「メディアSOSガイドブック」 子どもたちの実態と5つの提言 保護者会用 東京都教職員研修センター 子どもたちの実態と5つの提言 パソコンや携帯電話の急速な普及に伴い、子どもたちのコミュニケーションの手段は大きく変化しています。また、正しい情報を見極めたり、適切に情報を選択したりすることが難しい状況におかれているため、子どもたちがインターネット上のトラブルに巻き込まれる事態も起きています。 東京都教職員研修センター
携帯電話所有の低年齢化 ~小6で3人に1人~ 自分専用携帯電話所有率 % ほぼ全員 2人に1人 3人に1人 5人に1人 97.9 55.9 34.3 平成17年度に東京都教職員研修センターが行った調査によると、携帯電話の所有率は高校生が97.9%で、ほぼ全員が自分専用の携帯電話を持っています。中学生は55.9%で2人に1人が持っています。また小学生では、これまでの全国調査を大きく上回り、小学校4年生で5人に1人、小学校6年生では3人に1人が所有しています。 21.9 平成17年 東京都教職員研修センター調査
Q1 子どもたちは携帯電話の メールで、どのような経験を したことがあるのでしょうか? (平成17年 東京都教職員研修センター調査) (平成17年 東京都教職員研修センター調査) それでは、子どもたちは携帯電話のメールでどのような経験をしたことがあるのでしょうか。
チェーンメールを経験したことがある と答えた割合が多い A1 チェーンメールを経験したことがある と答えた割合が多い % 小6で4割以上、中2・高2は9割以上が経験! 高2 中2 チェーンメールは 決して転送しない ように! 小6 調査によると、携帯電話所有者の中で、小学校6年生で4割以上、中学校2年生、高校2年生はともに9割以上がチェーンメールを経験しています。 「同じ文面で5人にメールを出さないと不幸になる。」等の脅し文句が書かれていたり、募金等の協力を呼びかけたりする場合があります。このような場合、無視するなど毅然とした態度を貫くことが肝要です。チェーンメールがきたら決して転送してはいけないことを教えましょう。 チェーンメールがきた(携帯電話所有者中の割合) 平成17年 東京都教職員研修センター調査
知らない人からの携帯電話メール 使用時にメールアドレスが登録、悪用され、架空請求につながることも! % 使用時にメールアドレスが登録、悪用され、架空請求につながることも! ワンクリックだけで登録料を請求されることも! 高2 高2 中2 小6 中2 小6 また、携帯電話を所有している小・中・高校生それぞれの4割~5割の子どもが「知らない人からのメール」を受けた経験があります。このようなメールを開き、ワンクリックしただけで登録料などを請求されることもあります。ほぼ全員が携帯電話を持っている高校生では、半数近くの子どもが「出会い系サイトからのメール」をもらった経験があります。出会い系サイトへのアクセス時にメールアドレスや電話番号が登録され、架空請求につながることもあります。興味本位で返信しないように指導することが大切です。 出会い系サイトからのメール 知らない人からのメール (携帯電話所有者中の割合) 平成17年 東京都教職員研修センター調査
インターネットを使用して 知らない人と直接会ったことのある子どもは、どれくらいいるのでしょうか? Q2 インターネットを使用して 知らない人と直接会ったことのある子どもは、どれくらいいるのでしょうか? (平成17年 東京都教職員研修センター調査) それでは、東京都の小・中・高校生でインターネットを使用して知らない人と直接会ったことのある子どもは、一体どれくらいいるのでしょうか。
携帯電話のメールで知らない人と直接会ったことがある高校生は 16.9% A2 東京都教職員研修センターの調査によると、「携帯電話のメールを通して知らない人と直接会ったことがある」と答えた高校生は、携帯電話所有者のうち16.9%でした。少数ですが小・中学生にもいました。 (携帯電話所有者中の割合) 平成17年 東京都教職員研修センター調査
出会い系サイトによる子どもの被害 6 532 538 1 371 372 0 3 3 172 出会い系サイトに関係 した事件の被害者数 小学生・中学生・高校生の被害者数 出会い系サイトに関係 した事件の被害者数 男子 女子 計 高校生 6 532 538 中学生 1 371 372 小学生 0 3 3 そ の 他 172 18歳以上 204人 (16%) 18歳未満 1085人 (84%) 平成16年度にいわゆる出会い系サイトに関連した事件で被害にあった人は全国で1289人いました。そのうち18歳未満の被害者は84%です。そのうち小・中・高校生の被害者数は、この表の通りです。ほとんどが中・高校生ですが、小学生の被害者もいます。また、情報メディアにかかわる犯罪の容疑者(被疑者)の出会い系サイトへのアクセスの手段は、96%が携帯電話でした。インターネットで知らない人と出会うことにより、犯罪に巻き込まれる危険性があることを、子どもたちに理解させる必要があります。 平成16年度 警察庁調査
