(JASMINE:赤外線位置天文観測衛星)

Slides:



Advertisements
Similar presentations
1 銀河系力学構造の 構築について 上田晴彦 ( 秋田大学 ) 郷田直輝, 矢野太平 ( 国立天文台 ) 竹原理論物理学研究会 2011年6月7日 ホテル大広苑.
Advertisements

1 若者の夢を育む工学教育 (財 ) 日本無線協会 参与 芝浦工大 非常勤講師 都立航空高専 元校長 島田 一雄
2020 年( TMT 、 SPICA 時代)の すばる望遠鏡 高見英樹 ( 国立天文台) 年の光赤外の情勢 大きな流れ TMT 稼働開始 SPICA 打ち上げ、 JWST は? LSST 稼働開始、 HSC の役割は? Keck 、 Gemini は存続だが予算は厳しい、 VLT は着実.
日本学術会議マスタープランへの提案 ガンマ線バーストを用いた初期宇宙探査計画 HiZ-GUNDAM 主査: 米徳 大輔(金沢大学) HiZ-GUNDAM WG 光赤天連シンポジウム「光赤外将来計画:将来計画のとりまとめ」( 2016/02/09 – 10 国立天文台.
観測手法と望遠鏡の 仕様について 矢野太平(理研) ●大角度はなれた同時サーベイについて ●サーベイ方法について ●観測精度について
将来計画委員会 組織名 設置 人数 活動 高宇連 2013-, 名 宇電懇 なし? 惑星科学会 常設 7名
小型JASMINE計画の現状       矢野太平(国立天文台).
(JASMINE:赤外線位置天文観測衛星)
(JASMINE:赤外線位置天文観測衛星)
(JASMINE:赤外線位置天文観測衛星)
国立天文台 太陽系外惑星探査プロジェクト室 成田憲保
学術会議 マスタープラン2017 学術会議 連携会員 中川貴雄.
南極中口径望遠鏡計画 (AIRT) スーパーアースを持つ多惑星系のトランジット連続観測による系外惑星の大気構造の研究
筑波大学衛星と教育との関わり 筑波大学 保田敦司 「小型衛星の科学教育利用を考える会」 2015/08/22.
ーJapan Astrometry Satellite Mission for INfrared Exploration-
ーJapan Astrometry Satellite Mission for INfrared Exploration-
晩期型星T-Lepに付随する 水メーザースポットを用いた年周視差測定 ~系内MIRA型変光星周期-絶対光度関係の測定に向けて~
すばるの中期長期計画 国際連携 有本信雄 国立天文台・ハワイ観測所.
アストロメトリによる系外惑星探査 郷田直輝(国立天文台)
プロポーザル準備/観測準備 ダストをたくさん持つ銀河 の赤外線分光観測の例 国立天文台 今西昌俊.
AOによる 重力レンズクェーサー吸収線系の観測 濱野 哲史(東京大学) 共同研究者 小林尚人(東大)、近藤荘平(京産大)、他
南極からの新赤外線天文学の創成 南極内陸は、ブリザードがなく、非常に穏やかな、地球上で最も星空の美しい場所です。この場所で私たちは新しい赤外線天文学を展開します 宇宙初期の広域銀河地図を作って、私たちの銀河系の生い立ちを解明します 137億年前 100億年前 宇宙の果て 最初の星が生まれ、銀河が成長した時代.
謎の惑星スーパーアースを探れ! 国立天文台・成田憲保.
突発現象のToO観測 野上大作 (京大 花山天文台) 2011/09/07(Wed)
---Japan Astrometry Satellite Mission for INfrared Exploration---
---Japan Astrometry Satellite Mission for INfrared Exploration---
LCGT Collaboration Meeting (2010年2月15日)
トランジット法による低温度星まわりの地球型惑星探索と大気調査
ーJapan Astrometry Satellite Mission for INfrared Exploration-
III.小型JASMINE計画 (1)小型JASMINEの全体的概要 バルジの一部領域方向を近赤外線(Hw-バンド)でサーベイ
ーJapan Astrometry Satellite Mission for INfrared Exploration-
2020年代の光赤外スペース計画シンポジウム2015  JASMINE計画   郷田直輝(国立天文台JASMINE検討室)
S3: 恒星とブラックホール (上田、野上、加藤)
WISHによるhigh-z QSOs 探査案 WISH Science Meeting (10 Mar. 三鷹
すばる望遠鏡を用いた 太陽系外惑星系の観測的研究
神戸大大学院集中講義 銀河天文学:講義6 特別編 観測装置の将来計画
脈動変光星による銀河系研究と 位置天文衛星の重要性
ーJapan Astrometry Satellite Mission for INfrared Exploration-
国立天文台 光赤外研究部 太陽系外惑星探査プロジェクト室 成田憲保
赤外スペースアストロメトリ(JASMINE)計画について
兵庫県立大学 自然・環境科学研究所 天文科学センター 伊藤洋一
重力・重力波物理学 安東 正樹 (京都大学 理学系研究科) GCOE特別講義 (2011年11月15-17日, 京都大学) イラスト
太陽系外惑星の トランジット観測 和歌山大学  教育学部  自然環境教育課程   地球環境プログラム  天文学ゼミ   玉置 順大.
銀河・銀河系天文学 星間物理学 鹿児島大学宇宙コース 祖父江義明 .
地上 8-10m 望遠鏡の将来装置計画のまとめ 国際協力・時間交換の議論のベースとして 次世代装置開発の議論のベースとして
長期滞在型テレワークの誘致及び導入検討調査
S3: 恒星とブラックホール (上田、野上、加藤)
すばる戦略枠の現状とこれから すばる小委員会委員長 吉田道利.
平成29年度 WPI新規拠点公募のポイント (採択数・支援規模・ホスト機関の要件 等) (研究領域) (ミッション) (その他) 1
大離心率トランジット惑星HD17156bの ロシター効果の観測結果
ANIRによるM型星まわりの トランジット地球型惑星の観測 国立天文台 成田憲保.
論文紹介 Type IIn supernovae at redshift Z ≒ 2 from archival data (Cooke et al. 2009) 九州大学  坂根 悠介.
松原英雄、中川貴雄(ISAS/JAXA)、山田 亨、今西昌俊、児玉忠恭、中西康一郎(国立天文台) 他SPICAサイエンスワーキンググループ
小型JASMINE計画の状況       矢野太平(国立天文台)       丹羽佳人(京大).
小型衛星パスファインダーによる総合的試験
Nobuo ARIMOTO NAOJ/GUAS (Sokendai)
京都大学理学研究科 中村卓史 2006年2月24日 国立天文台
京大他、東大やアデレード大学など日豪の16機関が共同で、オーストラリアの砂漠地帯に望遠鏡4台を建設しTeVγ線を観測している。
宇宙線研究室 X線グループ 今こそ、宇宙線研究室へ! NeXT
国立天文台研究会 『高精度アストロメトリ観測の時代を迎えた21世紀の天文学』 議論 世話人代表 郷田直輝
セイファート銀河中心核におけるAGNとスターバーストの結び付き
光天連シンポジウム「2020年に向けてのロードマップ」
講義ガイダンス 「宇宙の物質循環を理解するために使われる物理・化学・数学」
JASMINEワークショップ March 6-7,2003 松原英雄(宇宙研)
ALMAへの期待 -埋れたAGNの探査から-
すばる/HDSによる系外惑星HD209458bの精密分光観測
COSMOS天域における赤方偏移0.24のHα輝線銀河の性質
「大阪大学レーザーエネルギー学研究センターの共同利用・共同研究拠点化」に向けた要望書・意見書のお願い
BH science for Astro-E2/HXD and NeXT mission
(FMOS戦略枠観測で余ったファイバーによる) M型星まわりのトランジット地球型惑星探し
Presentation transcript:

