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食中毒 食中毒に関する研修 役に立つ薬の情報~専門薬学

食中毒の分類 細菌性食中毒 感染型 サルモネラ、腸炎ビブリオ など 毒素型 黄色ブドウ球菌 など 感染性胃腸炎 ウイルス性食中毒 ノロウイルス、ロタウイルス など 自然毒性食中毒 植物性 毒キノコ、カビ毒 など 食中毒の分類から紹介していきたいと思います。食中毒はその原因によって細菌性、ウイルス性、自然毒性、化学性の主に四つに分けられます。 細菌性食中毒はサルモネラや腸炎ビブリオ、黄色ブドウ球菌などの細菌によって起こります。サルモネラ、腸炎ビブリオは病原菌の感染が問題となる感染型食中毒であり、黄色ブドウ球菌は病原菌の産生する毒素が問題となる毒素型食中毒です。 ウイルス性食中毒ですが、ウイルスは独自で増殖する能力がなく、感染して宿主の力を借りることでやっと増殖できるようになります。そのため、ウイルスは感染型の食中毒と言えます。 これら細菌やウイルスなどの病原菌によって発生する食中毒を特に感染性胃腸炎と呼びます。今回、この感染性胃腸炎に焦点を当てて研修を行いたいと思います。 参考までに紹介しますと、毒キノコやフグ毒など自然界にある毒素によって起こる食中毒を自然毒性食中毒と呼びます。また、ヒ素やホルムアルデヒドなど化学物質によって発生する食中毒を化学性食中毒といいます。 動物性 フグ毒 など 化学性食中毒 ヒ素、ホルムアルデヒド など 役に立つ薬の情報~専門薬学

一年間の食中毒による患者数 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 1000 1000 500 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500 5000 (人) スライドには一年間の食中毒による患者数について、月ごとに表しています。 このグラフによると1 月と8 月に患者数のピークを見て取れます。後で説明しますが、冬に発生する食中毒のほとんどはノロウイルスによるものです。ノロウイルスによる食中毒は患者数の多いことが特徴ですが、冬に食中毒の患者数が多くなるのは、ノロウイルスによる影響が大きいためです。 夏に起こる食中毒はノロウイルスによる冬の食中毒に比べて患者数は少ない傾向にあります。しかし、O-157 など腸管出血性大腸菌による死亡例もあり、冬に起こる食中毒よりも重篤な状態に陥るケースが多いです。 役に立つ薬の情報~専門薬学 厚生労働省 食中毒事件一覧速報

患者さんごとの原因となる病原菌 1 月の原因病原菌 8 月の原因病原菌 その他 20.4 % その他 サルモネラ 33.8 % 28.7 % ノロウイルス 79.6 % 患者さんごとの原因となる病原菌について確認していきたいと思います。先ほど、冬の1 月と夏の8 月に食中毒の患者数のピークが表れることを示しました。 1 月の原因病原菌を確認しますと、冬に発生する食中毒はノロウイルスによるものが79.6 %であり、ほとんどがノロウイルスによる食中毒です。このように、冬に発生する主な感染症は「ウイルス性の食中毒」であることを認識していただければと思います。 それに対し、8 月に発生する食中毒の原因病原菌としてはサルモネラや腸炎ビブリオ、カンピロバクター、病原大腸菌などがあります。これら夏に起こる食中毒に共通する点としては、「細菌性の食中毒である」ということです。 このように冬はウイルスによる食中毒、夏は細菌による食中毒と季節によって原因となる病原菌が異なってきます。病原菌が異なれば、当然ながら予防対策なども違ってきます。そのため、季節や予防したい食中毒は何かなどを考慮する必要があります。 病原大腸菌 16.0 % 腸炎ビブリオ 15.5 % カンピロバクター 6.0 % 役に立つ薬の情報~専門薬学 厚生労働省 食中毒事件一覧速報

