講義レジュメNo.13 組織再編(2) 合併(吸収合併・新設合併) 会社分割(吸収分割・新設分割) 株式交換および株式移転 3 組織再編概論(後編) 合併(吸収合併・新設合併) 会社分割(吸収分割・新設分割) 株式交換および株式移転 テキスト(11版):第8章
講義レジュメNo.13 組織再編(2) 吸収分割 新設分割 2 会社分割 吸収分割 新設分割
Ⅰ 会社分割の意義と種類 講義レジュメNo.13 組織再編(2) 会社分割:会社が事業に関して有する権利義務の全部または一部を、既存の他の会社または新たに設立する会社に承継させることにより、1個の会社を複数の会社に分離独立させること 前者を吸収分割といい、後者を新設分割という 吸収分割は、グループ企業または純粋持株会社傘下に統合された複数の事業会社における重複する事業部門を各子会社に集約し、組織全体を機能別に再編成するような目的に適している。 新設分割は、複数の事業部門を有する会社が、各事業部門を分離独立させ、スリム化することにより、経営の効率化を図るのに適している。 このように、会社分割制度は、①企業の競争力を高めるために、特定の事業部門を独立専業化させ、経営の効率化や合理化を図る、②不採算部門を切り離し、収益性を向上させるなど、簡易・迅速に事業の分離・統合を図ることができる企業再編のための組織法的行為である。
講義レジュメNo.13 組織再編(2) 会社分割の分類 吸収分割・新設分割:分割をなす会社(分割会社)の権利義務を承継する会社が、既存の会社(承継会社)か、新たに設立される会社(設立会社)か、という観点での分類 設立会社または承継会社の株式が分割会社の株主に割当てられるか(人的分割)、分割会社に割当てられるか(物的分割)、という観点での分類 1個の会社が行うか、複数の会社が共同で行うか、という観点での分類ができる(後者を共同分割と呼ぶ) 会社法は、会社分割を物的分割に統合して規定し(758④、763⑥)、いわゆる人的分割は物的分割の実施後に分割会社が剰余金の分配として承継会社または新設会社の株式を分割会社の株主に分配する(現物配当)ものとされた(758⑧、763⑫)。ただし、旧商法における人的分割との整合性をはかるため、この場合には剰余金分配に関する財源規制は、適用されない(792、812)。
図3 会社分割の概要(1) 新設分割と吸収分割 新設分割 B事業部門 新たに設立する会社(設立会社) 吸収分割 A+B事業部門 甲会社 A事業部門 分割会社 乙会社 C事業部門 分割をする会社 (分割会社) 承継する会社 (承継会社) B+C事業部門 承継会社
図4 会社分割の概要(2) 物的分割と人的分割(新設分割の例) 図4 会社分割の概要(2) 物的分割と人的分割(新設分割の例) A+B 株主 B 分割会社 設立会社 A (2)Aが取得したBの株式を分割会社の株主 に現物配当(剰余金の分配)する 設立会社の株式の交付先による分類 設立会社(B)の株式は、すべて分割会社(A)に交付される(物的分割) 従来の人的分割は、物的分割+剰余金の分配としての設立会社等の株式の配当という形に整理されることとなった。
Ⅱ 吸収分割 株式会社または合同会社は、承継会社との間で、吸収分割契約を締結することにより、吸収分割を行うことができる 講義レジュメNo.13 組織再編(2) Ⅱ 吸収分割 株式会社または合同会社は、承継会社との間で、吸収分割契約を締結することにより、吸収分割を行うことができる 合名会社および合資会社は、吸収分割における分割会社となることはできないが、承継会社となる会社には限定はない(757、760)
1:株式会社に権利義務を承継させる吸収分割 講義レジュメNo.13 組織再編(2) (1)吸収分割契約(758) (2)効力発生:吸収分割契約で定めた効力発生日に分割の効力が生じる
