透析歴 10 年以上の患者における横断的疫学研究 「QOL 調査と,透析アミロイド症の罹患が与える影響調査」

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透析歴 10 年以上の患者における横断的疫学研究 「QOL 調査と,透析アミロイド症の罹患が与える影響調査」 透析アミロイド症研究会

研究の目的 透析歴 10 年を超える患者を対象とした横断的疫学調査を実施する. 特に透析アミロイド症(以下,DRA)にみられる随伴症状を調査し,QOL に与える影響を検討する.

調査対象の患者 以下の全てを満たす患者を適格と判定する. 1) 透析歴が 10 年以上の患者 2) 同意取得時の年齢が 20 歳以上の患者 3) 本人から文書による同意が得られた患者

方 法 ● 患者へのアンケート調査 EQ-5D 日本語版により,QOL 調査を行う ● カルテ閲覧による調査 項 目 内 容 背景 年齢,性別,透析歴,原疾患,既往(心筋梗塞,脳出血,脳梗塞,四肢切断) DRA 関連症候 各種症候の有無(手根管開放術,多関節痛,骨嚢胞,脊椎病変,弾撥指,大腿骨頸部骨折,虚血性腸炎,皮下腫瘤) 理学所見 身長,透析前体重,透析後体重,BMI 血液データ Kt/V,%Cr 産生速度,蛋白異化率,GNRI,透析前 β2-MG,白血球,血小板,アルブミン,ヘモグロビン,フェリチン,トランスフェリン飽和度,血清鉄,CRP,中性脂肪,総コレステロール,LDL-C,HDL-C 胸部X線 心胸郭比 血圧 週初め透析前血圧 透析方法 種別: HD,HF,HDF(前・後・前後希釈,置換液量),リクセル 透析膜,ヘモダイアフィルタ,透析時間,血液流量 透析液清浄化(エンドトキシン濃度,細菌数) 薬剤投与 ESA製剤,鉄剤,ベンゾジアゼピン系薬剤,抗うつ薬

EQ-5D の構成 5 つの設問に,3 つの選択肢 質問内容 回答の選択肢 移動の程度 私は歩き回るのに問題はない 私は歩き回るのにいくらか問題がある 私はベッド(床)に寝たきりである 身の回りの管理 私は身の回りの管理に問題はない 私は洗面や着替えを自分でするのにいくらか問題がある 私は洗面や着替えを自分でできない ふだんの活動 私はふだんの活動を行うのに問題はない 私はふだんの活動を行うのにいくらか問題がある 私はふだんの活動を行うことができない 痛み/不快感 私は痛みや不快感はない 私は中程度の痛みや不快感がある 私はひどい痛みや不快感がある 不安/ふさぎ込み 私は不安でもふさぎ込んでもいない 私は中程度に不安あるいはふさぎ込んでいる 私はひどく不安あるいはふさぎ込んでいる

EQ-5D 効用値への変換 5 項目に対して,3 つの選択肢で回答 組み合わせは,35 = 243 通りの健康状態を弁別 これに「意識不明」,「死」を加えて 245 の健康状態をあらわせる 完全な健康を 「1」,死亡を 「0」 とした間隔尺度上であらわされた  効用値に変換できる 【回答例】 ・11111: 効用値(最高値)「 1.000」 ・33333: 効用値(最低値)「- 0.111」

EQ-5D 効用値を利用した調査例 外来通院中の 2 型糖尿病患者 220例 合併症あり: 平均の効用値 0.8486 合併症なし: 平均の効用値 0.8840 合併症の有無で差がある傾向 (P = 0.097) 「臨床医のためのQOLハンドブック」(医学書院)より引用