食中毒の発生場所 事件数の割合 患者数の割合 家庭 1.7 % 給食施設 5.2 % その他 7.0 % 給食施設 3.0 % 学校・病院 3.5 % 家庭 12.4 % 学校・病院 2.3 % その他 23.4 % 旅館 12.9 % 仕出屋 26.3 % 旅館 6.2 % 飲食店 52.8 % 飲食店 43.3 % スライドには食中毒の発生場所について示しています。 事件数の割合を確認しますと、飲食店で多く発生していることが分かります。その次が家庭、旅館であり、最後に給食施設や学校・病院となります。 それぞれの施設数にもよりますが、消毒や衛生状態が比較的厳密な給食施設や学校・病院では食中毒の発生が少ないです。それに対し、飲食店や家庭では食中毒の発生が多くなる傾向にあります。 患者数の割合で見ますと、一度に多くの食事を提供する飲食店で患者数も多いことが分かります。患者さんが家族内に限られる家庭では、事件数は多いが患者数自体は少ないです。 また、一度に何万食もの弁当などを発送する仕出屋では、事件数が少ないにもかかわらず食中毒の患者数が多いです。このように、食中毒の発生件数だけでなく、患者数の割合まで考慮することが重要です。 役に立つ薬の情報~専門薬学 厚生労働省 食中毒事件一覧速報

サルモネラ [ 潜伏期間 ] 8~48 時間 [ 発生時期 ] 夏季(7~9 月)が中心 [ 主な感染源 ] 肉類、卵 [ 主な症状 ] [ 主な感染源 ] 肉類、卵 [ 主な症状 ] 下痢、発熱、腹痛 それでは、食中毒を起こす病原菌について確認していきます。最初に、サルモネラについてです。 サルモネラの特徴とですが、潜伏期間は8~48 時間で発生時期は7~9 月の夏が中心です。主な感染源としては肉類・卵があり下痢や発熱、腹痛などの症状が起こります。 サルモネラの感染については、生で食べることを避けて十分に加熱することが大切です。有効なワクチンはなく、感染時は輸液などの対症療法となります。 感染について 予防方法 : 生食を避けて十分に加熱 有効なワクチンはない 感染時は輸液などの対症療法 役に立つ薬の情報~専門薬学 国立感染症研究所

腸炎ビブリオ [ 潜伏期間 ] 12 時間前後 [ 発生時期 ] 夏季(6~10 月)が中心 [ 主な感染源 ] 魚介類やその加工品 [ 主な症状 ] 激しい腹痛、下痢、嘔吐 次に腸炎ビブリオについてです。潜伏期間は12 時間前後であり、サルモネラと同様に発生時期は夏が中心となります。主な感染源は魚介類やその加工品であり、激しい腹痛や下痢、嘔吐を起こします。 腸炎ビブリオは増殖速度の速さに特徴があります。適切な条件が揃えば8~10 分に一回分裂すると言われています。そのため、わずかな時間で大量の腸炎ビブリオが発生するため、注意が必要です。 感染時には輸液などの対症療法が基本であり、予後良好は良好で2~3 日に回復します。 感染について 増殖速度が速い(8~10 分に一回分裂 ) 対症療法が基本 予後良好で 2~3日に回復 役に立つ薬の情報~専門薬学

カンピロバクター [ 潜伏期間 ] 2~7 日 [ 発生時期 ] 梅雨から夏(5~10 月)が中心 [ 主な感染源 ] 生肉(鶏肉、レバーなど) [ 主な症状 ] 下痢、発熱、腹痛、血便 三番目にカンピロバクターについてです。潜伏期間は2~7 日と比較的長く、梅雨から夏を中心に発生します。主な感染源は鶏肉やレバーなどの生肉であり、下痢や発熱、腹痛、血便などの症状が起こります。 感染については、100 個程度のわずかな菌量で感染成立することが特徴です。多くは自然治癒し、予後は良好です。 感染について 100 個程度の菌量で感染成立 多くは自然治癒 予後は良好 役に立つ薬の情報~専門薬学 国立感染症研究所