(1)吸収分割契約 ①分割会社および承継会社の商号および住所(1号) ②分割会社から承継する権利義務等に関する事項(2号、3号) 講義レジュメNo.13 組織再編(2) (1)吸収分割契約 ①分割会社および承継会社の商号および住所(1号) ②分割会社から承継する権利義務等に関する事項(2号、3号) ③吸収分割の対価に関する事項(4号) ④新株予約権の承継に関する事項(5号、6号) ⑤吸収分割の効力発生日(7号) ⑥いわゆる人的分割に関する事項(8号)
講義レジュメNo.13 組織再編(2) 権利義務の承継 なお、労働者の保護に関しては、「会社の分割に伴う労働契約等の承継に関する法律(会社分割労働契約承継法)」が新設され、会社分割をする会社は、会社分割労働契約承継法2条1項の規定による通知をすべき日までに、労働者と協議をするものとしている(整備法による改正後「商法等の一部を改正する法律」附則5条1項)。 分割会社が株式会社である場合、その保有する自己株式や承継会社の株式は、当然には、承継されない。これらを承継させる場合には、別途これらに関する事項を定めなければならない(3号)。また、分割会社が発行している新株予約権にかかる義務は、新株予約権の承継(5号)の問題となるため、承継される義務には含まれない。
講義レジュメNo.13 組織再編(2) 新株予約権の承継 吸収分割株式会社が新株予約権を発行している場合に吸収分割に際して承継株式会社が、これを承継することができる(分割会社が消滅するわけではないので、必ずしも承継しなければならないわけではない) 承継会社は、分割会社の新株予約権者に対して、当該新株予約権に代えて承継会社の新株予約権を交付することができる:この場合、5号所定の事項およびその割当てに関する事項を定めなければならない 吸収合併の場合と異なり、金銭での買取りは認められない(新株予約権の引き換え) ただし、一定の条件をみたす新株予約権者には、新株予約権買取請求権(787Ⅰ②)が認められる
講義レジュメNo.13 組織再編(2) いわゆる人的分割 従来の人的分割(承継会社の株式の全部または一部を分割会社の株主に交付する会社分割)と同じ効果を生じさせるためには、分割株式会社が分割の効力発生日に イ)分割会社の全部取得条項付種類株式(171Ⅰ)の対価として承継会社の分割新株(またはこれに準ずるものとして法務省令で定めるもの、以下分割新株等という)を交付する、 あるいは、 ロ)剰余金の配当として承継会社の分割新株等を現物配当する、 という手続をとることになる この場合は、その旨を分割契約において定めておかねばならない。剰余金分配に関する財源規制は適用されない(792)
(2)吸収分割の効力の発生等 分割契約において定める効力発生日に承継会社が分割会社の権利義務を承継する(759Ⅰ) 講義レジュメNo.13 組織再編(2) (2)吸収分割の効力の発生等 分割契約において定める効力発生日に承継会社が分割会社の権利義務を承継する(759Ⅰ) ただし、債権者保護手続(789条等)において各別の催告を受けるべき債権者が、各別の催告を受けなかった場合、吸収分割の効力には影響はないが、当該債権者は、吸収分割契約において分割後に吸収分割会社に対して債務の履行を請求することができない旨の定めがある場合でも、吸収分割会社が効力発生日に有していた財産の価額を限度として、当該債務の履行を吸収分割会社に請求することができる(759Ⅱ) 同様に、吸収分割契約に分割後、承継会社に対して債務の履行を請求できない旨の定めがある場合でも、承継した財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求できる(759Ⅲ)
