急性腎盂腎炎 急性前立腺炎 肝膿瘍・化膿性胆管炎 感染性心内膜炎 高齢者の肺炎 見落とし厳禁!“fever 5” 高熱のみ型

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急性腎盂腎炎 急性前立腺炎 肝膿瘍・化膿性胆管炎 感染性心内膜炎 高齢者の肺炎 見落とし厳禁!“fever 5” 高熱のみ型 高齢者の発熱は中等度以上の疾患(一見痴呆にみえる症状の77%が感染症であった、という報告もあり )! 発熱の3大原因は肺,尿,皮膚!  ①排尿時痛や頻尿などの下部尿路症状を伴わないこともある。CVATの感度は悪い。若い女性の突然の高熱では多い ②直腸診を行わない限り分からない ③初期は腹部所見をともなわないことも ④塞栓所見は2割ほど ⑤呼吸器症状は現れにくく、食欲低下、意識障害、転倒などを主訴にくる

身体所見上注意すべきところ 結膜 点状出血(心内膜炎)の有無、黄疸(胆管炎)など 口腔粘膜 特に軟口蓋の出血性病変(心内膜炎)の有無 咽頭 咽頭痛・嚥下痛を訴えるときは深頸部感染症の可能性も考え、口蓋垂の偏位や口蓋弓の左右差などを診る 頸部 咽頭の所見とともに血管沿いの圧痛があれば、敗血症性静脈炎を示唆(深頸部感染症に合併) 呼吸音 もちろんcrackleの有無や呼吸音の低下の有無に注意(肺炎) 腹部 季肋部の叩打痛は同部近傍の被膜近くにある病変を示唆 皮膚 出血性の発疹(肺炎球菌や髄膜炎による全身性感染症を示唆) 圧痛・自発痛を伴う紅斑は蜂窩織炎を示唆 背部 脊柱の圧痛や叩打痛から、椎体椎間板炎を疑う 関節 化膿性関節炎など 会陰部 直腸診での前立腺圧痛の有無(前立腺炎) 陰嚢(精巣上体炎:前立腺炎に合併することあり)

感染性心内膜炎の臨床症状の頻度 症状 頻度(%) 発熱 80~90 悪寒、寝汗 40~75 食欲不振、体重減少、倦怠感 25~50 筋肉痛、関節痛 15~30 嘔気、嘔吐 20 頭痛 腰痛 7~15

身体所見の頻度 身体所見 頻度(%) 発熱 90 心雑音 85 心雑音の変化 5~10 新たな心雑音 3~5 動脈塞栓 >50 点状出血(眼瞼結膜、頬・口蓋粘膜、四肢) 20~40 Osler結節 10~23 線状出血(Splinter hemorrhage) 15 Janeway斑 <10 眼底出血(Roth斑) 2~10 脾腫 20~57 ばち指 12~52 結膜出血、Janeway発疹(手掌もしくは足底の圧痛を伴わない扁平な発疹)、Osler結節(指先・足先の皮膚・皮下に現れる有痛性の結節)、Roth斑(眼瞼結膜や網膜に好発する点状出血)など、感染性心内膜炎の身体所見は「必ずある筈だ」と意識して診察しないと見逃してしまうものが多く、医師の臨床能力が問われる疾患である。しかし、実際にこれらの所見が初期から揃うことは少なく、経過中に突然出現することも多い。また、日本における感染性心内膜炎の血液培養陰性率は15~30%といわれているが、これは明らかに高すぎる2)。恐らく不必要な抗菌薬投与や不適切なタイミングでの培養検査などが原因と考える。感染性心内膜炎を疑ったときは毎日しつこく診察し、血液培養を繰り返すことが診断にたどり着くためのカギである。

