2015/7/10・11 於:協会会館+岡山商科大学 役立つ(かな?)情報管理2015 テキスト 岡山商科大学経営学部商学科 教授 田中 潔
スケジュール 1日目(看護協会) 講義編 9:00~12:00 情報管理の基礎知識 13:00~16:00 看護研究の基礎知識 1日目(看護協会) 講義編 9:00~12:00 情報管理の基礎知識 情報と情報処理の考え方を知る コンピュータ進展の経緯を知る 情報倫理を考える 13:00~16:00 看護研究の基礎知識 看護研究のための基礎知識 エクセル中心の個人統計分析 統計的検定の考え方
スケジュール 続き 2日目(岡山商大会場) 実習編 9:00~11:00 発表作法の基礎知識 11:00~15:00 統計分析の実際 スケジュール 続き 2日目(岡山商大会場) 実習編 9:00~11:00 発表作法の基礎知識 プレゼンテーション基礎 パワーポイントに触れる・体験 研究発表文章作成の要点 11:00~15:00 統計分析の実際 サイトを利用した統計的検定 エクセル利用再確認
講師メモ 田中 潔(たなかきよし) 略歴: 岡大卒、九大修了後商大へ勤務。助手、講師、助教授を経て現在教授。管理職:教学部長 田中 潔(たなかきよし) 略歴: 岡大卒、九大修了後商大へ勤務。助手、講師、助教授を経て現在教授。管理職:教学部長 主な科目:ネットワークシステム演習、社会調査実践他 専門分野:計算機統計学、マーケティング、社会調査 連絡先 岡山商科大学 〒700-8601(専用番号で届く) tanaka@po.osu.ac.jp (eメール) http://www.nahaha.org (Web) 検索エンジン 岡山商大 田中 で検索 大学電話 086-252-0642 大学FAX 086-255-6947
研修後に相談があれば アポイントはeメールtanaka@po.osu.ac.jpが最適。大学でも良いが、FAXなどは086-284-7726(自宅)。でも捕まらないならごめんなさい データ分析相談は随時応ずるが、三種いずれかがあるとスムーズ 相談三種の神器: 研究計画書、アンケート用紙そして入力済みエクセルシート 遠方の場合メールだけで指導する場合もあり できればPC(携帯ではなく)メールのアドレス 連絡には携帯メールで十分
情報の基礎知識
情報を活用するための 4つのアクション(情報管理) 情報蓄積 患者、医療処置に関するデータベース 誰が何を入力するのか? 情報共有 施設内で共有しましょう 誰がそれを見ることができるのか? 情報加工・情報処理 付加価値情報システム 自施設や自部署に有益な情報がありますか? 情報伝達・通信 広域連携を考え地域や患者との密接な連携は
「情報」の4大定義 シャノン(1948)説 情報とはこんなもの (1)非遷移性 (2)非消費性 (3)累積効果性 (4)信用価値性 シャノン(1948)説 情報とはこんなもの (1)非遷移性 相手に移っても手元に残る (2)非消費性 使いべりしない (3)累積効果性 たくさんの情報を蓄積し効果あり、図書館や放送局 (4)信用価値性 多くの蓄積を基盤に信用をさらに増す
保健医療分野 情報化にむけてのグランドデザイン 【目標】 平成16(2004)年度までに 全国の二次医療圏毎に少なくとも一施設は電子カルテの普及を図る(電子カルテ科 平成18(2010)年度までに 全国の400床以上の病院の6割以上に普及、全診療所の6割以上に普及 保健医療福祉総合ネットワーク化への展開 専門機関のネットワーク連携 個人に対するICカード化
情報分野の「理念」 「あまねく公平に、必要な時に、必要なだけ提供する」Just in Time JIT 全ての国民に大して情報分野はこうあるべきとの目標や基本方針 「あまねく公平に、必要な時に、必要なだけ提供する」Just in Time JIT でもそれだけには問題は留まりません 看護情報システムも普及してきました しかし、JITに種々を検索できていますか???