調査結果

解析対象 全72施設 1,323例登録のうち,透析再導入を除く 1,314例を解析対象 調査施設 エリア 登録数 行橋クリニック 福岡 50 北九州病院 北九州総合病院 12 恩賜財団済生会 済生会八幡総合病院 35 ユーアイ 西野病院 14 高橋内科クリニック 101 かわい泌尿器科クリニック 7 吉祥寺クリニック 1 百武医院 5 おおはし内科循環器科 3 医心会 福岡腎臓内科クリニック 69 こもたクリニック 36 福満会 トーマ・クリニック 10 順和会 長尾病院 赤間腎クリニック 21 日本赤十字社 福岡赤十字病院 高邦会 高木病院 17 上野外科胃腸科病院 池田バスキュラーアクセス透析・内科クリニック 6 調査施設 エリア 登録数 信愛会 重松クリニック 福岡 43 松口胃腸科外科医院 3 三井島内科クリニック 4 大里腎クリニック 福満会 ふくみつ病院 5 木山内科 9 うえの腎透析クリニック 7 島松内科医院 20 宗像医師会病院 25 雪の聖母会 聖マリア病院腎センター 6 天神会 新古賀クリニック 34 村上華林堂病院 腎愛会 上山病院 鹿児島 10 垂水市立医療センター 垂水中央病院 愛誠会 昭南病院 實信会 まきのせ泌尿器科 如水会 嶋田病院 熊本 102 永寿会 天草第一 全72施設 1,323例登録のうち,透析再導入を除く 1,314例を解析対象

解析対象 全72施設 1,323例登録のうち,透析再導入を除く 1,314例を解析対象 調査施設 エリア 登録数 仁誠会クリニック新屋敷 熊本 14 大手町クリニック 3 仁誠会クリニック大津 国家公務員共済組合連合会 熊本中央病院 26 桑原クリニック 36 野尻会 熊本泌尿器科病院 10 天草市立牛深市民病院 4 宇土中央クリニック 15 腎生会 中央仁クリニック 健腎会 おがわクリニック 宮崎 31 泉和会 千代田病院 18 山下医院 6 上原内科 健腎会 おおぬきクリニック 8 海老原クリニック 33 横田内科 21 宮崎江南病院 30 明晴会 速見泌尿器科医院 13 調査施設 エリア 登録数 永和舎 延岡クリニック 宮崎 30 衆和会 長崎腎クリニック 長崎 2 衆和会 長崎腎病院 13 健昌会 新里クリニック浦上 26 雄博会 千住病院 12 栄和会 泉川病院 15 和仁会 和仁会病院 黒木医院 25 健康保険諫早総合病院 20 敬愛会 ちばなクリニック 沖縄 40 博光会 塚川第一病院 大分 1 光心会 諏訪の杜病院 5 清栄会 清瀬病院 大分県厚生連鶴見病院 健康保険南海病院 31 朝霧会 じんの内医院 佐賀 9 希清会 岩本内科 19 泌尿器科いまりクリニック 8 全72施設 1,323例登録のうち,透析再導入を除く 1,314例を解析対象

患者背景 (1) 調査項目 単位 平均値 (標準偏差) 中央値 (四分位範囲) 年齢 歳 64.7 (10.5) 透析歴 年 n = 1,314 調査項目 単位 平均値 (標準偏差) 中央値 (四分位範囲) 年齢 歳 64.7 (10.5) 透析歴 年 17 (13 to 24) 身長 cm 159.0 (9.3) 体重(前) kg 55.2 (11.1) 体重(後) 52.9 (10.6) BMI kg/m2 21.7 (3.3) 収縮期血圧 ※ mmHg 145.4 (22.6) 拡張期血圧 ※ 75.7 (13.5) 心胸郭比 % 50.6 (5.3) EQ-5D 効用値 0.768 (0.649 to 1.000) ※ 週初めの透析前血圧

患者背景 (2) 透析導入に至った原疾患 % 慢性糸球体腎炎 57.7 SLE腎炎 1.4 IgA腎症 5.6 その他の自己免疫性腎炎 0.1 その他の増殖性腎炎 0.5 アミロイド腎 0.0 膜性腎症 0.3 痛風腎 0.6 膜性増殖性腎炎 先天性代謝異常に基づく腎不全 慢性腎盂腎炎 1.2 腎・尿路結核 その他の間質性腎炎 0.7 腎・尿路結石 0.2 急性進行性糸球体腎炎 腎・尿路腫瘍 妊娠腎/妊娠中毒症 1.3 閉塞性尿路障害 その他の分類不能腎炎 骨髄腫 遺伝性腎炎 腎形成不全 多発性囊胞腎 4.8 不明 5.0 腎硬化症 4.2 その他 1.7 悪性高血圧 1.0 糖尿病性糸球体腎硬化症 2.5 1 型糖尿病 2 型糖尿病 8.1