発熱+皮疹 化膿性髄膜炎(特に髄膜炎菌髄膜炎) 劇症型レンサ球菌感染症 Vibrio vulnifucus感染症 劇症型肺炎球菌感染症 壊死性筋膜炎 SSSS(Staphylococcal Scalded Skin Syndrome;ブドウ球菌熱傷様皮膚症候群) TEN(Toxic Epidermal Necrolysis;中毒性表皮壊死剥離症) Stevens-Johnson症候群 TSS(Toxic Shock Syndrome;中毒性ショック症候群) それほど重篤ではなくとも,薬疹は入院患者の2-3%,外来患者の1%に生じ,常に鑑別に入れるべきである。また四肢の限局した紫斑は血小板や凝固能の低下から生じることがあり,注意を要する。 その他、ツツガムシ病。tsutsugamushiが寄生して生じる急性熱性疾患で,重症化するとDICや中枢神経症状,循環器症状を起こすこともある。 治療はミノマイシン。 重大な合併症を起こすものは感染性心内膜炎。 麻疹,風疹,水痘といった発疹を生じるウイルス疾患は,感染対策の必要性や合併症の可能性を考慮する必要があり,その皮疹の特徴を知っておく必要がある。またこれら以外の特定されないウイルス感染によってもさまざまな発疹を呈する。

特殊な高熱 「突然の高熱」,「関節痛」,「筋肉痛」,「頭痛」 リケッチア症 (ツツガムシ病・日本紅斑熱・Q熱など) ライム病 レプトスピラ症 脾摘後重症感染症 心筋炎 偽痛風 乳幼児:急性中耳炎、川崎病、髄膜炎 セフェム無効! インフルエンザ様の「突然の高熱」,「関節痛」,「筋肉痛」,「頭痛」で始まる疾患として、ツツガムシ病・日本紅斑熱・Q熱などのリ  ケッチア症や、ライム病・レプトスピラ症等があり、「刺し口」や「発疹」などの積極的な聞き取りと全身観察が必要。 ・乳幼児では「急性中耳炎」,「川崎病」,「髄膜炎」を含めて検討する。 ・それでも「大部分はウイルス感染」であることを忘れないこと!

厚生労働省のインフルエンザ診断基準 A.診断した医師の判断により、症状や所見からインフル エンザが疑われ、かつ次の4つの全てを満たすもの   エンザが疑われ、かつ次の4つの全てを満たすもの ①突然の発症、②38℃を超える発熱、③上気道症状 ④全身倦怠感などの全身症状 B.上記の基準は必ずしも満たさないが、診断した医師 の判断によりインフルエンザが疑われ、かつ病原体 診断や血清学的診断によってインフルエンザと診断 されたもの Aの診断基準は他のウイルス性疾患の紛れ込みや、インフルエンザに罹患しても症状が軽微な人は拾いあげられないなどの限界がある 結局、診断がつかないものは「インフルエンザ様疾患」として取り扱われる

インフルエンザの典型的な経過 発熱! 鼻汁・鼻閉 咳嗽・咽頭痛 筋肉痛 関節痛 頭痛 7日前後 1~2日 ・インフルエンザウイルスは核蛋白と膜蛋白の抗原性からA型、B型、C型に分類 ・A型はさらにH1~H15の15種類とN1~N9の9種類の報告あり)ウイルス粒子表面の赤血球凝集素(HA)とノイラミニダーゼ(NA)という2つの糖蛋白の抗原性の違いにより亜型に分類) ・流行しているのはA/ソ連型(H1N1)、A/香港型(H3N2)、B型 ・C型はヒトに感染するが大きな流行は起こしていない ・飛沫感染も接触感染。咳やくしゃみなどのウイルスを伴った飛沫の吸入、ウイルスの付着した共有のコップやドアノブ、パソコンのキーボードなどからも感染 ・マスク、手洗い、うがいを。十分な睡眠や食事、流行時は人ごみを避ける 1~2日の潜伏期の後、突然の発熱(>38℃)・頭痛・全身の筋・関節痛などで発症し、鼻汁・鼻閉や咽頭痛、咳嗽などの呼吸器症状を呈する 通常は、約1週間の経過で自然に軽快する 高齢者や慢性肺疾患などの基礎疾患をもつ患者では肺炎球菌やインフルエンザ桿菌などによる二次性の細菌性肺炎を、小児では中耳炎を合併する場合がある 乳幼児での急性脳症は予後不良(死亡率15~30%) 7日前後 1~2日

