膝関節内少量水症の診察法 5cc以下の水腫でも認識可能? 【目的】 変形性膝関節症を主とし、膝関節内に水腫があるか否かは膝関節内に炎症があるか、炎症を起こす原因があるかを判断する上で重要である。多量の水腫の判断は容易であるが、水腫が少量の場合はその診断は容易ではない。膝関節内少量水腫の診断法として有用と思われる方法を紹介する。 【方法】 筆者の少量水腫診察法は下肢伸展位で出来るだけ力を抜いてもらい、膝蓋骨下内側から上方まで、手指のひらで関節内水腫を外側に移動させるようにした後、外側部を軽く握り5指から3指の背側で軽くなでるように押さえると、内側膝関節裂隙部、膝蓋腱内側で皮膚がすこし盛り上がるようにふくれるのを認める場合、明らかな関節内水腫の存在をしめす。 動画で方法を見てください。 庶務課 企画係 狩野 2012年6月
東京都保健医療公社大久保病院 整形外科 吉峰史博 利点:1.少量の水腫を見つけられる。2.膝伸展座位にて、膝の脱力ができる患者の場合、患者本人に直接膝のふくらみを見てもらうことで、患者自身に膝に水腫があることを認識してもらう事ができ、膝関節内に何らかの炎症が起きていること、膝関節疾患の存在の理解が容易になる。 限界:1.下肢が太く皮下脂肪が厚い膝の場合、膝の脱力ができず力が入る場合、この方法は困難。2.微量水腫は困難? まとめ:同様な膝関節内少量水腫診断法を施行している整形外科医も多いと思われる。しかし、大学、関連病院の研修で、今回の方法を教わった事はなく、この種の方法を知らない整形外科医も多いのではと感じている。30年近く実際に行い、有意義と感じている少量水腫診断法(吉峰法)を紹介した。 庶務課 企画係 狩野 東京都保健医療公社大久保病院 整形外科 吉峰史博