(JASMINE:赤外線位置天文観測衛星)                      2012.10.24 光赤天連中規模計画評価 小型JASMINE計画 (JASMINE:赤外線位置天文観測衛星) ---Japan Astrometry Satellite Mission for INfrared Exploration---              国立天文台JASMINE検討室 郷田直輝 1 1 1 1

§1.小型JASMINE概要 I. 概要と科学的目的 1.概要: 小型科学衛星を用いた赤外線位置天文観測衛星 ○小型JASMINEの仕様 銀河系中心近くのバルジ(方向)の星、および興味ある特定天体に 対して10マイクロ秒角クラスの世界最高精度の位置天文情報 (年周視差、固有運動、天球上の位置等)を世界で初めて得る。 小型科学衛星を用いた赤外線位置天文観測衛星 ○小型JASMINEの仕様  主鏡口径:30cm、焦点距離: 3.9m  視野面積:0.6度×0.6度  アストロメトリ用検出器:HgCdTe(4k×4k)1個  アストロメトリ用観測波長:Hw-band(1.1~1.7ミクロン)  衛星重量:~400kg  観測精度:位置、年周視差 10~70μas        固有運動  10~70μas/yr   (Hwバンドで11.5等級より明るい星に対して達成)  特定領域サーベイ:銀河系中心付近の3度×3度の領域方向(数万個の星数)             +特定天体方向(候補天体例:Cyg X-1) 観測期間:1年間~3年間程度 ○小型科学衛星(3号機相当)@ISASのミッション募集へ応募予定 (2012年度後半):標準バスの使用、イプシロンロケットでの打上が条件。   打ち上げ目標(3号機の場合):2017年度頃  予算:小型科学衛星の予算枠内であることが条件  (ミッション部:10億円、バス部(共通の標準バスを使用):約30億円、打ち上げ(イプシロンロケットを使用):約30億円) ミッション装置 年周視差の精度マップ 観測領域候補(銀河系中心付近) 特定領域での高精度かつ高時間分解能をもつ位置天文観測は、小型科学衛星が最適。

2.科学的目的の概要: ○世界に先駆けて、星の3次元的位置や運動情報を用いた銀 河系中心付近でのバルジ構造、星形成史、巨大BHの形成  進化、星間吸収物質の3次元分布、変光星等の研究進展。 ○X線連星(例:CygX-1)の軌道要素決定、系外惑星探査などの特定天体をターゲットにし、高精度な距離と運動情報を活かした科学的成果。 小型JASMINEサイエンスワーキンググループ(JASMINEチームメンバー以外から構成) 代表:梅村雅之(筑波大) バルジ班:長島(長崎大、チーフ)、 羽部(北大)、岡本(筑波大)、馬場(東工大)、河田(MSSL, ロンドン大学)、斉藤(東工大)、 榎(東京経済大)、泉浦(NAO) 巨大ブラックホール・銀河中心班:梅村(筑波大、チーフ)、 谷川(筑波大)、藤井(ライデン大)、本間(NAO)、加藤(ISAS) コンパクト天体班:植村(広大、チーフ)、 川口(筑波大)、野上(京大) 星班:西(新潟大、チーフ)、 宮田(東大)、田辺(東大)、松永(東大)、板(東北大)、廣田(NAO)、中川(鹿児島大) 系外惑星班:浅田(弘前大、チーフ)、 住(名大)、福井(NAOJ)

