6 SBO:活性酸素の名称,構造,性質を列挙できる.活性酸素の構造に基づく生体内反応を化学的に説明できる.活性酸素による障害を防ぐための生体防御因子について説明できる. 活性酸素に関する問題 テキストp.183~ 7.2.1,7.2.2, 7.2.3,7.2.4, 7.2.6 p.186 7.3.

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学年   名列    名前 物理化学  第2章 1 Ver. 2.0 福井工業大学 原 道寛 HARA2005.
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6 SBO:活性酸素の名称,構造,性質を列挙できる.活性酸素の構造に基づく生体内反応を化学的に説明できる.活性酸素による障害を防ぐための生体防御因子について説明できる. 活性酸素に関する問題 テキストp.183~ 7.2.1,7.2.2, 7.2.3,7.2.4, 7.2.6 p.186 7.3

酸素分子は1電子還元されやすく,スーパーオキシドアニオンラジカルが生成する.    酸素分子は1電子還元されやすく,スーパーオキシドアニオンラジカルが生成する.    また,酸素分子を2電子還元するとぺルオキシアニオンになり,そのプロトン化体が過酸化水素である. この二つの化学種を題材に出題.

活性酸素 ・O2- O22- H2O2 ペルオキシナイトライト 過酸化水素 ② ① ③ スーパーオキサイド ぺルオキシアニオン アニオンラジカル ぺルオキシアニオン 過酸化水素 ④ ⑤ ペルオキシナイトライト

問1.スーパーオキシドアニオンラジカルはラジカルの性質を持ち,一酸化窒素と素早く反応する.この時に生成する化学種は,チロシンのフェノール部位や,グアニンの8位をニトロ化する.この化学種の構造あるいは名称は? →テキストp.186  7.3 →2015年期末試験4問3,2013年期末試験3問2

問1.活性窒素種の構造  ペルオキシナイトライト

ペルオキシナイトライトと     チロシン,グアニンとの反応 8位 dG

問2.(反応式)過酸化水素は,生体内で,二つの酵素によって分解促進される.一つは,ぺルオキシダーゼにより還元的に分解される.もう一つのルートは,カタラーゼによって分解促進される.この時の反応形式は?反応式は?    →2013年期末試験3問4,      テキストp.178 (c),プリントp.44

① ② H2O2 ・O2-

問3.(選択問題)活性酸素の酸素―酸素間距離に関して   BOを計算すれば原子間距離の長短は判  断できる. →2015年期末試験4問1,2013年期末試験6      問3,2012年期末試験3問2 →テキスト p.183表7.1,図7.9

Text p.183

問4.(選択問題)スーパーオキシドアニオンラジカルと過酸化水素の性質に関しての設問 二つの化合物の性質の中で,酸化性・還元性というポイントで,二者を比較すると 酸化性を有するのはどれ?還元性を有するのはどれ? →テキストp.183 7.2.1にスーパーオキサイドアニオンラジカルに関する記述がある.過酸化水素に関しては,高校知識レベル.(テキストp.183 7.2.2中の記述)

テキストp.183

7 SBO:錯体の安定性に与える配位子の構造的要素(キレート効果)について説明できる.代表的な錯体の名称,構造,基本的な性質を説明できる. 錯体に関連する設問

問1.[Cu(gly)2]の構造式を問う. 異性体はあるか?(予告済み) (glyの構造は記載されていない)

問2.(穴埋め問題)  二座以上の多座配位子は,一般に単座配位子よりも安定な錯体を生成する. 一般に,キレート環が多いほど安定な錯体をつくる.これをキレート効果という. →テキストp.167,プリントp.59-2,講義時板書の例

キレート環 キレート環

キレート効果 二座以上の多座配位子は,一般に単座配位子よりも安定な錯体を生成. このキレート環形成による安定化をキレート効果という.

二座キレート配位子による 錯体安定性 配位子の種類に関係なく, 一般に, 三員環<四員環<五員環>六員環  キレート環のひずみの程度に基づく

キレート環の数  一般に,キレート環が多いほど安定な錯体をつくる. (例)

キレート構造の安定性 安定性 二座<三座<四座<五座<六座配位子 配位数の多い配位子のほうが            安定な錯体を形成

問3.正八面体錯体における高スピン・低スピン状態の電子配置 Co3+錯体(d6錯体)の高スピン状態と低スピン状態における電子配置を,d軌道の分裂様式と併せて図示できるようにする. 有効イオン半径の大小は? →2013年期末試験7問2,2014年期末試験8問1,プリントp.65演習問題71など