流行期における迅速キットの解釈 ~CDCガイドラインより~ 迅速キットB型陽性 迅速キットA型陽性 迅速キットA/B型陰性 恐らくB型インフルエンザ 恐らくA型インフルエンザ ・新型H1N1 ・季節性H1N1 ・季節性H3N2 ・まれに動物由来 インフルエンザウイルス 感染を否定できない 臨床症状・重症度・基礎疾患をもとに抗ウイルス療法が適切か判断する キットが陰性でも症状のある小児の登校、施設内発生の否定、感染管理の手段の決定の根拠に用いてはならない 必要があれば ・ウイルス分離やリアルタイム    PCRなどの確認検査 ・他の診断検査の追加 ・混合感染に対する抗菌薬投与 必要があれば抗インフルエンザ薬を投与 他の診断検査の追加 and/or 混合感染に対する抗菌薬投与を検討 必要があれば抗インフルエンザ薬を投与 亜型の検索 and/or 混合感染に対する抗菌薬投与を検討

抗インフルエンザ薬の効果 有症日数が1日程度短くなる 合併症(肺炎など)は減少しない 死亡率は下がらない 他人への感染を減らすというデータもない(感染期間は縮まらない)

大原則! 発症後5日を経過し、      かつ解熱した後2日間 学校保健法の改正に伴う変更

罹患中の注意事項 暖かい場所で安静にして、水分を十分に摂る.身体を冷やさない 空気の乾燥に気をつける.マスクを着用するなどの方法で喉の湿度を保つことが重要 外出は避ける.うつす/うつされる機会をなるべく減らす インフルエンザウイルスは熱に弱いので、微熱はあえてとる必要はない(熱が高く苦しい場合などには適宜、解熱剤を使用する) 食事が摂取できないなどの場合は補液が必要となるので、医療機関を受診する 

“急性” 微熱倦怠感 初期の急性肝炎が隠れている! 肝障害を随伴する急性感染症:麻疹、風疹、伝染性単核球症(EBV、CMV、HIV)マイコプラズマ、亜急性感染性心内膜炎など 薬剤性肝障害も多い 劇症型1型糖尿病の可能性は??? 急性:最も多いのは非特異的なウイルス感染症であるが、急性・劇症肝炎の初期もしばしば“かぜ”様で局所症状のない強い「倦怠感」を訴える。尿の色・服薬歴に注意し、結膜の色調と右季肋部痛、検尿を参考に診察をすすめる。肝障害を随伴する急性感染症として麻疹,風疹,伝染性単核球症,HIV感染急性期,マイコプラズマ感染症等がある。薬剤性も当然考慮。細菌性心内膜炎もこの型に入ることに注意! 慢性:2~4週間以上続く「微熱・倦怠感」があり「かぜが治らない」と訴えて受診するケース。医学的には“かぜ”とは判断し難い。炎症の評価をし、陰性なら過労,ストレス病,心身症,うつ病,神経症,慢性疲労症候群など、陽性なら細菌性心内膜炎,亜急性甲状腺炎,慢性Q熱,膠原病,悪性腫瘍などの鑑別をすすめる。

“慢性” 微熱倦怠感 まずは炎症反応(CRP、ESR)の確認 陽性なら細菌性心内膜炎、亜急性甲状腺炎、慢性Q熱、膠原病、悪性腫瘍など 「風邪がなかなか治らないんです」パターン まずは炎症反応(CRP、ESR)の確認 陽性なら細菌性心内膜炎、亜急性甲状腺炎、慢性Q熱、膠原病、悪性腫瘍など 陰性なら過労,ストレス病,心身症,うつ病,神経症,慢性疲労症候群など 薬剤性の可能性は? 急性:最も多いのは非特異的なウイルス感染症であるが、急性・劇症肝炎の初期もしばしば“かぜ”様で局所症状のない強い「倦怠感」を訴える。尿の色・服薬歴に注意し、結膜の色調と右季肋部痛、検尿を参考に診察をすすめる。肝障害を随伴する急性感染症として麻疹,風疹,伝染性単核球症,HIV感染急性期,マイコプラズマ感染症等がある。薬剤性も当然考慮。細菌性心内膜炎もこの型に入ることに注意! 慢性:2~4週間以上続く「微熱・倦怠感」があり「かぜが治らない」と訴えて受診するケース。医学的には“かぜ”とは判断し難い。炎症の評価をし、陰性なら過労,ストレス病,心身症,うつ病,神経症,慢性疲労症候群など、陽性なら細菌性心内膜炎,亜急性甲状腺炎,慢性Q熱,膠原病,悪性腫瘍などの鑑別をすすめる。