★小型JASMINEで期待される科学的成果例 1.バルジの正体の解明:銀河系バルジのタイプは?その構造形成史は?   *バルジ星の3次元分布と運動情報バルジの力学構造(X-shape!?=>バルジの重力ポテンシャル)         classical bulge vs pseudo bulge形成原因の違い銀河形成論、進化論にも影響   *バルジ星の色ー等級図(+化学組成)星形成史 2.銀河系中心付近の物理   *巨大ブラックホール形成の痕跡中心付近の星の速度分布に影響   *星団の運動星団の起源、中心付近の重力場情報   *内部バーの存在中心付近での星形成への影響   *SgrA*の赤外線モニターQPOの存在巨大BHのスピン情報 3.コンパクト天体   *X線連星の軌道要素決定研究史上の「事件」     降着円盤やジェットの基礎的な物理に迫る。         有力候補天体:Cyg X-1:(l=71°, b=+3°) 、周期5.6日(Gaiaでは観測不可能) 、         伴星: mv~9mag (小型JASMINEで検出可能) 、位置変化は、40~50μ秒角小型JASMINEで測定可能 4.系外惑星 *アストロメトリ法による(低質量恒星での)惑星の検出           *既知のトランジット惑星のsecondary eclipse(2次食)を観測し、惑星の表面温度および            軌道要素の測定 5.重力レンズ:ワームホールの発見!? 6.恒星、星形成*星間減光物質の3次元分布と性質             *バルジにあるミラ型変光星(赤いのでGaiaより有利)の年周視差、固有運動 JASMINEチーム以外の研究者有志(25名)からなるサイエンスWG (代表・梅村雅之(筑波大))が別途形成され、 具体的な科学的成果の検討が進んでいる。

★サイエンスに関する国際連携 A. サイエンスの強化 B. 物理情報の補強 相手は? 3つの現在進行形のプロジェクトとタイアップ 視線速度 & 化学組成情報 分光観測より completeな速度情報 化学組成は年齢の指標 星の運動-化学組成の相関は進化、形成への 理解を深める 相手は?    3つの現在進行形のプロジェクトとタイアップ   1. BRAVA  アメリカ主体(M.Rich)のバルジサーベイ : A, (B) 2. ARGOS オーストラリア主体(K.Freeman)のバルジサーベイ : A 3. APOGEE アメリカ主体(S.Majewski)の銀河系サーベイ : B

★ APOGEE PI: S. Majewski (UVa) Gazing at the Inner Galaxy Sloan Digital Sky Survey III The Apache Point Observatory Galactic Evolution Experiment PI: S. Majewski (UVa) High-resolution H-band spectroscopic survey 2.5m telescope at the Apache Point Observatory Spring 2011 – Spring 2014 100,000巨星 to magnitude H=12.5 バルジ星は7000個ほどを観測 R~20000- 30000, S/N~100 波長域 1.52-1.69mm velocity error 0.5 km/s 15元素を0.1 dexの精度で測定 2.5m telescope APOGEE fibers バルジ

APOGEE-South 小型JASMINE(位置天文)+APOGEE-S(分光)+VVV(測光)の Steven R. Majewski (UVa), Ricardo P. Schiavon (Gemini), Carlos Allende Prieto (IAC), Nobuo Arimoto (NAOJ), Martin Asplund (MPA), Beatriz Barbuy (IAG), Timothy C. Beers (NOAO), Jonathan Bird (OSU), Dmitry Bizyaev (APO), Michael Blanton (NYU), James Bullock (UCI), Joleen Carlberg (DTM), Jeff Carlin (RPI), M ́arcio Catelan (PUC-Chile), Cristina Chiappini (AIP, Geneve, INAF), Mei-Yin Cho (Academia Sinica IAA), Edgardo Costa (U. de Chile), Jeffrey Crane (OCIW), Ka ́tia Cunha (UofA/ON-Brazil), Roelof de Jong (AIP), Damian Fabbian (IAC), Peter Frinchaboy (TCU), Jay Frogel, Anibal Garc ́ıa Hernandez (IAC), Ana Elia Garc ́ıa P ́erez (UVa), Doug Geisler (Concepci ́on), Leo Girardi (Padova), Naoteru Gouda (NAOJ), Andy Gould (OSU), Eva Grebel (Heidelberg), Fred Hearty (UVa), Vanessa Hill (Observatoire de la Coˆte d’Azur), Jon Holtzman (NMSU), Inese Ivans (UU), Paula Jofr ́e (MPA), Jennifer Johnson (OSU), Kathryn Johnston (Columbia), Daniel Kelson (OCIW), Juna Kollmeier (OCIW), David Law (U.Toronto), Sara Lucatello (Padova), Suvrath Mahadevan (PSU), Sarah Martell (Heidelberg), Patrick McCarthy (OCIW), Andrew McWilliam (OCIW), Szabolcs Meszaros (IAC), Dante Minniti (PUC-Chile), Ricardo Mun ̃oz (U. de Chile), David Nidever (UVa), Robert W. O’Connell (UVa), Chris Palma (PSU), Kaike Pan (APO), Eric Persson (OCIW), Mark Phillips (OCIW), Marc Pinsonneault (OSU), Marina Rejkuba (ESO), Annie Robin (Besanc ̧on), Helio J. Rocha-Pinto (UFRJ), Ata Sarajedini (U. Florida), Ralph Scho ̈nrich (MPA), Mathias Schultheis (Besanc ̧on), Kris Sellgren (OSU), Steve Shectman (OCIW), Matthew Shetrone (HET), Michael Siegel (Swift-PSU), Joshua Simon (OCIW), Michael Skrutskie (UVa), Verne Smith (NOAO), Chris Sneden (UT), Jennifer Sobeck (U. Chicago), Mathias Steinmetz (AIP), Andrew W. Stephens (Gemini), Ian Thompson (OCIW), Takuji Tsujimoto (NAOJ), Elena Valenti (ESO), Kim Venn (UVic), Sandro Villanova (Concepci ́on), John Wilson (UVa), Gail Zasowski (UVa), Manuela Zoccali (PUC-Chile) The 2.5-m du Pont telescope at Las Campanas Observatory およそ90000個のバルジ星を観測 2014年から観測予定 (~5年間) さらに…APOGEE-SとともにVVV(VISTA Varibales in the Via Lactea: ZYJHKsでのバルジとディスクの測光サーベイ観測)とも連携を開始 小型JASMINE(位置天文)+APOGEE-S(分光)+VVV(測光)の 3プロジェクトによるバルジ研究の強力なsynergyを目指す