講義レジュメNo.13 組織再編(2) (2)吸収分割の効力の発生等 分割会社は、割当てられる対価の内容に応じて、効力発生日に承継会社の株主、社債権者、新株予約権者、新株予約権付社債の社債権者および新株予約権者となる(759Ⅳ) 吸収分割により承継される新株予約権(吸収分割契約新株予約権)は、効力発生日に消滅し(750Ⅳ)、新株予約権承継手続に関する定めにしたがい、当該新株予約権者は効力発生日に承継会社の新株予約権者となる(759Ⅴ) ただし、債権者保護手続が終了していない場合または吸収分割を中止した場合は、吸収分割の効力は生じない(759Ⅵ)
2:持分会社に権利義務を承継させる吸収分割 講義レジュメNo.13 組織再編(2) (1)吸収分割契約(760) (2)効力発生:吸収分割契約で定めた効力発生日に分割の効力が生じる
吸収分割契約 ①分割会社および承継持分会社の商号および住所(1号) ②分割会社から承継する権利義務等に関する事項(2号、3号) 講義レジュメNo.13 組織再編(2) 吸収分割契約 ①分割会社および承継持分会社の商号および住所(1号) ②分割会社から承継する権利義務等に関する事項(2号、3号) ・持分会社を承継会社とする吸収分割では、新株予約権の承継はできない(760②カッコ書) ③承継持分会社の区分と社員の責任等に関する事項(4号) ④吸収分割の対価に関する事項(5号) ⑤効力発生日(6号) ⑥いわゆる人的分割に関する事項(7号)
(2)吸収分割の効力の発生等 分割契約において定める効力発生日に承継持分会社が分割会社の権利義務を承継する(761Ⅰ) 講義レジュメNo.13 組織再編(2) (2)吸収分割の効力の発生等 分割契約において定める効力発生日に承継持分会社が分割会社の権利義務を承継する(761Ⅰ) ただし、債権者保護手続(789条等)において各別の催告を受けるべき債権者が、各別の催告を受けなかった場合、一定の財産の範囲で、なお吸収分割会社または吸収分割承継会社に対して債務の履行を請求することができる(761Ⅱ、Ⅲ) 分割会社が承継会社の持分を取得する場合には、分割契約の定めにしたがい、効力発生日に承継会社の社員となる。同時に、承継会社は、効力発生日に社員に関する定款の変更をしたものとみなされる(761Ⅳ)。分割の対価として承継会社の社債の交付を受ける場合、分割会社は、効力発生日に社債権者となる(761Ⅴ) ただし、債権者保護手続が終了していない場合または吸収分割を中止した場合は、吸収分割の効力は生じない(761Ⅵ)
講義レジュメNo.13 組織再編(2) Ⅲ 新設分割 株式会社または合同会社は、単独で、または複数の会社と共同で、新設分割計画を作成することにより、新設分割をすることができる(762) 新設分割により設立する会社には種類の制限はない(765参照)
1:株式会社を設立する新設分割 講義レジュメNo.13 組織再編(2) (1)新設分割計画:設立会社が株式会社である場合の新設分割計画においては、以下の事項を定めなければならない(763) ・なお、合同会社のみが新設分割し、株式会社を設立することも可能である(924Ⅰ②参照) (2)新設分割の効力発生等:新設会社の設立登記が効力発生要件(764Ⅰ、766Ⅰ):新設分割をする会社においては変更の登記が必要(924参照)
(1)新設分割計画 ①設立会社に関する基本的事項 ②設立会社の機関に関する事項 ③分割会社から承継する権利義務に関する事項 講義レジュメNo.13 組織再編(2) (1)新設分割計画 ①設立会社に関する基本的事項 ②設立会社の機関に関する事項 ③分割会社から承継する権利義務に関する事項 ④分割対価に関する事項およびその割当てに関する事項 ⑤新株予約権の承継に関する事項およびその割当てに関する事項 ⑥いわゆる人的分割に関する事項
講義レジュメNo.13 組織再編(2) 新設分割の対価 新設分割については、株式会社を設立するものであるため、対価の柔軟化は認められず(金銭のみを対価とすることはできない)、分割会社には、承継する事業に関する権利義務の全部または一部の対価として、新設分割設立株式会社の株式が交付される(6号) 株式に加えて、社債等(社債、新株予約権、新株予約権付社債)を交付することもできる(8号) 共同新設分割の場合は、これらの株式や社債等の割当てに関する事項も定めなければならない(7号、9号)
