COPD; Chronic occlusive pulmonary disease 共通の所見として呼気延長、1秒率の低下、喘鳴、残気量の増加などが挙げられる。
COPDの肺の特徴 喫煙の影響で肺全体が黒く変色しており、気管支の狭窄や肺胞の融合などの変化が見られる。
閉塞性肺疾患で呼気が苦しい理由はここにある。
COPDによる死亡数の増加 日本では、COPDは死亡原因の第10位(男性では8位)を占めており、しかも死亡者数は年々増加している。世界に目を向けてみると、COPDは現在、死亡原因の第4位を占めており、2020年には第3位になると推定されている。
COPDの病態生理 両者は、いずれも重喫煙が原因と考えられる病気で、典型的には、肺気腫は肺胞という袋の病気(気道には病変がない)で労作時息切れが主体、慢性気管支炎は気道という管の病気(肺胞には病変がない)で咳や痰が主体。臨床的にはほとんどの場合、息切れも強く絶えず咳や痰が多く、どちらとも判別しにくい混合型が目につく。
肺気腫の病態生理 肺がふくらんだ状態で通常の肺に比べて膨脹したままになってしまうことを過膨脹といい、肺気腫の特徴的な所見。胸部X線写真では、正常人に比べ横隔膜が平らになり、横から見ると釣り鐘状をした形になる。 心臓の形も変わって、滴状心とよばれる細いかたちとなる。喫煙が関与する。
COPDの治療 ―禁煙ー
喫煙による肺機能の低下 肺機能低下の傾きが非喫煙者と同じとなることに注目!
気管支喘息 発作時の呼出性呼吸困難と喘鳴を特徴とする可逆性の疾患で、気管支系の過敏反応に基づく。 アトピー型と40歳以上の成人発症に多くみられる非アトピー型の2型がある。
気管支喘息の病態生理 喘息発作の際に、平滑筋の層がけいれんを起こすため、気道が狭くなる。炎症によって気道を構成する中央の層が腫れ、粘液がさらに分泌される。気道の一部に粘液のかたまりができ、気道はほぼ、または完全に詰まってしまうことになる。
喘息の分類 ①アトピー性喘息 小児の喘息に多いタイプで、アレルゲンに対する I 型アレル ギーというメカニズムで発症 ②非アトピー性喘息 ①アトピー性喘息 小児の喘息に多いタイプで、アレルゲンに対する I 型アレル ギーというメカニズムで発症 ②非アトピー性喘息 成人喘息の約半分は、IgEの関与がない非アレルギー性型。 ③アスピリン喘息 成人喘息の約10%に認められる、NSAIDs服用によって悪 化するタイプ。 ④咳喘息 咳だけが出る喘息様の病態を指す。喘息ではない。
気管支喘息の発作時の病態
ピークフローメーターを用いた自己管理 息をはく瞬間の息のスピードを、測定するピークフローメーターという、携帯電話くらいの大きさの器械も、健康保険で使用できるようになった。 この器械を利用して「ピークフロー値」を定期的に測ることで、気管支の狭まり方を、正確に敏感にとらえることができ、より安定した状態を目指す治療の目安として使える。
喘息治療の基本 喘息の治療は「発作を予防するための治療、長期管理の治療(コントローラー)」と「発作が出たときに発作を鎮めるための治療(発作治療薬)」に分けられる。 ・発作を予防するための薬(コントローラー) 吸入ステロイド剤 長時間作用性β2刺激薬 ロイコトリエン拮抗薬 テオフィリン徐放製剤 抗アレルギー剤
正常胸部レントゲン像
拘束性肺疾患の病態
塵肺症
間質性肺炎 普通の肺炎というのは肺胞内に炎症が起こることをいう。肺胞というのは,気管支が枝分かれして,最終的にちょうどブドウの房のようになるが,それを肺胞と呼ぶ。そのブドウの房と房の間を間質という。そこに炎症が起こるのを間質性肺炎という。 治療前 治療後
特発性間質性肺炎 特発性肺線維症は50才以上で症状を認めることが多く、男性は女性よりやや多い。 原因は不明です。剥離性間質性肺炎と呼吸細気管支炎関連性間質性肺疾患では喫煙との関連が指摘されている。 はじめは空咳(痰のない咳)や、運動時(あるいは坂道や階段で)の息切れが認められる。進行すると少しの労作でも息切れを感じるようになる。指の先がばち状に太くなることもある。
サルコイドーシス 病理学的には間質性肺病変、肺門リンパ節腫脹、前ぶどう膜炎、皮疹。 胸部X線像では、肺門リンパ節の腫脹が目立つ。但し、約9割の患者さんが治癒または通常の生活に支障を来すこと無く毎日過ごすことが可能。
肺塞栓症 異常な右肺の動脈造影写真。大きな血管(矢印先端)の内側に、淡い色の肺塞栓(血液の塊)が見える。 塞栓が最もよく起こるのは、長時間同じ姿勢のままでいて、脚の静脈(静脈の疾患: 深部静脈血栓症を参照)の流れが遅くなったり停滞したときに脚や骨盤の静脈内で形成された血液のかたまりが、肺に運ばれた場合です。長期間寝たきりの人や、飛行機に乗っているなど長時間動かずに座っている人は特に危険性が高くなる。
肺炎の分類 気管支肺炎 大葉性肺炎 間質性肺炎 肺の一葉全てが炎症を起こしているために、レントゲン写真上は肺の一葉全体の浸潤影となる。 肺野に病巣が散在している。 肺全体がびまん性に冒されてレントゲン上はスリガラス様となる。
レジオネラ肺炎 右中葉、および右下葉のレジオネラ肺炎である。正面写真(A)、および胸部CT (B)ともに右中葉に均一な陰影を呈している。
ブドウ球菌性肺炎 黄色ブドウ球菌は、市中感染肺炎の原因としては2%にすぎないが、病院内感染肺炎では原因の10〜15%を占める。ブドウ球菌は、典型的な肺炎の症状を引き起こす。肺炎球菌性肺炎と比べ、ブドウ球菌性肺炎では、悪寒や発熱が長びき、ときに症状が急激に悪化し、重大で致死的な肺機能の悪化に至ることもある。胸膜腔への膿の蓄積(膿胸)がよくみられる。
マイコプラズマ肺炎 右中葉のマイコプラズマ肺炎。 右肺の肺門部から帯状の陰影。
結核菌の感染と結核の発症 結核感染後1年以内に約3%が発症し、2年目に約2%、3年目には約1%が発症する。その後は、年に1%以下の割合で発症し、結核感染者全体の90%は生涯に渡り発症しないと考えられている。
肺結核X線像 右上葉の円形浸潤影 新興した肺結核患者のX線像で、両肺野に浸潤影
再興感染症としての結核 かつて不治の病として恐れられていた肺結核は、医学の進歩、生活水準の向上(栄養状態の改善など)などにより過去の病気と思われるようになっていた。しかし、1997年には新規患者数が38年ぶりに、り患率(人口10万人対)は43年ぶりに増加に転じ始め、その後も徐々に増加傾向が続いている。全国で年間3,000人近い人が今なお亡くなっており、最近では特効薬の効かない多剤耐性結核の出現や集団感染の増加など、予断を許さない状態です。
肺腺癌
肺扁平上皮癌