入院患者の満足構造に関する理論的・実証的考察 実践報告 入院患者の満足構造に関する理論的・実証的考察 香川県宇多津町瀬戸大橋の近くに位置する 四国医療専門学校 太田美恵子 Yes,I can!
やっぱり患者満足度をテーマにもっと勉強したい! 自己紹介 昭和52年 高松赤十字看護専門学校卒業 昭和52年 高松赤十字病院入職 昭和59年 香川大学医学部附属病院入職 昭和63年 副看護師長昇任 平成4年 看護師長昇任 平成11年 認定看護管理者(第12号) 平成15年 学士(経済学) 平成16年 第1回認定更新 平成20年 修士(経済学) 平成20年 四国医療専門学校入職 平成21年 第2回認定更新希望 リスクマネジメントをきちんと学びたい! やっぱり患者満足度をテーマにもっと勉強したい! 患者満足度調査 入院患者の不満経験の有無と 「入院中の総合満足度」「病院再利用意向」の 関係について 入院患者の満足構造に関する 理論的・実証的考察 稚拙でいいので、読む人にわかる文章を書きなさい! Yes,I can!
自分で「患者満足度」の定義をしなくてはいけない!!! 一番時間をかけて考えたこと Yes,I can! 「患者満足度」の定義は何か? 研究論文には定義が明記されていないものも多い?! 分かっているようで、 分からない。 同じようで、同じでない。 だから、 自分で「患者満足度」の定義をしなくてはいけない!!!
小松ら(2003)は、「満足度は充足度から期待度を引いた差」 気になった患者満足度の定義(その1) 【期待を使って定義 】 山田(2000)は、「満足度は「期待」と「実際」の二次元の構造を持つものと考え、期待と実際のギャップがプラス側にある場合が満足で、マイナス側にある場合が不満足ということになる」 小松ら(2003)は、「満足度は充足度から期待度を引いた差」 Yes,I can!
気になった患者満足度の定義(その2) 【患者の主観的評価 】 長谷川ら(1993)は「受けた医療に対する患者の主観的な評価」 【患者の主観的評価 】 長谷川ら(1993)は「受けた医療に対する患者の主観的な評価」 長谷川(1999)は「患者満足度とは、受けた医療に対してどのような点にどの程度満足できたかという患者の印象を表すもの」 Yes,I can!
マーケティングにおける顧客満足 と 医療サービスにおける患者満足 マーケティングにおける顧客満足の定義は、市場が企業主導型から顧客主導型へとパラダイムシフトしたという変化に合わせて変わっている。 患者満足は、医療サービスが、医師主導型から患者主導型に変化したからという理由では変わらないものであり、患者満足を定義するその人が、患者満足をどのように捉えるかによって、定義づけられると私は考えた。 Yes,I can!
私の考える「患者満足度」の定義 ・患者満足は、入院中に患者が経験したことについての評価 ・患者満足は、入院中に患者が経験したことについての評価 ・従来研究で、患者満足度調査の結果として、期待と比べてどうであったかという認知的な側面の評価が有効であることはわかっているが、感情的な側面から患者満足を評価することも重要である。 Yes,I can!
医療サービスが、患者が持っている期待を上回ったかどうか、そして患者の感情の変化に影響を及ぼしたかどうかの主観的評価である。 私の「患者満足度」の定義 「入院患者の満足度」とは、 医療サービスが、患者が持っている期待を上回ったかどうか、そして患者の感情の変化に影響を及ぼしたかどうかの主観的評価である。 Yes,I can!
入院患者満足構造の概念モデル 世間の評判 期 待 病院選択理由 医療への参加度 再利用意向 患者 満足度 推薦 意向 不安の軽減 入院中に + 世間の評判 期 待 + + + 病院選択理由 医療への参加度 再利用意向 + + + + 患者 満足度 + インフォームド コンセント(IC) + 推薦 意向 + + 不安の軽減 + + 入院中に 受けた医療 + 身体的苦痛の軽減 Yes,I can!
仮説 1-1 ( IC)によって医療への参加度は高くなる。 1-2 ( IC)によって医療への期待が高くなった人ほど 医療への 参加度は高くなる。 1-3 ( IC)によって医療への期待が高くなった人ほど患者満足 度は高くなる。 2-1 入院中に受けた医療によって不安が軽減された人ほど 患者満足度は高い。 2-2 入院中に受けた医療によって身体的苦痛が軽減された 人ほど患者満足度は高い。 3-1 医療への参加度が高いほど患者満足度は高い。 3-2 ( IC)によって患者満足度は高くなる。 ※ 患者満足度は、「推薦意向」「再利用意向」に有意にポジ ティブな影響を及ぼしている。 ※ ( IC)は、不安の軽減に有意にポジティブな影響を及ぼし ている。 Yes,I can!