家畜は健康な状態でも腸管内にカンピロバクターをもつ カンピロバクター食中毒 カンピロバクターによる食中毒 ・ 日本で最も発生件数の多い食中毒 ・ 患者数はノロウイルスに次ぐ二番目 予防方法 加熱調理 中心部を75 ℃以上で1 分間以上 二次汚染の防止 食肉は他の食品と分けて処理・保存 食肉を扱った後は手を洗う 先ほどの紹介したカンピロバクターによる食中毒ですが、日本で最も発生件数の多い食中毒です。 カンピロバクターとノロウイルスを比べると、患者数としてはノロウイルスの方が多いです。しかし、発生した件数だけであればカンピロバクターが最も多いです。その患者数はノロウイルスに次ぐ二番目となっています。 カンピロバクターに限らず全ての食中毒に共通することですが、予防方法としては「加熱調理」と「二次汚染の防止」の二つがあります。 加熱調理では、中心部を75 ℃以上で1 分間以上加熱します。中途半端な加熱では効果が薄いため、十分な加熱が必要です。 二次汚染の防止では「食肉は他の食品と分けて処理・保存を行う」、「食肉を扱った後は手を洗う」、「食肉に触れた調理器具は洗浄・殺菌を行う」などがあります。 家畜は健康な状態でも腸管内にカンピロバクターを持ちます。そのため、カンピロバクターに感染する危険性は常に潜んでいます。 食肉に触れた調理器具は洗浄・殺菌 家畜は健康な状態でも腸管内にカンピロバクターをもつ 役に立つ薬の情報~専門薬学

ギラン・バレー症候群 カンピロバクターによる合併症 ギラン・バレー症候群が知られる ギラン・バレー症候群の特徴 筋肉を動かす運動神経に障害が起こる 四肢脱力が主な症状 重症では呼吸不全 非常に稀な疾患(年間10 万人に1~2 人) カンピロバクターによる合併症として有名なものに、ギラン・バレー症候群があります。 ギラン・バレー症候群の特徴としては「筋肉を動かす運動神経に障害が起こる」、「四肢脱力が主な症状」、「重症では呼吸不全」などがあります。非常に稀な疾患であり、年間10 万人に1~2 人が発生する程度です。 発症2~4 週が症状のピークであり、多くは6~12 ヶ月前後で寛解します。ただし、約2 割の患者さんで後遺症が残る場合もあります。 発症2~4 週が症状のピーク 多くは6~12 ヶ月前後で寛解 後遺症が残る場合もある(約2 割の患者さん) 役に立つ薬の情報~専門薬学

腸管出血性大腸菌 [ 潜伏期間 ] 2~5 日 [ 発生時期 ] 夏季(7~9 月)が中心 [主な感染源 ] 食肉、野菜 など様々 [ 主な症状 ] 激しい腹痛、下痢、血便 次に腸管出血性大腸菌についてです。潜伏期間は2~5 日で発生時期は7~9 月の夏が中心です。主な感染源としては食肉や野菜など様々です。症状としては激しい腹痛、下痢、血便があります。 腸管出血性大腸菌の注意する点として「感染源」があります。多くの人は食肉などを介して食中毒が発生すると思いがちです。しかし、腸管出血性大腸菌では先ほど述べた通り、野菜からも感染します。 例えば、2011 年にヨーロッパで発生した腸管出血性大腸菌O-104 による食中毒はもやしが原因ではないかと言われています。 予防方法については食品の十分な加熱があります。感染してしまった場合は対症療法が基本であり、重篤な場合は合併症により死に至る例もあります。 感染について 予防方法 : 食品の十分な加熱 対症療法が基本 合併症により、死に至る例も 役に立つ薬の情報~専門薬学

