石川県保険医協会・歯科部会 歯周病と糖尿病の研究

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石川県保険医協会・歯科部会 歯周病と糖尿病の研究 今回、歯科検診表(票)を中心に・・・ ●研究の目的により 調査項目・期間が違ってきます ●我々の目指す研究目的を満たす 既存の検診表がなかった ↓ 自ら作ることから始めた

どんな 目的 ①さまざまなレベルの歯周病治療があるが、 ●初めから大規模研究を目指すのでなく、 どんな 目的 ①さまざまなレベルの歯周病治療があるが、  どんな内容の、どの程度の期間の歯科治療が  糖尿病の病態に、どれほどの影響を与えるか ②その逆も  ●初めから大規模研究を目指すのでなく、   小規模(数百人)でも、内容の濃い研究を目的とした   ●歯科治療の種類・内容の違いによる結果の差異   ●歯科治療レベル(再評価で判定)の違いによる結果の差異   ●初期治療の期間とメンテナンス期間との差異   ●歯周病の軽・(中・)重症別の差異 ②歯科治療開始の前・後、メンテナンス長期において、 歯科(歯周病)・医科(糖尿病)治療に要する費用に差異があるのかを調査する

我々の目的にあった歯科調査票を作成することに・・ 今までの調査票  例・・・これはJDCP studyの表(票)ですが・・・・・ しかし、我々の目指すものでない 動揺度 アタッチメントロス BOP 6点法 21  24 44 41  36

(参考) JDCP studyの概要 参考①糖尿病における合併症の実態把握とその治療に関する (参考)     JDCP studyの概要 参考①糖尿病における合併症の実態把握とその治療に関する   データベース構築による大規模前向き研究(JDCP study) 糖尿病患者の合併症に関する実態把握 及び 治療薬の影響 糖尿病患者1万症例を目指す 大学病院 基幹病院 多数の糖尿病患者を診療している診療所が中心 歯科診療施設を有する施設にも 糖尿病の合併症の追跡調査を行うことから 日本糖尿病学界 日本腎臓学会 日本糖尿病眼学会 日本歯周病学会 の4学会の共同で取り組む  5年間のhistorically prospective study  (1)実態調査により標準的な病態・経過・予後の基礎的データの収集  (2)どのような治療が糖尿病の予防に効果的か、    ガイドライン作成時の基礎データを提示する  (3)各種治療の費用対効果の分析により、    効果的治療法を考察するための基礎的データ     

●JDCPや CPITN で採用している指標では、詳細がつかめないと判断。   プロービング圧も20gと決められた。 ●CPIなどでは、我々が目指しているものには不足。 しかし、将来の大規模化に備えて、CPIやJDCPにも対応できるような調査票はないものか・・・・

繰り返しです・・・・ CPITN CPI などは大きな集団(地域)の傾向を把握する には、有効だろうが、 個々の正確な状況を汲み取る指標としては、不適切と判断 また、統計処理をするには、きちんとしたデザインなら 小規模の研究でも、ものが言えるだろう・・と判断 最終的に、大規模を目指すときには、調査項目はできるだけ簡潔にする必要があろうが、当面小規模でよいなら、 そして、協力者を厳選するならば、ある程度 面倒な調査票でも 正確に記載していただけるだろう 石川の方向はこれ! CPI などにも対応できるが、日々の診療にも活用できるし、 研究にも使える調査表を作ることにした。 ただし、CPI方式と異なり、PDの区分は4ー6mmでなく、 4-7mmとなった。

我々の目的にあった歯科調査票を作成・・その1 我々の目的にあった歯科調査票を作成・・その1  我々が目指した調査票(検査表)・・・条件  ①日常保険診療において活用できる ②そのまま、研究用としても代用できる ③CPI(TN)など にも対応できる 試案その1 リンデ氏の分類 を応用 日常臨床的には プラークスコアも あったほうが・・

試案その1

試案その2

試案その3

VS 歯科の指標は火縄銃・・・と某先生が・・ ●ミサイルと火縄銃が合体しても バラツキの大きさは解消しない・・・ここがポイント! ● 医科の指標は近代的ミサイル    VS  歯科の指標は火縄銃・・・と某先生が・・ ●ミサイルと火縄銃が合体しても バラツキの大きさは解消しない・・・ここがポイント!     歯周病の指標は再現性・精度が悪い     何を採用し、何を捨てるか・・     精度を高める必要があります 一般的な歯周病の指標例   ①動揺度  ②ポケットからの出血  ③支持骨の吸収  ④細菌検査  ⑤抜歯  ⑥その他 動揺度は誰も採用していないところを見ると・・ 細菌検査は・・・まだ?

