泌尿器系の働き 1)生体全体でできた老廃物を体の外へ排出する。 2)生体内の水と電解質(各種のイオン,例えばNa+)のバラン スを調節する。

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腎臓の働き ●体内の水分量やいろいろな成分のバランスを保つ ●血液をろ過し、不要なものを尿中に捨て、必要なものを再吸 収する浄化装置作用  収する浄化装置作用 ●赤血球を作るホルモンを分泌 ●血圧を調節するホルモンを分泌 ●ビタミンDを活性化し、骨を丈夫にする.
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Presentation transcript:

泌尿器系の働き 1)生体全体でできた老廃物を体の外へ排出する。 2)生体内の水と電解質(各種のイオン,例えばNa+)のバラン スを調節する。   スを調節する。 3)エリスロポエチンやレニンなどのホルモンを産生する。

体液の組成 ① 成人男性では約60%が体液で、40%は細胞内液、20%が細胞外液。細胞外液のうち5%が脈管液で、15%が組織間液。 ① 成人男性では約60%が体液で、40%は細胞内液、20%が細胞外液。細胞外液のうち5%が脈管液で、15%が組織間液。 ② 脂肪細胞は水分を含まないが、脂肪の少ない組織は水分を豊富に含んでいる。したがって肥満の人はやせた人よりも体液量が相当少ない。(やせた人が70%とすると肥満の人では30%しかないこともある。したがって太った人ほど脱水になりやすい。)

体液中の電解質組成 電解質の組成(血漿) 電解質の組成(細胞内液) 陽イオン 陰イオン Na 142 mEq/l Cl 103 mEq/l 陽イオン  陰イオン Na 142 mEq/l Cl   103 mEq/l K   5 mEq/l HCO3 26 mEq/l Ca  5 mEq/l HPO4 2 mEq/l Mg 2 mEq/l その他 23 mEq/l 電解質の組成(細胞内液) 陽イオン  陰イオン  K 150 mEq/l HPO4 150 mEq/l Mg 40 mEq/l HCO3 10 mEq/l Na 10 mEq/l タンパク 40 mEq/l

体液の役割 体液の機能は、血漿中から動脈側の毛細血管壁を通過して体液が組織中へ移動することで酸素と栄養を細胞内へ送り込む。同時に静脈側の毛細血管壁を通過して体液が血管内へ移動することで2酸化炭素と老廃物を血管内へ送り込む。

糸球体の構造と機能 尿はまず糸球体で作られる。糸球体では1日800リッターの血漿を濾過して180リッターの濾液ができる。 近位尿細管へ ボーマン嚢 近位尿細管へ 尿はまず糸球体で作られる。糸球体では1日800リッターの血漿を濾過して180リッターの濾液ができる。 そのうちの大部分は尿細管で再吸収される。 糸球体は複雑な血管叢で、ボーマン嚢に入り込んでいる。 糸球体の血管極には傍糸球体装置がある。特殊化した細胞の集合体である傍糸球体装置は、腎臓ホルモンの一つであるレニンを産生する。 レニンは、血液量の減少、ナトリウム濃度の減少、腎臓の虚血などで産生される。 レニン産生細胞(傍糸球体装置)

腎臓の構造と位置

正常な糸球体で濾過される物質はどれか。 a. 赤血球 b. ブドウ糖 c. アミノ酸 d. アルブミン a, b 2. a, d 3. b, c           ○ 4. c, d

尿路の疾患 国家試験にはほとんどでない 1.尿路感染症 尿路感染症の特徴の第一は、起炎菌が尿の流 2.尿路結石   尿路感染症の特徴の第一は、起炎菌が尿の流    れと逆行性に感染してくることである。したがっ    て、大腸にいる常在菌が感染源になることが多    く、最も多いのは大腸菌である。特徴の第2は女    性に多いことであるが、外尿道口から膀胱まで    の尿道の長さが男性より短いためと言われてい    る。 2.尿路結石 国家試験にはほとんどでない

男性の直腸指診で腹側に鶏卵大に肥大した臓器を触れた。  その臓器はどれか。 1. ア 2. イ      ○ 3. ウ 4. エ

前立腺肥大症 前立腺は男性にのみ存在する臓器で、膀胱の下に位置する。肛門から指を入れて調べる指診では、前方に触れる。

前立腺肥大症での尿失禁のタイプはどれか。 機能性尿失禁 2. 切迫性尿失禁 3. 腹圧性尿失禁 4. 溢流性尿失禁 ○ 4. 溢流性尿失禁    ○ (1)腹圧性尿失禁 急に立ち上がったり、重いものを持ったリした時に漏れるのを指す。   (2)切迫性尿失禁 排尿のコントロールをする能の働きが低下して、急に尿がしたくなって、我慢で傷の漏れてしまう。 (3)溢流性(いつりゅうせい)尿失禁 自分で出したいのにでない、でも尿が少しずつ出てしまうのを指す。前立腺肥大症 (4)機能性尿失禁 排尿機能は正常だが、認知症などで起こる尿失禁を指す。