O-157:H7 とO-157:H- がベロ毒素を産生する 腸管出血性大腸菌の種類 血清型の検出割合 大腸菌の分類 O-111 1.8 % O 抗原 : 160 種以上 その他 8.8 % O-157 が多数 O-103 3.1 % H 抗原 : 60 種以上 O-26 17.3 % O-157 69.0 % 同じO 抗原で、H 抗原が違う場合 スライドには腸管出血性大腸菌の種類を示してあります。 大腸菌の分類方法ですが、O 抗原とH 抗原によって分類します。O 抗原は160 種以上あり、この中でもO-157 が69.0 %で多数を占めています。このO 抗原によってO-157、O-26、O-103 と大腸菌の種類が決定します。 H 抗原は60 種以上あり、大腸菌の毒性についてはH 抗原も重要となります。たとえ同じO-157であっても、H抗原が異なれば毒性を示さないことがあるからです。 O-157 の中でもO-157:H7 とO-157:H- が毒素を産生します。 O-157 であっても、 毒性を示さないことも O-157:H7 とO-157:H- がベロ毒素を産生する 役に立つ薬の情報~専門薬学

ベロ毒素とは ベロ毒素 腸管出血性大腸菌が産生する毒素 赤痢菌感染で確認される以下の症状が出る 出血性の下痢 溶血性尿毒症症候群(HUS) 赤血球の破壊 血管内皮細胞の傷害 溶血性貧血 急性腎不全、血小板減少症 O-157 などの報道で聞くベロ毒素についてですが、ベロ毒素とは腸管出血性大腸菌が産生する毒素を指します。 このベロ毒素によって、赤痢菌感染で確認される「出血性の下痢」や「溶血性尿毒症症候群(HUS)」の症状が出ます。 溶血性尿毒症症候群(HUS)の病態としては赤血球の破壊による溶血性貧血、血管内皮細胞の障害による急性腎不全や血小板減少症が起こります。症状が重くなると、尿毒症による意識障害が発生します。 尿毒症による意識障害 役に立つ薬の情報~専門薬学

ノロウイルス [ 潜伏期間 ] 24~48 時間 [ 発生時期 ] 冬季(11~3 月)が中心 [主な感染源 ] 接触感染 [ 主な症状 ] 悪心・嘔吐、下痢、腹痛 次に冬の食中毒として有名なノロウイルスについて説明します。 潜伏期間は24~48 時間で、11~3 月の冬を中心に発生します。主な感染源は接触感染であり、悪心・嘔吐、下痢、腹痛などの症状を起こします。 ノロウイルスへの対策としては主に次亜塩素酸ナトリウムによる消毒があります。ノロウイルス感染症に罹った場合、有効な薬やワクチンはなく、輸液などの対症療法となります。 感染について 消毒(次亜塩素酸ナトリウム) 有効な薬・ワクチンはない 輸液などの対症療法 役に立つ薬の情報~専門薬学

ノロウイルス感染の概要 腸管で増殖 悪心・嘔吐、下痢、腹痛 ウイルスが口の中に カキなどの二枚貝 嘔吐物の飛散 消毒不十分 ウイルス感染 スライドにはノロウイルスが感染を起こす様式について載せてあります。 ノロウイルスはカキなどの二枚貝に蓄積されます。ノロウイルスを含むカキを十分に加熱せずに食べた場合、ウイルスが口の中に入って感染を起こします。 ノロウイルスは100 個以下の少ない量でも感染が成立する、非常に感染力の強いウイルスです。感染すると腸管で増殖し、悪心・嘔吐、下痢、腹痛などの症状を起こします。 感染者の嘔吐物や糞便などにノロウイルスが含まれるため、これらが環境中へ排泄され、嘔吐物の飛散、また消毒が不十分であった場合、ウイルスが他の人の口の中に入って感染を引き起こします。 このサイクルが繰り返されることで、ノロウイルスによる集団感染が発生します。 環境中へ排出 嘔吐物の飛散 消毒不十分 役に立つ薬の情報~専門薬学