★ 世界での位置天文観測衛星計画の中での位置づけ *小型JASMINEは世界で唯一の近赤外線位置天文衛星計画(IAUのCommission8から推薦)  銀河系中心方向付近のバルジで高精度で測定できる星の数は可視光観測のGaiaが数個レベルに  対して、3桁程度多い。 *小型JASMINEは、同一天体をGaiaよりかなりの高頻度(90分毎に1回)で測定時間分解が高い 世界での位置天文観測衛星計画 10マイクロ秒角の測定で正確に距離測定ができる領域 10マイクロ秒角の位置天文観測(Gaia, 小型JASMINE, JASMINE) ヒッパルコス衛星、Nano-JASMINE、JMAPSで正確に測定できる領域 2万7千光年 Gaiaデータ解析チームと連携(国際協力) 2013年:Nano-JASMINE(全天、zwバンド、精度はヒッパルコス程度:~3mas) 2013年:Gaia(ガイア(ESA):ヨーロッパの全天可視光位置天文観測衛星、10~300μas ) 2015年:JMAPS(USNO: 全天、Iバンドサーベイ、精度はヒッパルコス程度:1mas)   検討協力 2017年頃:小型JASMINE(赤外線観測:銀河系中心付近のバルジ方向+特定天体方向、10~70μas) 2020年代:(中型)JASMINE (赤外線観測:バルジ全域方向、10μas) 8 8

★意義のまとめ (1)主たる科学的成果: (2)スペースからの赤外線位置天文観測分野の開拓:可視光全天サーベイ (i)天の川銀河のバルジの解明と銀河進化    バルジの起源と進化は謎が多い、巨大ブラックホールとバルジの共進化も大きな課題    天の川銀河はバルジ形成・進化や巨大BHとの共進化を調べる良い実験場   ダストに覆われたバルジ観測には近赤外線サーベイが有効JASMINEが世界でユニーク (ii)高時間分解能を活かした連星系、重力レンズ、変光星、(低質量星の)系外惑星   の解析   (2)スペースからの赤外線位置天文観測分野の開拓:可視光全天サーベイ   (ヒッパルコス、Gaia)と違った部分サーベイによるフレーム連結法の構築と実証 (3)世界的位置づけと国際協力  ○赤外線によるユニークな位置天文観測可視光観測のGaiaと相補的  ○同じ天体を観測する周期が短いGaiaは年に数回  ○バルジ解明のため、海外での地上での高分散分光観測(星の視線速度と元素   組成測定)プロジェクトとの国際連携。   特にAPOGEEチーム(MajewskiがPI)とのAPOGEE-S計画の共同プロポーザル  ○JMAPS(@USNO)チームとの観測手法や技術面での情報交換  ○上海天文台による科学データ受信協力 *IAU・Commission8(astrometry)からの期待も大きく推薦を受けている。

★小型科学衛星で行う意義 高精度狭領域位置天文観測は、 小型科学衛星が最適 *科学的に銀河系中心付近など科学的に重要かつ関心が非常に高い領域のみに絞って、世界最高クラスの10μ秒角の精度で世界に先駆けて位置天文観測を行うのは、小型科学衛星を用いるのが“最適”である。 中型衛星以上:より大きな口径をもった望遠鏡を用いても、位置天文測定の性質上、測定精度の向上や観測時間の短縮は望めず、領域を絞った“狭領域位置天文観測”にとってはオーバースペックとなるからである(但し、広領域観測は中型以上が望ましい)。 また、比較的狭い領域のモニターサーベイとなるため、同一天体を高頻度で観測するという時間分解の向上にもつながっている。 大型衛星に比べて早期実現が可能で先駆的な科学的成果を出せる小型科学衛星を用いる意義は、赤外線位置天文観測にとって非常に意義があると考える。