前立腺肥大症の術後排尿障害に対する看護で適切なのはどれか。 a. 一定時間ごとの排尿を勧める。 b. 尿量は1日1lを確保する。 c. 腹圧をかけずに排尿するよう指導する。 d. 肛門括約筋収縮の練習を指導する。 1. a, b 2. a, d       ○ 3. b, c 4. c, d 前立腺肥大症の術後合併症 勃起障害(神経温存を行なっても出現する) 尿失禁(大部分は数ヶ月で警戒するが、1−3%に重篤な尿失禁 尿失禁に対する治療:骨盤底筋体操、尿道周囲コラーゲン注入   人工尿道括約筋埋め込みなど

勃起障害を起こすのはどれか。 前立腺癌根治術      ○ 2. 経尿道的膀胱腫瘍切除術 3. 左半結腸切除術 4. 精巣摘除術

63歳の男性。2年前から徐々に排尿困難を自覚するようになり受診した。検査の結果,前立腺特異抗原(PSA)8 63歳の男性。2年前から徐々に排尿困難を自覚するようになり受診した。検査の結果,前立腺特異抗原(PSA)8.0ng/mlで前立腺左葉に癌が認められたため根治的前立腺全摘除術目的で入院した。入院時の検査結果は,白血球6,400/μl,Hb11.6g/dl,血清総蛋白5.6g/dl,血圧は126/74mmHgであった。 問題1 術後に予測される症状で誤っているのはどれか。 勃起不全 2. 血尿 3. 尿失禁 4. 女性化乳房         ○

膀胱がん 症状:肉眼的血尿で見つかることが多い。時に排尿痛を訴えることもある。」 移行上皮がん 膀胱切除後には回腸導管増設術など尿路再建術を行なう必要がある。

Aさん,62歳の男性。印刷工場で長年働いている。最近,肉眼的血尿が出現し泌尿器科を受診した。診察の結果,入院し精密検査を受けることになった。 問題1 硬膜外麻酔下で膀胱鏡による膀胱組織の生検が予定された。  最も確認する必要があるのはどれか。 検査前の絶飲食 2. 検査中の下肢のしびれ 3. 検査直後の眠気 4. 検査後の血尿の増強            ○ 問題2 膀胱癌と診断され,膀胱全摘術と回腸導管造設による尿路変更術が行われることになった。  術後の生活に関する説明で適切なのはどれか。 「尿意は残ります」 2. 「尿の出口が二つになります」 3. 「自己導尿が必要となります」 4. 「パウチの装着が必要となります」       ○

腎臓の働き 以下に無駄なく老廃物のみを体外に捨てるか? 1)生体全体でできた老廃物を体の外へ排出する。 2)生体内の水と電解質(各種のイオン,例えばNa+)のバラン   スを調節する。 3)エリスロポエチンやレニンなどのホルモンを産生する。 以下に無駄なく老廃物のみを体外に捨てるか?

尿細管の働き 糸球体では150リッターの水を濾過し、その中に老廃物として捨てるべきものを含む小さい物質のすべてを濾過する。 近位尿細管:Naと一緒に様々なものを再吸収 ヘンレ系締:主に水とNaを再吸収 遠位尿細管:主に水とNaを再吸収 集合管にはADHが働いて,水吸収量を調節。 尿細管の働きの主体は、濃縮

抗癌薬による治療を受けていたAさんに,一昨日から発熱と乏尿とがみられる。血圧92/60mmHg,尿比重1 脱水 2. 心不全 3. 急性腎盂腎炎 4. 急性尿細管壊死      ○

腎疾患 1.急性腎不全 1)腎前性 体液量減少:大量出血など 循環血漿量減少:肝硬変など 心拍出量減少:うっ血性心不全など 2)腎性  1)腎前性    体液量減少:大量出血など    循環血漿量減少:肝硬変など    心拍出量減少:うっ血性心不全など  2)腎性    溶血性尿毒症症候群:O157感染など    急性尿細管壊死:薬物(抗がん剤など)、重金属   