食中毒予防の原則 病原菌を殺す 十分な加熱調理を行う 中心部を75 ℃以上で1 分間以上 病原菌の増殖防止 食品は新鮮なうちに食べる 冷凍・冷蔵保存し、早めに使い切る これらの食中毒に共通する「食中毒予防の原則」を三つに分けて紹介します。 まず初めに、十分な加熱を行うことです。多くの病原菌は熱に弱いです。いくつかの例外を除き、加熱によって食中毒を防ぐことができます。加熱が不十分であると食中毒を予防できないため、中心部が75 ℃以上で1 分間以上加熱される必要があります。 二番目に病原菌の増殖防止があります。食品は新鮮なうちに食べる必要があり、病原菌の増殖を少しでも遅らせるために冷凍・冷蔵保存を行い、早めに使い切ります。 三番目に二次感染の防止があります。食中毒を発症した人がいる場合、感染拡大を阻止することが大切です。そのため、手洗いや消毒を十分に行います。 二次感染の防止 感染拡大を阻止する 手洗いや消毒を行う 役に立つ薬の情報~専門薬学

消毒薬の分類 分 類 成分名 抗微生物スペクトル 適応対象 一 般 細 菌 M R S A 緑 膿 菌 結 核 菌 真 菌 芽 胞 ウイルス 器具 環 境 手 指 ・ 皮 膚 粘 膜 中 型 サ イ ズ 小 型 サ イ ズ H I V 金 属 非 金 属 高 水 準  グルタラール ○ -  フタラール △  過酢酸 中 水 準  次亜塩素酸ナトリウム  ポピドンヨード  消毒用エタノール  イソプロパノール 低 水 準  塩化ベンザルコニウム  塩化ベンゼトニウム  グルコン酸クロルヘキシジン  塩酸アルキルジアミノ  エチルグリシン H C V B 食中毒対策として消毒薬を紹介します。 このスライドで一番押さえてほしいポイントとしては、一般細菌に対しては全ての消毒薬でマルが付いている点です。つまり、先ほど紹介したカンピロバクターや病原大腸菌などの一般細菌を殺したい場合であれば、どのような消毒薬を使用しても構いません。 ただしウイルスなど特殊な病原菌に関しては、それぞれに対応した消毒薬を使用する必要があります。ノロウイルスは小型サイズのウイルスに該当するため、次亜塩素酸ナトリウムなどによる中水準以上の消毒薬が使用されます。 次に適応対象についてです。例えば、次亜塩素酸ナトリウムは金属腐食性をもつため、金属の殺菌には適応しません。他にも消毒用エタノールであれば、刺激性があるため粘膜には使用できません。 このように、金属に使用するのか非金属に使用するのか、また床や壁などの環境の消毒か、人体に使用したいのかなどによって使い分ける必要があります。 ○:有効  △:やや有効  -:無効 役に立つ薬の情報~専門薬学

食中毒を起こす病原菌への消毒薬 病原菌によって消毒薬を使い分ける 一般細菌の消毒 サルモネラ 腸炎ビブリオ カンピロバクター 腸管出血性大腸菌 など どの消毒薬を使用しても良い ノロウイルスの消毒 ノロウイルス 先ほど申し上げました通り、大腸菌などの一般細菌に対してはどの消毒薬を使用しても良いです。 ただし、消毒薬を使い分ける必要のある病原菌があります。ノロウイルスであれば、次亜塩素酸ナトリウムなど適切なものを選ばなければいけません。 このように病原菌によって消毒薬を使い分けることに注意していただければと思います。 次亜塩素酸ナトリウムが多用 病原菌によって消毒薬を使い分ける 役に立つ薬の情報~専門薬学