(2)新設分割の効力発生等 設立会社の成立の日(設立登記の日)に生じ、分割会社の権利義務を承継する(764Ⅰ、49、924Ⅰ) 講義レジュメNo.13 組織再編(2) (2)新設分割の効力発生等 設立会社の成立の日(設立登記の日)に生じ、分割会社の権利義務を承継する(764Ⅰ、49、924Ⅰ) 新設分割の登記:諸般の手続がすべて完了した日から2週間以内に本店所在地において設立の登記(分割会社においては変更の登記)をなす 登記が効力発生要件 ただし、債権者保護手続(810条等)において各別の催告を受けるべき債権者が、各別の催告を受けなかった場合:新設分割の効力には影響はないが、当該債権者は、新設分割計画において分割後に新設分割会社に対して債務の履行を請求することができない旨の定めがある場合でも、新設分割会社が新設分割設立株式会社成立の日に有していた財産の価額を限度として、当該債務の履行を分割会社に請求することができる(764Ⅱ) 同様に、新設分割計画に分割後、設立会社に対して債務の履行を請求できない旨の定めがある場合でも、承継した財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求できる(764Ⅲ)
2:持分会社を設立する新設分割 講義レジュメNo.13 組織再編(2) (1)新設分割計画:設立会社が株式会社である場合の新設分割計画においては、以下の事項を定めなければならない(765) ・なお、株式会社のみが新設分割し、持分会社を設立することも可能である(924Ⅱ①参照) (2)新設分割の効力発生等:新設会社の設立登記が効力発生要件
(1)新設分割計画 ①設立会社に関する基本的事項(1~4号) ②分割会社から承継する権利義務に関する事項(5号) 講義レジュメNo.13 組織再編(2) (1)新設分割計画 ①設立会社に関する基本的事項(1~4号) ②分割会社から承継する権利義務に関する事項(5号) ③分割に際して交付される社債に関する事項およびその割当てに関する事項(6号、7号) ④いわゆる人的分割に関する事項(8号)
(2)新設分割の効力発生等 設立会社の成立の日(設立登記の日)に生じる(766Ⅰ、49、924Ⅱ) 講義レジュメNo.13 組織再編(2) (2)新設分割の効力発生等 設立会社の成立の日(設立登記の日)に生じる(766Ⅰ、49、924Ⅱ) 新設分割の登記:諸般の手続がすべて完了した日から2週間以内に本店所在地においてなす 登記は効力発生要件 ただし、債権者保護手続(810条等)において各別の催告を受けるべき債権者が、各別の催告を受けなかった場合、一定の財産の範囲で、なお分割会社または設立会社に対して債務の履行を請求することができる点は、株式会社を設立会社とする場合と同じ(766Ⅱ、Ⅲ)
講義レジュメNo.13 組織再編(2) 意義 株式交換 株式移転 3 株式交換 および株式移転 意義 株式交換 株式移転
Ⅰ株式交換および株式移転の意義 (1)総論(定義) 講義レジュメNo.13 組織再編(2) (1)総論(定義) ・株式交換:株式会社がその発行済株式の全部を他の株式会社または合同会社に取得させ、当該株式会社または合同会社の完全子会社となること(2ー31) ・株式移転:一つまたは二つ以上の株式会社がその発行済株式の全部を新たに設立する株式会社に取得させ、当該設立株式会社の完全子会社となること(2ー32)
Ⅰ株式交換および株式移転の意義 講義レジュメNo.13 組織再編(2) 株式交換とは、既存の会社間に完全親子会社関係を創設する制度であり、株式移転とは、既存の会社が単独で、または他の既存の会社と共同で完全親会社を新設する制度 いずれの制度においても、原則として、株主総会の特別決議により、既存の会社の株主は、その保有する株式すべてを強制的に完全親会社となる会社に移転されることとなる 株式交換については、その対価として完全親会社の株式のみならず、金銭その他の財産を割当てることを認めた(対価の柔軟化)
