経済学(ミクロ)第1回
試験範囲 (用語の説明問題が出る) 財 サービス 経済主体 経済合理性 効用最大化 利潤最大化 需要・供給 一物一価の法則 参入・退出 財 サービス 経済主体 経済合理性 効用最大化 利潤最大化 需要・供給 一物一価の法則 参入・退出 部分均衡 一般均衡(競争均衡) 固定費用 可変費用 平均費用 限界費用 限界収入 限界効用 機会費用 サンクコスト 裁定 グローバリゼーション
「財」と「サービス」 タダでいくらでも手に入る(自由財)→経済学の対象ではない 正の価格がついてカタチがある→財 正の価格がついてカタチがない→サービス (例) 電車・バスの運賃→輸送サービスの対価 CDやmp3ファイルはカタチがあるので財。 コンピュータソフトは「サービスの利用料を払う」契約になっていることが多い。
考えてみよう 次の例で取引されるのは財かサービスか。サービスだとしたらどんなサービスか。 (1)下宿の家賃 (2)家庭の電力料金(電気代) (3)埼玉大学の授業料
経済主体と経済合理性 経済主体→意思決定をする人や組織 経済合理性→数値で測れる損得勘定を持ち、なるべく得をするように(損を小さくするように)行動すること ミクロ経済学は、経済合理性に基づく多くの経済主体どうしが取引をするとどうなるかを考える 家計→効用(満足)最大化 企業→利潤(収入-費用)最大化
経済合理的ではないが よくある経済行動 「社会のための」利他的な行動 倫理的に望ましいとされる行動 法律の遵守(コンプライアンス) 企業が利潤以外に考えること 従業員のシアワセ お客様の笑顔 経済合理性を仮定するのは、状況をわかりやすく単純化するための枠組みでもある
市場メカニズム 需要側(買い手)と供給側(売り手) 価格↑ ⇒ 需要量↓ 供給量↑ 需要量=供給量となる価格を模索 供給 価格 需要 価格↑ ⇒ 需要量↓ 供給量↑ 需要量=供給量となる価格を模索 供給 価格 需要 需要量、供給量
価格調整、数量調整 実際には競売市場に売り手と買い手が集まる取引形態はまれ 実際の市場は小さく分かれ、相互に影響しあう 東京外国為替市場、ny外国為替市場…… 考えてみよう。レトルトカレーの価格はどう決まる? 価格調整と数量調整の両面から需給の一致が模索される 経済合理性…得になるように、得になるように!
経済学(ミクロ)第2回
得になるように、得になるように! 一番高いところで売る、一番安いものを買う 一物一価の法則 市場メカニズムが理想的に働くとき、ひとつのものにはひとつの価格しかつかない
参入・退出 利潤があるならやらなきゃ損、損失が出るならやったら損 参入・退出 プラスの利潤があるなら新たに始める人が出る 損失が出るなら企業は生産をやめてしまう
部分均衡と一般均衡 部分均衡 一般均衡(競争均衡) 一般均衡ではムダがなくなっているはず ひとつの市場での需要量・供給量一致 すべての市場での需要量・供給量一致 一般均衡ではムダがなくなっているはず 他の用途にも使えるものは、合計で一番高く売れるように資源配分される もっと安く作れるなら、誰かがそれを作る。一般均衡では、それ以上安く作れないところまで可能性が試される。
利潤=収入-費用 企業の収入→販売価格×販売数量 販売価格は市場で決まる 売り手・買い手は零細多数という仮定 市場全体に対して、売り手・買い手ひとりひとりのシェア(比率)が低い ミクロ経済学の基本的なモデルでは、ひとつの企業が価格を操作することはできないという仮定を置く
費用の内訳 費用=固定費用+可変費用 生産量によって変化しない部分と変化する部分 平均費用=費用÷生産量
限界費用 最後の1単位に余計にかかった可変費用 最後の1個を作ると損か得か 限界収入=価格 限界収入>限界費用なら、その1単位を作ったほうが得