歴史 前期 有史以前 そろばん 中国とエジプト 16世紀 パスカルとライプニッツ 19世紀 バベジの階差機関(アナレティカル・エン 歴史 前期 有史以前 そろばん 中国とエジプト 16世紀 パスカルとライプニッツ 数学者、加減計算機、乗除計算機 歯車式 19世紀 バベジの階差機関(アナレティカル・エン 自動計算の夢、設計図、未完の夢、産業革命 蒸気と歯車による計算機関。加減乗除 1940年頃 最後の機械式計算機Mark-I(米) 歯車→電磁石リレー素子,電気式計算機 1946年 ENIAC誕生(砲弾表) ノイマン、エッカート、モークリーら主導 世界初の電子計算機の誕生(軍事用)
コンピュータの歴史 後編 1946 ENIAC(ノイマン型コンピュータの原型) 1948 シャノンによる情報理論の提唱 コンピュータの歴史 後編 1946 ENIAC(ノイマン型コンピュータの原型) 1948 シャノンによる情報理論の提唱 シャノンの情報量、第4の物理量 世界初の商用コンピュータUNIVAC-I(ユニバック社) エッカートとモークリー、後に廃業 IBM-360シリーズ大ヒット(IBM社) 白雪姫と7人の小人と呼ばれる勢力図 ワトソン率いる営業部隊「ビッグブルー」とノイマン
より小型、分散化へ 現代史 1960年代 日本で「電卓戦争」勃発 IBM社の世界独壇場(フレームマシン) より小型、分散化へ 現代史 1960年代 日本で「電卓戦争」勃発 IBM社の世界独壇場(フレームマシン) 対抗する日本の電気メーカー集団(国策の下、一致団結) NTTの出入り業者6社 日本電気、富士通、沖電気、東芝、三菱電機、日立 カシオ、シャープ、ビジコン ビジコン、インテルへ電卓LSIを委託 嶋正利。インテルにて世界初マイクロプロセッサ開発(4004) パソコンのひな形 1970年代後半 NEC、評価キットTK80販売 1980年代 我が国独自の進化PC9800シリーズ パソコンのガラパゴス化、携帯電話より先に 同時期2人のジョブス、アップルIの開発
そして分散からネット化へ 現在 インテル+マイクロソフト(ウィンテル)軍勢対モトローラ+アップル軍勢の戦い IBM社最後のあがき そして分散からネット化へ 現在 インテル+マイクロソフト(ウィンテル)軍勢対モトローラ+アップル軍勢の戦い IBM社最後のあがき パソコンDOSV機の仕様公開、世界標準 パソコン界は次第にこの黒船に収束 1995 実質初のWindows95発売 1998 クリントン政権ゴア副大統領「デジタルエコノミー」にてインターネット開放政策
冷戦の申し子 インターネット 1965 時は、米とソ連の冷戦時代インターネットは産声を どちらも大陸間弾道弾開発競争だったのよ。 冷戦の申し子 インターネット 1965 時は、米とソ連の冷戦時代インターネットは産声を 1962 ケネディ 米ソのキューバ危機 1968 ソ連ガガーリン少佐「地球は青かった」 1961 月面着陸アポロ計画 どちらも大陸間弾道弾開発競争だったのよ。 当時、ソ連に負けていた米DoD(ペンタゴン)は、「ソ連から一発の核攻撃をワシントンが受けても、ネット管理下の100発をお見舞いする」との理念から、インターネットの前身、ARPAネット構築に躍起となった。 ARPAネットの主導者: ポールバランにより分散型ネットワーク方式の確立 電話: 密結合、インターネット: 疎結合
コンピュータの進化 素子の進化 ノイマン型コンピュータ 第1世代 真空管 ENIAC 第2世代 トランジスタ ショックレー 第1世代 真空管 ENIAC 第2世代 トランジスタ ショックレー 第3世代 大規模集積回路(IC) キルビー 第4世代 VLSI 嶋4004以降 ノイマン型コンピュータ 電子スイッチによる0、1の2進処理 プログラム内蔵方式 プログラムとデータを内蔵し、処理する方式
わが国携帯電話の略譜 それまでは有線電話が主流 技術進歩と規制緩和の一環から実施された 1987 NTT初の移動体電話市販 1987 NTT初の移動体電話市販 日本独自のケータイ=ガラパゴス携帯進歩 2008 iphone日本発売 2011 スマホが ガラパゴスを追い抜く 音声からWeb閲覧+ 電子メール利用主