『随伴症状のない発熱』を診た時に想起すべき疾患 薬剤熱 結核(特に粟粒結核) 膠原病                       SLE, polyarteritis nodosa(PAN), 成人Still病, 大動脈炎症候群,リウマチ性多発筋痛症,側頭動脈炎  感染性心内膜炎 慢性尿路感染症 インフルエンザ 伝染性単核球症

伝染性単核球症の徴候および症状 症状 徴候 咽頭 75% リンパ節腫脹 95% 倦怠感 47% 発熱 93% 頭痛 38% 咽頭炎・扁桃炎 リンパ節腫脹        95% 倦怠感 47% 発熱 93% 頭痛 38% 咽頭炎・扁桃炎       82% 腹痛、悪心・嘔吐 17% 脾腫              51% 悪寒 10% 肝腫大            11% 発疹 眼瞼浮腫          13% 口蓋粘膜疹          7% 黄疸 5% EBVがB細胞に初感染し、発熱やリンパ節腫脹、肝脾腫などの症状に加え、末梢血に大型の異型リンパ球を認めた場合が伝染性単核球症である。EBVが感染する細胞は主にB細胞であるが、伝染性単核球症の場合に認められる異型細胞は活性化されたT細胞であり、その病態はウイルス感染B細胞を攻撃するCTLの爆発的な動員によるものであろうと考えられている。通常、免疫系の発達が未熟な乳幼児期での初感染は、ほとんどが感染しても無症状で(不顕性感染)、伝染性単核球症と診断されるのは、乳幼児の一部や青壮年での初感染の場合が多くを占める。 伝播形式は唾液を介する直接感染であり、唾液の付着したおもちゃや介護者の手指などを介する間接的感染や、キスによる直接感染、また、輸血によっても感染する。 若年成人において,IMの潜伏期間は約4~6週間。疲労感,倦怠感および筋痛の前兆は,発熱,咽頭炎およびリンパ節腫脹の開始前の1~2週間持続する。発熱は通常高熱ではなく,疾患初期の2週間で最も頻度が高いが,1ヶ月以上持続することもある。リンパ節腫脹および咽頭炎は症候期最初の2週間に最も顕著であるが,第2~3週目には,脾腫がより著明となる。リンパ節腫脹は,後側頚部結節に影響を及ぼすことが最も多いが,全身に広がることもある。腫脹したリンパ節は,しばしば圧痛を伴い対称形であるが,限局されない。咽頭炎は最も顕著な徴候であるが,レンサ球菌性咽頭炎に似た滲出物を伴って扁桃が肥大することがある。通常腕または体幹に麻疹状皮疹または丘疹性皮疹が症例の5%程度にみられる。Ampicillinで治療した患者の多くは,黄斑性皮疹,結節性紅斑,多形紅斑などを認める。患者の多くは2~4週間症状がみられるが,倦怠感および関連する障害は数ヶ月持続しうる。 95%以上に肝機能異常が出現する。

