脂質 細胞や組織から無極性有機溶媒で抽出することにより単離される天然有機化合物 エステル結合を有し,加水分解できるもの 脂肪,ワックスなど エステル結合をもたず,加水分解できないもの コレステロール,ステロイドなど 5版 p.497 4版 p.502
油脂 単位重量あたりのエネルギー効率が糖やタンパク質の2倍 →エネルギー貯蔵物質 動物脂肪→固体 植物油→液体 5版 p.498 4版 p.503 グリセリン(グリセロール)と長鎖脂肪酸のトリエステル →トリアシルグリセロール(トリグリセリド) いわゆる中性脂肪→血中濃度が上昇すると高脂血症 →種々の疾病の危険要因 脂肪 グリセリン + RCOOH R’COOH R’’COOH 脂肪酸 OH- H3O+
ジアシルグリセロール トリアシルグリセロールに再合成されにくく,肝臓や筋肉でエネルギー源として消費されやすい →食後血中中性脂肪濃度が上昇しにくい ジアシルグルセロール 健康エコナホームページ http://www.kao.co.jp/econa/
油脂の脂肪酸 枝分かれなし,C12~C20の間の偶数個の炭素を含んでいる 二重結合がある場合はZ(シス)配置 1分子のトリアシルグリセロールを構成する脂肪酸は1種類とは限らない 飽和脂肪酸(二重結合なし) パルチミン酸(C16),ステアリン酸(C18)が多く存在 不飽和脂肪酸(二重結合あり) オレイン酸(C18) ,リノール酸(C18)が多く存在 オレイン酸→一不飽和脂肪酸 リノール酸,リノレン酸,アラキドン酸→多不飽和脂肪酸 動物はオレイン酸からリノール酸へ変換する酵素をもたない →リノール酸,リノレン酸は食物から摂取する必要 細胞膜や生理活性物質の材料→正常な生理機能や成長に必要 5版 p.498 4版 p.503
脂肪と油脂 不飽和脂肪酸は飽和脂肪酸よりも融点が低い(二重結合あり) 飽和脂肪酸は直鎖 →結晶化容易 不飽和脂肪酸は曲がっている →結晶化しにくい 植物油は動物脂肪より不飽和脂肪酸の比率が高い →植物油は動物脂肪より融点が低い 不飽和脂肪酸の二重結合の間は酸化されやすい →過酸化脂質となりラジカル発生→DNAに傷害を与える 植物油の二重結合を水素で還元して融点を上げる →マーガリン http://www.ntv.co.jp/ito-ke/new/urawaza/20031216/04_01.html 5版 p.499-500 4版 p.504-5
セッケン 動物脂肪をアルカリで加水分解(けん化) →長鎖脂肪酸のNa塩またはK塩 NaOH H2O http://www.live-science.com/honkan/basic/mame01.html グリセリン Na+ + セッケン 3 NaOH H2O CO2- 疎水性の尾部 親水性の頭部 脂肪 水中で尾部が内部に集まり,頭部は表面に露出したミセルを形成 油滴などはミセルの内部に取り込まれて可溶化→洗浄作用 合成洗剤 水 油 5版 p.501-502 4版 p.506-7
リン脂質~ホスホグリセリド リン酸のエステル ホスホグリセリド →細胞膜の主成分 (約40%) 厚さ50Åの脂質二重層 L配置(R) ホスホグリセリド L配置(R) ホスファチジルコリン(レシチン lecitin) R=飽和 →細胞膜の主成分 (約40%) 厚さ50Åの脂質二重層 R’=不飽和 ホスファチジルエタノールアミン (セファリン cephalin) マヨネーズは卵黄のレシチンで油を乳化 http://www.ntv.co.jp/ito-ke/new/urawaza/20021105/03_01.html 5版 p.502-4 4版 p.508-9
リン脂質~スフィンゴ脂質 スフィンゴ脂質 →細胞膜の成分 脳や神経組織に多い スフィンゴミエリンは神経繊維を覆っているミエリン鞘の主成分 脳や神経組織に多い スフィンゴミエリンは神経繊維を覆っているミエリン鞘の主成分 スフィンゴシン sphingosine スフィンゴミエリン sphingomyelin 5版 p.504 4版 p.509
ステロイド C D A, B, C環はいす形(環反転はしない) A B ホルモン(化学伝達物質)として働くものが多い →細胞膜の成分としても含まれる コレステロールもステロイドの一種 ホルモンの原料となる 5版 p.504 4版 p.510
ステロイドホルモン 男性ホルモン(アンドロゲン) テストステロン アンドロステロン アンドロステンジオン →二次性徴,組織や筋肉の発達 テストステロン アンドロステロン アンドロステンジオン →二次性徴,組織や筋肉の発達 女性ホルモン(エストロゲン) エストロン エストラジオール(卵胞ホルモン) →二次性徴,月経周期の調節 ざくろにも含まれる プロゲステロン(黄体ホルモン) →妊娠の維持 副腎皮質ホルモン 鉱質コルチコイド(アルドステロン) →細胞のNa+とK+の平衡を調節し組織の膨張制御 糖質コルチコイド(ヒドロコルチゾン) →グルコースの代謝調節,炎症の制御 アトピー性皮膚炎の治療にも用いられる 5版 p.506 4版 p.510
合成ステロイド 経口避妊薬(ピル) →合成エストロゲン,合成プロゲスチン エチニルエストラジオール ノルエチンドロン →合成エストロゲン,合成プロゲスチン エチニルエストラジオール ノルエチンドロン タンパク質同化ステロイド(メタボリックステロイド) →合成アンドロゲン メタンドロステノロン ドーピングに使用される 5版 p.506 4版 p.510
コレステロールと心臓病 コレステロール →肝臓で合成され,血液を経て組織に運ばれて利用 低比重リポタンパク質(LDL, low density lipoprotein) の形 で運搬(悪玉コレステロール) 余分なコレステロールは組織から肝臓へ返送される 高比重リポタンパク質(HDL, high density lipoprotein) の形 で運搬(善玉コレステロール) LDLとHDLのバランスがよければコレステロールの必要な レベルが保たれる この調節が破綻し,LDLが多くなると血中コレステロール増加→血管壁に取り込まれて沈着→動脈硬化→血管内腔狭窄