血液データ 調査項目 単位 平均値 (標準偏差) 中央値 (四分位範囲) Kt/V 1.75 (0.46) %Cr産生速度 108.7 (33.4) 蛋白異化率 g/kg/日 0.94 (0.20) GNRI 91.1 (10.1) β2-MG mg/L 28.8 (6.5) ヘモグロビン値 g/dL 10.9 (1.2) 白血球数 /μL 5,334 (1,695) 血小板数 x 104/μL 16.4 (5.6) 血清アルブミン 3.6 (0.4) フェリチン ng/mL 51.8 (24.9 to 112.2) TSAT % 23.9 (12.4) 血清鉄 μg/dL 62.6 (28.3) CRP mg/dL 0.11 (0.05 to 0.32) 中性脂肪 91 (64 to 130) 総コレステロール 160 (35) LDL-C 87 (26) HDL-C 51 (16)

透析アミロイド症の診断基準 (案) 【臨床的所見】 [主要症状] 1) 多関節痛 肩関節痛,手関節痛,股・膝関節痛など 1) 多関節痛 肩関節痛,手関節痛,股・膝関節痛など 2) 手根管症候群 正中神経圧迫症状 3) 弾撥指 狭窄性腱鞘炎のための指関節屈筋運動障害 4) 透析脊椎症  破壊性脊椎関節症 頚椎と腰椎に好発する.骨X線上椎間腔狭小化と骨破壊像がみられる.椎体骨の骨棘形成反応は弱いか認められない.  脊柱管狭窄症 アミロイド沈着による脊柱管狭窄症状の出現 5) 骨嚢胞 骨X線嚢胞状透亮像,手根骨など [副症状] 6) 骨折 大腿骨頸部骨折が多い 7) 虚血性腸炎 腹痛,下痢,下血 8) その他 皮下腫瘤 (amyloidoma),尿路結石 【病理学的所見】 1) 病変部位より採取した組織の Congo red 染色陽性所見かつ偏光顕微鏡での緑色偏光所見 2) 抗 β2-microglobulin 抗体に対する免疫組織化学的陽性所見 アミロイドーシス診療ガイドライン 2010

透析アミロイド症の診断基準 (案) 【診断基準】 1) 臨床的診断例 主要症状のうち,2 項目以上が認められる例 2) 臨床的疑い例  主要症状のうち,2 項目以上が認められる例 2) 臨床的疑い例  主要症状 1 項目と副症状 1 項目以上が認められる例 3) 病理学的診断例  臨床的診断例,臨床的疑い例のうち病理所見 1) が確認される例 4) 病理学的確定診断例  1) かつ 2) の病理所見が確認される例 【除外診断】 1) 変形関節症,関節リウマチ,化膿性関節炎,痛風,偽痛風などは除外する 2) 変形性脊椎症,化膿性脊椎炎などは除外する アミロイドーシス診療ガイドライン 2010

DRA の罹患実態 (1) (n = 1,314) (%) あり なし 不明 多関節痛 手根管開放術 主要症状 骨嚢胞 破壊性脊椎症 脊椎靱帯の肥厚 弾撥指 大腿骨頸部骨折 副症状 虚血性腸炎 皮下腫瘤 (%) あり なし 不明

DRA の罹患頻度 (n = 1,314) 主要症状数 臨床的診断 4症状 3% あり 21% (n = 277) 5症状 1% 3症状 7% 2症状 10% 症状なし 57% 1症状 22% なし 79% (n = 1,037)

手根管開放術 (n = 275) 施行側 施行回数 片側 44% 両側 56% 1回 53% 複数回 47%

EQ-5D 回答結果 (n = 1,314) 不安/ふさぎ込み 痛み/不快感 ふだんの活動 身の回りの管理 移動の程度 (%) 問題なし やや問題あり 問題あり

多関節痛 (n = 375) 睡眠障害 鎮痛薬処方 あり 32% なし 63% 不明 5% あり 54% なし 46%

EQ-5D 効用値の分布 (n = 1,314)      密度       EQ-5D効用値

DRA の臨床的診断と EQ-5D 効用値 DRA あり n = 277 DRA なし n = 1,037 全体 n = 1,314 1.2 0.768 (0.649 to 1) 1.2 0.9 0.6 0.3 -0.3 EQ-5D 効用値