インターネットの略譜 1965年頃 米軍の戦略情報システム開発 米・ソ連対立(冷戦)の影響 軍事専用 ARPAネットが前身 1965年頃 米軍の戦略情報システム開発 米・ソ連対立(冷戦)の影響 軍事専用 ARPAネットが前身 1970年代 インターネットと命名 1995年頃 米国、世界にインターネットを開放(米・ソ連の冷戦が終わる) その頃 Windows95が発売、環境が整備 その後 携帯電話も接続 現在のインターネット社会が出現
看護者としての情報倫理 まずはじめに日本看護協会が定める「看護職の倫理綱領」をサイトで学びましょう。 15の誓いを確認しましょう。 http://www.nurse.or.jp/nursing/practice/rinri/rinri.html では、情報関連の倫理綱領は何でしょうか? 情報処理学会の綱領より ttp://www.ipsj.or.jp/03somu/ipsjcode/ipsjcode.html
情報倫理規定 社会人として 1.1 他者の生命、安全、財産を侵害しない。 1.2 他者の人格とプライバシーを尊重する。 情報倫理規定 社会人として 1.1 他者の生命、安全、財産を侵害しない。 1.2 他者の人格とプライバシーを尊重する。 1.3 他者の知的財産権と知的成果を尊重する。 1.4 情報システムや通信ネットワークの運用規則を遵守する。 1.5 社会における文化の多様性に配慮する。
情報処理に関連する法律 知的財産権を守る著作権法 情報社会を守る不正アクセス禁止法 派遣労働者を守る労働者派遣法
分析そして看護研究
情報処理と看護研究のハザマ 看護研究 エビデンス 留意点 情報学 GIGO‘Garbege In Garbege Out) 統計学 群盲評象 看護の中で、課題を立証し客観的結論を得る エビデンス 明白なこと、証拠や根拠 留意点 情報学 GIGO‘Garbege In Garbege Out) ゴミからはゴミしか生まれない 統計学 群盲評象 尻尾を握って象がわかったつもりになっていませんか?
量か質か 量的研究(学部卒レベル) 質的研究(院レベル) 通常のアンケート調査、多くの場合対象者全員からの回答は無理→標本調査 量的研究の主目的は、市場の現況を把握すること 質的研究(院レベル) 通常のインタビュー調査、症例研究、観察など 未知なる問題の場合、仮説を発見するために比較的小規模にて行う http://www.geocities.co.jp/Technopolis-Mars/4688/ 南小樽病院 瀬畠さん
量的研究を行う上で 科学の本質 つまり、否定は1つの反例で即決(強)>肯定は難しい(弱) ある現象を解明する際、反例を見つけ、否定するこの繰り返しで、可能性や真実に接近する。 「○○を肯定できる」のではなく、色々可能性を否定し続けたが、もう否定できない。だから「肯定せざるを得ない」という論法 つまり、否定は1つの反例で即決(強)>肯定は難しい(弱)
調査の2立場 対象者全員の結果が得られた場合 対象者の一部しか調査できない場合 問題は、標本から本来の集団を推し量る 悉皆(しっかい)調査 その結果が唯一正しい、記述の統計で良い 対象者の一部しか調査できない場合 欠席者いた。未回答があったなど含む 標本調査でも標本統計は存在する。 問題は、標本から本来の集団を推し量る
計測や調査からデータを得ること 母集団と標本 研究目標の対象: 母集団(未知) 計測や調査から得た対象 標本:既知 無作為抽出 母集団:未知 標本・サンプル 既知:データ分析の対象 標本は分析できる 未知または既知
大まかな統計分析の流れ 4段階 母集団(未知であり不可視) 標本(可視) 集計 推定・検定 データの収集 データ集計 統計解析 大まかな統計分析の流れ 4段階 母集団(未知であり不可視) 標本(可視) 集計 推定・検定 データの収集 データ集計 統計解析 アンケート調査 無作為抽出 平均値やクロス表 基礎統計量や集計表 t検定やカイ2乗検定結果(有意かどうか) 神の領域 人間界 第一段階 第二段階 第三段階 第四段階
