理想的な画像センサとは 光軸に垂直な平面と相似の像が得られること 幾何学的な相似 測光学的(光の量に関する)相似 h 像が歪んではいけない 収差の例 h 光軸に垂直な平面と相似の像が得られること 幾何学的な相似 像が歪んではいけない 像がボケてはいけない 測光学的(光の量に関する)相似 周辺が暗くてはいけない
1.入射光線と射出光線 を延長して交点を求める 焦点距離の定義 3.入射光線を光軸に近づける 焦点距離 入射光線と射出光線 の交点と,焦点の距離 ↓ 入射光線を光軸に 近づけたときの 極限を取る 薄肉単レンズ 有効径 焦点距離 1.入射光線と射出光線 を延長して交点を求める 2.交点の軌跡が なす曲面を求める 焦点距離=近軸光線(入射光線と光軸の距離の極限を取る)で決定
焦点距離とは 焦点距離は画角を決定する 焦点距離と画面の大きさの関係で画角が決まる 焦点距離長い 焦点距離短い 遠くのものが 大きく写る 写る範囲 が狭い 焦点距離長い 写る範囲 が広い 遠くのものが 小さく写る 焦点距離短い 焦点距離は画角を決定する 焦点距離と画面の大きさの関係で画角が決まる
口径とF値 口径は,絞りの実際の直径ではなく,入射光束の直径である F値=焦点距離/口径 口径 F値が小さいほど明るいレンズである F値が2倍=明るさが1/4 (入射光の量は口径の2乗) 1, 1.4, 2, 2.8, 4, 5.6, 8, 11, 16, 22, 32, 45, 64, …
結像公式(1) レンズに近接した物体ほど,像は像面の後ろ方向に出来る 超重要!! レンズを撮像面から離すことで近くにピントを合わせる 焦点距離 = f 超重要!! a b レンズに近接した物体ほど,像は像面の後ろ方向に出来る レンズを撮像面から離すことで近くにピントを合わせる
ニュートンの結像公式 ⇔ x y a b f f 主点間隔を考える必要がない
前焦点面と後焦点面 後側主点 前側主点 焦点距離 = f 焦点距離 = f b a 厳密には,結像公式 は前側主点からの距 成立する 実際には主点間隔は 無視されることが多い b a
撮影倍率 a b 倍率 被写体と像の大きさの比 M=1 のとき,等倍という
チルト(スイング)撮影 シャインフリューク(Scheimflüg)の法則 通常撮影は,点Sが無限遠点
ボケの量 像面(フィルム面)上のボケの径を錯乱円径と呼ぶ 錯乱円 = circle of confusion
焦点深度 焦点深度=許容錯乱円径以下のぼけを生じる像面でのピントの深さ 近似的に焦点深度は 2・F・ε となる 焦点深度 ε= 1/30mm 焦点深度 焦点深度=許容錯乱円径以下のぼけを生じる像面でのピントの深さ 近似的に焦点深度は 2・F・ε となる ε<<f のため
被写界深度 被写界深度 被写界深度=焦点深度に対応する被写体側のピントの深さ
過焦点距離 ちょうど無限遠が被写界深度に収まるようなときの合焦距離 過焦点距離 レンズつきフィルムやピント固定のデジタルカメラで用いられている
みかけのぼけの大きさ 無限遠からの光のうちレンズに入射するものは,口径に等しい太さを持つ 口径20mm 近距離にピントが合った状態 無限遠からの光のうちレンズに入射するものは,口径に等しい太さを持つ つまり無限遠の点光源のボケの大きさは, 合焦距離に置いた像を基準に考えると 口径と等しい
無限遠でない物体のぼけ d 被写体距離b 口径D 背景距離b’ 背景距離が被写体距離の倍の場合,ぼけの見掛けの大きさは口径の半分
縦収差と横収差 収差は,縦収差と横収差の二種類に分類できる 縦・・・光軸方向(奥行き方向) 横・・・像高方向(画像面内の方向) 縦 横 縦収差(軸上収差) 例:球面収差 横収差 例:コマ収差 収差は,縦収差と横収差の二種類に分類できる 縦・・・光軸方向(奥行き方向) 横・・・像高方向(画像面内の方向)
球面収差(1) 入射高 h の違いによって結像点が縦にずれる 現象(画面中心の像の劣化の要因となる) (縦収差) h 入射高 h に起因する縦収差 入射高 h の違いによって結像点が縦にずれる 現象(画面中心の像の劣化の要因となる) 球面レンズの場合,必ず発生する (非球面レンズで解決可能) 画面中心での量として記述される
歪曲収差 像高(画角)によって結像点が横にずれる現象 (画面全体が歪む) 入射高 h=0 (中心光束のみ) (横収差) 像高(画角)によって結像点が横にずれる現象 (画面全体が歪む) 入射高 h=0 (中心光束のみ) 通常の写真用レンズで許容されるのは 2% 程度まで たる型収差のほうが目立ちにくく,好まれる