§2.計画実施の緊急性 〇Gaiaとの相補性 星の3次元分や運動情報の画期的なデータ、多くの分野で様々な進展。 Gaia *2013年11月に打ち上げ予定(Nano-JASMINEと同時期) *2021年に最終カタログ公開予定(途中で何度か中間リリースも予定: 先ずは2016年頃)    可視光で全天サーベイ(20等級までの10億個)    年周視差の精度:     <10マイクロ秒角@G<12 等級     ~25 マイクロ秒角@G=15等級 ~300 マイクロ秒角@G=20等級     星の3次元分や運動情報の画期的なデータ、多くの分野で様々な進展。     位置天文情報の必要性、重要性の認識が高まる。     Gaiaが高精度で多くの星を測定できないバルジや星形成領域に対する     赤外線による位置天文情報、さらにGaiaにはできない小型JASMINEの高時間分解能を     活かした位置天文情報の必要性が2010年代後半には高まる。 実際、現段階でもBRAVAやAPOGEEとの連携の他、 ○国際連携:バルジ観測に対して、小型JASMINEと強力な相補的観測データとなるバルジ星  の視線速度と元素組成の観測データ(by  APOGEE-S) :~2018年頃手に入る   *小型JASMINEとAPOGEE-Sは国際連携を結んでいる。 バルジの赤外線位置天文情報の早期提供の要求、期待がある。   小型JASMINEは、可能性がある最速で2017年度頃の打ち上げを目指したい。

§3.各分野での検討 1.国立天文台 2.日本学術会議 ○JASMINE検討室の設置 ○国立天文台第2期中間目標・中期計画、年次計画 天文学の未来に挑む開発プロジェクトという範疇のプロジェクト室(Aプロ)として、JASMINE検討室設置が承認され、現在に至っている。 ○国立天文台第2期中間目標・中期計画、年次計画 第2期中期計画(平成22年度~27年度)では、“地上からの天文学を軸としてスペース天文学も含めた将来の観測装置に必要な基礎的開発研究の推進を図る。”とスペース天文学の開発研究を進めることがうたわれ、平成24年度年次計画には、“将来の位置天文観測衛星の実現に向けて検討・基礎技術開発を進める。”と記載。 ○研究計画委員会(台外委員も約半数含む)による毎年度のプロジェクト評価 小型JASMINEに関しては、体制やコミュニティの拡大に関してご意見を受けつつ、計画自体に対してはシステム検討や基礎開発実験が確実に行われており、活動は高く評価される、とのご意見を頂いている。 2.日本学術会議   日本学術会議物理学委員会、天文学・宇宙物理学分科会、天文学・宇宙物理学長期計画小委員会が平成22年に発行した「天文学・宇宙物理学の展望と長期計画」の光・赤外観測装置の長期計画の箇所においてJASMINEの記述ならびに“小型衛星で先駆的研究、中型衛星で完全実現をめざす。”と小型JASMINE計画が記載されている。

3.光赤天連 4.国立天文台光赤外専門委員会 ○”2010年代の光赤外天文学” (2005年度) ○小型JASMINEのあらたな検討 光赤天連での議論やシンポジウムを経て2005年度に発行された”2010年代の光赤外天文学”では、検討の総括として、”SPICAに加えて、JASMINE計画とJTPF計画についても早期の実現をはかるべきであり、宇宙研の理学委員会のもとに設置されている各WGを軸に計画推進が望まれる”という実現に向けてのご支援を受けた。   その後、早期実現を目指して検討を進めた結果、 ○小型JASMINEのあらたな検討 従来は中型衛星規模のJASMINEを中心に検討していたが、その技術的実現性、コストとJAXAの予算状況、他のプロジェクトの状況などを鑑み、有識者のご意見も参考にして、小型科学衛星をもちいた小型JASMINE計画を当面は集中して進めることとした。小型科学衛星を用いる理由は、中型衛星より早期実現が可能というだけではなく、銀河系中心付近など科学的に重要かつ関心が非常に高い領域のみに絞って、近赤外線で世界最高クラスの10μasの精度で世界に先駆けて位置天文観測を行うのは、小型科学衛星を用いるのが“最適”であることも明確になったからである。小型JASMINEの検討へ軸足を移したことに関しては、2008年8月の光赤天連シンポジウムで発表を行い、引き続きの支援、協力をお願いした。 4.国立天文台光赤外専門委員会  国立天文台が光赤外天文学コミュニティからのご意見を伺う正式な委員会として光赤外専門委員会が設けられているが、その委員会において小型JASMINEの進捗状況の報告を随時行い、適切なアドバイス、ご意見を受けつつ検討を進めることができている。

5.その他の国内コミュニティとの議論 ○赤外線位置天文観測を用いたサイエンス検討 1.赤外線位置天文観測計画自体に関しては、今までに国内で主催したいくつかの研究会、およびその他の研究集会、学会、さらには国際会議などを通じて、サイエンスコミュニティとの議論を重ねてきた。 2.小型JASMINEサイエンスワーキンググループメンバーとの濃密な検討も進めている。 3.国内でJASMINEグループが主催または共催し、JASMINE計画に関する情報提供、意見交換などを行った主たる研究会等は以下の通りである。 *平成12年度国立天文台研究会「高精度アストロメトリ観測で拓く宇宙物理学」 *平成13年度国立天文台将来計画委員会「アストロメトリ衛星WG&光赤外将来計画WG合同ミーティ   ング」 *平成18年度国立天文台研究会「銀河系2006」 *平成19年度国立天文台研究会「高精度アストロメトリ観測の時代を迎えた21世紀の天文学」 *平成19年度日本天文学会秋季年会企画セッション「高精度多波長観測と理論による銀河系の包括的研究」 *平成21年度~24年度にかけて毎年度、「JASMINEワークショップ」を開催。 また、上記以外にも数々の研究会、学会、宇宙研での宇宙科学シンポジウムや小型科学衛星シンポジウムにおいて、JASMINEに関する情報提供と意見交換を重ねてきた。