食中毒にかかった場合 補液・整腸剤による対症療法が基本 補液 : 下痢・嘔吐など脱水症状に使用 軽症 経口補水液(スポーツ飲料など) 中等度以上 経口補水液 + 輸液など静脈を経て投与 整腸剤 : 腸内細菌の是正 正常な腸内細菌(乳酸菌、ビフィズス菌)を回復 病原体の定着を防止 食中毒にかかった場合について確認していきます。基本的には食中毒に対して補液・整腸剤による対症療法が基本となります。 補液は下痢・嘔吐など脱水症状に対して使用します。軽症であればスポーツ飲料などの経口補水液を利用し、中等度以上であれば経口補水液にプラスして輸液など静脈を経て投与します。 また、整腸剤による腸内細菌の是正も重要です。これによって乳酸菌やビフィズス菌などの正常な腸内細菌を回復し、病原体の定着を防止します。 なお、抗菌剤の投与は必ずしも必要ではありません。重症度など必要に応じて投与となります。 抗菌剤 : 必ずしも必要ではない 重症度など、必要に応じて投与 役に立つ薬の情報~専門薬学

一日の水分量 一日の水分量(目安) 下痢便(水様便)の一日排泄量 接種水分量(mL) 排泄水分量(mL) 飲料水 食物中の水 燃焼水 800~1,300 1,000 200 尿 不感蒸泄(汗など) 糞便・その他 1,000~1,500 900 100 合計 2,000~2,500 下痢便(水様便)の一日排泄量 分泌量 (mL / 日) 電解質(mEq / L) Na+ K+ Cl- 下痢便 500~8,000 50~100 20~40 40~80 小児下痢便 500 80 50 一日の水分量の目安についてですが、正常な人の場合、一日の水分摂取は飲料水や食事中の水からが主となります。水分排泄に関しては尿や汗によるものが主であり、糞便からは一日に100 mL程度です。 食中毒によって下痢を引き起こした場合、糞便による水分排泄量は大幅に増えます。 下の表に下痢便の一日排泄量を示してあります。成人では下痢便だけで500~8,000 mLと大幅に水分が減っていきます。小児の下痢便であっても一日500 mL程度の水分が奪われます。 また、下痢では表に示しますように電解質も失われます。そのため、汗などによって水分が失われた場合と同様に電解質を補うことも必要です。 役に立つ薬の情報~専門薬学

経口補水液の作り方 ① 砂糖大さじ4 と2 分の1 ② 水1 リットル 食塩小さじ2 分の1 ③ レモン・グレープフルーツ などの果汁を入れる かき混ぜる スポーツドリンクなど経口補水液は市販されているものがありますが、自分で作ることも可能です。このとき、失われた電解質や栄養を補うためにも塩分・糖分の補給も必要です。 経口補水液の作り方としては、最初に水1 リットルに砂糖大さじ4 と2 分の1 、食塩小さじ2 分の1 を入れ、かき混ぜます。 砂糖・塩が溶けた後、レモンやグレープフルーツなどの果汁を入れます。これには飲みやすさの向上やカリウム補給などの意味があります。 飲みやすさ向上、カリウム補給 役に立つ薬の情報~専門薬学

まとめ ① 食中毒予防のために 加熱調理 新鮮なうちに調理 二次感染の防止 ② 二次感染の防止 : 手洗いや消毒薬 消毒薬の活用 一般細菌 どのような消毒薬でも殺菌可能 ノロウイルス 次亜塩素酸ナトリウムを使用 以上をまとめます。 食中毒を予防するためには加熱して調理する、新鮮なうちに調理する、二次感染の防止が重要になります。 二次感染を防止するためには手洗いや消毒薬を使用します。消毒薬を活用する際の注意点としては一般細菌はどのような消毒薬でも殺菌可能であるが、ノロウイルスの消毒では次亜塩素酸ナトリウムを使用することがあります。 食中毒を発症した時の対処法としては補液・整腸剤による対症療法が基本となります。 これらの事柄を整理し、食中毒への予防や実際に食中毒が発生した場合に備えて頂ければと思います。 ③ 食中毒を発症した時の対処法 補液・整腸剤による対症療法が基本 役に立つ薬の情報~専門薬学