像面湾曲 像高(画角)によって結像点が縦にずれる現象 (画面周囲のピンぼけを発生させる) 入射高 h→0,つまり球面収差は関係ない (縦収差) 像高(画角)によって結像点が縦にずれる現象 (画面周囲のピンぼけを発生させる) 入射高 h→0,つまり球面収差は関係ない ただし,どの方向から極限を取るかによって変わってくる(次項の「非点収差」参照)
非点収差 入射高の方向によって結像点が縦にずれる現象 (入射高を h→0 としたとき) 像高方向//入射高方向 メリディオナル像面 M S 非点収差 (縦収差) 入射高の方向によって結像点が縦にずれる現象 (入射高を h→0 としたとき) 像高方向//入射高方向 メリディオナル像面 像高方向⊥入射高方向 サジタル像面
コマ収差 入射高によって結像点が横にずれる現象 入射高//像高 メリディオナルコマ 入射高⊥像高 サジタルコマ コマ収差 (横収差) (メリディオナルコマの例) 入射高によって結像点が横にずれる現象 入射高//像高 メリディオナルコマ 入射高⊥像高 サジタルコマ
軸上色収差 縦に発生する色収差 波長によって(ガラスの屈折率が異なるため) 焦点距離が変化する現象 画面中央の像が劣化する 軸上色収差 (縦色収差) h 縦に発生する色収差 波長によって(ガラスの屈折率が異なるため) 焦点距離が変化する現象 画面中央の像が劣化する
倍率色収差 倍率色収差 (横色収差) 画角によって画像の大きさが変化する収差 画像の周辺部で色のにじみを生じる (中心部は無関係)
色収差の補正 分散の違う2種類のガラスで色収差を相殺 ただし非線形成分は相殺できない
ザイデル5収差の分類 原因 縦収差 横収差 入射高 (光束の太さ) 単 色 収 差 球面収差 コマ収差 像高 (画角) 像面湾曲 歪曲収差 非点収差 色 収 差 軸上色収差 倍率色収差
レンズの設計 全ての面は球面か平面とする レンズの設計パラメータは有限 非球面はごく特殊,簡単に設計できない 各面の曲率(面の数だけ) r1 r2 r3 r4 r5 r6 d1 d2 d3 d4 d5 n1 n2 n3 n4 n5 n6 n7 全ての面は球面か平面とする 非球面はごく特殊,簡単に設計できない レンズの設計パラメータは有限 各面の曲率(面の数だけ) 面の間隔(面数-1) 面の間の屈折率(空気は 1.0)
界面での反射・屈折 反射の法則: 屈折の法則またはSnellの法則: 空気 ガラス
レンズ各面での屈折 用語 O : レンズ面の中心 P: 物点 P’ : 像点 u, u’ : vergence angle s, s’ : 交点距離 r : 曲率半径 目的:s から s’ を計算するような式を得る.
各変数の関係 r s-r 屈折の式 3角形の高さ(上の赤線) 3角形の高さ(上の赤線) 角の関係 入射高
近似による簡単化 h は十分小さいとする(近軸光線) sin(x) x に置き換えることが出来る
導出(1) を用いて右辺分子を整理(i’ 消去) 右辺分母に(4)を代入し また(2)から さらに右辺分母 ri+ru の 右辺分母は ここから,s’ = f(s) の形の式を得る.パラメータは n, n’, r のみ.消去する変数は i, i’, u, u’ の4つ(しかし式は4つ). となるので,代入し,i, u が消え, また右辺分子に (4) を 代入すると(u’ 消去) (3) より となり,最終的に次の式を得る. また(1)より
式の意味 像点 P’ の位置は,物点 P の位置と界面の曲率 r,界面両側の屈折率 n,n’ で一意に決まり,入射高 h すなわちvergence angle u には依存しない これは「像を結ぶ」という現象である ただしこれは,近軸でのみ成立する
アッベの不変量 エルンスト・アッベ (1840-1905) これは,次の式の変形より得られる
レンズ全体の計算 前の界面から順番に計算していけばよい 以下の式で項 x を増やしながら順に計算 (界面の距離だけ像点を移動していく) r1 d1 d2 d3 d4 d5 n1 n2 n3 n4 n5 n6 n7 前の界面から順番に計算していけばよい 以下の式で項 x を増やしながら順に計算 (界面の距離だけ像点を移動していく)
各変数の符号 s, s’, r は式中,逆数として用いられる ∞を取り扱うことができる r r n1 n2 s’ n1 n2
焦点距離 先の式で sx, s’xを順に全て計算する. 焦点距離は次の式で与えられる. 像点(レンズ最終面から像までの距離=バックフォーカス=s’k)から f だけさかのぼったところが後側主点となる.