統計解析法の目的 記述統計: 平均、標準偏差、分散、グラフ 推定・推測: 標本から母集団値を求める 予測: 時系列データから将来を推測 記述統計: 平均、標準偏差、分散、グラフ 推定・推測: 標本から母集団値を求める 一般には標本値±誤差を決める 予測: 時系列データから将来を推測 方程式を作成する 記述統計: 標本を示す値やグラフで視覚化 検定・テスト: 比較し判定する、○×効果 多変量分析群 3つ以上の項目からなるデータを分析する
ステップ1 個人レベルの分析 データ準備や留意点
データの値: 4つの測定尺度 名義尺度 情報量小 順序尺度 間隔尺度 比率尺度 名前を区別するため 演算は出来ない データの値: 4つの測定尺度 名義尺度 情報量小 名前を区別するため 演算は出来ない 1.男性 2.女性 度数表やクロス表は可 順序尺度 ゆるい順序性のみ許す 演算は本来△ 1.はい 2.どちらでもない 3.いいえ 間隔尺度 絶対ゼロを定めない量 演算は加減のみ ℃(摂氏)、カレンダー月 比率尺度 絶対ゼロを基準とした計測値 加減乗除可能 実験データ全て 情報量大
素データ形式 行側(ギョウソク)と列(レツソク)側 →列側(項目、変数、変量) 行側↓ (ケース) 1ケースずつまとめたものを、「素データ」(生データ)とも呼ぶ
入力した素データの形
欠測値について 計測されなかった、計測できなかった値 表ソフトで欠測値には0ゼロを入力しない 99や0など特定値を入れることは 欠測値という エクセルの場合何も入力しない セル値の削除はdeleteキーで 0は計測値として計算してしまいます 99や0など特定値を入れることは 一部の統計ソフトでは除外可能だが、エクセルとの互換性を考えると入力しない方が無難でしょう
ステップ2 素データが用意できたら、まず 1項目ごとにデータの姿をつかむ 記述統計(基礎統計、度数・クロス集計、グラフ表示)
1項目ずつデータを視覚化する 名義、順序尺度 間隔、比率尺度 名義尺度は整数値で得られ 比率尺度は整数か小数値で得られる 度数やクロス表に集計する その表を棒グラフなどでながめる 間隔、比率尺度 ヒストグラムで眺める 基礎的な統計量を算出する 名義尺度は整数値で得られ 比率尺度は整数か小数値で得られる
1項目のグラフと 基礎統計量の関係図 記述統計量とは 平均値 標準偏差 最大、最小値 中央値 度数集計表
エクセルによる基礎統計量 関数で求める 平均 =AVERAGE(範囲指定) 標準偏差 =STDEV(範囲指定) 平均 =AVERAGE(範囲指定) 標準偏差 =STDEV(範囲指定) 中央値 =MEDIAN(範囲指定) 最大値 =MAX(範囲指定) 最小値 =MIN(範囲指定)
1項目ずつ視覚化と基礎統計量 投げ1のヒストグラム
素データから度数集計してみたら この集計表を「表データ」と呼んで、素データと区別することもある
投げ1と投げ2を表現する 素データ→度数表→項目ごとにグラフ化 素データ→表データ→グラフ グラフを書くには、Excelが標準的
グラフは統計分析の設計図 最初のうちは、グラフ化することがとても大事 図中には、実は分析結果が見えています。 1項目の現象には 棒グラフか折れ線グラフがしばしば。 大切なことは、条件によりグラフを書き分けていますか?(群別、層別分析ともいう) 条件とは、女性・男性、学級A、B、C別など
発表・論文向け科学的なグラフの要点 Excelのグラフは、どちらかというと、プレゼンを意識した「ビジネス系」 グラフは、誰もが見て分かるもの。見た目は二の次、シンプルで情報豊富 縦軸下限は、必ず0(原点)から。途中からの省略(インチキ)グラフは最大の誤用 図はFig.、表はTable.例 Fig.5 Table.12 軸にはタイトルを必ず入れる 図はタイトルを最下、表はタイトルが最上
集計と分析の実際
データ分析を試みる パーソナルな情報処理 この実習ではネットやPC操作を駆使してニガ手な統計計算を試みましょう データ入力、基礎統計表、度数表程度であればExcelで十分可能 少し複雑な分析もサイトで分析できるように