講義レジュメNo.13 組織再編(2) (2)株式交換 既存の会社間で株式交換契約を締結することで、完全親会社となる会社(株式会社または合同会社に限る)は、完全子会社となる株式会社の発行済株式のすべてを取得することができ、他方、完全子会社となる会社の株主は、強制的に完全親会社の株主等となるか、金銭の交付を受けることとなる 完全子会社となる会社の株主:その地位に重大な変動が生じる 完全親会社となる会社の株主:事業会社から純粋持株会社へ転換する場合、事業の遂行に対する株主の監督是正権が、純粋持株会社を通じた間接的なものとならざるを得ず、その利害に重大な影響が及ぶ そこで、株主保護の観点から、原則として、株式交換契約の締結と株主総会の特別決議による承認を必要とし、事前および事後の情報開示制度を設けるなど、合併に準じた手続が設けられている 会社債権者:債務者が変動するわけではないため、原則として、債権者保護手続は義務付けられない(ただし、一定の場合には債権者保護手続が要求される:789Ⅰ③、799Ⅰ③ )
株式交換制度の概要 ①株式交換契約 甲会社 乙会社 ②乙社の全株式移転 ③甲社の新株の割当 甲社株主 乙社株主 甲会社株主 (甲会社株主+旧乙会社株主) ④甲会社が乙会社の100%出資親会社となる 甲会社 乙会社 乙社株主 甲社株主
(3)株式移転 持株会社として完全親会社(株式会社に限る)を設立するとともに、既存の株式会社がその完全子会社となるための制度 講義レジュメNo.13 組織再編(2) (3)株式移転 持株会社として完全親会社(株式会社に限る)を設立するとともに、既存の株式会社がその完全子会社となるための制度 完全子会社となる株式会社の株主は、その有する株式を新設される完全親会社へ移転し、完全親会社の株式等を割当てられ、その株主等となる(対価の柔軟化は認められていないが、株式のほか社債や新株予約権を対価とすることはできる)
株式移転制度の概要 甲社株主 甲社株主 ③設立により発行される株式の割当て ②株式移転 1 完全親会社 甲会社 甲会社 2 甲会社 ①株式移転承認のための株主総会特別決議 1 完全親会社 甲会社 甲会社 2 甲会社 完全親会社 (純粋持株会社) 持株会社株主
Ⅱ 株式交換 株式会社は、完全親会社となる株式会社または合同会社との間で株式交換契約を締結することにより株式交換をすることができる(767) 講義レジュメNo.13 組織再編(2) Ⅱ 株式交換 株式会社は、完全親会社となる株式会社または合同会社との間で株式交換契約を締結することにより株式交換をすることができる(767) 株式会社に発行済株式を取得させる株式交換 合同会社に発行済株式を取得させる株式交換
1)株式会社に発行済株式を取得させる株式交換 1)株式会社に発行済株式を取得させる株式交換 講義レジュメNo.13 組織再編(2) (1)株式交換契約(768) (2)株式交換の効力発生等(769) (3)株主総会の特別決議による承認 (4)債権者保護手続 (5)株式買取請求
1:株式交換契約 ①当事会社の商号および住所(1号) ②対価に関する事項(2号)およびその割当てに関する事項(3号) 講義レジュメNo.13 組織再編(2) ①当事会社の商号および住所(1号) ②対価に関する事項(2号)およびその割当てに関する事項(3号) ③新株予約権の承継に関する事項およびその割当てに関する事項(4・5号) ④株式交換の効力発生日(6号) ※株式交換そのものに関しては、特に登記の必要はない(完全親会社において発行済株式数など必要に応じて変更の登記)