慢性腎不全 1.原因 慢性糸球体腎炎 糖尿病性腎症 多発性嚢胞腎 慢性腎盂腎炎 2.症状 循環器系:うっ血性心不全 肺水腫   慢性糸球体腎炎   糖尿病性腎症   多発性嚢胞腎   慢性腎盂腎炎 2.症状   循環器系:うっ血性心不全          肺水腫   消化器系:食欲低下、消化管出血   造血器系:造血機能低下、出血傾向   骨:骨軟化症、骨粗鬆症

慢性腎不全の病期 第1期(腎予備能減少期) 第2期(代償性腎不全期) 第3期(腎不全期、非代償期) 第4期(尿毒症期、末期腎不全) GFR(糸球体濾過値)が正常~50%の間に減少した時期であるが、生体の恒常性はほぼ正常に維持されており、無症状である。 第2期(代償性腎不全期) GFRが、50~30%に低下し尿濃縮機能の低下、夜間尿、軽度の高窒素血症、軽度の貧血を認める。 第3期(腎不全期、非代償期) GFRが30~5%に低下し、高窒素血症、等張尿、代謝性アシドーシス、低Ca血症、高P血症、低Na血症などが認められる(糸球体濾過量が30ml/分以下に低下した状態が続くものを言う)。 第4期(尿毒症期、末期腎不全) GFRが5%以下となり、多彩な症状(尿毒症症状)が出現し、放置すれば死に至る。

最新の分類(CKDの病期分類) 病歴 ステージ 重症度の説明 進行度による分類 eGFR ml/min/1.73m2 1 腎障害は存在するが、GFRは正常または亢進 ≧90 2 腎障害が存在し、GFR軽度低下 60~89 3 GFR中等度低下 30~59 4 GFR高度低下 15~29 5 腎不全 <15 最近の米国の分類に従った日本の分類でも、慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease;CKD)と言う考え方をとっており、腎不全はGFRが15以下になったものを指す。その意味では、病期分類での症状などは問題としては適切ではない。

慢性腎不全III期になって出現するのはどれか。 夜間多尿 2. 高窒素血症 3. 電解質異常       ○ 4. 貧血。 厳密には問題がおかしいが、このように覚えておく。

慢性腎不全 3.治療 ①食事療法 蛋白制限(蛋白0.6-0.7g/kg/day) 食塩制限(塩分7g以下)   ①食事療法    蛋白制限(蛋白0.6-0.7g/kg/day)    食塩制限(塩分7g以下)    高カロリー(異化作用の抑制のため)35kcal/kg    果物制限(カリウム摂取の制限)    水分は尿量+不感蒸泄量(700−1000)   ②降圧剤の投与    ACE阻害薬    Ca拮抗剤   ③透析療法

慢性糸球体腎炎から慢性腎不全III期(非代償性腎不全)に移行した患者(GFR20ml/分,血清クレアチニン5 慢性糸球体腎炎から慢性腎不全III期(非代償性腎不全)に移行した患者(GFR20ml/分,血清クレアチニン5.0mg/dl)への指導内容で適切なのはどれか。 1. 果物は缶詰で,汁も飲んでよい。 2. 水分は1日の尿量に500ml加えた量を飲む。       ○ 3. 1日の総摂取カロリーは体重1kg当たり25kcal以下に抑える。 4. 1日のタンパク質摂取量は体重当たり1g以上とする。 5. 芋類は総摂取の1/3を目安に摂取する。 芋類や米にも蛋白が含まれているので蛋白のとり過ぎには注意が必要。 厳密に考えると、問題がおかしいこともある。 果物にはカリウムが多い

腎臓疾患患者の食事療法で正しいのはどれか。 浮腫,乏尿および高血圧がある場合は脂質を制限する。 2. 慢性腎不全の代償性多尿期ではナトリウム制限はない。 3. 血中の尿素窒素値が上昇している場合はカルシウムを制限する。 4. 急性腎不全の乏尿期の水分摂取量は前日の尿量+500ml以内とする。 ○

43歳の女性。最近,仕事が多忙になったため疲労が蓄積していた。1か月で体重が8kg増加し,頭痛,息切れ,嘔気および浮腫が現れ,腎機能低下によって緊急入院した。入院時,体温36.8℃,呼吸数28/分,脈拍数82/分,血圧184/102mmHg。血清生化学所見は,尿素窒素89mg/dl,クレアチニン9.2mg/dl,K+6.9mEq/l,血糖110mg/dlであった。胸部エックス線撮影では肺うっ血が認められた。入院後,うとうと眠っていることが多く,手足のしびれや脱力感を訴えている。25歳の妊娠中から蛋白尿が出現し,その後も続いていたが放置していた。 問題1 入院時のアセスメントで正しいのはどれか。 1. 慢性腎不全のII期である。 2. 心停止の危険性が高い。       ○ 3. 低血糖症状が疑われる。 4. 直ちに血圧を下げる必要がある。