急性下痢を起こす疾患 感染性腸炎:細菌、ウイルス、原虫、寄生虫 食中毒 薬剤性腸炎 虚血性腸炎 神経性下痢 慢性下痢の急性増悪

下痢に正確な臨床診断は不要! 超急性 急性 慢性 便培養 × ○ 抗菌薬 ? 止痢薬 考慮 診断に応じて (数時間) (12時間以上) 原因菌は恐らく100種類以上。検索は無理!(便培養が行われた選択的な群において、培養のわずか2~12%が陽性で、虫卵・虫体検査では0.4~0.7%が陽性であったとの報告あり。)外来では①便培養が必要か?②抗菌薬は必要か?③止痢薬は必要か?の3つのポイントが重要。臨床的には食後数時間での下痢(毒素型)では黄ブ菌,ウエルシュ菌,セレウス菌,ボツリヌス菌を、1日以上経過しての下痢(侵襲型)は腸炎ビブリオ,サルモネラ,カンピロバクター,病原性大腸菌を考える。この内、注意するのはサルモネラ、腸管出血性大腸菌、カンピロバクター(・ジュジュニ)。サルモネラは全身臓器への移行の可能性がある。腸管出血性大腸菌はもちろん溶血性尿毒症症候群(HUS)の原因になるので、高齢者や幼児では注意。カンピロバクターは自然治癒の傾向が強く対症療法で十分なことが多いが、近年ギラン・バレー症候群の原因の32%を占めることが分かってきており、十分な経過観察が必要となる。 原因と考えられる食材を食べて数時間以内の超急性下痢の場合、セレウス菌やブ菌などの常在菌が産生した毒素が原因。ほっとけば1~2日で治る。当然便培養は必要ないし、抗菌薬も不要。止痢薬はケース・バイ・ケース。 12時間以上の場合は細菌性を疑う。時間以外にも熱、悪寒などの全身性の症状はあるか、血便はあるかなども参考にする(毒素型でも脱水で発熱を来たすこともある)。便培養は必要。抗菌薬使用の要否は・・・難しい。カンピロバクターには効果があるが、腸炎ビブリオには効果がないと言われている。また、O-157などの病原性大腸菌では抗菌薬投与で症状が悪化すると言われている。一般的には①症状が激しい時や②免疫力の低下している患者さんには出してもいい。 慢性の下痢の場合は非感染症や寄生虫感染症も考慮する。非感染症なら潰瘍性大腸炎やクローン病、乳糖不耐症など、寄生虫ならアメーバ赤痢やランブル鞭毛虫などを考える。

押さえておくと便利なポイント 吐き気が強い時は多くの場合ウイルス 大腸型:腹痛が強い・渋り腹、血便・粘血便、高熱(O-157の場合は高熱が目立たないこともあり) 小腸型:全身状態は比較的よくシャーシャーの便(微生物や毒素による小腸からの分泌物の増加) 細菌性腸炎でも小腸型なら抗菌薬不要 もちろんゴミ箱診断の『胃腸カゼ』に注意(虫垂炎、下壁心筋梗塞、虚血性腸炎・・・)! 急性の嘔吐と全身症状、鋭い腹痛→ウイルス、毒素産生菌 粘血便、渋り腹、腹痛、発熱、便中白血球陽性→微生物や毒素で腸管粘膜が破壊!→大腸型:Sigella(赤痢菌)、Salmonellaなど 粘血便や発熱なし(あっても軽度)、シャーシャー→微生物や毒素による小腸からの分泌物の増加→小腸型:Vibrio cholerae(コレラ菌)、ウイルス 大腸型で症状が激しければ侵入性大腸菌の可能性も。発症まで16~72時間 小腸型ではセラチアやウェルシュ菌なども。セラチアなんかは8~16時間。その他16~48時間。

ノロウイルス 近縁類のウイルスを含めると成人非細菌性腸炎の約90%を占める 冬に多く、潜伏期は1~2日 急性の嘔吐とその後の軽い下痢が特徴で、軽度の腹痛や微熱も認める ヒト-ヒト伝播が多いが食物性伝播もある ルーチンに使用可能な診断的検査はなく、診断は臨床像でおこなう

