DB連動による貿易文書作成システムの開発 近畿大学理工学部経営工学科情報システコース 電子商取引研究室 01-1-31-601 和田陽介
現在日本の貿易システム シングルウィンドウ化によりNACCS、湾岸EDIシステム、乗員上陸許可支援システムの各システムが相互に接続、連携される。 1回の入力・送信で関係省庁に対する必要な湾岸関連手続きが可能に。 NACCS : 通関手続きの情報システム 湾岸EDI : 湾岸利用に関わる手続きシステム
問題点 国同士のワンステップサービス 民間システムとの接続 直接データ入力
解決策 データベースと連動した貿易文書作成アプリケーションを開発 ・ 人件費のコストダウン ・ 作業時間の短縮 ・ 入力ミスの防止
具体的な方法 iTextを用い、Javaで貿易書類をPDFファイルで作成。 ↓ eclipseにTorqueを組み込みDBと連動 貿易書類に必要なデータを自動取得 eclipce : iText : Torque : 主にJavaはじめとしたオープンプラットフォームのためのオープンソース統合開発環(IDE) オープンソースのJAVA 用 PDF 生成ライブラリ オブジェクト/リレーショナル(O/R)マッピング・フレームワーク。 データベース用プログラムの自動生成を可能にし、開発者はSQL文を直接記述することなく、データベース用アプリケーションの開発を用意に行うことができる。
これまでの進捗内容 紳士服に関する調査 引継作業、環境設定 XMLの勉強 貿易実務に関する勉強、調査 貿易書類の雛型作成 DBのテーブル関係調査 DBへのアクセス実験
外国との取引において 民族、文化が違うように物の考え方、価値観の相違、使用通過まで異なってくる。 日本の法律が、そのまま外国に通用するわけはない。 市場は流動的に活動しているため、価格変動も避けられない。 売買契約をしていても決済が終わるまで支払の保証がない
信用状(L / C): Letter of Credit そこで、 がある。 信用状とは・・・ 商取引で支払いを要する者(買い手)の信用をその取引銀行が補強し、その支払いを受ける者(売り手)あてに発行する保証状 バイヤーに代わって、信用の確定な者が支払を保証してくれれば、安心して取引が行える。
信用状を利用した貿易の流れ 通知銀行 買取銀行 信用状発行銀行 輸出者 輸入者 船会社 保険会社 (クレーム・エージェント) ⑮手形代金の支払 信用状発行銀行 ⑪荷為替手形の送付 ③信用状の発行・送付 ⑩買取代金の支払 ⑨荷為替手形買取を依頼 ④信用状の発行通知・送付 ②信用状発行を依頼 ⑫為替手形の呈示 ⑬手形代金の決済示 ⑭船積書類の引渡し 輸出者 輸入者 ①売買契約の締結 船会社 ⑧保険証券の発行 ⑦貨物保険の契約 ⑥船荷証券の発行 ⑤貨物の船積み ⑲保険金の支払 ⑱クレーム (保険証券) ⑯船荷証券呈示 ⑰貨物の引渡し 保険会社 (クレーム・エージェント)
図1:「貿易取引に使用される主な書類一覧」 [1] 英語 日本語 略語 Invoice 送り状 I/V Bill of lading 船荷証券 B/L Insurance Policy 保険証券 I/P Letter of Credit 信用状 L/C Bill of Exchange 為替手形 B/E Purchase Note 買役書 P/N Packing List 包装明細書 P/L Export Declaration 輸出申告所 E/D Import Declaration 輸入申告所 I/D Air Waybill 航空貨物運送状 AWB Letter of Guarantee 保証状 L/G Dock Receipt 貨物受取書 D/R Delivery Order 荷渡し指示書 D/O Shipping Order 船積み指示書 S/O Arrival Notice 貨物到着案内 A/N Shipping Advice 船積み通知 S/A Certificate of Origin 原産地証明書 C/O Container Load Plan コンテナ明細書 CLP Export License 輸出(許可・承諾)証 E/L Import License 輸入(許可・承諾)証 I/L Letter of Indemnity 補償状 L/I Shipping Instructions 船積み依頼書 S/I Mate’s Receipt 本船受取書 M/R 図1:「貿易取引に使用される主な書類一覧」 [1]
貿易書類の流れ ( ) (クレーム発生時) Application for Negotiation 荷為替手形買取依頼書 *1 P/L *1 P/L I/V I/P B/L 通知銀行 買取銀行 信用状発行銀行 L/C S/A *1 I/V B/L P/L I/P L/C L/C開設 以来書 I/P B/E B/L I/V 海貨業者 通関業者 海貨業者 通関業者 P/L ( ) C/O 輸入者 輸出者 E/D 税関 税関 I/D S/I I/P P/L I/V I/V P/L CY/CFSのオペレータ もしくは船内荷役業者 D/O D/R CLP B/L I/P A/N B/L D/O 船会社 保険会社 I/P (クレーム発生時)
貿易取引のルール 貿易取引は異国間の取引であり、各国はそれぞれの法制度や商習慣をもっていて統一された国際的商法がないため取引内容について様々な解釈がされトラブルが絶えなかった。 国際商業会議所(ICC)で貿易条件の解釈についての国際ルールであるインコタームズの誕生 売手、買手それぞれの ①費用負担の範囲 ②貨物の危険負担の範囲 を明確にしている。
1. Ex Works [EXW](工場渡し) 危険負担、費用負担;工場で渡すまで 2. Free Carrier [FCA](運送人渡し) 危険負担、費用負担;運送人に渡すまで 3. Free Alongside Ship [FAS](船側渡し) 危険負担、費用負担;船側に置かれるまで 4. Free Alongside Ship [FOB](本船渡し) 危険負担、費用負担;欄干を越えるまで 5. Cost and Freight [CFR](運賃込み) 危険負担;本船積み込みまで 費用負担;輸入港まで(除保険料) 6. Cost, Insurance and Freight[CIF](運賃込み) 危険負担;本船積み込みまで 費用負担;輸入港まで 7. Carriage Paid To [CPT] (輸送費済み) 危険負担;航空会社、代理人に引き渡すまで 費用負担;港に到着するまで(除保険料) 8. Carriage Paid To [CIP](輸送費保険み) 危険負担;航空会社、代理人に引き渡すまで 費用負担;港に到着するまで 9. Delivered At Frontier [DAF](国境渡し) 危険負担、費用負担;国境指定地まで 10.Delivered Ex Ship [DES](着船渡し) 危険負担、費用負担;着船で引き渡すまで 11.Delivered Ex Quay [DEQ](埠頭渡し) 危険負担、費用負担;輸入港の埠頭で渡すまで 12. Delivered Duty Unpaid [DDU](持込渡し(関税未済)) 危険負担、費用負担;輸入地の指定場所で渡すまで 13. Delivered Duty Paid [DDP](持込渡し(関税済み)) 危険負担、費用負担;輸入地の指定場所で渡すまで(除関税)
売主の負担 FOB CIF C&F CFR (保険料除く) 危険負担 図2:売主の危険負担と費用負担 [2] 費用負担
これからの課題と研究計画 すべての貿易書類の雛型作成 MarketDB内の内容と関係性調査 実際にDBと連動した貿易書類の作成 貿易文書スタイルの問題 実務での活用 今後の貿易システムの展望を考察
参考文献 [1]よくわかる貿易の実務:木村雅晴 [2]よくわかる貿易実務入門:片山立志 [3]貿易実務がわかる本:宮下忠雄 [4]貿易の取引と実務:高橋靖治