エクセル 統計計算シートankstat (アンクスタット)時間があれば紹介 エクセル 統計計算シートankstat (アンクスタット)時間があれば紹介 田中研究室で開発されたエクセル(バージョンは問わず)専用のシート 主に基礎集計や集計を行う。詳細な統計解析機能はない。 http://www.osu.ac.jp/~tanaka/ankstat/ 検索エンジンにて「ankstat」で検索する 。2013/8最新は5.9版。 最大5000ケース×200項目を集計可能
シートankstatの入力シート
項目ごとの基礎統計量や度数表(%表示も可能)を算出 シートに素データを入力して、 下のタブを選ぶと 項目ごとの基礎統計量や度数表(%表示も可能)を算出
データ入力画面例 (エクセルに同じ)
基礎等計量もらくらく
度数も集計する
アンクスタットankstatや研修資料は 「岡山商大 田中」サイトから入手 アンクスタットankstatや研修資料は 「岡山商大 田中」サイトから入手
さらに進むと…
パーソナルな分析 エクセルにてデータ入力 1)施設の統計解析ソフトにて一貫して分析 2)エクセルを主体に集計分析 グラフを丁寧にまとめる 1)施設の統計解析ソフトにて一貫して分析 SPSSやSASを使う 主に業務や研究に 大量・ビッグデータ 2)エクセルを主体に集計分析 入力と集計に役立つ「アンクスタット」シート いずれ限界感じる 3)サイトの統計解析を試してみる 青木の統計サイト「おしゃべりな部屋」利用 PCの他、スマートホンでも実行可能 経験や統計版電卓として 4)市販の統計解析ソフトを個人で導入・購入 「R」(無料)や「Web統計」(市販)など 個人処理の中心か
看護に代表的な検定を分析体験 t検定(2つの群を比べる手法) 近年ではマンホイットニのU検定を使うことも ある測定データの平均値がある値かどうか 仮説: 測定データの平均値=46.7 2群の平均は等しいとみなせるか 仮説: 群1の平均=群2の平均 群1平均-群2平均=0 医学分野の分析手法にもブームあり 近年ではマンホイットニのU検定を使うことも
そも、t検定はなぜ必要か? 悉皆調査ならば必要なし 標本調査では、こうはいかない これが、統計的検定の考えていること 結果の平均(記述統計)で真実を示す 標本調査では、こうはいかない 今出した記述統計の差が、母集団で明らかな(有意な)差だろうか? 対象を変えて、何回も調査をし直しても、この差は維持されているのだろうか? これが、統計的検定の考えていること
統計的検定はどんなもの ある仮説(○=△)を判定する 判定結果は採択、または棄却の2分法 採択とは「この仮説を積極的に否定しない」 例: この実験結果=160.0 例: 群1の平均=群2の平均 判定結果は採択、または棄却の2分法 採択とは「この仮説を積極的に否定しない」 (厳密には仮説を認めたくないがやむを得ない) 棄却とは「この仮説を積極的に否定する」 57
2つの平均値を比べる 2群の平均値差の検定(t検定) 群 平均 標準偏差 N A 3.2 3.8 5 B 5.2 8.2 5 等分散性の検定 有意確率2.3%(有意) 2群のばらつきは等しくない 平均値差のt検定 等分散仮定する 6.4% 等分散仮定せず 6.4% いずれも平均値差は有意でない この2群で平均値3.2と5.2は同程度と見るか?否か? 2群のばらつきは 等しくないと判定 ばらつき等しくない仮定の下で、「採択」 2つの平均値が等しいことを否定せず(つまり同程度) 58
「検定」の計算と判定 有意水準=「p値」を求め判定する 計算: 統計ソフトなどを使用する 判定: 出てくる結果の有意確率か有意水準(p値)の値により判定 有意水準「p」>0.05 有意水準5%以上で採択 5%以下ならば棄却(有意、SIG.)←差あり 0.05~0.01 5%有意 * 星1つ 0.01~0.005 1%有意 ** 星2つ 0.005より小 0.5%有意 *** 星3つ 59
p値とは 統計学や検定の考え方 標本調査で得られたこのデータや集計表について、 ある条件を仮定して、このデータや集計表を象徴する独特の検定統計量を算出する 検定統計量=対象データや集計表固有の値 p値とは、この検定統計量の発生する確率のこと 仮に、p=0.01ならマレなこと、p=0.60ならシバシバ起こること(今、測定したデータや集計表が得られることが) 統計学や検定の考え方 なぜマレな確率でデータや集計表が得られたのだろうか?きっと、何か特別な事情があるに違いない。注意しよう(有意としよう)