DRA の臨床的診断と EQ-5D 効用値 DRA あり n = 277 DRA なし n = 1,037 P <0.0001 全体 0.649 (0.533 to 0.768) P <0.0001 全体 n = 1,314 0.768 (0.649 to 1) 0.768 (0.693 to 1) 1.2 0.9 0.6 0.3 -0.3 EQ-5D 効用値

既往歴 (n = 1,314) 心筋梗塞 脳出血 脳梗塞 四肢切断 (%) 既往あり 既往なし

血液透析方法 (1) 血液浄化法 (n = 1,314) 施行率(%) リクセル治療 (n = 1,314) 血液透析 91.4 併用 6.3 血液濾過 0.2 非併用 93.7 HDF 8.4 膜 (n = 1,314) HDF 治療条件 (n = 110) Ⅰ型 0.4 希釈方法 置換液量 (L) Ⅱ型 前希釈 70.4 41.6 Ⅲ型 1.1 後希釈 29.6 13.6 Ⅳ型 62.9 前後希釈 - Ⅴ型 28.4 ヘモダイアフィルタ 6.7 その他

血液透析方法 (2) 調査項目 n = 1,314 透析時間 (分/回) 277.0 血液流量 (mL/分) 233.1 透析回数 (回/週) 3.0

透析アミロイド症の治療に関する推奨文 1. 透析アミロイドーシス発症予防には,生体適合性のよい透析膜の選択,透析液の 清浄化などが有効である (グレード B). 2. 透析方法としては,血液透析濾過 (HDF),血液濾過 (HF) あるいは push & pull など,高効率に β2-MG を除去できる治療法の選択が発症予防に有効である (グ レード C1).β2-MG 吸着カラムも治療法の一つとして有用である (グレード C1). 3. 内科的治療は,骨関節痛の緩和のために,非ステロイド系消炎鎮痛薬,副腎皮質 ステロイド薬などによる対症療法が中心となる.β2-MG 吸着カラムも治療法の一 つとして有用である (グレード C1) . 4. 骨関節症状が進行している場合は,整形外科的治療が必要である.除痛,神経症 状の進行抑制,関節可動域の改善,骨折治療が目的となる (グレード C1). 5. 腎移植療法と理学療法は透析アミロイドーシスの一部の症状を緩和する (グレー ド C1). アミロイドーシス診療ガイドライン 2010

DRA の有無と血液透析方法 (n = 276) (n = 1,037) (n = 276) (n = 1,035)

併用薬剤 (1) ESA 製剤 (n = 1,314) 投与あり (%) 投与なし (%) 83.8 16.2 ESA種類 (%) 平均投与量 エポエチン α 2.2 5,406 IU/週(IV) エポエチン β 11.2 3,776 エポエチン κ 12.7 4,938 ダルベポエチン α 50.5 27 μg/週(IV) エポエチン β ペゴル 24.3 98.6 μg/月(IV)

併用薬剤 (2) 薬剤の投与 n = 1,314 投与あり 投与なし 鉄剤 438 (33.3%) 876 (66.7%) ベンゾジアゼピン系薬剤 298 (22.7%) 1,016 (77.3%) 抗うつ薬 25 (1.9%) 1,289 (98.1%)

透析液清浄化 (n = 1,314)

EQ-5D 効用値と関連する因子の検討

EQ-5D 効用値との関連 Model 1 単変量解析 相対危険 (95%CI) P 年齢 (歳) 0.94 (0.93 to 0.95)  年齢 (歳) 0.94 (0.93 to 0.95) <0.0001  男性 1.38 (1.11 to 1.72) 0.0038  糖尿病性腎症 0.46 (0.33 to 0.65)  透析歴 (年) 0.94 (0.93 to 0.96)  既往歴 (MI,脳出血,脳梗塞 or 四肢切断) 0.41 (0.31 to 0.53) BMI (kg/m2) 1.04 (1.00 to 1.08) 0.0250 Kt/V 1.13 (0.88 to 1.45) 0.3536 GNRI 1.05 (1.04 to 1.07)  ヘモグロビン (g/dL) 1.12 (1.02 to 1.24) 0.0141 CRP (mg/dL) 0.92 (0.82 to 1.03) 0.1421  ベンゾジアゼピン系薬剤 0.58 (0.45 to 0.75)  DRA 臨床的診断 0.24 (0.18 to 0.32) 連続変数は 1 上昇あたり,カテゴリー変数は vs. なし 

