マクロ経済学初級II (秋学期) タイプIIクラス

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4 月 10 日経済学 経済学 経済原論 (春学 期) 2002 年 白井 義昌. 4 月 10 日経済学 教科書 マンキュー経済学 II マクロ編 東洋経済新報社 Principles of Economics, 2 nd edition N. Gregory Mankiw, The Dryden.
「マクロ経済学Ⅰ」 蓮見 亮
終章 結論~迷走する経済学~ E班 堀口・石川・細野・武井・赤見・伊藤 デフレの原因はマネーサプライでもない!人工減少でもな い!ではデフレの正体は何か … この章ではその正体を含め、歴史的に見る経済低滞とデフレ の関係性、デフレの害悪、そして現在の経学の現状について も論じていく。 1.
1 IV 長期における貨幣と価格. 第11章 貨幣システム 物々交換 欲望の二重の一致 1.貨幣の意味 貨幣の機能 – 交換手段 – 計算単位 – 価値貯蔵手段 富 流動性 貨幣の種類 – 商品貨幣 金本位制 – 不換紙幣.
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経済の仕組みと経済学. 経済学とは 「経世済民」経済 世の中を治め、民の苦しみを救うこと 人々が幸せに暮らすためのしくみでありその活動 = 経済学とは: 「希少な資源を競合する目的のために, 選択・配分 を考える学問」 2.
PowerPoint® Lecture Presentation to accompany マンキュー経済学 I ミクロ編 N. Gregory Mankiw Prepared by Mark P. Karscig, Central Missouri State University.
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経済学とは 経済学は、経済活動を研究対象とする学問。 経済活動とは? 生産・取引・消費 等 なぜ、経済活動を行うのか?
市場経済 商品を買 いたい人 商品を売 りたい人 市場 (いちば) 外国と交易し, 商品範囲を広げる 商人は 利得を拡大 客の要望 が増大.
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循環構造 民間部門経済循環の流れ circular flow 家 計 企 業 (価格メカニズム) 市場機構 が働く p p 消費財市場 y
2004年度入門経済学1A 担当教員:奥井克美.
マクロ経済学初級I タイプIIクラス 白井義昌
第9回講義 マクロ経済学初級I タイプIIクラス.
経済学(第7週) 前回のおさらい 前回学習したこと(テキストp.16,19) ◆ マクロ経済学における短期と長期 ◆ 完全雇用とはなにか ◆ 短期のマクロ経済モデルの背後にある考え方 (不況の経済学/有効需要原理) ◆ 民間部門はどのように消費や投資を決定するか ◆ ケインズ型消費関数とはなにか ◆
第3回講義 文、法 経済学.
短期と長期.
マクロ経済学初級I 第12回 今学期のまとめ.
経済学入門 ミクロ経済学とマクロ経済学 ケインズ経済学と古典派マクロ経済学 経済学の特徴 経済学の基礎概念 部分均衡分析の応用.
IV 長期における貨幣と価格.
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マクロ経済学初級II (秋学期) タイプIIクラス 2004年 白井 義昌 9月30日 マクロ経済学初級II

教科書 マクロ経済学・入門 第2版 福田慎一・照山博司著 有斐閣アルマ 参考書 マクロ経済学・入門 第2版   福田慎一・照山博司著 有斐閣アルマ 参考書   Principles of Economics, 2nd edition N. Gregory Mankiw, The Dryden Press, 2000. http://www.harcourtcollege.com/econ/mankiw  購入は洋書店かhttp://www.amazon.co.jpにて。 邦訳本 マンキュー経済学IIマクロ編 東洋経済新報社 9月30日 マクロ経済学初級II

講義ノートおよび成績評価 講義ノートなどの関連資料は http://www.econ.keio.ac.jp/staff/yshirai/macro-intro/2004/index.html   に逐次掲載します。 成績評価は期末テストにて行います。 9月30日 マクロ経済学初級II