我々の目的にあった歯科調査票を作成(表) 試案その4 (採用)   採用指標 ●排膿 ●骨吸収1/3 1/2 ●BOP ●プラークスコア

我々の目的にあった歯科調査票を作成(表) 特徴 ①16、11、26、46、 31、36の歯番を使えば、  CPI(TN)用にも応用できる ②コンピューター集計用の歯番を記入 ③プラークスコアも書き込めるので臨床用に対応している ④BOP +部は○印でポケットデプス値の数字を囲む   ミリ数は 4と7mmを境界とした。 ⑤骨吸収度を分類している   歯周病の程度を示すものとして、排膿の有無もチェック ⑥36,37、46、47にはヘミセクションに対応したデザインを施した

我々の目的にあった歯科調査票を作成(裏) これで行こうと・・・・

始めは、こんなものを作ってみました・・・

我々の目的にあった歯科調査票を作成(裏面) 特徴 ①治療期間のどの時点で検査をすべきかを明示     (治療の流れを図式化) ②歯周病の程度(軽症・重症)を大まかに分類できるようにした    網掛け部分 ③エンドポイントである抜歯に関して   歯周病治療の効果判定ができるように配慮          ●真に歯周病が原因で抜歯となったのか          ●真に治療効果が悪くて抜歯となったのか  現実的に、微細な違いを評価するために、 もっとも重要な代理エンドポイントとして、BOPを採用 ④DMFTは必須 ⑤大まかなプラークスコアを評価 ⑥フロス使用の有無を採用

歯科治療が歯周病を改善したと評価する項目 検査者間で読み取り誤差が小さくなる工夫を要する      評価が比較的正確になるようにしながら・・・   もっとも大切な指標    BOP+部位が減少・消失→最終的に歯の保存       ↑     治療内容・レベルにより差異があるのか  見極めるには全歯を対象とする必要があるのでは ●歯周病の原因であるプラークを減少させるため・・・・歯磨きのレベルを評価する ●歯石の除去・・・・・・・スケーリング・ルートプレーニング・手術のレベルを評価する メモ)動揺度の改善を評価するのは困難    骨の再生を評価することは困難

数字化できて客観性、再現性が高いと思われる 検査項目を選んだが、・・・・それでも肉眼的所見ばかりで、術者によるばらつきが大きいと考えられる 検査項目の採用に当たっては、 数字化できて客観性、再現性が高いと思われる 検査項目を選んだが、・・・・それでも肉眼的所見ばかりで、術者によるばらつきが大きいと考えられる 数字化するには、術者間で基準の統一化が必要    BOP・・・歯科における検査基準の統一    ●使用するプローブの統一      候補・プレミ アデンタル プロダクツ社(白水社)      WHOプローブ   ●圧力の均一化 ・・・ 20g   ●読み取りの統一     ●出血の有無・程度の評価を統一する

全くの原始的 指標です→

術者の熟練度が必要 各術者間の統一が難しい

どのプローブを採用するか ← CPIプローブ WHOプローブ

医科の研究デザイン担当者から・・のメール 研究のデザイン・統計処理 問診票やチェック票はもう少し大きくして、 チェックボックスか数字の入力にして、 データを自動読み取りにしたいと思います。  項目や形式、レイアウトなど、正式に決まり次第、 帳票を作りたいと思います。  統計解析については、構造化方程式解析も出来るようになりましたので、最新の解析が出来ます。

現在状況は第一段階の準備 歯周病と糖尿病の研究 ○第一段階 病院の内科と同病院内の歯科の連携 (歯科外来で歯周病相談を開始) ○第ニ段階   病院の内科と同病院内の歯科の連携  (歯科外来で歯周病相談を開始) ○第ニ段階  病院内科と近隣の歯科医院との連携 ○第三段階  県下の協力内科医と歯科医の連携

第一段階

糖尿病患者を多く管理している医科の病院などから 歯科の紹介していただく方法が簡単ではないか・・ 逆は症例数を確保することが困難と予想される 第二段階 歯科の研究協力者には 事前の調査方法、調査基準の 統一を図るため、 訓練期間を持つ必要あり 保険医協会がその役を担う

対照群・介入群との群間比較。群内経時的比較 A群 B群 C群・・最も対象者が多い? D群・・歯科×・医科× データを得ることは困難