p値をもとに多くの検定方法が データや表⇒検定統計量⇒その発生確率p 5%(0.05)を基準に、小さければマレ(有意)、大きければシバシバ(採択)と判定(医療では5%水準、他にも1%や0.5%なども工学で使用) 検定統計量や確率計算方法は、 条件や仮定で千差万別。また非常に難解。そこで、典型的な状況について、「○○検定」として確立されてる。(計算にはPCやサイトを) 例えば、2群の平均値差にはt検定を行う 別の条件なら、同じ目的でマンホイットニU検定も使える だから、検定手法は世に数多く存在する
プレゼンテーションの基礎知識
5W1Hを思い出す 5つの「W」 1つの「H」 1.WHEN いつ 2.WHERE どこで 3.WHO 誰が 4.WHAT 何を ...... そしてもう1つ, 5.WHY (なぜか) 1つの「H」 1.HOW どのように
相手に伝わるコツ 上手な文章は「短い」 掲示資料は「である調」 さらに,箇条書きや体言止めも効果的 読点や句点をやや多めに使う ところでどちらが。かご存知? 掲示資料は「である調」 ~である. ~なのです.(ですます調)は使わない さらに,箇条書きや体言止めも効果的
ポイントを押さえた資料や効果(色やアニメーション) シンプル イズ ベスト 経験格言 内容のない発表はきれい(に作ろう) 内容のある発表は汚ない(くても許す) 細かな資料は突っ込まれる ポイントを押さえた資料や効果(色やアニメーション) シンプル イズ ベスト
戦略=目的+手段 目的と手段は階層的につながっている (戦略の階層性) 目的が具体的・明快だと手段が立てやすい そして、戦略とは「選択と集中」 複数の選択肢を出来るだけたくさん作る 選択肢の長所と短所を吟味する その中から選び、まっしぐら(集中)
戦略的であることチェックリスト □ 現状分析ができている □ 分析から(中・長期の)目標がはっきりしている □ 目的達成のため手段は適切か? □ 現状分析ができている □ 分析から(中・長期の)目標がはっきりしている □ 目的達成のため手段は適切か? □ 目的達成のため資源は集中されているか? □ その目的や手段を説明できるか?
論理的とは 文章やスピーチの場合: 段落と段落、話と話の関係がわかりやすいこと 文章やスピーチの場合: 段落と段落、話と話の関係がわかりやすいこと 企画書の場合: 話の筋道が分かりやすい、ページとページのつながりが分かりやすい 論理的とは結論・主張が明快で、その理由と話の筋道が分かりやすいこと
話の筋道→接続詞を上手に 上位目標確認 さて 現状分析 であるから 戦略目標(仮説)の提示 そのため 実施案の提示 さて 現状分析 であるから 戦略目標(仮説)の提示 そのため 実施案の提示 つまり まとめ、展開なのです
日常の接続詞一覧 順接 であるから、なので、そのため 逆接 しかし、だが 添加 そして、さらに 説明 要するに、つまり 転換 さて、ところで 順接 であるから、なので、そのため 逆接 しかし、だが 添加 そして、さらに 説明 要するに、つまり 転換 さて、ところで 例示 例えば 並列 かつ、または 補足 ちなみに 理由 なぜなら
論理に困ったら逆に考える、 並列もチェックする 三段論法 AならばB、BならばCよってAならばC Cの理由はB、Bの理由はAそこでCの理由はAなのか・・・「逆向き推論」 逆向き推論チェックの徹底こそが納得しやすい論理形成 かつ(AND)、または(OR)、~でない(NOT) の組み合わせが多い(論理の並列)
帰納と演繹 帰納とは事実から結論を得る 統計は帰納的考えに近い 演繹は推論すること(症例研究) ラーメン店Aはうまく、行列があった ラーメン店Bはうまく、行列があった だからうまいラーメン店には行列がある 演繹は推論すること(症例研究) この疾病には斑点が出る。この患者には斑点がある。そこでこの患者はこの疾病か?
