東海・東南海・南海地震と地域の持続性 京都大学防災研究所 牧 紀男.

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東海・東南海・南海地震と地域の持続性 京都大学防災研究所 牧 紀男

東日本大震災と阪神・淡路大震災 東日本大震災(2012年8月28日現在) 死者・行方不明 18,715人 全壊 129,340戸 死者・行方不明 18,715人 全壊 129,340戸 半壊 264,035戸 <計:全半壊 383,375戸> ・がれき 2,758万トン(2012年8月末現在) 阪神・淡路大震災(確定) ・ 死者 6434人 全壊 104,906棟(186,175世帯) 半壊 144,274棟(274,181世帯) <計:全半壊460,356世帯> がれき 2,000万トン

新しい想定震源域

東京型 阪神型 東京型 仙台型 津波型 仙台型 中央防災会議

中央防災会議

地域の持続性

日本の人口減少 2005年1億2776万人〔2万人減少) 2035年1億1067人(中・中) 中小企業白書 2006年版

団塊世代と団塊ジュニアが主要な世代群であり若年働きの人口も続けて移入し、継続的に人口増加が見込める地域 依存類型 持続類型 団塊世代と団塊ジュニアが主要な世代群であり若年働きの人口も続けて移入し、継続的に人口増加が見込める地域 依存類型 大学等の高等教育機関や就業先が無いため20~30代前半が他地域へ流出する、後期高齢者の拡大といった要因により人口の増加が期待できず、衰退して行く可能性のある地域 限界類型 1925-30年生まれの世代が中心であり、高齢者以外の世代の地域外への流出が顕著で、地域の維持が困難になる可能性がある地域 1990 1995 2000 2005 1990 1995 2000 2005 1990 1995 2000 2005

東日本大震災の被災地 それほど高齢化している分けではない。

東海・東南海・南海地震の被災地

地域を分類する 2005年 Combined mesh are considered as uninhabited areas 地域を分類する 2005年 Combined mesh are considered as uninhabited areas If juvenile or working age =0, then Marginal 相模灘 駿河灘 遠州灘 Tokai 熊野灘 Tonankai 紀伊水道 土佐湾 Nankai 地域特性 日向湾 持続可能 依存型 限界 無人

地域を分類する2030年 Tokai Tonankai Nankai Sustainable Type Dependent Type 相模灘 駿河灘 遠州灘 Tokai 熊野灘 Tonankai 紀伊水道 土佐湾 Nankai Regional Characteristics 日向湾 Sustainable Type Dependent Type Marginal Type No inhabitants (combined mesh included)

災害を経験してさらに 人口減少が進む 不可避

人口の回復 出典:神戸市

地域コミュニティーが強い? 小千谷市:「防災集団移転」 山古志:「山古志にもどろう」

県外避難者 Almost 55,000 people evacuated to the other prefecture in Fukushima (September 10) Source: Cabinet Office

東日本大震災

東日本大震災の被災地の人口減少 (岩手県沿岸部)

被災地の人口減少 (新潟県中越地震 小千谷市) 被災地の人口減少 (新潟県中越地震 小千谷市)

災害後の人口減少も踏まえた復興が求められる

災害復興後の姿は災害前の地域の姿によって決まる

震災前の地域人口特性 図 被災前の地域人口特性 (1990)

震災後の地域人口特性 図 被災後の地域人口特性 (2005)

震災後の地域人口回復 図 被災地の人口変動率分布 (1990-2005)

都市若年労働人口集中型 市街地衰退型 灘区、東灘区など 復興事業実施型 兵庫区、長田区北部、 須磨区北部   復興事業実施型 長田区南部、須磨区中心部 被災後(2005) 持続 依存 限界 持続 (1990) 被災前 依存 限界 図 被災前・後の地域人口特性変動及び震災復興事業・災害復興公営住宅分布図

都市若年労働人口集中型 都市更新型 市街地衰退型 復興事業実施型 図 被災前・後の地域人口特性変動及び震災復興事業・災害復興公営住宅分布図 灘区、東灘区など 都市更新型 中央区 市街地衰退型 兵庫区、長田区北部、 須磨区北部   復興事業実施型 長田区南部、須磨区中心部 被災後(2005) 持続 依存 限界 持続 (1990) 被災前 依存 限界 図 被災前・後の地域人口特性変動及び震災復興事業・災害復興公営住宅分布図

2004新潟県中越地震(震災前) 旧山古志村 小千谷市 東山地区 陳海立2010

震災後の地域人口回復 陳海立2010

都市若年労働人口集中地区、中小都市中心部 衰退化市街地 被災後の地域人口特性 持続類型 依存類型 限界類型 被災前 地域人口特性 持続 類型 都市若年労働人口集中地区、中小都市中心部 若年人口流入があり、持続的に人口を維持可能な地域 例:灘区~西宮市、城内地区、来迎寺 衰退化市街地 人口減少が発生しており、若年層の人口流出が発生 例:須磨区北部 依存 都市更新、震災復興事業 地震被害により、民間投資や災害復興事業による建物の再建が進んだため、経済的な理由から高齢者が転出し、新築建物に若い世代が入居した。入居量によって人口増減が起こる 例:中央区、長田区南部、須磨区中心部 衰退地域、中山間地域からの流出の受皿 ・若年層の流出が継続し、従前居住者が高齢化が進行している地域 ・中山間地域から流出する中高齢の受け皿となり、将来的には人口減少が発生 例:兵庫区、長田区北部;平野部地域 限界化地域 若年人口の流失以上に、地域から労働人口の流出が顕著になり、地域衰退は加速化 例:山間部(旧山古志村) 限界 限界地域 人口減少が続く例:山間部 陳海立2010

地域類型の変化(2005-2030)

地域特性ごとの復旧・復興戦略