例題(2) 下図のように半径 50mm のガラス半球を紙の上から50mm 離して設置し観察したとき,紙は本来の位置よりどれぐらい深い位置に見えるか.ただしガラス半球の屈折率は 1.5 とする.(ヒント:公式の符号(焦点の位置,面の凹凸)に注意せよ.平面は曲率∞である.) 50mm 50mm ?
解答 400mm 奥に見える ? 50mm 50mm より S’1 は -75[mm] より S2 は -125 [mm] となる.よって レンズ上面からの距離なので, もとの紙面からは 400mm 下となる ?
解像度,解像力とは どれぐらい細かいものまで描写し得るか 画面内 1mm この例では 8 [lp/mm] 解像度チャート
OTF の考え方 空間周波数とコントラストの関係を表記 レンズに関するボード線図に相当 (ただし位相情報はない : MTF) 1 Optical Transfer Function コントラスト 空間周波数 空間周波数とコントラストの関係を表記 レンズに関するボード線図に相当 (ただし位相情報はない : MTF) Modulation TF
回折による解像度の低下 輝点から星型に光が伸びるのは 回折のため
解像度の限界について エアリーディスクの半径(0次光の半径) F : レンズのF値 λ: 光の波長 F値が小さいほど(明るいレンズほど) λが小さいほど(波長が短いほど) 解像度が高くなる F22, λ=500nm の場合 75line/mm
レンズの周辺光量について 中央が最も明るく,周辺に行くに従い暗くなる 写真用では,通常 50% ぐらいまでが許容範囲 ものによっては 20% を切るものもある 製品例
口径蝕 斜めから入射する光は,各レンズの直径(ふち)によって光がさえぎられる
cos4 則 ケラレがないとき,周辺部の明度は半画角θに対してcos4θ倍になる レンズまでの距離が 1/cosθ倍(2乗で作用) フィルム面から見て レンズが傾いている フィルム面から レンズが遠い(2乗) 1/cosθ フィルム面へ斜め入射 ケラレがないとき,周辺部の明度は半画角θに対してcos4θ倍になる レンズまでの距離が 1/cosθ倍(2乗で作用) フィルム面から見たレンズ開口が楕円形に歪む(1) フィルム面に光が斜めに入射する(同じ光束がより広い面積に到達する)(1) 合わせて cos の4乗分の効果
現象 周辺部照度比 k: 開口効率 入射瞳に拘束がθだけ傾いて入る 光束がフィルム面に傾いて到達する 射出瞳から像点までの距離が長い
フルフレームトランスファ型 転送時に遮光する必要がある(メカニカルシャッターが必要) 開口効率が高い 製造が容易 デジタル一眼レフカメラなどに採用
フレームトランスファ型 蓄積部へ全体を転送してから,ゆっくり読み出すため,垂直転送速度を読み出し速度より高速化することが出来る
インターライントランスファ型 最もポピュラー メカニカルシャッター不要 高速シャッターが可能
フレームインターライントランスファ型 最も高級な方式 放送用カメラなどに採用 スミアが徹底的に少ない
CCDの画質劣化 スミア ブルーミング 熱雑音 強い光が入ったとき,その電子が転送方向に広がること 強い光が入ったとき,その電子が周辺へ広がること 熱雑音 自由電子の熱運動により,光が当たっていないところにも電子が蓄積されること
スミアの発生 遮光の不完全や,フォトダイオードから転送チャネルへの電荷の漏れ出しによる 遮 光 膜 遮 光 膜 遮 光 膜 遮 光 膜 遮光膜
アンチブルーミング 漏れ出た電流を捨て去る「排水溝」を用意 (オーバーフロードレイン)
3板式カメラ エネルギーのムダがなく,感度が高い 色再現性が高い (画素ごとに着色する必要がないため) 各プリズムの界面には「干渉フィルタ」が蒸着により構成されている.干渉フィルタは異なる屈折率の透明物を所定の厚みで重ねることにより,波動光学的に光を反射・透過するので,入射光は波長ごとに反射率が決まり,残りの光エネルギーは透過する. エネルギーのムダがなく,感度が高い 色再現性が高い (画素ごとに着色する必要がないため)
