2016年 前期 日本法制史講義 上世法 4 05-25 上世法⑷ 転換期の法と国家
2 上世法 ⑷ 転換期の法と国家 国風化=日本化 1 統治形態の変遷 2 太政官行政の変貌 3 土地制度と国家論 国風文化の時代
たとえば 民俗行事=祭りに見る国風化 葵祭の風俗
糺ノ森・下鴨神社から上賀茂神社まで、千年以上も前から斎王が
平安時代とは・・・ 国風化の時代 時代祭より この手の祭り 多いですね、この頃
1 統治形態の変遷 公私混淆 ⑴ 天皇親政 ⇨ 中国的天皇(=皇帝)制への転換<もう一つの転換> ←上世前期(=過渡期) 皇太子執政・皇后執政 大化2.2 詔 夫君於天地之間、而宰万民、不可独制、要須臣翼、 臣下の補翼を原則←詔勅には太政官の加署が必要 810 蔵人所の設置 ⇨ 側近政治への傾斜 ⑵ 摂関政治臣下が摂政・関白として庶政を行う慣例 人臣摂政 ←外戚(私的地位) 摂関常置 cf 太政大臣との区別 (←令制太政大臣の職掌は抽象的) ⑶ 院 政 ① 皇室家長権 ②摂関政治の後身 ←天皇之父祖(私的地位) 政所政治は過去の概念←否定されました
政治世界における公私混淆 婚姻形態の変化と関連 ⑴ 摂関期外戚モデル 外祖父 天皇 女 皇子 (次の天皇) 聟取り婚・妻問い婚 招壻婚 ⑵ 院 政モデル 上皇 外祖父 天皇 女 皇子 (次の天皇) 嫁取り婚 里内裏 高群逸枝『招壻婚の研究』
太政官機構の変遷 律令 天皇 議政官会議 詔書 議政局←─→弁官局→諸官司 勅書 ↓ 国→郡 官符 外記局 格式 宣旨 公卿僉議 縮小再編太政官機構 [法源] [権源] [機構内意思決定] [国政の実際] 律令 天皇 議政官会議 詔書 議政局←─→弁官局→諸官司 勅書 ↓ 国→郡 官符 外記局 格式 宣旨 公卿僉議 官宣旨 摂関 公卿定 令外官 例 新制 院 院評定 官司請負 院宣 家職・家業・家学 公家法・寺社法 + 武家法 ⇨⇨⇨⇨ 中世国家
2 太政官行政の変貌(⇨変遷図) ⑴令外官体制 ①蔵人所 機密文書、詔勅に代わる蔵人所宣旨 ←少納言局・中務省 ②検非違使 京中の非違糺察 2 太政官行政の変貌(⇨変遷図) ⑴令外官体制 ①蔵人所 機密文書、詔勅に代わる蔵人所宣旨 ←少納言局・中務省 ②検非違使 京中の非違糺察 →全ての犯罪の専決処断の権限 朝家置此職以来 衛府追捕 弾正糺弾 刑部判断 京職訴訟 併帰使庁 ③関白・内大臣・中納言・参議・堪解由使 etc.
⒜ 准令制官職 ⑴令外官体制 除目官 官位相当制を確認・推定できるもの ⒝ 任命が 宣旨・詔 によるもの 天皇との私的関係に基づく 宣旨職 ⒝ 任命が 宣旨・詔 によるもの 天皇との私的関係に基づく 宣旨職 別当=太政官人
⑵ 政務執行の変化 B 〔定〕 ←議政官会議 御前定 殿上定 ↓ 陣定 (esp 条事定) 院殿上定(→院評定制) 曲水宴 ⑵ 政務執行の変化 曲水宴 A 〔政〕 ←朝堂政 朝 政 →旬政→平座 官 政(官結政) 外記政(外記結政) B 〔定〕 ←議政官会議 御前定 殿上定 ↓ 陣定 (esp 条事定) 院殿上定(→院評定制)
⑶ 官司請負制 1 高位高官の世襲 2 国家業務の請負 →家業(家学・家職)の成立 →公家・武家 →中世社会へ ⑶ 官司請負制 1 高位高官の世襲 2 国家業務の請負 →家業(家学・家職)の成立 →公家・武家 →中世社会へ 3 家格の固定化→明治維新→現代まで続く?? 壬生狂言 実務官僚:官務(壬生)家・暦道・文章道(年号勘申)・古今伝授 清華(大臣)家 摂関家 武家←兵の家・殺しの上手 天皇家(王家・皇家): 天皇も国家最高の家職
3 土地制度と国家論 ⑴ 公地公民制 → 庄園公領制 ⇦土地の私有+農民(=公民)の階層分化 田堵・名主→富豪の輩 vs 浮浪の民 3 土地制度と国家論 ⑴ 公地公民制 → 庄園公領制 ⇦土地の私有+農民(=公民)の階層分化 田堵・名主→富豪の輩 vs 浮浪の民 ⑵ 権門体制 ←権門勢家 権威の機能分化 (政治的・軍事的・宗教的権威) →法権(法圏)の分裂→次の時代へ ⑶ 王朝国家 地方の支配方式の変化 地方官(=国司)への委任方式 ⑷ 公家政権 中世的王権の成立
政治世界における公私混淆 婚姻形態の変化と関連 今日のひとこと ⑴ 摂関期外戚モデル 外祖父 天皇 女 皇子 聟取り婚・妻問い婚 招請婚 ⑵ 院 政モデルを 的確に表現して下さい ?! 嫁取り婚