PCやサイトを利用して解く体験 医療で良く使う統計的検定を体験する
分析Webサイトで解いてみる 「U検定 サイト」で検索、その中で「こんにちは統計学」で計算ページがあった。計算させてみる 田中のページの右隅からサイトへ進む (あえて、青木のページt検定を、なぜなら、最近になって青木のページは検索エンジンで出にくい) JavaScriptの(26)2群の平均値差の検定へ 使えそうな計算サイト 「こんにちは統計学」サイト すがやみつる 旧「おしゃべりな部屋」サイト 青木繁伸
対応のあるデータ、ないデータ 対応ありと考えられる場合 対応ないと考えられる場合 同じ人やグループを追跡して測定 1回 2回 3回・・・ Aさん 1.0 1.5 2.0・・・ Bさん 1.2 1.7 2.2・・・ 対応ないと考えられる場合 毎回グループの構成者を取り替えて測定 岡山 東京 大阪 福岡・・・ 人口 生産額 学生数 75
応用1 平均などで独立2標本検定 http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/JavaScript/t-test.html 応用1 平均などで独立2標本検定 http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/JavaScript/t-test.html 素データがなく、平均、標準偏差、ケース数のみがある場合のサイト 対応なしの場合、t検定 旧おしゃべりな部屋、Javascript、26番2群の平均値差の検定を参照
PC画面の例(集計データ入力)
結果の一例 p値が複数ある場合、関連したあるいは別の検定結果も合わせて算出している場合がある
二群の平均値差の検定 演習問題 以上 65 歳未満の住民検診 に来所した男子 42 名,女子 63 名の血色素量について 二群の平均値差の検定 演習問題 いずれもt検定(対応なし)として平均値差を検定せよ。青木サイトを使用する。 問1 群 平均 SD N 問2 A 3.2 3.8 5 B 5.2 8.2 5 問3 ある地区で行った40 歳 以上 65 歳未満の住民検診 に来所した男子 42 名,女子 63 名の血色素量について の検査成績は,男子では平 均値 15.2 g/dl,不偏分散 1.1,女子では平均値 12.7 g/dl,不偏分散 3.2 であった。 男女の平均値に差はあるか,
(時間がないと思う 一応資料として) 応用3 名義尺度でも使える検定 クロス表の独立性の検定 (時間がないと思う 一応資料として) 応用3 名義尺度でも使える検定 クロス表の独立性の検定 通称、カイ2乗検定 名義尺度では平均値が意味を持たない そこで表に集計する。 一次元の表こそ度数分布表 2次元以上をクロス集計表 ではこの表での仮説とは 「クロス表のマス目(セル)は同じ割合かどうか」 「クロス表に偏りがあるのかないのか」
(2×2)クロス表とはこんなもの 行と列で作表する ただ集計したので分布に関係しない クロス表は因果を示している(行と列どちらでも) 行側:原因→列側:結果 例: 対応なし 投薬有無と結果や運動有無×効果 対応あり 1回目と2回目の状況
2×2クロス表(分割表) クロス表の最小形式(基本) さまざまなクロス表
http://aoki2. si. gunma-u. ac. jp/JavaScript/FisherExactTest
P=1.00採 P=0.38採 0.02棄 1.00採 0.02棄 1.00採 <解答編>
R×Cクロス表のカイ2乗検定 基本は2×2(検討しやすい) 4つのセル値をサイトへ入力 計算結果P値で判断する P>0.05 採択 0.01<P<0.05 5%有意他 1%有意 0.5%有意により *、**、*** http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/Java/ChisqTest/bin/ChisqTest.html (現在では、使用できない場合も多い) とか http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/JavaScript/FisherExactTest.html
クロス表の独立性の検定 通称カイ2乗検定 正規性を仮定しない頑健な手法です 2×2クロス表の精密なカイ2乗検定 http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/JavaScript/FisherExactTest.html R×C表 クロス表入力 通常版 http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/JavaScript/cross.html R×C表 クロス表入力 正確計算版 http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/JavaScript/cross2.html (計算量が多いため通常版で十分) R×C表 素データで入力する版 http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/JavaScript/cross3.html
クロス表独立性の検定 演習問題 各表は独立か? クロス表独立性の検定 演習問題 各表は独立か? 問1 0.83、2 0.76、3 0.31、4 0.60 5 0.01 6 0.00 採択 採択 採択 採択 ** ***
最後になりましたが あなたの情報処理や看護研究スキルの一助となれば幸いです。