1板式 CCD の各画素に着色 原色フィルタ 補色フィルタ 原色フィルタ (Bayer 配列) 補色フィルタ G R G R G R G Cy Ye Cy Ye Cy Ye Cy Ye G B G B G B G B G Mg G Mg G Mg G Mg R G R G R G R G Cy Ye Cy Ye Cy Ye Cy Ye G B G B G B G B Mg G Mg G Mg G Mg G R G R G R G R G Cy Ye Cy Ye Cy Ye Cy Ye G B G B G B G B G Mg G Mg G Mg G Mg 原色フィルタ (Bayer 配列) 補色フィルタ CCD の各画素に着色 原色フィルタ ○自然な色再現 ×感度が低い(ノイズが多い) 補色フィルタ ○感度的に有利 計算により R,G,B値に変換
X-Y アドレス型撮像素子 それぞれの「スイッチ」に用いられている素子の名称が撮像素子の名称となる (例えば CMOS 型 FET が使われている場合,CMOS センサと呼ばれる) CMOSセンサの基本構成
飛び越し走査(2) 1枚の画像全体をフレームと呼ぶ 1回の垂直走査で得られる画像をフィールドと呼ぶ
カラービデオ信号(NTSC)(2) カラーバースト カラーバースト(色基準信号)からの位相差で色相を表す
NTSC における色の表現 原点からの距離:彩度 回転:色相 R, G, B Y, R-Y, B-Y (R=0.587G + 0.114B 赤 R, G, B Y, R-Y, B-Y (R=0.587G + 0.114B + 0.299R) 青 緑 Y, I, Q (33度回転) 原点からの距離:彩度 回転:色相 人間は Q 軸の解像度が高いことによる
YC分離 色信号と輝度信号を分離すること YC 分離の概念
YC分離の問題点 輝度信号の周波数が高い(縞模様が細かい)と色信号へノイズが乗る(色が付いてしまう) 輝度信号の帯域が制限されてしまう クロスカラー妨害と言う 輝度信号の帯域が制限されてしまう 色信号の解像度が低くなってしまう 色のにじみを生じる
眼球 直径約 24mm 水晶体:レンズ 虹彩:絞り 光学軸:水晶体の光軸 視軸:最も分解能(解像度)の高い軸(光学軸との傾きは約4°) 網膜:フィルム or CCD 中心窩
桿体と錐体 桿体(rod) 錐体(cone) 暗いときに働く 視野の中心にはほとんどない (中心窩では暗いものは見えない) 明るいときに働く 色を知覚する (S-cone, M-cone, L-cone) 3種類しかないので,人間の色知覚は3自由度 視野の中心(中心窩)ほど密度が高い
等色実験(1) 単色光(単一スペクトル光)と見えが等しくなるようにR,G,Bの光源の明るさを変化させる 負の明るさ 単色光(単一スペクトル光)と見えが等しくなるようにR,G,Bの光源の明るさを変化させる R : 700nm G : 546.1nm B : 435.8nm
なぜ「負の感度」が発生するのか(1) × 人間の網膜が負の感度を持つわけではない SML 空間中で滑らかな曲線をなす 実際の各細胞の感度(未知) 感度 M(λ) S(λ) S=∫S(λ)・i(λ)dλ L(λ) 波長 × 試料色刺激 L 強度 i(λ) λ 移動 M 波長 SML 空間中で滑らかな曲線をなす
なぜ「負の感度」が発生するのか(2) i = 700nm(R) だと R≠0, G=B=0 となるはず S i=B i=G L i i=R λ M i = 700nm(R) だと R≠0, G=B=0 となるはず RGB 空間は視神経の興奮度が張る空間より狭いので,例えば B と G の間の波長に関しては R が負の値でなければならないということになる
rg色度座標 RGB の相対値である rg 色度座標へ変換 r = R/(R+G+B), g = G/(R+G+B) L S M R B G i=B r g 一次変換 i=G i=R λ RGB の相対値である rg 色度座標へ変換 r = R/(R+G+B), g = G/(R+G+B) 単色光は (r,g)=(0,0), (0,1), (1,0) の3点を通る
rg色度図と RGB 等色曲線 負の値を持つ関数であることが分かる
XYZ表色系 RGB 表色系の等色関数が負の値を示すことによる不都合を回避するための表色系
xy色度図 XYZの相対値で色を表した座標系を xy 色度座標と呼ぶ x = X/(X+Y+Z), y = Y/(X+Y+Z) 中央付近の線は黒体輻射スペクトルの軌跡(色温度に関連)
知覚に即した色空間 明度,色相,彩度 xy色度座標 極座標を用いた色空間 HSB (Hue, Saturation, Brightness) 知覚的に均等ではない 右図は色の弁別閾の実験例
均等色空間 L*a*b* 非線形変換により,知覚と距離が比較的対応した色空間