1日(平日)のテレビゲームの使用時間 小学生 1~2時間→約20% 2時間以上→約15% 平日のテレビゲームの使用 % 小6 小4 小4 携帯電話、パソコン、テレビゲームなどのメディアに長時間接していると、子どもの心に様々な影響が出てきます。テレビゲームの使用と心との関係を見ると、影響が一番顕著なのは小学生でした。東京都教職員研修センターの調査によると、テレビゲーム使用が1時間~2時間の小学生は約20%、2時間以上の小学生は15%います。 小4 小6 小4 小6 平成17年 東京都教職員研修センター調査
テレビゲームの使用と心との関係 小学生 1~2時間→約20% 2時間以上→約15% テレビゲームの使用が多いと 平日のテレビゲームの使用 1~2時間→約20% 2時間以上→約15% テレビゲームの使用が多いと 我慢をしない、 決まりを守らない このようにテレビゲームの使用が多いと、 「我慢をしない」 「決まりを守らない」 「ひどく怒ったり、乱暴してしまったりする」「友達が悲しい思いをしていてもつらくならない」 等と答える傾向が強く見られました。テレビゲームを長時間使用することにより、対人関係や社会性を身に付ける上で様々な影響があることを、再確認する必要があります。 ひどく怒ったり、乱暴をしたりする 3 友達が悲しい思いをしていてもつらくならない 平成17年 東京都教職員研修センター調査
1日(平日)のインターネットの使用時間 中学生 1~2時間→約20% 2時間以上→約20% 平日のインターネット使用 % インターネット使用と心との関係を見ると、影響が一番顕著なのは中学生でした。東京都教職員研修センターの調査によると、インターネット使用が1時間~2時間の中学生は約20%、2時間以上の中学生も約20%いました。 平成17年 東京都教職員研修センター調査
インターネットの使用と心との関係 中学生 1~2時間→約20% 2時間以上→約20% インターネットの使用が多いと 自分が好きではない 平日のインターネット使用 1~2時間→約20% 2時間以上→約20% 中学生 インターネットの使用が多いと 自分が好きではない 3 このようにインターネット使用が多いと 「自分が好きではない」 「生きていてよかったと感じない」 「自分の体を大切にしていない」 等と答える傾向が強く見られました。インターネットを長時間使用していると、自分を大切にしないなど自尊感情への影響が心配されます。 生きていてよかったと感じない 4 自分の体を大切にしていない 平成17年 東京都教職員研修センター調査
1日(平日)の携帯電話の使用時間 高校生 1~2時間→約20% 2時間以上→約40% 平日の携帯電話使用 % 携帯電話の使用と心との関係を見ると、影響が一番顕著なのは高校生でした。東京都教職員研修センターの調査によると、携帯電話の使用が1時間~2時間の高校生は約20%、2時間以上の高校生は約40%いました。 平成17年 東京都教職員研修センター調査
携帯電話の使用と心との関係 高校生 1~2時間→約20% 2時間以上→約40% 携帯電話の使用が多いと メールやチャットで本当の気持ちを 平日の携帯電話使用 1~2時間→約20% 2時間以上→約40% 高校生 携帯電話の使用が多いと メールやチャットで本当の気持ちを 話せる友達がいる 携帯電話の使用が多いと 「メールやチャットで本当の気持ちを話せる友達がいる」 「テレビドラマで悪役をやる人は、本当に性格が悪い人だと思う」 等と答える傾向が強く見られました。こうしたことから、使用時間が長くなると、携帯電話というメディア機器を介した友達の姿がその友達の本当の姿であると思い込んでしまう傾向が浮かび上がってきます。まずは、対面でのコミュニケーションの充実を図ることが、確かな友人関係を築くことにつながることを教えていくことが重要です。 3 テレビドラマで悪役をやる人は、 本当に性格が悪い人だと思う 平成17年 東京都教職員研修センター調査
5つの提言~上手にメディアと付き合う力を育てるために~ 提言1 まずは実態把握から 提言2 情報の連携から行動の連携へ 提言3 家庭でのルールづくり コミュニケーションの基本は Face to Face 提言4 子どもたちにとってメディアは、とても興味・関心が高いものですが、使用時間や使い方によっては心身に様々な影響を及ぼします。そこで、東京都教職員研修センターがまとめた、上手にメディアと付き合う力を育てるための5つの提言を紹介します。 提言5 大人も学ぼう、マナーと技術
まずは実態把握から 情報の連携から行動の連携へ メディアに長時間接している 友達と遊ぶよりインターネットを好む 提言1 まずは実態把握から メディアに長時間接している 友達と遊ぶよりインターネットを好む 夜中に電話がかかってくるようになった 提言2 情報の連携から行動の連携へ 『まずは実態把握から』です。子どもたちは、メディアに長時間接していないでしょうか。インターネットでどんなことをしているか御存じですか。特にパソコンや携帯電話の使用実態はつかみにくいものです。もし、お子さんに「友達と遊ぶよりインターネットを好む」「携帯電話の料金が急に増えた」「夜中に電話がかかってくるようになった」などということが見られるようでしたら、メディアへの依存傾向が強い可能性があります。まず、お子さんの様子をしっかり見てください。 そして、様子がおかしいと思ったときには、早めに学校などの諸機関に相談し、共に考え、対処の仕方を見いだしていくことが大切です。それがまさに、『情報の連携から行動の連携へ』の重要な視点です。 早めに相談し、ともに考え、対応を!
