアム 超小型プレミアム 使いここちプレミアム・手作りプレミアム 長寿命プレミアム 各種のプレミアム ブランドプレミアム 同じような製品でもメーカーが違うため価値が高い 超小型プレミアム 超小型にすることで価値が高い 使いここちプレミアム・手作りプレミアム 使い心地に気を配った手作り製品で価値が高い 長寿命プレミアム 寿命が長く、修理が利くために価値が高い 信頼プレミアム・安全プレミアム 信頼できる製品作り・安心できる製品作り 地域プレミアム 地域特性を活かした製品作り エコプレミアム(3Rプレミアムを含む) 製品の環境負荷が低いために価値が高い
製品のエコプレミアム化 実績:個人的なエコプレミアム商品認定 No.000:太陽電池 No.001:エコキュート(ヒートポンプ型給湯器) No.005:Ni-H型充電池 No.???:ガスエンジン型コジェネ No.???:農業共生型ゴルフ場 No.???:電気自動車カーシェアリング No.???:再生可能エネルギー型住宅
New PriusのLCA TOYOTA製のハイブリッド車 Engine Power Splitter Generator Ni-H Battery Inverter Motor Transmission for Hybrid
二酸化炭素放出量の比較 tons Assumptions: 100,000km Driven in Tokyo Fuel Consumption: 18km/L for Prius, 8km/L for Others
プリウスと燃料電池車の効率
水素は、一次エネルギーでない 水素分子は、地球上にほとんど存在しない。 水素は、エネルギーの貯蔵・輸送・使用のため手段にすぎない 再生可能エネルギーの生産が非常に大きい島国(アイスランドや南極)からのエネルギー輸出用でしかない
風力発電 太陽光発電 合成燃料 不安定な グリーン電力 高効率水電気分解 電力貯蔵付 直接使用 太陽熱 水分解 適切なコスト グリーン水素 送電線建設 高効率水電気分解 バイオマス 分解装置 水素スタンド パイプライン 建設あるいは タンクローリ 原子力 水分解 改良プロセス 化石燃料 起源水素 コスト低下・効率向上 改良プロセス 現在 化石燃料 供給 コスト低下・効率向上 水素供給に関わるバリアー
国が期待する温暖化ガス排出の改善法 (1)トップランナー方式による改善 (2)建物の断熱 (3)給湯装置 (4)照明の高効率化 (5)HEMS、BEMS Home & Building Energy Management System (6)電気自動車、ハイブリッド車 (7)交通の円滑化 エコプレミアム思想へ すでに限界 新築なら 業務用? 多少可能性あり システム次第 もっと行ける 上との組み合わせ 例えば、ロードプライシング・カーシェアリング
国が期待する今後の技術開発 家庭部門だと、以下のような技術 業務部門では ○光触媒利用高機能住宅用部材によるビル、住宅の省エネ化技術。 ○ディスプレイ関連技術 ○低消費電力型光ネットワーク用有機部材 業務部門では ○低損失電力素子を用いたエネルギーネットワーク化技術 ○新規媒体の潜熱を利用した空調システム ○積層メモリチップ技術開発プロジェクト
ディスプレイ技術の意味
LEDでバックライト
大型テレビはリアプロ、その後SED??
長期ビジョン ビジョン策定は本来、国・国際機関の責任 しかし、企業にも想像力が必要 過去のトレンドの理解 できるだけ広範な考察に基づくこと 現在からの連続性 地球全体の限界の認識 人間社会というものに対する深い理解 しかし、企業にも想像力が必要
行政・NPOは長期ビジョンの理解 長期ビジョンとの整合性をどのように 長期ビジョンを分かりやすく普及啓発 現状のシステムとの連続性 軟着陸を目指した政策の策定
経営思想にも長期ビジョン どのような社会を作るのか その中で、どのような役割を果たすのか 消費と製造をいかに持続型にするか 雇用を確保し、かつ、競争力を確保するか 株主のような短期的視野しか持たないステークホルダーをどう取り扱うか
国連の人口予測
8種のゴール in MDG 1.貧困と飢餓の克服 2.初等教育の世界的実現 3.性の平等、女性の活力増大 4.幼児乳児死亡率の改善 すべて出生率低下につながる 1.貧困と飢餓の克服 2.初等教育の世界的実現 3.性の平等、女性の活力増大 4.幼児乳児死亡率の改善 5.妊婦の健康 6.HIV/エイズ、マラリアの克服 7.環境面での持続可能性の確保 8.開発のためのパートナーシップ
地球共生型シナリオ 化石燃料・原子力 人間活動の総量・地球へのインパクト 化石燃料依存から核融合依存へ 分岐点 不測の事態が無いか 地球の持続能力 300年必要 100年間で人口の半減は厳しい 1800 2000 2300
経済行為と右肩下がり(デカップリング) 幸福度 21世紀型 環境経営 利益 量的因子 売り上げ 売り上げ ライフサイクル資源・エネルギー 20世紀型 環境経営 投入資源・エネルギー 製品重量 環境排出・無駄な費用 発展段階
発展段階とデカップリング 幸福度 物質/エネルギー 4 問題領域 二酸化炭素排出 量的因子 3 廃棄物や 破壊型生態系利用 その2 2 破壊的生態系 利用:その1 自然災害による被害 環境汚染による被害 1 発展段階
21世紀とは 20世紀は、なんでも右肩上がりの世紀だった。 21世紀は、順調に行けば、以下のものはピークを向かえ、その後低減される。 世界人口 世界の石油、天然ガス使用量 地球温暖化ガスの排出量 金属資源利用量
21世紀型環境経営とは 地球への負荷低減の実現と人口の減少を念頭に置きつつ、持続的に利益を得る。 そして、利益の配分については、株主以外への配分を重要視し、企業の社会的責任を果たす。 究極的には、価値観の大幅な転換が必要であり、それには、第三の革命とでも呼ぶべきプロセスが必要。
中世小氷期 人類はエネルギー転換と産業革命を行った。 第二の革命 第一の革命 ヤンガードリアス寒冷期 人類は農耕文明による革命を行い生存した。
第一、第二の革命 いずれも、地球の低温期に起きている 低温期は、一般に、生活が厳しく、紛争が起きることが多かった 高温期は、比較的平和 第三革命は、地球温暖化の中 困らないのに革命が可能か??
第三の革命実現のための必須事項 第三の革命に向かうための人類の欲求は、 「社会貢献を行うことによる満足感」 「他人に感謝されることの満足感」 「他人に自慢できることを持つ満足感」 「未知の他人と交流する満足感」 そして、 「次の世代に残す知識・情報を作り出す満足感」
「ほめること」の重要性 最後のインセンティブ? まだ有効活用されていない人間の本能を刺激することを行うべきである。 それは、恐らく「ほめられることによる意識の変革」 新しい価値観に繋がるか
各主体のポジション FINAL GOAL 個人の位置 企業はビジネスリスクで動き、迂回路を取る可能性が高い NPOの位置 行政の位置 優れた環境対応企業 一般社会の動き 環境対応の遅れた企業