5.小型JASMINEの世界のコミュニティでの位置づけ(評価、支援) *2009年8月:IAU総会でのCommission 8(世界の位置天文コミュニティ)のmeeting@リオデジャネイロ:  小型JASMINEに関して世界に対して初めて発表を行った。その結果、Commission 8のPresidentから、強いサポートを頂けることとなった。 *2009年9月:ハイデルベルグで開催された銀河系に関する国際会議:  発表を行うとともに、専門家との意見交換を行った。その結果、多くの方から、小型JASMINEの科学的意義、必要性を認めていただいたとともに、小型JASMINEとは相補的なデータとなる、銀河系バルジの星々の視線速度と化学組成の観測を開始している、米国UCLAのM.Rich氏のBRAVAプロジェクトチームとの国際的な連携を開始することで合意が得られた。 *2009年12月にUCLAに訪問: BRAVAとの連携や小型JASMINEで拓くサイエンスに関しての詳細な議論を行った。 *2010年5月にオーストラリア訪問:   もう一つの国際連携プロジェクトである、ARGOSを行っているオーストラリアのチームを訪問し、詳細な議論を行い、連 携を深めることとなった。 *APOGEEとの連携構築: APOGEE計画のPIであるS.Majewski(バージニア大学)より、APOGEEの継続的発展として、バルジ観測に適した南天の望遠鏡にAPOGEEと同じ高分散分光器を取り付け、バルジ観測を行うAPOGEE-S計画を共同でプロポーザルを出すことを提案された。その結果、共同プロポーザルの提出を米国で既に行った。順調にいけば、2018年頃には観測データを得ることが可能となる予定である。なお、2012年1月には、バージニア大学を訪問し、APOGEEチームとの情報や意見の交換を行い、今後の協力体制の強化を確認した。さらに、バルジの測光観測を開始したVVVプロジェクトとも連携を組むことになり、小型JASMINE,APOGEE、VVVの3つのプロジェクトによる国際連携でバルジ研究の強化体制が組まれることとなった。 *2012年8月に北京で開催されたIAU総会でのCommission8(位置天文学)のサイエンスミーティング  小型JASMINEへのサポートが表明された。また、Gaiaチームからもその実現に対しては支援をいただいている。Gaiaのリーダー(Project Scientist)であるT.Prusti(@ESA)から、Gaiaが得意ではない星形成領域観測の示唆をいただいた。 以上、世界のサイエンスコミュニティからの評価は高く、その期待に応えるため小型JASMINE計画を進めてきた。

§4.予算計画 (i)小型科学衛星の予算条件 (ii)小型JASMINEのミッション部予算見込み 宇宙研の小型科学衛星の予算は、  *ミッション部(観測系システム及びバス部の改修や追加オプション使用の場合はその費用も含む)は   約10億円以内  *バス部(標準バスを使用することが条件)が約30億円  *イプシロンロケットによる打ち上げ経費が約30億円   なお、ミッション側の研究者が采配できるのはミッション部の予算のみである。 (ii)小型JASMINEのミッション部予算見込み *詳細なコスト数値(内訳)に関しては提出した資料を参照 ミッション部の検討、概念設計に関しては、JAXAのエンジニアの方達のご協力の他、企業連合による開発体制を整えてきた。全体のとりまとめ、光学系担当、ミッション部構造担当、熱設計担当、熱環境担当、電気系担当、防振担当の企業も決まり、検討が進んできたが、コストに関してもミッション部構造担当企業と全体のとりまとめ担当の企業により、ミッション部の見積もりが出されている。 *なお、見積もりコストは、観測目標を達成するために必要な観測系システムへの要求を満たすシステム機能やコンポーネントを有する衛星仕様の概念設計、およびその技術的実現性(TRL4以上)をすべて考慮の上に見積もられたコストである。 *また、NECとバス部とのI/Fに関わる約30項目に渡る懸念事項に対して、1つ1つ検討を行った結果、バス部への変更を要求する必要はなく、またバス部とのインターフェース条件も満たすため、バス部との関連では、上記表以外のあらたなコスト増はほとんど無い見込み 現時点では、約8億円(EM, FMの製作、試験費用を含む)