家庭でのルールづくり わが家のメディアのルール(例) テレビゲームは、1日30分まで インターネットは、1日30分まで 提言3 家庭でのルールづくり わが家のメディアのルール(例) テレビゲームは、1日30分まで インターネットは、1日30分まで 食事中は携帯電話の電源を切っておく 知らない人とのメールはしない インターネットでいやな思いをしたら すぐ大人に相談する 実態把握をした上で、『家庭でのルールづくり』をすることが重要です。東京都教職員研修センターの調査でも、家庭の中でメディアのルールについて話し合っている子どもほどメディア利用時間が短くなっています。ルールをつくる際に大切なことは、一方的に決めるのではなく、子どもたちとよく話し合い、それぞれの家庭に合わせてルールをつくっていくことです。一つ一つのメディアを使う時間を決めることも大切ですが、テレビ、テレビゲーム、パソコン、携帯電話などの使用を合わせた時間が長くならないようにすることも必要です。画面に示した例を参考に、ご家庭でもルールをつくってみませんか。そして、そのルールが守れているかどうか見守っていきましょう。
コミュニケーションの基本は Face to Face 提言4 人や自然と直接触れ合う体験を! 日頃からあいさつを! 家族とともに過ごす時間を大切に! ルールをつくり、守ることにより、メディアに触れる時間を減らし、直接的なコミュニケーションを増やすことができます。そして、そのことは、社会性をはぐくむことにつながります。子どもたちは人や自然と直接触れ合う体験をしているでしょうか。 また、日頃からあいさつができているでしょうか。『コミュニケーションの基本はFace to Face 』です。食事などの子どもとともに過ごす時間を、子どもの心と向き合う機会ととらえ、いろいろなことを話題にして心のキャッチボールをしてみましょう。家族とともに過ごす時間を大切にすることで、コミュニケーションの基礎を培うことができると考えます。
大人も学ぼう、マナーと技術 大人もインターネットを使ってみましょう! (便利さや危険性も分かります) 有害情報を遮断できる 提言5 大人も学ぼう、マナーと技術 大人もインターネットを使ってみましょう! (便利さや危険性も分かります) 有害情報を遮断できる フィルタリングサービスを利用しましょう! 急速に普及したインターネットや携帯電話については、大人自身の経験が少ないこともあり、子どもの使用実態を適切に把握しきれていない傾向があります。そのため、子どもがトラブルや事件に巻き込まれるまで、気付かなかったというケースもあります。そこで、まず大人も実際にインターネットを使ってみて、その便利さや危険性について理解することが大切です。使っていく中で、パソコンは家族共有の場所に置いた方がよいことなどが分かってきます。また、インターネットの有害情報を子どもたちに触れさせないようにするフィルタリングサービスなど安全な使用のための対応をとることも大切です。
子どもたちに育てたい力 子どもが自分で情報を正しく判断し、 適切に使用できる力 適切に使用できる力 重要なのは、子どもが自分で情報を正しく判断し、適切に使用できる力を育てることです。それを大人がしっかり教えていくことが大切です。
「メディアSOSガイドブック」 詳しい情報は、下記のアドレスに または検索サイトに 「メディアSOSガイドブック」と入力 「メディアSOSガイドブック」 詳しい情報は、下記のアドレスに http://www.kyoiku-kenshu.metro.tokyo.jp/sos/index.htm または検索サイトに 「メディアSOSガイドブック」と入力 今回説明した内容の詳細については、「メディアSOSガイドブック」としてインターネット上に公開されています。子どもたちのメディア利用に関する実態や家庭ですぐ使える資料などがたくさんあります。また、参考となるホームページ(Webページ)の紹介もありますので、このアドレスにアクセスし、ぜひ一度ご覧ください。 東京都教職員研修センター