調査病院の特徴 Yes,I can! 病院名 A病院 B病院 C病院 D病院 E病院 所在地(市)の人口 (人) 418,473 57,772 52,719 167,874 人口密度(km 2 ) 1,116 364 483 10,174 病床数(床) 271 202 420 463 1153 配布調査票(枚) 115 200 114 500 600 回収票数(枚) 56 70 21 145 331 回収率(%) 48.7 35.0 18.4 29.0 55.2 日本赤十字社 私立大学病院 全国社会保険 協会連合会 設置主体 私立 市立 Yes,I can!
郡司(1998)は、病院の評判は患者にとって 重要であり、かつそれはその病院に行けば 良い医療を受けられるかもしれないという 患者満足度と期待 独立変数 病院名 0.369 R 2 =0.118 (2.747) *** F値7.543 0.717 =0.504 (7.342) **** F値53.908 0.373 =0.068 (1.394) F値1.944 0.313 =0.090 (3.501) F値12.254 0.453 =0.202 (8.057) F値64.910 注2)回帰係数の下のカッコ付き数字はt検定量、 R は自由度調整済み決定係数、FはF検定量、 Nはサンプル数である。 注3)**** P<0.001, *** P<0.01, ** P<0.05, *P<0.1で有意である。 期 待 自由度調整済み 決定係数 E病院(N=314) 注1)従属変数は、患者満足度 A病院(N=49) B病院(N=52) C病院(N=13) D病院(N=114) 郡司(1998)は、病院の評判は患者にとって 重要であり、かつそれはその病院に行けば 良い医療を受けられるかもしれないという 期待感の表現であると考えられ、病院の評 判が患者満足度に大きく寄与していると述 べている。 Yes,I can!
病院の評判(期待) これらの 7項目を 期待の内容と考えた。 因子分析結果(病院の評判) 因子 期待 質問項目 1 因子 期待 質問項目 1 この病院の医療水準は地域では高く評価 されている。 0.850 0.723 この病院の医師は評判が良い。 0.805 0.647 この病院の看護師は評判が良い。 0.797 0.635 この病院では、他の病院ではできないよ うな高度な治療を受けることができる。 0.792 0.627 うな高度な検査を受けることができる。 0.768 0.590 この病院は信頼できる。 0.765 0.586 この病院を受診している患者には、大変 満足している人が多い。 0.729 0.531 寄与率 61.9% 因子抽出法: 主因子法 共通性 これらの 7項目を 期待の内容と考えた。 Yes,I can!
病院の特徴と患者満足度 池上ら(1987)の研究では、 病院の経営主体、規模、立地条件などの外的な固定要因は患者満足度と統計的に有意な関係はみられなかったと報告している。 今回の調査結果では Yes,I can! 医師・看護師・治療評価のすべての評価が 患者満足に影響を及ぼしている病院は 大学病院のE病院だけである。
これからの満足度調査 Yes,I can! 池上ら(1987)は、病院間を比較するための共通の項目について合意を得たうえで、各病院のそれぞれの特徴と現在の問題点を考慮した独自の患者満足度のアンケートをデザインすること。そして、患者による評価は業務管理の手段でないことを病院職員に十分理解させる必要があり、アンケートの企画段階からの職員の参加を求め、患者の満足度の調査に積極的に協力する体制を形成する必要があると述べている。
これからの満足度調査 アンケート等の調査は、継続することに意味があり、一度始めたアンケートは、そのままのかたちで継続することで変化を見ることが可能であるため、その病院独自の項目とどの施設でも共通の項目を含めた調査票の作成が有効と考える。 Yes,I can!
これからの満足度調査 従来の調査では、医師、看護師に焦点を当てたものが多いが、今後は、他の職種が患者満足に与える影響を調査することも必要であり、その結果によって、職務満足を高める効果も期待できると考える。 薬剤師・理学療法士・認定看護師・ MSW ・検査技師 ・栄養士・・・・・ Yes,I can!
最後に ありがとう ございました。 Yes,I can!