参考:概算要求について 1.宇宙研での小型科学衛星ミッションに応募(24年度中に宇宙研が公募予定)。 概算要求に行くまでの過程(見込み) 1.宇宙研での小型科学衛星ミッションに応募(24年度中に宇宙研が公募予定)。 *小型科学衛星はシリーズものとして開始されたが2号機の選考以降、2年間ほど公募は行われていない。また、事情によりシリーズは終了する見込みだが、小型科学衛星の枠として3号機相当の公募が24年度中にある予定。この3号機相当に採択されると最速2017年頃の打ち上げとなる。 *小型科学衛星は、標準バス(NEC社)を用いること、さらに、JAXAの新固体ロケットであるイプシロンロケットによる衛星打ち上げが条件となる。予算もバス部や打ち上げ経費を除いて、ミッション部(観測装置を含む観測系システム)の予算は約10億円以内というコスト制限がある。なお、ミッション要求による標準バス部の改修やバス部とのインターフェース条件によりミッション部に改修が必要な場合はすべてミッション部側のコストに含めなければならない。 *宇宙研で設置が認められている小型科学衛星ワーキンググループに応募資格がある。現時点で13個のワーキンググループ(光赤外天文学関連は小型JASMINEのみ。あとは、X線天文学、重力波、工学ミッションなど)があり、小型JASMINEワーキンググループもそのうちの1つとして設置が2009年1月から認められている。   2.宇宙研での専門的な選考委員会で、サイエンス・衛星システムの概念設計・技術的実現性・コストなどに関する選考審査が行われる。応募したワーキンググループの中から選抜される。 3.宇宙研で選抜されると、JAXA内でのいくつかの審査を経て、概算要求を出すことがJAXAのトップレベルで決定する。 4.JAXAから文科省の宇宙開発利用部会を経て、内閣府宇宙政策委員会に計画が出され審議される。 5.その後、財務省への概算要求となる。

§5.開発体制計画  主要推進組織:国立天文台JASMINE検討室、JAXA/宇宙研、研究開発本部、京都大学理学部 * JAXA/宇宙研の小型科学衛星専門委員会のもとにJASMINE-WGが2009年1月から設置されている。  その他の協力組織: ○国内サイエンスWG:  JASMINEチーム以外の研究者有志(25名)からなるサイエンスWG (代表・梅村雅之(筑波大))が別途形成され、具体的な科学的成果の検討が進んでいる。            バルジ班:長島(長崎大、チーフ)、巨大ブラックホール・銀河中心班:梅村(筑波大、チーフ)、 コンパクト天体班:植村(広大、チーフ)、星班:西(新潟大、チーフ)、 系外惑星班:浅田(弘前大、チーフ) ○国内企業グループ: ミッションシステム全体:A社、光学系:B社、構造:C社、 熱:D社、電気:E社、 (バス部:NEC社) ○海外協力グループ: *上海天文台など:  科学データの中国での受信協力 *JMAPSグループ@米国海軍天文台: 指向安定性、   迷光などの共同検討 *Gaiaデータ解析グループ:小型JASMINEのデータ解析   への協力 *APOGEEチーム(PI: S.Majewski) とのAPOGEE-S計画  (南半球での高分散近赤外線分光観測)への  共同プロポーザル提出   PI:郷田、ミッション部プロマネ:山田(京大)、ミッション部開発総括:小林、総括補佐:矢野 さらに、ミッション部サブシステムには責任者を割り当て、企業連合体制も組んでいる。また、研究員2名のほか、 専門的知識、経験豊かな支援員を2名雇用中。将来的には、特定契約職員クラスの2名程度の増員を希望。    *Michael Perryman氏(Univ. of Bristol(UK))が正式メンバーに加入(expert adviser)  ヒッパルコスのリーダーかつ2007年までGaiaのリーダー *RISE月惑星探査プロジェクト(NAOJ)が開発、試験の協力予定 *WISHチームとの連携協力もスタート。

★現在想定しているスケジュール 2012年度:JAXA宇宙研での小型科学衛星ミッション応募(24年度末頃の見込み?)に備えて、      小型JASMINEの概念設計、技術実証実験、コスト評価、科学的成果の検討、      ミッション提案書の作成 2013年度:(JAXA宇宙研で小型科学衛星のミッション応募が予定通り24年度中に行われたとして)        小型科学衛星の3号機相当の選考審査を受ける。        もし採択され、予算がついた場合は、詳細設計、開発を開始。         さらに、サイエンス検討、国際協力の進展を進める。  (不採択の場合は、審査結果に応じて概念設計、技術課題などの見直し、改善を行う)  *以下は、3号機相当に採択された場合の(最速)ケースを想定したスケジュール 2014年度~2017年度頃:小型JASMINEの詳細設計、開発、EMの製作、試験、             フライトモデルの製作、試験、 地上局、運用の準備。データ解析準備。 2017年度頃:小型JASMINE衛星の打ち上げ、運用開始 2017年度頃~2019年度頃:衛星の運用、データ解析 2019年度頃~2021年度頃:小型JASMINEのデータ解析、カタログの製作            (2020年度頃にfirst versionのカタログを公開) 2021年度頃:最終カタログの公開、ミッションの終了。

§6.人材育成、基盤整備 (i)位置天文観測データを使ったサイエンスの展開と人材育成 Gaia(2013年打上)、Nano-JASMINE(2013年打上)、JMAPS(2015年打上)、そして小型JASMINE(2017年打上目標) 今後、質、良ともに画期的な多数の星の位置天文データが手に入る時代に突入 * 地上観測でも、電波干渉計であるVERA、VLBAの活躍でメーザー源に対する高精度観測が進行中。 *将来計画としてTMTやWISH、SKAでも位置天文観測がサイエンス目標の1つとなりつつある。 距離や星の3次元分布および3次元的運動の高精度観測データを使った研究は今後、世界でかなりの注目を浴び重要性を増す。  *銀河系力学構造のみならず、ダークマター分布やその正体、銀河系形成史、恒星物理、変光星、高エネルギー天体    の連星系、星形成、系外惑星、重力レンズなど、様々な分野と関連し、多くの天文学、天体物理学の分野で画期的    な進展が期待。 現在は位置天文データを使う日本のサイエンスコミュニティは大きくはない。しかし、今後はGaiaを打ち上げるヨーロッパを中心に世界的に大変盛り上がることは必至である。そのような時代を迎えるに当たり、日本でも位置天文情報による科学的創出をおおいに出すべき。      JASMINEを通じて我が国でも独自の観測データが取得できることが重要。独自にデータがあることは国内コミュ      ニティの関心をよぶ。      小型JASMINEの推進は、こういった新しい分野での研究者の人材育成をしていける良い機会だと考える。 *JASMINE検討室では、院生の教育、研究員の雇用を通じて、努力を開始している。また、小型JASMINEやNano-JASMINEで拓けるサイエンスを検討するための科研費基盤A(郷田代表)が採択されており、それをもとに研究会などを開催し、研究の拡大に努めている。