講義の目標 マクロ経済学の問題とそのアプローチを理解する。 新聞などで報じられる経済問題を自分の頭で理解、検討でるようにする。 経済学に一層の興味を持てるようにする。 9月30日 マクロ経済学初級II

第1回講義予定 経済学とは何か マクロ経済学の問題 経済学の十大原理 経済学者の考察方法 経済成長 景気循環 失業 インフレーション 国際経済 マクロ経済政策 9月30日 マクロ経済学初級II

第1回講義 経済学とは何か? 9月30日 マクロ経済学初級II

経済学の考察 資源の希少性 Scarcity of resources 経済学は    社会がその希少な資源をどのように管理するかを考える学問である。 Economics is the study of how society manages its scarce resources 資源配分 resource allocation 9月30日 マクロ経済学初級II

社会的資源配分を考察するに あたっての重要な要素 主体の意思決定 Decision making 主体の意思決定の相互依存    Interaction of decision making -市場を通じて      -非市場的組織を通じて 経済全体をどう表現するか。社会会計 経済は全体としてどのように動いているか? 9月30日 マクロ経済学初級II

経済学の十大原理 主体はどのように意思決定をするか How people make decisions. 主体はどのような相互依存関係にあるか How people interact 経済は全体としてどのように動いているか   How the economy as a whole works 9月30日 マクロ経済学初級II

主体はどのように意思決定 をするか 第1原理: 経済主体はトレードオフに直面している 第2原理:   経済主体はトレードオフに直面している 第2原理:   ある選択の費用はその選択をとることによって放棄した選択によってはからられる。   機会費用 9月30日 マクロ経済学初級II

主体はどのように意思決定をするか(続き) 第3原理:  合理的主体は限界原理にもとづいて意思決定する。  Rational people think at the margin. 第4原理:  主体はさまざまな誘引に反応する。 People respond to incentives 9月30日 マクロ経済学初級II

主体はどのような 相互依存関係にあるか 第5原理: 交換によって全ての主体が豊かになる ことが可能である。   交換によって全ての主体が豊かになる   ことが可能である。 Trade can make everyone better off. 交換の利益、貿易の利益 Gains from trade 9月30日 マクロ経済学初級II

主体はどのような相互依存関係にあるか(続き) 第6原理:  市場は経済活動を運営するうえで通常は有益な方策である。      市場経済 第7原理:  政府は時によって市場取引の成果を改善することができる。      市場の失敗、外部性、市場支配力 9月30日 マクロ経済学初級II

経済は全体としてどのように 動いているのか 第8原理:  一国の生活水準はその国の財サービスの生産能力に依存する。 第9原理:  政策当局が貨幣を増発すると諸価格は上昇する。 第10原理:  社会は短期的にインフレと失業の間のトレードオフに直面する。 9月30日 マクロ経済学初級II

経済学者の考察方法 9月30日 マクロ経済学初級II

経済学の特徴 主体、取引対象を分割する。 社会会計   誰かの支払いは誰かの受け取りになっているという原則に着目し、主体、取引対象について整理することができる。 9月30日 マクロ経済学初級II

モデルで考える 主体の行動仮説 (原理1,2)を想定する。 主体の行動環境についての仮定をおく。 その経済的な帰結を演繹する。 主体の行動仮説 (原理1,2)を想定する。 主体の行動環境についての仮定をおく。 その経済的な帰結を演繹する。 説明しようとした経済現象との照らし合わせをデータを用いて行う。 9月30日 マクロ経済学初級II

ミクロ経済学とマクロ経済学 マクロ経済学 集計された変数についての考察 GDPの決定、成長、 物価上昇率、失業率、利子率のふるまい   集計された変数についての考察   GDPの決定、成長、   物価上昇率、失業率、利子率のふるまい ミクロ経済学   主体の意思決定過程を明確にし、主体間の資源配分についてその帰結を考える。 9月30日 マクロ経済学初級II