EQ-5D 効用値との関連 Model 1 多変量解析 相対危険 (95%CI) P 年齢 (歳) 0.95 (0.94 to 0.96)  年齢 (歳) 0.95 (0.94 to 0.96) <0.0001  男性 1.63 (1.21 to 2.20) 0.0013  糖尿病性腎症 0.33 (0.21 to 0.50)  透析歴 (年) 0.94 (0.92 to 0.96)  既往歴 (MI,脳出血,脳梗塞 or 四肢切断) 0.47 (0.34 to 0.66) BMI (kg/m2) 0.91 (0.85 to 0.97) 0.0053 Kt/V 1.25 (0.90 to 1.75) 0.1859 GNRI 1.06 (1.03 to 1.09)  ヘモグロビン (g/dL) 1.00 (0.88 to 1.13) 0.9788 CRP (mg/dL) 1.06 (0.92 to 1.23) 0.4130  ベンゾジアゼピン系薬剤 0.56 (0.41 to 0.78) 0.0006  DRA 臨床的診断 0.42 (0.28 to 0.61) 連続変数は 1 上昇あたり,カテゴリー変数は vs. なし 

EQ-5D 効用値との関連 Model 2 単変量解析 相対危険(95%CI) P 年齢 (歳) 0.94 (0.93 to 0.95)  年齢 (歳) 0.94 (0.93 to 0.95) <0.0001  男性 1.38 (1.11 to 1.72) 0.0038  糖尿病性腎症 0.46 (0.33 to 0.65)  透析歴 (年) 0.94 (0.93 to 0.96)  既往歴 (MI,脳出血,脳梗塞 or 四肢切断) 0.41 (0.31 to 0.53) BMI (kg/m2) 1.04 (1.00 to 1.08) 0.0250 Kt/V 1.13 (0.88 to 1.45) 0.3536 GNRI 1.05 (1.04 to 1.07)  ヘモグロビン (g/dL) 1.12 (1.02 to 1.24) 0.0141 CRP (mg/dL) 0.92 (0.82 to 1.03) 0.1421  ベンゾジアゼピン系薬剤 0.58 (0.45 to 0.75)  DRA 主要症状数 1 症状 1.17 (0.94 to 1.46) 0.1619   2 症状  0.82 (0.62 to 1.09) 0.1743   3 症状以上 0.34 (0.25 to 0.47) 連続変数は 1 上昇あたり,カテゴリー変数は vs. なし

EQ-5D 効用値との関連 Model 2 多変量解析 相対危険 (95%CI) P 年齢 (歳) 0.95 (0.94 to 0.97)  年齢 (歳) 0.95 (0.94 to 0.97) <0.0001  男性 1.47 (1.09 to 2.00) 0.0124  糖尿病性腎症 0.31 (0.20 to 0.48)  透析歴 (年) 0.96 (0.93 to 0.98) 0.0002  既往歴 (MI,脳出血,脳梗塞 or 四肢切断) 0.46 (0.33 to 0.65) BMI (kg/m2) 0.90 (0.84 to 0.97) 0.0036 Kt/V 1.11 (0.79 to 1.55) 0.5410 GNRI 1.06 (1.03 to 1.09)  ヘモグロビン (g/dL) 0.97 (0.86 to 1.10) 0.6818 CRP (mg/dL) 1.08 (0.93 to 1.25) 0.3124  ベンゾジアゼピン系薬剤 0.57 (0.41 to 0.79) 0.0008  DRA 主要症状数 1 症状 0.98 (0.75 to 1.28) 0.8839   2 症状  0.89 (0.64 to 1.25) 0.5143   3 症状以上 0.47 (0.32 to 0.69) 0.0001 連続変数は 1 上昇あたり,カテゴリー変数は vs. なし

DRA 主要症状数との関連 (Multinomial ロジスティック回帰分析,n = 1,314) 単変量解析 P 値 多変量解析Model 1  年齢 (歳) <0.0001  男性 0.004 0.0004  糖尿病性腎症 0.0008 0.273  透析歴 (年)  透析時間 (分) 0.029 0.0001  Kt/V 0.015  GNRI 0.018 多変量解析Model 2 P 値  0.158 0.428