(ii)光赤外天文学のスペースミッション推進:衛星検討、設計、実験、試験、運用 光赤外天文学のスペース計画:WISH、SPICA(中型・大型衛星規模の計画) スペース計画を進められる人材の拡充(技術開発、マネージメントなど)がコミュニティにとっても重要な 課題   *スペース計画独自のノウハウの蓄積や経験も必要であるため、人材育成はたやすくはない。   *一方、中型、大型計画は実現まで時間がかかり、体制の維持、人材育成の持続に問題もある。 人材育成のためには、早めにできる可能性がある衛星(小型や超小型)開発で実際に経験を積むことも重要小型科学衛星は適していると考える。 小型JASMINEも光赤外コミュニティでのスペース開発の人材育成の場としても捉えてもらい、育った人材を今後のWISHやSPICA計画などの推進に活かしていただきたいと考えている。 (iii)世界での位置天文学研究者の育成:日本への期待  位置天文学は地味だが、天文学、天体物理学の多くの分野のベースを支える重要な分野。  ただ最近、コミュ二ティサイズは世界的にも大きくはない。しかし、Gaiaや今後の画期的な位置天文観測  時代を迎える。 位置天文学の知識、データ解析方法、観測技術に関するノウハウをもち、今後の進展に寄与してもらえる後継者の養成が課題となっている。そのため、Commission8から(後継者育成にもつながる)JASMINE計画を推進している日本への期待も大きい。 そのため、GaiaやJMAPSチーム等からの小型JASMINEへの協力、支援が積極的に行われている。

○地上の位置天文観測との連携:VERAとの科学的成果の連携 ○地上の計画との連携: ★ 国内の他の計画との関連 ○スペース計画との関連、連携     *月面天測望遠鏡(ILOM)計画@RISE月惑星探査検討室との協力:    現在:共同実験(星像中心決定実験)や情報交換(迷光対策など)    今後:小型JASMINEの開発、試験をサポート予定 *WISH計画との協力、連携:情報交換、共通の技術課題対策(検出器など)                    広域赤外線位置天文観測での連携 *Solar-C計画、SPICA計画との協力:情報交換(迷光対策、アウトガス対策、指向安定性など) ○地上の位置天文観測との連携:VERAとの科学的成果の連携 ○地上の計画との連携:   *TMTとの位置天文観測に関するサイエンス連携:    IRISによる高精度(30μ秒角)狭領域(17秒角×17秒角)での相対位置天文                  非常に暗い星まで測定可能   *かぐら(重力波)計画との協力:情報交換(迷光対策、アウトガス対策)

参考:将来のビジョン 小型JASMINE以降は? (中型)JASMINE計画 光学系: Modified Korsch System (3mirrors) 観測波長:Kwバンド(1.5 ~2.5 ミクロン) 主鏡口径: ~80cm  焦点距離: 14.4m 視野:0.9°×0.9° 検出器: HgCdTe  検出器サイズ: 4.1cm×4.1cm(2k×2k) ピクセルサイズ: 18 micron ピクセルの角度スケール: 286 mas 検出器個数: 36(6×6)   近赤外線で高精度(10μ秒角)で測定する領域をより広く(バルジ領域全体の方向) より大きな予算、人員体制が必要となり、 単独のミッションとしては大きすぎる。 そこで。。。。

◎ JASMINEチームとしては、全面的な国際協力も視野にはいれているが(例:Post-Gaiaとのマージ)、 可能ならば、国内の他の計画とのマージも検討したい(候補例:WISH計画)。 *スペース計画は、それ特有の技術、実験、実証、経験が必要。  また、長期にわたり、体制の維持も大きな問題。 スペース計画チーム同士の協力、連携も必要かつ重要 小型JASMINE(&Nano-JASMINE)での経験、技術的蓄積をもとに、国内での他の光赤外スペース計画への協力、連携に貢献したいとも考えている。 JASMINEチームとしては、国際協力も視野にはいれているが、 ★JASMINE計画とWISH計画とのマージを含めた   連携について検討を行っていく。

ご審議をよろしく御願いします。 先ずは、宇宙研での審査(他分野の小型科学衛星WGとの競争)。        ご審議をよろしく御願いします。 先ずは、宇宙研での審査(他分野の小型科学衛星WGとの競争)。 光赤外コミュニティからの強いサポートを御願いします。 関連ホームページ JASMINE計画のHP: http://www.jasmine-galaxy.org/index-j.html ScholarpediaでのJASMINEの記事:http://www.scholarpedia.org/article/JASMINE Jasmine 25 25