調理者が十分に手洗いすること、そして調理器具を衛生的に保つことが最重要 逆性石鹸(塩化ベンザルコニウム)、消毒用エタノールには抵抗性が強いが、手洗いによって物理的に洗い流す 85℃以上1分間以上の加熱!特にカキなどの食品は中心部まで充分加熱する 生のカキを扱った包丁やまな板、食器などを、そのまま生野菜など生食するものに用いない 洗浄と充分なすすぎ→消毒の順番が有効 塩素系漂白剤は有効だが、使用法のエビデンスは少ない 生食用カキの食品衛生法の規格基準においてノロウイルスに関する基準は設定されていない(「生食用」=「ノロウイルスがいない」ではない) 有効なワクチンは開発されていない.また、ウイルスに対する免疫は感染者でも1~2年で失われる 特に調理者が十分に手洗いすること、そして調理器具を衛生的に保つことが重要である。ノロウイルスはエンベロープを持たないウイルスであるため、逆性石けん(塩化ベンザルコニウム)、消毒用エタノールには抵抗性が強いが、手洗いによって物理的に洗い流すことが感染予防につながる。 また、ノロウイルスは60℃30分の加熱では感染性は失われず、85℃以上1分間以上の加熱によって感染性を失うため、特にカキなどの食品は中心部まで充分加熱することが食中毒予防に重要である。生のカキを扱った包丁やまな板、食器などを、そのまま生野菜など生食するものに用いないよう、調理器具をよく洗浄・塩素系漂白剤による消毒をすることも大事である。 洗浄と消毒の順番については第1に洗浄(と充分なすすぎ)、第2に消毒である。この順番を逆にすると効果が弱くなってしまう。 塩素系漂白剤については、至適濃度に関するデータは無い。「濃い原液を使えばより効果があるだろう」という考えもあるし反対意見もある。原液の濃度にもよるが、濃度の高い液はアルカリ性であるため、アルカリに強い菌種では消毒力は薄めたものよりもかなり低くなってしまうケースもある。しかし、ノロウイルスについては細胞内培養法が確立していないため最も不活化されるpHに関するエビデンスがなく、この結果、消毒薬の至適濃度に関するエビデンスもない。現状では説明書通りの使用がよいと考えられる。 生食用カキの食品衛生法の規格基準においてノロウイルスに関する基準は設定されていないので、「生食用」と表示された場合でも「ノロウイルスがいない」という保証があるわけではない。消費期限内であるか否かにかかわらず感染源となる場合もありうる。ただし、自主的に検査を行っている水産加工業者などもかなり増え、カキの生食が一律に危険というわけではない。過剰な反応に対しては風評被害という指摘もされている。もちろん、検査義務が法制化されているわけでも全ての業者が自主検査を行っているわけでもない。そして、自主検査におけるサンプリングの妥当性および出荷見合わせの有効性は確認されていない。よって、一律に安全なわけでもない。厚生労働省や保健所もカキの生食用販売を積極的には禁じていないがカキ等の二枚貝については充分加熱した後に食べるよう呼びかけている。 乾燥した糞便や嘔吐物から飛散したウイルスを吸い込んだり、または接触することにより感染するため、感染者の糞便や嘔吐物を処理する場合は、手袋・マスクを使用し直接手で触れないよう注意し、作業後は手をよく洗うよう心掛ける。汚染物は飛散せぬよう袋に密閉し処分する。汚染された場所を消毒する際、前出のようにノロウイルスは逆性石けんや消毒用エタノールに対する抵抗力が強いため、これらによる消毒はほとんど効果がない。現在細胞をもちいても培養方法が存在しないため消毒つまりウイルス不活化に対する確証は得られていないが、次亜塩素酸ナトリウムに対する抵抗力は比較的弱いのではないかと想像されている。感染者のいる場合、トイレ・ドアノブ・蛇口・手すりなどは汚染しやすい箇所であるため、汚れを落とした後に消毒する。ノロウイルスは症状が消失した後も3~7日(場合によっては2週間以上)はウイルスが排出されることに留意しなくてはならない。消毒対象が布などの耐熱性のあるものの場合、スチームアイロンの活用も有効である。 なお、2010年現在ノロウイルスに対する有効なワクチンは開発されていない。また、このウイルスに対する免疫は感染者でも1~2年で失われるといわれている。原因は免疫抗体価低下説やウイルスが変化するため抗原性が変化するなどの説があるが、まだ確証は得られていない。このためワクチンの開発には困難が予想される。

髄膜炎 ウイルス、細菌、真菌などの他、髄膜癌腫症、SLE、薬剤など様々な原因により起こる 『発熱』+『頭痛』+『意識障害』が三徴だが、すべてが揃うことは全体の2/3以下 『項部硬直』は全体の7割程度に認めるが、高齢者や乳幼児では確認が難しい 細菌性髄膜炎の場合、治療開始の遅れは患者の予後に大きな影響を与える(30分を争う内科救急疾患)

髄膜炎の症候・検査 症候・検査 感度 特異度 発熱 71 45 項部硬直 15-56 56-100 Kernig Sign 9-13 83-100 Jolt Accentuation 97 60 Neck Flexion 81 39 白血球増加 29 56 CRP上昇 50 44 発熱、項部硬直、意識障害が全てなければ、細菌性髄膜炎を否定できる。