透析療法の適応基準 1.臨床症状(次のうち3つ以上) 乏尿、夜間多尿 腎性貧血 重症高血圧 不眠・頭痛 悪心・嘔吐 体液貯留 2.腎機能      乏尿、夜間多尿      腎性貧血      重症高血圧      不眠・頭痛      悪心・嘔吐      体液貯留 2.腎機能      内因性クレアチニンクリアランス      10ml/分以下あるいは      血清クレアチニン8mg/dl以上 3.活動能力      軽い日常動作が困難なもの

透析 血液透析 腹膜透析 血液透析器(ダイアライザー)を通して、血液を体内から取り出し、血液中の老廃物や余分な水分を取り除き、浄化された血液を体内に戻す方法 お腹の中に透析液を入れ、体内で血液を浄化する方法

内シャントを造設し,血液透析を行うことになった。 退院に向けた説明で正しいのはどれか。 1. 「水分制限の必要はなくなります。」 内シャントを造設し,血液透析を行うことになった。  退院に向けた説明で正しいのはどれか。 1. 「水分制限の必要はなくなります。」 2. 「骨がもろくなることがあります。」          ○ 3. 「腎機能が改善すれば透析の必要はなくなります。」 4. 「汗をかかないように心がけてください。」 人工透析の合併症 1.不均衡症候群:透析に体が慣れていないため、腹痛や吐気嘔吐などが出現する             透析によって体の老廃物が除去されるが、能の老廃物は除去さ             れにくく、そのため脳に水が集まってくる。 2.高血圧 3.低血圧 4.貧血 5.感染症 6.2次性副甲状腺機能障害:副甲状腺機能亢進し、骨粗鬆症へ

仕事が忙しくなり,退院後は一度も受診をせずに2年が経過した。2か月前から疲れやすくなったが,仕事のせいだと思い放置していた。1週前から息切れ,食欲不振および浮腫が出現し,昨日から眠気と嘔気および嘔吐とがあり外来を受診した。体温36.5℃。脈拍数98/分。血圧238/112mmHg。血液検査で尿素窒素100mg/dl,クレアチニン12.0mg/dl,Hb7.1g/dl。胸部エックス線写真で心拡大と肺うっ血とが認められ入院した。  直ちに行われるのはどれか。 1. 輸血 2. 血液透析            ○ 3. 利尿薬の内服 4. 胸腔ドレナージ

腎不全・尿毒症の症状・検査所見 ①高窒素血症: 窒素代謝物の貯留による ②アシドーシス: 水素イオンの排出障害による ①高窒素血症:  窒素代謝物の貯留による ②アシドーシス:  水素イオンの排出障害による ③高カリウム血症:  カリウムイオンの排出障害による ④体液量コント  ロールの異常:  初期の特徴の1つは尿を濃縮できないこと。後期には尿を希釈する能力も  失われる。ナトリウムと水分が貯留する結果、うっ血性心不全を起こす。 ⑤低カルシウム血症: 活性化ビタミンDの合成ができなくなり、骨軟化症を伴う。 ⑥骨粗鬆症:  続発性副甲状腺機能亢進症による。 ⑦貧血:  エリスロポエチンの産生低下による。 ⑧高血圧:  レニン産生の過多による。 ⑨皮膚の色素沈着 ⑩易感染性 ⑪易疲労感 ⑫食欲不振 ⑬嘔吐など消化器症状 ⑭呼吸器の異常 ⑮循環器の異常 ⑯神経系の異常

ネフローゼ症候群 共通した臨床像 ①蛋白尿(成人の場合、3.5g以上) ②低蛋白血症(血清アルブミン3g/dl以下) ③高脂血症(血清コレステロール250以上) ④浮腫

糖尿病性腎症 腎臓の中にある糸球体は、血液中の老廃物を尿中に排泄するろ過器の働きをしている。 糖尿病で高血糖状態が続くと、糸球体を構成している細かい血管が動脈硬化を起こして固くなり、糸球体の組織の目が粗くなって、ろ過機能が低下する。 するとたんぱく質が糸球体の網の目を通り抜けてたんぱく尿が出たり、尿をつくる働きが低下して老廃物が排泄されなくなり体内にたまる糖尿病腎症になる。

糖尿病性腎症の頻度