まとめ DRA の臨床的診断は,QOL (EQ-5D 効用値) の低下と 関連していた. Ⅴ型膜 + HDF膜: 33.3% β2-MG吸着カラムの併用: 73.9%

EQ-5D に関する考察 EQ-5D は,KDQOL-SF と比べると調査項目が少なく,現場における負担が少な いため,大規模調査が可能であった. これまでの海外の報告と比べて,本研究の対象集団における効用値の方が高値であった. Treatment Study n EQ-5D RTx Lee, et al. 178 0.71 HD 99 0.44 Manns, et al. 128 0.60 151 0.62 25 26 0.58 PD 74 0.53 41 0.56 DRA あり n = 277 DRA なし n = 1,037 0.649 (0.533 to 0.768) P <0.0001 全体 n = 1,314 0.768 (0.649 to 1) 0.768 (0.693 to 1) 1.2 0.9 0.6 0.3 -0.3 EQ-5D 効用値 Wyld M, et al. PLoS Med, 2012

考 察 「アミロイドーシス診療ガイドライン 2010」 の推奨文を参考に,高効率の血液透析,または β2-MG 吸着カラムの選択を考慮するべきかも知れない

今後の Research Question DRA の有無が予後に及ぼす影響 DRA 患者において,透析方法の変更により臨床症状や QOL,生命予後の改善が得られるか

Wakasugi M, et al. J Bone Miner Metab 31: 315-321, 2013 アウトカムの発生率 アウトカム 引用 患者群 発生(%/年) 死亡 わが国の慢性透析療法の現況 2012年12月31日 全透析患者     データベース: JSDT統計調査結果 10.1 Iseki K, et al. NDT 28:1579-1589, 2013 沖縄 HD 期間: 88ヵ月 4.8 Ajiro J, et al. CJASN 2: 653-660, 2007 新潟 HD 期間: 10年以上 3.3 手根管開放術 日本アミロイドーシス研究会 O-2-15:星野ほか 1.3 透析脊椎症 への手術 データなし 大腿骨 頸部骨折 Wakasugi M, et al. J Bone Miner Metab 31: 315-321, 2013 1.1 腎移植 両角國男. 現代医学 61: 211-218, 2013 0.5

Research Question QOL (EQ-5D 効用値) の経年的な悪化 に及ぼす DRA の影響を明らかにする DRA の合併によって,QOL の経年的悪化が促進 されるか 経年的悪化を促進する因子 経年的悪化を抑制する因子

背 景 横断的な実態調査研究で,DRA の合併 (厚生 労働省の研究班による診断基準)は,QOL (EQ-5D 効用値) の低下と関連があった. DRA を合併した患者において,QOL の経年的 な悪化に関する報告はない.

目 的 デザイン 縦断的に EQ-5D 効用値の変化を調査し,DRA 合併の影響を明らかにする. 前向き,非介入の観察研究 評価期間は 2 年

対象患者 横断的な実態調査研究に参加した患者を対象とする 以下の全てを満たす患者を適格と判定 1. 透析歴が 10 年以上の患者 2. 同意取得時の年齢が 20 歳以上の患者 3. 本人から文書による同意が得られた患者 ただし,以下に該当する場合は除外する 1. アンケート調査 (EQ-5D) に応える能力がないと判断される患者 2. その他,医師が不適格と判断した患者

評価項目(予定) 主要評価項目 EQ-5D 効用値の変化率 副次評価項目 死亡 手根管開放術 透析脊椎症への手術 大腿骨頸部骨折 腎移植

調査項目(予定) DRA 合併 手根管開放術,多関節痛,骨嚢胞,脊椎病変,弾撥指 大腿骨頸部骨折,虚血性腸炎,皮下腫瘤 既往歴 心筋梗塞,脳出血,脳梗塞,四肢切断 ステロイドの投与 臨床検査値 β2-MG,CRP,ヘモグロビン,GNRI (Alb と体重より算出) 血液透析方法 血液透析,HDF,その他 リクセルの併用治療 観察期間中 50%以上の使用で治療 「あり」