実証分析と規範分析 実証分析 positive analysis ある経済現象についてなぜそうなるかを 説明しようとする分析  ある経済現象についてなぜそうなるかを  説明しようとする分析 規範的分析 normative analysis ある資源配分が何らかの意味で望ましいかどうかについての分析 9月30日 マクロ経済学初級II

マクロ経済学の問題 Long-Run Economic Growth Business Cycles Unemployment    マクロ経済学の問題 Long-Run Economic Growth Business Cycles Unemployment Inflation The International Economy Macroeconomic Policy 9月30日 マクロ経済学初級II

アメリカおよび日本経済の総生産 長期の経済成長 アメリカ 日本 経済の成長のメカニズムはどのようなものか? 1869年以降アメリカのGDPは75倍増大 人口成長 平均労働生産性の拡大 日本 1880年から1990年にかけて日本のGDPは70倍増大 戦後の高度成長、石油ショック後の安定成長、90年代の停滞 経済の成長のメカニズムはどのようなものか? 9月30日 マクロ経済学初級II

Figure 1.01 Output of the U.S. economy, 1869-1996 9月30日 マクロ経済学初級II

9月30日 マクロ経済学初級II

景気変動 景気の山と底 (講義にて説明) 景気の底から次の底までの期間を景気の一循環と呼ぶ。 景気の山と底 (講義にて説明) 景気の底から次の底までの期間を景気の一循環と呼ぶ。 戦後から日本は13回の景気循環を経験し、現在第14回目の景気循環に入った(2001年末より現在まで景気の上昇局面にある)。 9月30日 マクロ経済学初級II

9月30日 マクロ経済学初級II

失業 失業率=失業している労働者数/総労働力人口 総労働力人口=働いている労働者数+仕事を 探している労働者数 不況期には失業率が高くなる   総労働力人口=働いている労働者数+仕事を                     探している労働者数 不況期には失業率が高くなる 好況期であってもプラスの失業率がある なぜ好況期にさえ失業率がある程度高いのか? 9月30日 マクロ経済学初級II

Figure 1.03 The U.S. unemployment rate, 1890-1998 9月30日 マクロ経済学初級II

9月30日 マクロ経済学初級II

物価上昇率 インフレとデフレ 戦時期にインフレその後デフレが続く 大恐慌後は継続的インフレ 貨幣の購買力 インフレ,デフレはなぜ起こるか? 9月30日 マクロ経済学初級II

Figure 1.04 Consumer prices in the United States, 1800-1998 9月30日 マクロ経済学初級II

9月30日 マクロ経済学初級II

国際経済 開放経済と閉鎖経済 国際貿易と国際貸借 景気変動の国際波及 貿易(経常)収支の不均衡 なぜ貿易収支の不均衡が起こるか? 貿易収支の不均衡はいいのかわるいのか? 9月30日 マクロ経済学初級II

Figure 1.05 U.S exports and imports, 1869-1998 9月30日 マクロ経済学初級II

9月30日 マクロ経済学初級II

マクロ経済政策 財政政策(Fiscal Policy) 財政支出と税の徴収 金融政策 (Monetary Policy) 貨幣供給量の調節    貨幣供給量の調節 9月30日 マクロ経済学初級II

財政赤字と政府の債務残高 政府の財政赤字= (1年間の)政府支出 ー 政府の税収 [1年間という期間で定義されるフローの概念]   (1年間の)政府支出 ー 政府の税収 [1年間という期間で定義されるフローの概念] 政府の債務残高=   ある時点で政府が負っている負債の総額   (具体的には国債の発行残高) [ある時点で定義されるストックの概念] 9月30日 マクロ経済学初級II

Figure 1.06 U.S. Federal government spending and tax collections, 1869-1999 9月30日 マクロ経済学初級II

9月30日 マクロ経済学初級II

9月30日 マクロ経済学初級II