講義レジュメNo.13 組織再編(2) 新株予約権の承継 株式交換により完全親子会社関係を創設しても、完全子会社となった会社が発行していた新株予約権が行使されると、完全親子会社関係が維持できない 旧商法では、新株予約権にかかる義務の承継をみとめていた 会社法は、完全親会社の新株予約権との引換えという構成となった これに加えて、新株予約権付社債に付された新株予約権をも承継できる旨およびその手続を明確化した
講義レジュメNo.13 組織再編(2) 2:株式交換の効力発生等 株式交換の効力:株式交換契約において定める効力発生日に生じ、完全親会社が完全子会社の発行済株式の全部を取得する(769Ⅰ) 完全子会社の株主は、割当てられる対価の内容に応じて、効力発生日に完全親会社の株主、社債権者、新株予約権者、新株予約権付社債の社債権者および新株予約権者等となる(769Ⅲ) 新株予約権を承継する場合、完全子会社の新株予約権(株式交換契約新株予約権)は、効力発生日に消滅し、株式交換契約新株予約権の新株予約権者は効力発生日に完全親会社の新株予約権者となる(769Ⅳ) ただし、債権者保護手続(後述)が終了していない場合または株式交換を中止した場合は、株式交換の効力は生じない(769Ⅵ)
2)合同会社に発行済株式を取得させる株式交換 講義レジュメNo.13 組織再編(2) (1)株式交換契約(770) (2)株式交換の効力発生等(771)
1:株式交換契約 ①当事会社の商号および住所(1号) ②対価に関する事項(2号、3号)およびその割当てに関する事項(4号) 講義レジュメNo.13 組織再編(2) 1:株式交換契約 ①当事会社の商号および住所(1号) ②対価に関する事項(2号、3号)およびその割当てに関する事項(4号) ③株式交換の効力発生日(5号)
講義レジュメNo.13 組織再編(2) 2:株式交換の効力発生等 株式交換の効力:株式交換契約において定める効力発生日に生じ、完全親合同会社が完全子会社の発行済株式の全部を取得する(771Ⅰ) 完全親合同会社の社員となる完全子会社の株主は、効力発生日に完全親合同会社の社員となり、完全親合同会社の社員に関する定款変更があったものとみなされる(771Ⅲ) 社債の割当てを受ける場合は、効力発生日に完全親合同会社の社債権者となる(771Ⅳ) ただし、債権者保護手続が終了していない場合または株式交換を中止した場合は、吸収合併の効力は生じない(771Ⅴ)
Ⅲ 株式移転 1または2以上の株式会社は、株式移転計画を作成することにより、株式移転をすることができる Ⅲ 株式移転 講義レジュメNo.13 組織再編(2) 1または2以上の株式会社は、株式移転計画を作成することにより、株式移転をすることができる 共同株式移転の場合は、当該2以上の株式会社が共同で株式移転計画を作成しなければならない(772)
1 株式移転計画(773) ①株式移転設立完全親会社に関する基本的事項(1号、2号) ②完全親会社の機関に関する事項(3・4号) 1 株式移転計画(773) 講義レジュメNo.13 組織再編(2) ①株式移転設立完全親会社に関する基本的事項(1号、2号) ②完全親会社の機関に関する事項(3・4号) ③対価に関する事項およびその割当てに関する事項(5号~8号) ④新株予約権の承継に関する事項およびその割当てに関する事項(9号、10号)
2株式移転の効力発生等(774) 講義レジュメNo.13 組織再編(2) 株式移転の効力:完全親会社の成立の日(設立登記の日)に生じ、完全子会社の発行済株式全部を取得する(774Ⅰ、49、925Ⅰ) 完全子会社の株主は、完全親会社の株主となる(774Ⅱ) 割当てられる対価が株式以外の社債等である場合は、その内容に応じて、完全親会社の社債権者、新株予約権者、新株予約権付社債の社債権者および新株予約権者等となる(774Ⅲ) 新株予約権を承継する場合:完全子会社の新株予約権は、効力発生日に消滅し、新株予約権承継手続に関する定めにしたがい、完全子会社の新株予約権者は効力発生日に完全親会社の新株予約権者となる(774Ⅳ)