高スピン 低スピン

問4.正四面体型錯体における高スピン・低スピン状態の電子配置       第三回レポート課題で,正四面体型錯体におけるd軌道の分裂パターンを学んだ.これを基に,正四面体型錯体における高スピン・低スピン状態の電子配置を考える(あくまでも理論上,実際には 低スピン型をとることはまれである) 六配位錯体においては,低スピン・高スピンの2つの状態が取れるのは,d4~d7錯体であった. →2013年期末試験7問4,第三回レポート課題

問2.d電子の数による高スピン,低スピン dn錯体(octahedral) 電子配置

d軌道の分裂

8 SBO:医薬品として用いられる代表的な無機化合物,および錯体を列挙できる.DNAと結合する医薬品(シスプラチン)の化学構造と反応機構を説明できる. 金属を含有する医薬品に関する問題

問1.(穴埋め問題)シスプラチンに関する問題(Pt) シスプラチンは,腫瘍細胞内に入り込んだのち,細胞内でアクア化されて,活性種のモノアクア体となる.モノアクア体はさらにもう一回のアクア化により活性体となり,その活性体がさらにDNAのGやAのN7位窒素と配位子交換反応を起こすことにより,1,2-架橋を形成して,細胞の増殖阻害活性を示す.活性種の構造は?細胞内でアクア化が起きる理由は?核酸塩基と配位し交換するときの核酸塩基のドナー原子は?   →テキストp.187 7.4.1(a),プリントp.71~   →2015年期末試験6問2,問3他多数

細胞外では,細胞内より 塩化物イオン(Cl-)濃度が 高い

問2.(反応式)アルミニウムを含有する医薬品には,水酸化アルミニウムゲル,スクラルファートなどがある.水酸化アルミニウムゲルが胃内で,胃酸を中和する際の反応式は?   →プリントp.18下の反応式   →プリントp.23演習問題16(1),2013年期末試験1問4

水酸化アルミニウムゲル[Al(OH)3(H2O)3]が制酸剤として胃酸を中和する時におこる中和反応 化学式の書き方 チャージ 平衡

問3.金属を含む医薬品は,最近増加し注目されてきている.講義に登場した金属含有医薬品のいくつかを挙げ,その医薬品中に含まれる金属種を問う.(知っているか知らなかだろう)  →トリセノックス,ポラプレジンク,オーラノフィン,シアノコバラミン,スクラルファート,シスプラチン,アルジオキサ,炭酸リチウム,フマル酸鉄など,今一度振り返る.

金属含有医薬品 Text p.188 Zn

金属含有医薬品 Text p.187-188 Au

Co 金属含有医薬品 Text p.147-148 シアノコバラミン (ビタミンB12)            (調節性眼精疲労             における微動調節             の改善)

As トリセノックス 再発・難治性 急性前骨髄球性白血病治療薬

9 SBO:代表的な錯体の基本的な性質を説明できる.錯体・キレート生成平衡について説明できる. 配位子交換反応 (説明問題)配位子交換反応には,1.解離機構 2.会合機構の2つがある. 2つの機構を説明できること.特に,中間体に注意すること. →プリントp.64-6, 2014年期末試験9

解離機構(dissociative mechanism) [CoCl(NH3)5]2++H2O → [Co(H2O )(NH3)5]3+ + Cl- Co3+は配位飽和にあるので,入ってくる配位子を収容する軌道がもはやない.そのため,上記のようなまずlabileな配位子であるCl-が脱離した後にアクア化される

[PtCl(NH3)3]+ + I- → [PtI(NH3)3]+ + Cl- 会合機構(associative mechanism) [PtCl(NH3)3]+ + I- → [PtI(NH3)3]+ + Cl- Pt2+のような4配位金属では,上下に利用できる軌道があるので,上記のようにいったん5配位錯体となったのち,labileな配位子であるCl-が脱離して再び4配位錯体にもどる

10 SBO:医薬品として用いられる代表的な無機医薬品を列挙できる.錯体の安定性に与える配位子の構造的要素について説明できる. キレート医薬品に関する問題

金属キレート剤 金属錯体を生成することによって解毒作用を示す リガンド型薬剤

ペニシラミン・トリエチレンテトラミン Cu2+ 除去  ウィルソン病治療薬 Text p.147

トリエチレンテトラミン 4座配位子 1:1の安定な錯体を形成 (キレート効果)

D-ペニシラミン 最大三座配位子

D-ペニシラミン