利潤を最大化する生産量の決定(1) 零細多数な企業の場合(市場で決まった価格は自分が何をしても変化しない) 限界収入>限界費用なら、その1単位を作ったほうが得 限界収入<限界費用なら、その1単位を作らないほうが得
利潤を最大化する生産量の決定(2) 限界費用が逓増するなら、限界収入=限界費用となるように生産量を決めれば利潤は最大 限界費用 市場価格
効用と限界概念 効用=消費者の満足を数字にしたもの 財Aの限界効用=財A最後の1単位からの効用 限界効用逓減の法則 慣例として「法則」というが実際は仮定 同じものをたくさん消費するとそのうち腹いっぱいに(要らなく)なる
家計の収入(予算)が一定なときの 効用最大化 いろいろなものを少しずつ買う(限界効用が逓減するから) 最後の1円分だけAを買うかBを買うか 最後の1円分の効用に差があるなら、低いほうを買わずに高いほうをもっと買ったほうがよい 最後の1円分の効用がどの財・サービスも等しくなるように配分すれば効用最大
経済学(ミクロ)第3回
機会費用 経済合理的な行動をしているかチェックするのに便利な概念 例 ある企業は、どれか一つしか実施できない。どれにするか。 例 ある企業は、どれか一つしか実施できない。どれにするか。 設備投資計画A 予想利潤20億円 設備投資計画B 予想利潤50億円 設備投資計画C 予想損失30億円 (何もしなくてもよい)
もちろんBがいいに決まっているが 設備投資計画Aでも利潤は正だが、Aを選んだことでBが選べなくなり、50-20=30億円だけ利潤機会を逃したことになる。 このとき、Aを選ぶと「30億円の機会費用がかかる」と表現する。 経済合理的な選択とは、機会費用をゼロにする選択である。
ビバ経済合理的人生 機会費用をゼロにするためには、「他に取りえた選択すべて」が頭に入っていなければならない。 すべての可能性にすぐ気がつき、正しく利潤や効用を計算できないと機会費用が発生する。 あなたはいまこうしてこの文章を読んでいる。もっと人生の役に立つ時間の使い道はないのだろうか。あなたはもっと合理的に生きられるのではないか。
完全に経済合理的に生きることは無理。 人生は三手の読み。 収入や利潤が人生のすべてではないが、収入や利潤が足りないせいで人生の残り大半を失うことはある。 大事な局面では、だいたい経済合理的な損得計算ができたほうがよい。 経済合理的な行動を取ってくる他人を理解し、出方を予測することはそれよりもっと大切。 人生は三手の読み。
裁定 同じものにふたつの市場で価格差があるとき、安いほうで買って高いほうで売ること。 裁定行動を取る人々がいれば、あなたが何もしなくても一物一価の法則が働く。 あなたが何もしなくても、高く売る機会、 安く買う機会を多くの人が探し回っており、 その情報はすぐに他の売り手・買い手に伝わる。
グローバリゼーション 情報伝達・輸送・決済の障害が小さくなり、世界がひとつの市場に統合されること。 「世界で一番安いもの」だけが売れ、「いままで売れていたもの」が相対的に高いので買ってもらえなくなる。 日本の若者、中国の若者、インドの若者。安く買えるのはどれ?
自動車や家電を買ってもらわないと 日本は石油が買えない。 グローバリゼーションには日本にとっても個人にとっても損な面と得な面がある。 自分の都合だけで障壁を作っても、こっそり取引することは防ぎにくい。
優しいだけでは生きていけない。 他人や他の組織の損得勘定を理解しよう。 うまく行っていた昔(既得権)のことを時には忘れ、現在の現実だけを見つめよう。 状況変化への柔軟さを持とう。油断への対価は結局払わされる。 善悪で急いで人を裁かず、なぜそんな行動を取るのか、全体図を描いて考えよう。